「地球に来て良かった」7年の地球侵略活動が完了!「銀河アリス LAST LIVE -FINAL INVASION-」レポート

LINEで送る
Pocket

「地球人類さん」を幸せにするため、2018年5月からVTuberとして地球での侵略活動を続けていた銀河アリスさんが地球侵略を完了。8月2日(土)に、地球での最後の活動となる「銀河アリス LAST LIVE -FINAL INVASION-」が池袋HUMAXシネマズで開催された。ラストライブに向けて開催されたクラウドファンディングでは、当初の目標300万円はすぐに突破し、ストレッチゴールは追加分もすべて達成。最終的に1600万円以上の支援を集めるなど、多くの「地球人類さん」に愛され続けた可愛く優しい「侵略宇宙人」のラストライブをレポートする。

【冒頭無料配信】銀河アリス LAST LIVE -FINAL INVASION-

新曲&新衣装でファイナルライブ開幕!

会場の池袋HUMAXシネマズ8階Cinema2は満席。約7年3か月の侵略活動中に親しくしてきた20組のVTuberの友人たちからアリスさんへの惜別のメッセージがスクリーンで上映されていく。「Thank you for Friends」というメッセージの後、映像は、地球が見える位置に停まったアリスさんの宇宙船内へ切り替わる。4月4日(金)に行われた「侵略活動完了のお知らせ配信」と、4月11日(金)の「クラファン見守り配信」の前後、配信では映っていなかったアリスさんと相方の猫型ロボットたちのやり取りが描かれ、アリスさんのラストライブへの思いが伝わってくる。見守る猫たちに「7年間分の『ありがとう』を地球人類さんに伝えてくる」と力強く言い、宇宙船から会場へと向かうアリスさん。地球での最後の侵略「FINAL INVASION」がいよいよ始まった。

プラネタリウムのような空間の中にある円形ステージの中心に立つアリスさんは、配信や動画では観たことの無い姿。2024年の誕生日グッズの描き下ろしイラストを元にラストライブのために作られた新たな3D衣装だ。

そして、イントロは5日前にデジタルリリースされた新曲「RED CARPET」。クラウドファンディングのストレッチゴール達成により制作が実現した「新曲」と「新3D衣装」をいきなりダブルお披露目した。「何が起きてもそばにいるから」「何千何万回のありがとう」「この物語に終わりはないから」など、侵略活動終了が決まった後の地球人類さんへの思いのこもった楽曲をオープニングに持ってきた。さらに、当然、「RED CARPET」の振りもこのライブが初お披露目だ。

普段はふわふわしていて天然ボケ全開なのに、ステージに立つとダンスが切れ切れで、歌声は可愛くも力強いというギャップも大きな魅力のアリスさん。可愛さとアグレッシブさを兼ね備えた新衣装の魅力も相まって、オープニングからアリスさんらしさ全開のパフォーマンスだ。難易度が高そうな振りを余裕でこなすのは、アリスさんのライブで見慣れた姿だが、新曲の振りは全編を通して特に手数が多く、動きも激しく思えた。ラストのポーズは、ライブのキービジュアルに描かれた、地球を掌に乗せて優しく見守るアリスさんの姿。まるで、ライブのフィナーレのようだが、まだ1曲目だ。

パフォーマンス中とはガラッと変わり、MCではいつもの調子でふわふわと話し始めるアリスさん。クラファンのお礼を伝えた後は、会場や配信で見守る地球人類さんに新衣装への「かわいい」コールをおねだりする。このステージもファイナルライブのために新たに作られたことや、「RED CARPET」の中に、過去のオリジナル曲の歌詞が散りばめられているのは、アリスさんのリクエストだったことなどを語っていくが、明るく叫んだ「ずっと聴いてね!」という言葉に、つい寂しさを感じてしまう。


告知済みゲストのMonsterZ MATEが登場!

2曲目は、昨年7月の「銀河アリス 6th Anniversary Live -STAND UP!!」で初披露された12thシングル「HI STAND UP!」。「やるじゃーん! さっすがじゃーん! すっごいじゃーん!」など、アリスさんの口癖をふんだんに織り交ぜた明るく楽しい楽曲で、1曲目とはガラリと雰囲気が変わる。「RED CARPET」の時は、集中して聴き入り見守るような雰囲気だった会場からも楽しげなコールが響く。歌詞もテンポもコミカルなのだが、アリスさんのダンスは、この曲でも切れ切れ。休むまもなく踊り続ける。

3曲目は、ガラッと雰囲気が変わりクールな11thシングル「What’s going on」で、4曲目は、曲名の連呼が癖になる10thシングル「ネクストエベレスト」。察しの良い人は、「HI STAND UP!」で気づいていたと思うが、歴代シングルを最新曲から順番に歌っていくのが、このファイナルライブのコンセプトのようだ。

MCでは、まるでサプライズゲストが登場しそうなアリスさんの振りから、事前告知済みのゲストMonsterZ MATEアンジョーさんコーサカさんが登場。アリスさんが「兄ちゃんたち」と慕う同じ事務所(バルス株式会社)の仲間だ。初っ端から「サプライズじゃなくないですか。出るのは告知されていますよ」というコーサカさんの冷静なツッコミを受けて、動揺するアリスさんが可愛い。

その後、なぜか3人でしりとりをする流れになったのに、アリスさんが拒否したりとグダグダな流れになってきたところで、コーサカさんがしっかり軌道修正。ライブグッズと、8月いっぱいまで受注受付中の「LIVE Blu-ray通常版」の告知コーナーが始まった。Blu-rayには、3人が口を揃えて「面白かった」と語った場当たり(通しリハーサル前のラフなリハーサル)の映像が収録されている可能性もあるそうだ(確約ではないので注意)。

この流れで3人によるステージが始まるのかなと思ったら、MonsterZ MATEはいったん、退場。「お洋服の下、すっごい汗をかいてる」というVTuberのライブではあまり聞かない説明の後、最近お馴染みだったワンピース衣装に着替えたアリスさん。次の曲は、もちろん、9thシングルの「Message」だ。ダンサブルな曲に合わせて力感あるダンスを踊り続けるアリスさん。しかし、歌声はずっと透明感にあふれているのが、改めて不思議だ。アンジョーさん、コーサカさんとの愉快なMCを挟んだことで、アリスさんが放つ振り幅の大きなギャップの魅力はさらに増した気がする。

6曲目の「Distance of LUV」は、メロウで切ない雰囲気もある楽曲だが、ダンスは相変わらず、手数も多くてハードそう。しかし、アリスさんはまさに休む間もなく踊り続ける。ステージの奥には、YouTubeで公開されているMVが流れており、ステージ上のアリスさんとダンスがシンクロしていた。

短いMCをはさんで、ネコ目線の可愛い楽曲「振りかぶって猫パンチ」を披露した後は、2018年12月に初披露したライブ用衣装に変身。アリスさんの衣装中、最も肌色面積の広い衣装のためか、観客のテンションが一気に高まると、その反応の良さにアリスさんも「すごいじゃん! 大好きじゃん、これ!」と驚いていた。

「春、桜が咲いた時、このお歌を聴いてさ、『銀がここにいるじゃん!』みたいな風に思っていただけたら、嬉しいです」という少し切ない導入からの8曲目は、6thシングル「新・羅万象 -A New Love & Show-」。満開の桜が印象的なMVを背景に踊り歌うアリスさんの姿が美しい。疾走感あふれる「ア・イ swear」では、歌もダンスもアリスさんの格好良さが全開だった。


MonsterZ MATEとの初の歌コラボ

アリスさんと入れ替わるように瞬間移動してきたMonsterZ MATEの二人は、「天オモンスターズの元気が出るルーレット」「StarZ」と代表曲を続けて披露。アリスさんのことが大好きな地球人類さんの大半は、おそらくMonsterZ MATEのことも好きなはずで驚くことではないのかもしれないが、二人のパフォーマンスで会場はますます盛り上がっていった。

最新衣装に着替えたアリスさんも再登場しての3人のMCでは、アリスさんが、この後のコラボの内容を予告。今まで、MonsterZ MATEが歌、アリスさんがダンスというコラボは何度もあったが、一緒に歌うのは初めてのため、緊張して前日はあまり眠れなかったことを明かす。しかし、コーサカさんにツッコミを入れられつつ、自由奔放なトークを展開する姿からは、あまり緊張を感じられない。

コラボの一曲目は、MonsterZ MATEの「MonsterZ PARADE」。サビでのアンジョーさんとアリスさんのハーモニーは美しく、コーサカさんとのラップは可愛く格好良い。歌い終えた後のMCで、大好きな「MonsterZ PARADE」を「兄ちゃんたち」と歌えた喜びを語ったアリスさんは、さらに期待感が高まる流れの中、なぜか「もう1曲、ありません」と発言。会場中がポカンとし、さすがのコーサカさんも一瞬ツッコミが遅れる。もちろん、「もう1曲あります」の言い間違いだったのだが、アリスさん本人も自分がなぜそんなことを言ったのか分からず、「本当のボケです」と言いながらも、少し本気で動揺している様子だったのが可愛い。

「みんなで一つになれますかー!」というコーサカさんの煽りから、3人とも早着替え。アリスさんはワンピース衣装、アンジョーさんとコーサカさんはナポレオンジャケット風衣装になって「ア・イ swear」を歌う。少し前にアリスさんソロのオリジナル版を聴いたばかりだが、コーサカさんのラップから始まる3人での「ア・イ swear」は、また別の格好良さも加わり、まさにコラボならではのパフォーマンス。ファイナルライブではなく、もっと前に観たかったと感じた地球人類さんも多かったのではないだろうか。

「ずっと前から、このお歌さんを、兄ちゃんと歌いたいと思ってた」と本当に嬉しそうに語るアリスさん。感極まって泣きそうになったところで、アンジョーさんの天然ボケが炸裂し、涙が引っ込むような場面もあった。二人とお別れするのが寂しくて、MCを引き延ばそうとするアリスさん。

しかし、スタッフに急かされたのか、最後に「二人にとって、銀河アリスとは?」と質問。アンジョーさんの「戦友」、コーサカさんの「先輩」という回答からは、仲良しな兄妹以上のリスペクトを感じた。二人にとっては、「妹」でありながらも、「お姉ちゃん」のような存在でもあったらしい。一方、アリスさんにとってのアンジョーさんとコーサカさんは、「追いつけないから、ずっと追いかけていた」存在。コーサカさんの「もっと追いかければ良いのに」という言葉が温かくも少し哀しい。


「行ってきます!」 と笑顔で旅立つ

兄ちゃんたちを見送って一人になったアリスさんは、再びセパレートのライブ衣装に変身し、4thシングル「My Dears」を披露。ここまで、オリジナル曲メドレーを聴いてきて、正統派アイドルソングは、逆にレアなことに気づく。「みんな、まだまだいけるよね。ぶち上がっていきましょ!」という熱い煽りの後は、未来感がありながら、壮大な広がりを感じさせるメロディが印象的な「Link」。今さらな感想だが、この日、15曲目のパフォーマンスながら休みなく踊り続けるアリスさんの動きからは、一切の疲れを感じない。

暗転後、スクリーンには、ライブに向けての準備期間中、アリスさんと、アシスタントのクロちゃんが通話している場面が映る。「地球の侵略は完了するとはいえ、地球人類さんとの絆は、この先もず~っとずっと続くもん。毎日、パトロールさん、しちゃうんだから!」というアリスさんの言葉に、客席からはすすり泣きが聞こえてきた。

アリスさんの「次の星に行っても、私は一人ではない。(手で胸を押さえながら)ここに地球人類さんがいる」という言葉の後、スクリーンはステージに切り替わり、16曲目「Brand New Days」のパフォーマンスが始まる。懐かしい最初期衣装で華麗に舞いながら、優しく語りかけるように歌うアリスさん。アリスさんのダンスのルーツであるバレエのような滑らかなで美しいダンスに、目が惹きつけられる。

そして、最新曲から遡っていくファイナルライブで、ついにアリスさんの1stシングル「Someday Someday」の順番が来た。懐かしいMVを背景に、さまざまな思いが籠められているであろう歌とダンスを披露するアリスさん。

歌い終わった後には、思わず「『Someday Someday』が終わっちゃった」という言葉が漏れる。そして、地球人類さんに向けて書いてきたという手紙を朗読。客席から聞こえてくるすすり泣きは、さらに増えていた。関わってくれた様々な人々(猫含む)への感謝を丁寧に語った後、「出会ってくださったすべての皆さん」へのメッセージを語る。

「アリスにとって、皆さんとの出会いは奇跡です。地球に来て良かった。今まで本当に本当にありがとうございました。さよならは言いません。またね」

腰が折れるくらいに深々とお辞儀した後、本当はB5の紙に7枚も書いていた手紙を2枚に削ったという裏話も明かしたアリスさん。「銀と一緒に泣いた人?」という質問に多くの手が上がる。

涙でウェッティになった地球人類さんを元気にするため、アリスさんが最後に歌うのは、この日、2度目の「Link」。客席とのコールアンドレスポンスもしながら、最後の最後まで、さらに会場を盛り上げていき、背景には、これまでの地球侵略活動の映像が映っていく。そして、「行ってきます!」と笑顔で手を振りながら、宇宙一優しく可愛い侵略宇宙人の地球侵略活動が終了した。

客席から拍手の音と感謝の声が聞こえる中、スクリーンには、セットリストやスタッフロール、クラファン支援者の名前などが上映。エンディングの後は、ファイナルライブを終えて、猫たちが待つ宇宙船内にカメラが切り替わる。そして、アリスさん一行は、次の星へと笑顔で出発。映像の最後は、「もしもし。聞こえますか。地球人類さん。ありがとう。またね」というアリスさんからのメッセージだった。

VTuber文化の黎明期から活動を続け、鍛え抜かれたダンスや天性の魅力で多くの人々を笑顔にしてきたアリスさん。今後の新たな活躍が、もう地球で観られなくなるのは、当然、非常に残念だが、アリスさんの魅力を凝縮したようなファイナルライブを会場で観られたことは、とても幸運な体験だった。アリスさんの地球侵略活動は、アリスさんのYouTubeチャンネルをはじめ、さまざまな形で見返すことができるので、これからも楽しんでいきたい。

【お詫びと訂正】投稿作業中の誤操作により誤りがあった本文の一部を修正しました。訂正してお詫び申し上げます(2025年8月13日14時15分)

(TEXT by Daisuke Marumoto、Photo by Minoru Hirota


関連リンク
銀河アリス(公式X)
銀河アリス(公式YouTube)
「銀河アリス LAST LIVE -FINAL INVASION-」 配信ページ