KizunaAI Comeback Concert “Homecoming”ライブレポート 初邂逅・星街すいせいも一緒のステージに「感慨深い」

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2025年9月20日と21日の2日間にかけて、KizunaAIが自身の復活を祝うライブ「KizunaAI Comeback Concert “Homecoming”」を開催した。

初日を「hello, again」、2日目を「new world」とした2日間のイベント。初日公演はにじさんじの月ノ美兎剣持刀也葉加瀬冬雪なつめえりの4人がゲスト出演するトークパートを挟むライブとなり、2日目公演ではホロライブの星街すいせいを招いて彼女とのコラボ歌唱を含めたより音楽にフォーカスした内容となった。

DAY1 / hello again(見逃し配信、10月4日23時59分まで)
DAY2 / new world(見逃し配信、10月5日23時59分まで)

今後二度と生まれないプレミアムな空間となったZepp Shinjuku(TOKYO)。この記事では2日目の模様について追いかけてみたいと思う。


実に4年ぶりとなる有観客のリアルライブ

キズナアイは、アーティスト「KizunaAI」として名義を変えて復活、YouTube・Instagram・TikTokとさまざまなプラットフォームでの活動をこなしてきた。そんな中で今回の「KizunaAI Comeback Concert “Homecoming”」開催がアナウンスされると、国内外のファンから「待ってました!」という大きな反響が沸き起こった。

会場は大都会・新宿のド真ん中にあるZepp Shinjuku(TOKYO)。この日の数日前に関東地方には雨が降り、酷暑であった夏の暑さがグッと引いていた。そんな秋の始まりのような温かさが漂う夕方にライブは始まりを迎えた。

内部に入って驚いたのは、ステージの横幅いっぱいに広がった大型ビジョンだ。この会場で何度かバーチャルシンガーのライブを見させてもらったが、その中でも最も大きなサイズだったように見えた。

18時の定刻を迎えると、客殿がフッと消えてオープニング映像が流れ始める。電車が横を走っていき、人の隙間を縫うように歩いていく映像が早回しで流れていき、新宿周辺の街並みを歩き回っていく。その内にカウントダウンが行われてライブはスタートした。

ステージに登場したKizunaAIは、ピンクの太めなカーゴパンツに、控えめなレインボーカラーがグラデーションとなってキラキラと輝くフリル衣装をあわせた衣装であらわれた。楽曲「おまじない」のミュージックビデオで見せてくれたあの衣装だ。

1曲目は「まざる」を披露した。この曲は活動復帰後2曲目となった楽曲で、穏やかなトーンのボーカルに細やかなビートが絡む1曲だ。エコーのかかったボーカルがフロアに広がっていくと同時に、ビートやベースが会場にズンと重く響く。前日夜にKizunaAIも出演した「ZERO TOKYO」が開催されているように、Zepp Shinjuku(TOKYO)はクラブイベントもよく開催されている会場だ。当然音響システムもクラブミュージックにマッチしており、筆者もそれをよく理解して足を運んだわけだが、あまりの重さと立体的な響きに驚かされてしまった。

2曲目は活動休止前にリリースしていた「mirai」のリアレンジバージョンだ。ブレイクビーツ~ドラムンベース系のリミックスとなっているが、そのサウンドは騒々しさや激しさを主張するのではない。「mirai」はそれまでにリリースした楽曲タイトルを引用した歌詞となっているが、未来へと進んでいくポジティビティをしずかに伝えるような、そういった質感やサウンドとなっているのだ。

会場を差すサーチライトも、色を様々に変えていくようなものではなく、ゆったりと色を変えてみたり、横へとうごいて湾曲した波のよう。KizunaAIもスローな動きで歌い、ラストサビの部分では簡単なダンス&ポーズで観客を魅了してくれた。

MCに入ると「ただいま~!」と大きな声で第一声をきかせ、「はいどうもー!KizunaAIでーす!」とステージ上を小走り。「あのね! こう、ふ~! ってやらない?」と客席左から右へとウェーブさせようと切り出し、最初のMC冒頭からウェーブを起こして観客を盛り上げる。

「次は2曲続けて歌いたいと思います。1曲目は、なーんだ?」と問いかけると、観客から昔のとあるネタが上がり、「あのね~! やるわけ無いでしょ!? こんな服着て!こんなところで」と笑いながらツッこんでみせる。「えー!?」という観客がリアクションすると、「『えーっ!?』じゃない! おかしい!こんなノリ!(笑)」「ちょっと待って、この流れになるの忘れてた……」とすぐに反省し、曲紹介へと移っていった。

おそらく客席エリアの前方にいた観客や配信を見た方は、1曲目・2曲目で見た生のKizunaAIを目にして想像以上にグッと大人びていることに驚いただろう。だが口を開くと、以前とあまり変わらない朗らかな彼女だとも感じられたはずだ。

3曲目と4曲目に「おまじない」「ハンドサイン」と2曲披露するが、この2曲ではハンドマイクではなくイヤーマイクをつかい、よりダンスで観客を魅了する。すこしコミカルな響きとなったテクノポップ「おまじない」、先行してリリースされていた「ハンドサイン」と、違ったテイストの2曲にあわせてダンスしていく。「おまじない」のサビで「る! る! る!」「ら! ら! ら!」とボーカルにあわせて観客が声を合わせ、ダンスをキメていく流れは素晴らしかった。

そうして踊るKizunaAIを見ていると、スーパーモデルのように変化した等身とビジュアルが非常に映えて感じられ、彼女を描画・表現している3Dビジュアルのよさに目が奪われる。

落ち着いたレインボーカラーに染まったフリル付きの上着の光沢・輝き、腰につけた複数のシルバーアクセサリーの細やかな揺れやきらめき、太めのカーゴパンツからいくつか飛び出た紐の揺れ、ロングヘアーに施された編み込み部分の小さな凹凸、茶色のロングヘアーに光が当たるとピンク色に薄っすらと染まるところまで。陰影や輪郭のつけかた、ダンスしている際の衣装や髪の毛の揺れ動きに、ハイクオリティな部分を感じられた。

少し突っ込んだ表現をすれば、最低限のアニメ調・トゥーン調を施しつつ、”人間らしさ””リアリティ重視”に重きをおいているのが伝わってくる。

「いやすごいね。1日目もみんなの完成度がスゴイと思ってたけど、『復帰後初ワンマン』とは思えない完成度だね!? すごーい!」

「わたしがパフォーマンスしているけど、みんなのパフォーマンスを見ているみたいだった!」

このように観客に話すKizunaAI。ひとつ加えておくと、彼女の「観客有りのソロライブ」して見た「Homecoming」は、コロナ禍の2021年6月30日に開催された「Kizuna AI 5th Birthday Live “A.I.Party 2021”」以来4年ぶりとなる(今回ゲスト参加はあるが内容としてはソロライブと言って十二分だ)。

この前後の期間でもライブ出演はあったものの、活動休止があったことはもちろん、配信上でライブを実施していた/大型フェスの出演者の一人であった/観客が声を出せないルールになっていたなどのさまざまな要因があり、自身のファンと直接言葉を交わせるタイミングはかなり限られていた。

そうした中で、KizunAIから観客へ絡み、逆に観客もKizunaAIへと絡むような、お互いがゆるく茶々を入れあえる空気がすぐに形作られる。初日を経ていたとはいえ、こうもファンと小気味よく掛け合って笑いあえるとは。KizunaAIとファンの信頼関係の固さを感じずにはいられないし、KizunaAI本人もファン側もある種の”かたさ”が抜けたのかもしれない。

和やかなムードが深まっていくなかで、「STYLE」「ヒューマンメイド」と立て続けに歌っていく。立体感あるキック音と飛んでいくようなストリングスが耳をひく「STYLE」、ブレイクビーツ~ドラムンベースのグルーヴとアコギの音色が心地よい「ヒューマンメイド」。

フロアを囲うように設置されたLEDビジョンには、キラキラとした七色のムービーが流れ、赤・青・黄をベースにしたパステルカラーの照明がフロアを淡く染めていく。「ヒューマンメイド」のサビ「愛愛愛して」に合わせ、ピンク色のペンライトが振られるフロアに、強い一体感があった。

キメポーズで歓声を一身に受けた後、ここで一端KizunaAIはステージから退場し、お着替えタイムへと移っていく。アンビエントなBGMとともに彼女の戻りを待っていると、真っ赤なドレスを着たKizunaAIがステージ右手から歩いてくるのが見え、観客全員がオオッ!と驚きの声を上げる。この間、会場内は薄暗いままなのだが、それでもハッキリと目でわかるほどに”赤いドレス”の色合いが確認できたのだ。

パッと照明がつくと、波打つようなフリルがいくつも重なり、肩から裾にかけて階層的に編まれた真っ赤なラッフル&ティアードドレスに着たKizunaAIがお目見えした。キービジュアルに描かれていた姿、そのゴージャスなオーラには強いインパクトがある。

流れ始めた楽曲は「ホワイトバランス」。2ステップ~UKガラージ系のグルーヴとソフトなシンセサウンドがフロアを優しく波立たせ、KizunaAIのボーカルも一層優しく響く。そのまま「hologram」を歌い始めるKizunaAI、パッと弾けるように鳴るシンセサウンドとエコーのかかったKizunaAIの歌声が、真っ赤なペンライトの海へと染みていく。

「どうもー! キレイなアイちゃんでーす。実は今歌った曲は『hologram』という曲で、今日初めて披露させてもらいました!」

「そしてね、キレイなアイちゃんということでお着替えしてきたんですけど、わたしスタッフさんに一個お願いしたいことがあります!」

過去の楽曲を初披露したことを伝え、自身のドレス姿にあわせてスタッフにお願いをする彼女。別段口調や言葉遣いなどは変わること無く、相変わらず”KizunaAI”らしい元気良さが伝わってくる。撮影パートを設けるのをすっかり忘れてしまい、あわせてドレス姿で撮影をしたいとステージ横にいるスタッフへ向いてお願いすると、無事オッケーをもらって撮影タイムへ。

彼女が着ている赤いドレスの衣装は、今回のライブに合わせて実物として制作・展示、しかも100万円というお値段で販売までされていたのだが、なんと無事ご成約されたことを報告した。くわえて実際にドレスを購入されたファンがこの日現地へと足を運んでおり、「着るの?」という問い掛けに「飾ります!」と大きな声で返し、大きな歓声が沸き起こったのだった。


衣装も歌もダンスも息ぴったりなゲストパート

KizunaAIとファンの絆の強さ・確かさが目に見えたモーメントを終えると、いよいよゲストパートへ。登場する前からペンライトを青色へと変える観客たちにKizunaAIは驚きつつ、星街すいせいを呼び込んだ。

登場ムービーで歓声がうまれると、シンセサウンドによるイントロから「もうどうなってもいいや」を歌い始める。この日彼女がチョイスした衣装は先日の「日本武道館 Live “SuperNova”」でお披露目した初期風衣装。片側マントの裏地やスカートなどに彩られた落ち着いたレインボーカラーと煌きは、KizunaAIの衣装と同じだ。

続いては星街にとっての大ブレイク曲「ビビデバ」を2人で歌唱。おなじみとなったビビデバダンスを2人揃って披露し、ダンス&ボーカルで会場を盛り上げる。赤いドレスを着たKizunaAIにあわせた赤色、モチーフカラーが青である星街にあわせた青色、2色のペンライトがフロアで揺れ続け、ステージ照明もそれを意識しての赤青基調で照らしていく。

最後となる3曲目には「future base」を披露。アコギの音色とバンドアンサンブルへと変化したリミックスとなっており、原曲のエレクトロな感触からまったくの別曲レベルで変化。単音リフとともにKizunaAIと星街2人のボーカルが共鳴していった。

星街が「未来見たい 君のそばで 次代 背負う 世代」と歌えば、KizunaAIは「未来 未開 見せてあげる 次代 担う君に」と歌っていく歌詞の振り分けに、気付いた観客はどれほどいただろう。

2017年のデビュー以来、長期間にわたってVTuberシーンの顔役であったKizunaAIと、彼女のスリープ期間中にシーンの新たな顔役として現れた星街すいせい。いわずもがなこの2人は”シーンの顔役”という大役(ロール)を担っており、その共演はすなわち「スターの邂逅」と表現していい。そんな期待感に応えるようなコラボ歌唱だったといえよう。

さて、こうして大仰に書きつらねてみたものの、実際の現場で見られた2人の絡みは、そういった大きなテーゼや期待感を受け取りつつ、実に軽やかかつ濃厚なものだった。上述した文章で2人のパフォーマンスについて書かせてもらったが、曲間中で言葉をかわす2人のトークもまた見どころたくさん。あえてここでは、曲のパフォーマンスとMC内容については別々に抜き出して書かせてもらう。

大盛りあがりとなった「もうどうなってもいいや」を歌い終えた星街。そんな彼女に向かって「すいちゃーーーん!!」と歩み寄るKizunaAI、対して星街は若干ガチガチになりながら返答する。ホロライブの先輩である「ときのそら」よりも”先輩”であり”親分”とも親しまれた存在が、復活ライブの場でニコニコしながら話しかけてくるのだ、否が応でも緊張するだろう。

実はKizunaAIと星街すいせいは、今回のライブが初めての邂逅だったようで、「本当にこれまで一度もも関わりがなかった」と2人が受け答えすると、観客からは驚きの声が上がる。

KizunaAIが「いつものあれやろう!?」と星街に声を掛けると、

「「彗星のごとく現れたスターの原石! バーチャルアイドルの星街すいせいでーす! すいちゃんは今日もー?(かわいい!!)アイちゃんは今日もー!?(かわいい!!)」

普段の口上にKizunaAIも加わったスペシャルな口上が生まれたのだった。


2曲目「ビビデバ」を歌い終えると、にこやかなKizunaAIはそのまま星街をホメごろしにし、星街はまるで某ゆるキャラのような愛らしい返事で応答。すると「なんなの?これ?」とKizunaAIがツッコみ、会場中から笑いが生まれた。

続けて、2人の衣装についてアピール。KizunaAIのゴージャスな赤いドレスに目を奪われるなかで、星街は「(腰付近にあるフレア部分を指しながら)この部分が新しい衣装と一緒かな?とおもって、初期風衣装を選びました」と話し、観客から拍手が送られるシーンもあった。

そうしているうちに、お互いに相対しながらトークしていくタームへ。「いつからは知っていたのか?」などわかりやすい話題に触れながら、どんどんと会話は膨らんでいく。本当ならYouTubeの配信内で行われるはずの会話が、まさに目の前で行われたのだ。

いくつかそのモーメントをまとめてみよう。

・星街はKizunaAIと喋ってみた印象として「女神」だと語り、リハーサルなどでは常に気を遣ってくれて驚くほど優しいと評した。

・お互いゲームは苦手であることは分かっており、今後ゲーム配信でコラボしようと約束(星街のパズルゲーム巧者ぶりもしっかり分かっていた)。

・星街はKizunaAIが2018年に行なっていた「#キズナアイ新曲リリースフェス」において、「melty world」の歌ってみた動画を投稿。「当時の自分が共演すると知ったら、泣いて喜ぶだろう」と振り返り、大きな拍手に包まれた。

・2025年2月に開催された星街の武道館公演に、KizunaAIへ出演オファーをしていたが、活動休止中(スリープ中)だったこともあり出演が見送られていた。

初出しであろう情報が次々に語られ、この場にいたKizunaAIファンはもちろん、星街すいせいのファンですら驚いたはずだ。

こうした対話に加え、上述した3曲のパフォーマンスもあり、「2人の交わっているこの瞬間」がいかにメモリアルか、その重みに感慨深くなったのはいうまでもない。

楽曲を披露し終え、ステージから退場するはずの星街なのだが、なかなか退場する気配がない。見送るはずのKizunaAIも、ステージからこのまますんなりと見送ってはいけないと言わんばかりに、別れの言葉や退場にもたっぷりと時間をかける。大股でゆったりと退場しようとする星街、ロープでステージへと戻そうと仕草をするKizunaAIという一幕もあったりと、お互いに惜しむ姿が見られたのだった。


アイにあふれたアンコールに涙

星街すいせいとの濃厚すぎる初対面を終え、客席側へと向くと、「では、あたしの時間になります。」と一言言い切り、ソロパートへと戻る。楽曲はDaokoとのコラボ曲「Go Round」。2人らしい愛らしさあるテクノポップにあわせ、赤いペンライトが小気味よく揺れ、心地よいムードが生まれていく。

続けて「FANTASY」のイントロが流れると、観客たちは手拍子でこたえる。「これが最後の曲です!」と告げると残念な声があがるが、不思議とネガティブな空気は流れない。薄いオレンジと白色の照明が会場獣を照らし、ダンス・グルーヴが流れていく。そんな中でKizunaAIが取るボーカルは、どこかしっとりとした質感を持っており、穏やかな温かさを発していた。

アンコールの声に応えて登場した彼女は、自身のデビュー曲「Hello,Morning」のリミックスに、復帰シングルとなった「かもね」の2曲を披露した。「Hello,Morning」は当時興隆していたEDMライクなサウンドであったが、鍵盤とエレキの単音リフが印象的なリミックスが施され、観客の心やバイブスを煽って高めるものとしてでなく、どこか叙情的な表現として跡を残すようであった。

それは最終曲「かもね」でも同様。「スリープした後に、いつ戻ってくるかを実は決めていなかった。3年後かもしれないし5年後かもしれない。そんななかこうして戻ってこられて全員に感謝したい」と直前のMCで語っており、その言葉には感謝の心がこもっていた。

目覚めて 散らばった光が

もう一度 君のものになった

話さないで ただ待っていたんだ

心の底からなりたいもの

思い出すよ

「かもね」の出だしが始まる。この曲は、KizunaAIが復活したことによって、ファンにとって楽しみが増えた、愛情深く応援していた存在が復活した(≒彼女とふたたび出会える)ことで、ある意味での救いになると読み解ける。

だが、この日この夜の最後のシーンにおいては、かつてのファンたちがもう一度集まったことで自身への愛情深さを、KizunaAI自身も再確認できたという意味にも繋がっていく。「ハローアゲイン」という言葉はデビュー曲からの意趣返し、ふたたび出会えたからこその挨拶の交換が、目に見えないままに行なわれたのだった。

そうしてこの日のライブはクロージングを迎えた。いってしまえば、日々の日常を忘れ去ってしまうような狂乱の熱ではなく、触れ合って捉えられる平温の微熱を感じ合うような一夜であった。


KizunaAIの復活はとてもめでたいことだ。初日・2日目にゲストを配し、特にこの2日目はシーンの顔役である2人の初邂逅ということもあり、俄然注目は集まったし、ヒートアップして見てしまいそうな向きもあっただろう。

だが2人の絡みもふくめて、この日のライブ全体通して醸し出されていたのは、ホームパーティのような慎ましさと和やかさ、ハートフルなムードだった。ちょっとだけ背伸びするようにライブ演出は施されているが、それは「スターの凱旋!」というような過剰な押し出しではなく、等身大のKizunaAIとしてオーラが基準となって仕上がったものだ。

価値基準をある程度ハッキリと示してくれるAIをバックグラウンドに持っていた「キズナアイ」から、曖昧さや戸惑いを隠すことなく声に/言葉にできるヒューマンな「KizunaAI」へ。だからこそ生み出せる不確かで、繊細な温度感。久々の現地ライブを体験できたファンにとっても、彼女との絆を再確認もできたライブだったといえよう。


●セットリスト
M1. まざる
M2. mirai (Homecoming ver.)
M3. おまじない
M4. ハンドサイン
M5. STYLE
M6. ヒューマンメイド
M7. ホワイトバランス
M8. hologram MC
M9. もうどうなってもいいや(星街すいせい)
M10. ビビデバ(星街すいせい / KizunaAI)
M11. future base (Homecoming ver.)(星街すいせい / KizunaAI)
M12. Go Round feat.Daoko
M13. FANTASY

*アンコール
EN1 – Hello,Morning (Homecoming ver.)
EN2 – かもね


(TEXT by 草野虹


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●関連リンク
KizunaAI Comeback Concert “Homecoming”公式サイト
DAY1 / hello again(見逃し配信、10月4日23時59分まで)
DAY2 / new world(見逃し配信、10月5日23時59分まで)
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