日本のトガったVRコンテンツが大集合! 熱狂の「2017冬 Japan VR Fest.」レポート
2月25日、ベルサール秋葉原にて「2017冬 Japan VR Fest.」が開催された。同イベントは2013年から有志により開催されてきたVR体験展示会「OcuFes」の名称が変更されたもので、VRに関連するものであれば何でも出展できる。出展料、一般参加者の入場料ともに無料だ。会場を取材して来たので、いくつかピックアップしてその様子をお届けしよう。
装着がすごく簡単になった! VIVEデラックス・オーディオストラップ
会場では、PC向けVRゴーグルHTC VIVEの周辺機器で、取り付けた物体の位置追跡を可能にする「VIVEトラッカー」と、ヘッドホン付きストラップ「VIVEデラックス・オーディオストラップ」が展示されていた。これら2つの機器は今年1月に開催された世界最大級の家電見本市「CES 2017」内で発表し、3月1日にともに1万2500円という価格が明らかになっている。
実際に装着できたVIVEデラックス・オーディオストラップは、HTC VIVEを頭に固定するためのベルトと交換して使う固定器具で。ヘッドフォンが一体となっている。多くの部分が硬いプラスチックでできているものの、内部にはパッドが装着されており、安定して装着できるのが特徴だ。
HTC VIVEでは、頭の左右と前後にベルトが用意されており、左右のこめかみと前頭部にある3つの端を引っ張ってマジックテープで固定することで、ゴーグルを固定していた。一方、VIVEデラックス・オーディオストラップでは後頭部のツマミを回転させることで左右のスライダーが締まっていく仕組みとなった。スライダーは左右均等に締まっていくので、左右が独立していたベルトのように締まりのバランスが悪いということもなく、快適な装着感を手軽に得られる。
前後は従来同様、マジックテープ方式ではあるのだが、頭頂部くらいまではプラスチックの構造部分が伸びて支えるようになったため、頭頂部から前方にかけての突っ張るような感じがかなり低減されていた点もよかった。
そのほか、従来は後頭部から頭頂部を経てVIVE本体に接続されていた、USBとHDMI、電源の3本がまとまったケーブルが頭の右側面を通すように変わっていた。これも頭頂部周辺の快適性向上につながっているのだろう。
また、ヘッドフォン一体型となったことで、別途ヘッドフォンやイヤフォンを用意する手間が省けるようになった。用意したヘッドフォンのケーブルが長いと余ったケーブルをまとめるのが面倒だったり、VR体験中に腕などに干渉することもあったが、VIVEデラックス・オーディオストラップでは頭の左側を沿うように配線されるので、邪魔にならない。
VIVEトラッカーは展示のみ。サイズは直径99.65×高さ42.27mmで、重量は85g。トラッキングしたい物体に着けたり、カメラに組み合わせてプレイヤーとVR空間をリアルタイム合成する際などに使える。従来はトラッキングのためだけにVIVEコントローラーを使用せざるを得ない事例もあったが、VIVEトラッカーの登場によってトラッキングするものを増やしやすくなった。
ユニティちゃんはそこにいる! Tangoで楽しく英語学習「Tango de えいご」
やのせん氏による、Tangoを利用した「Tango de えいご」は、ユニティちゃんと会話を進めていくことで英語学習ができるアプリだ。周囲の景色の上にユニティちゃんが登場するので、実在感が強い。
ユニティちゃんは音声で話しかけてくるので、リスニング力も問われるが、画面上部をスワイプすれば文字での会話ログも見ることもできるため、聞き取れない場合も安心だ。返答として正しい選択肢を選ぶとハートが増え、ハートの数に応じてTangoならではの、近づいたり回り込んだりして見てみたくなるような演出をしてくれることもある。
VRゴーグルを使用しないため手軽に体験できたり、複数人で同じ画面を見ることができるなど、学習用途とTangoの相性の良さを感じるものだった。
トランポリン×VR!DIETOON
体感型筐体を組み合わせたVR体験を多く手掛けるハシラスによる、トランポリンを使ったVR体験「DIETOON」は、フィールドに降り注ぐボールをジャンプ移動で集めて得点を競争するゲームである。
ジャンプ移動は、行きたい方向に体を向けて真上に飛べば進めるというものだ。VR内では実際にジャンプするより、高さが増幅されているように感じられるようになっているという。触れると得点となるボールは、かなりがんばって追いかけないとたどり着けない速度で動いているので、たくさんジャンプする必要があっていい運動になる。
体験者は上から垂れ下がったゴムバンドをつかんでいるので、ジャンプ中に体勢を崩す恐れも小さい。また、バックパック型PCを用いているため、VRゴーグルとPCをつなぐケーブルに絡まることもない。
ジャンプ以外に操作はなく、腕を振り回すこともないので、3×3mという限られた空間で4人同時に体験することができる点も注目だ。
エニグマスフィアの新モード、マルチ対戦!
よむネコによる、VR脱出ゲーム、「ENIGMA SPHERE Enhanced」の体験展示。ゲーム自体はOculus TouchローンチタイトルとしてOculus Storeにて配信されているが、さらに今春に拡張版としてENIGMA SPHERE Enhancedをリリース予定で、新モードやHTC Vive対応などを盛り込むとのこと。
今回体験できた新モードは、マルチプレイでの対戦で、プレイヤーは動く壁で見え隠れする球体をハンマーを投げて破壊し、制限時間内で得点を競う。球体は3種類あり、大きさや色によって得られる点数が異なった。球体を破壊すると、ガラスのように割れて崩れ落ちていくのだが、これを連続で破壊できたときが快感だ。
熱い対戦後はロビー的な空間で相手とハイタッチ!リアル側では正反対を向いているが、VR内では互いに向き合ってハイタッチしている。
飛んでくる星をキャッチして音を奏でる! VRリズムアクションSEIYA
ワンドブイが手掛ける「SEIYA」は、リズムに合わせて飛んでくる星をモーションコントローラーでキャッチするVRリズムアクションだ。特徴は、星のキャッチに成功すると対応する歌や音が流れるいわゆる「キー音」が丁寧に作りこまれており、プレイヤーが音楽を奏でているかのような感覚に陥ることだ。SEIYAは以前、頭を左右に動かして星をキャッチしていたが、今回体験したバージョンではモーションコントローラーを使用するようになり、上半身の運動量が増した。
SEIYAは、今秋、Oculus StoreやSteamなど各種プラットフォームでリリース予定とのこと。
Oculus Touchを使ったVRでの日本語入力
ゆーと氏による、Oculus Touchを使ったVR日本語入力。VR内で快適に文字入力を行うための方策がまだ確立されておらず、世界の開発者達によって日夜様々なデモが作られている状況であるが、今回のVR日本語入力はOculus Touchを用いて、手のひねり、ボタン、アナログスティック、トリガー二つをフル活用したものであった。
入力の流れとしては五十音表における行を選んだ後、段と濁音、半濁音を選び、入力および変換という流れだ。実際の操作も踏まえて表すと、手の上に扇状に表示される「あ段」より、どの行を入力するのか手を左右にひねって印を合わせて人差し指トリガーを押し込み決定、切り替わって選択した行が表示されたら、再び手を左右にひねって入力したい段に印を合わせ、トリガーを離すことで入力できるというものになる。ボタンで変換や1文字削除も可能だ。濁音・半濁音については行選択後の段選択時にアナログスティックを倒すことで切り替えられる。
初めての体験だったので、動画では結構遅めな入力のように思えるかもしれないが、慣れればフリック入力くらいの速度は出せるだろう。なお、体験者を対象にWeb上でアンケートが行われているので、体験した方は協力をお願いしたいとのこと。ソースコードはGitHubで公開されている。
以上、2017冬 Japan VR Festのレポートだった。普段VRを体験していない方など、開発者の方々にとっては幅広い層の方々に自身の制作物を体験してもらえる機会、一般参加者の方々にとってはレアな体験が集まっている機会なので、開催情報をチェックしておこう。
(取材・文:久道響太)
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●関連リンク
・2017年冬 JapanVR Fest.(旧OcuFes)
・NPO法人オキュフェス
・アキバ大好き!祭り
・VIVE Tracker
・VIVE Deluxe Audio Strap
・Google Tango
・ハシラス
・よむネコ
・WANDV
・VR日本語入力 yutokun/VR-Text-Input (GitHub)