Fra&今酒ハクノ、新ブランド「クルイビ」設立インタビュー(前編) ハレの日でもケの日でもない、「クルイの日」をつくろう

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個人VTuberとして活動する今酒(いまさか)ハクノと元BOOGEY VOXXのFraが、イベントブランド「クルイビ」を立ち上げる。2025年11月8日にはLOFT9 Shibuyaでリアルライブ「クルイビ〜PRE-RELEASE PARTY〜」を実施し、その後、本格的に全国展開していく予定となっている(チケットページ)。

2025年の今、今酒ハクノとFraというコンビが、「クルイビ」というイベントブランドを立ち上げたというニュースは、ファンに喜びと驚きをもたらした。そんな2人にPANORAが直撃。なぜ新たな動きを始めたのか、その真相をインタビューした。

まず前編では2人のプロフィールを追いかけながら、ヒップホップで繋がった2人の想いと「クルイビ〜PRE-RELEASE PARTY〜」について語っていただいた。続く後編では、イベント「クルイビ」を作り上げるまでの葛藤、その後の展開などを含めたディープな対話をまとめた。ライブの話だけでなく、両者の嗜好性や抱えた苦悩を知るロングインタビューとなるので、ぜひ前編・後編をあわせて読んでいただきたい。

Discordサーバーでゲームを遊び深めた縁

──今回のインタビューは「クルイビ」というイベントブランドがメインですが、最初にハクノさんとFraさんの自己紹介をちょっと話していただきたいです。

Fra Fraと申します。今は肩書きとしてはラッパー、作詞家、バーチャルコンテンツディレクターを名乗っています。もともとは2020年3月にバーチャルアンデッドユニット「BOOGEY VOXX」の一員としてデビューして、現在はソロで活動しています。去年から作詞の仕事をいただき、自分の作品を再びつくりたくなったので、自分の個人チャンネルの方でミュージックビデオを上げたりしています。


──たまにライブにも出られたりしてますよね?

Fra してます。俺は「超美麗3D」という言い方をしてるんですけど、ありていに言うと、バーチャルなビジュアルではない存在がライブをしているという形ですね。


──続いてハクノさんお願いします。

ハクノ 今酒ハクノです。酒クズの方をやらせていただいております。2018年5月からデビューさせていただいて、今年で8年目になります。ドカ食い、食レポ、そしてお酒飲みを中心にして活動しています。お酒に関するチャレンジ動画をアップしつつ、ゲーム実況や楽曲発表をさせていただいたりしています。


──これはお聞きしてよろしいか難しいところですが、今も福岡在住なのでしょうか?

ハクノ そうです、生まれも育ちも福岡ですね。


──お答えいただきありがとうございます。ハクノさんとFraさんというと、麻雀をよく打っていた2人というイメージが自分にはあります。

ハクノ 確かにそうかも。

Fra  そうね。


──VTuberの青森りんこさん含めた「ふらさかもり」として麻雀を打ったり、Fraさんは、天開司さんの「神域リーグ」に出たり、ハクノさんも歌衣メイカさんの「雷漢戦」に出場されたりしています。お2人はどういったキッカケで知り合ったんでしょう?

Fra 俺とハクノに共通の友人がいて、彼が紹介してくれた中の1人にハクノがいたんです。

ハクノ そうですね。その共通の友人から「今度デビューをすることになった人たちがいるんだけど、彼らはもう絶対売れると思ってるから、ぜひ話してみてほしい」と言われて、あなたが仰るなら……ということで会ったのがFraさんだったんですよ。

Fra そうだ。「絶対に売れる」って言って連れてきたって言われた(笑)


──ということは、ハクノさんがデビューして2年ほど経過した頃に、デビュー前後のFraさんと出会ったんですね。そこからまた時が経って仲が深まると。

Fra そうですね。さっき言ってた共通の友人が、みんなで一緒にゲームできるようにDiscordのサーバーを作ったんです。最初はたしか「Project Winter」をプレイする目的で、結果的にはそこに居着いたひとがゲームに誘いあえるような交流の場になったんです。そのサーバーに、俺もハクノも両方いたんですよ。

ハクノ それに青森りんこもいたね。サーバーのなかでウマが合ったことで、私とFraとりんこの3人で配信で麻雀をやるようになったんです。

Fra そうね。まさに”ウマが合った”みたいな。


──なるほど。3人で麻雀を配信でやり始めるのも、2022年あたりですもんね。

Fra 俺、りんこと明確に仲良くなった瞬間、めちゃくちゃ覚えてて。「Vampire Survivors」なんだよね。

ハクノ あったね!(笑)

Fra あのゲームが出て数日くらい経ったときに、サーバーにいるアンテナの高いインディーゲームのディガーが「このゲームは絶対流行ります」って言ってたんですよ。それで画面を見たら「スーパーファミコンかよ!」ってサーバーのみんなで言ってたんですけど、ちょっとしたらオレとハクノとりんこが見事にハマって、狂ったようにやってたんです。「でもこれ、配信で流行らないだろうね」って言ってたら、いろんなVTuberの人たちが配信でやって大盛りあがりになって。

ハクノ もうそのタイミングだと、私たちは初プレイどころか何度もクリアしてるから、配信でやるのもタイミングを逃したってなったよね。

Fra そう。そのときに一番プレイしてたのが俺とりんこ。2人とも画面を共有しながらずっとやってて、でもまったく会話しないんです。

ハクノ あのサーバー自体で通話をつなぐというと、そういうスタイルだったよね。


──作業通話みたいですね。

Fra そうそう。「同じ空間を感じながら、別のテレビ使ってゲームやって時を過ごす」っていうのが俺らのスタイルで。そこにハクノも加わって、結果的に3人で同じようにやってたんです。VCに勝手に入って、何も言わないでプレイして、何にも言わないで落ちるみたいな。そういうのを毎日毎日やってて、俺的には最初に仲良くなったのはそこだった気がするな。


──ハクノさんからみて、ピンッときた瞬間はありました?

ハクノ そのサーバーでは、みんな色々なゲームをプレイしてて、やりたいゲームを画面共有しながら通話している環境だったんです。「Vampire Survivors」以外だと、「スプラトゥーン2」「Backpack Battles」「モンスターハンター」もやってて、みんなでガヤガヤ遊んでたんですよね。

Fra そのサーバーのなかには別のVCが設定されていて、2人しか入れない「独居房」というVCがあったんです。


──何か用途が全然違う感じがしますね。

Fra 実際その通りで、自身の仕事や配信での相談事ができるようにと作られたVCで、ゲームしている最中にそういう話をするのはちょっとお邪魔になってしまうよね……という配慮からできたVCだったんです。実際そこを使って、ハクノと俺はいろいろ話してたんですよね。

ハクノ そうですね。同じ空間で居心地いい者同士だったのが、ちゃんと動画や配信について話せる相手だと分かった。そういう一歩深い段階の話をできる相手が当時欲しかったですからね。そこで理解や信頼が深まった部分はあるかも。

今酒ハクノ


ヒップホップでリンクする2人 野良犬の飢餓感

──Fraさんとハクノさんは、ヒップホップが好きという共通点があります。お2人が「一番食らった」楽曲を1曲でお答えください。

ハクノ 私はそもそも、一生ヒップホップとか聴かない可能性がぜんぜんあったんですよ。オタクカルチャーの端くれで、毎日Twitter(現:X)とニコニコ動画みてるみたいな、そういうド陰キャだったので、そういうオタク層から見ると、ヒップホップってなんか「悪そうなやつは だいたい友達」そうじゃないですか?


──そういう認識があったわけですね(笑)

ハクノ そういう偏見が強かったので、一生縁がない音楽だろうなって思ってたんです。ただテレビでバラエティー番組の「フリースタイルダンジョン」が放送されたりして、フリースタイルバトルブームが来た時期があったじゃないですか?


──はい、ありましたね。

ハクノ あのタイミングで周りのオタクにもめっちゃラップバトルが流行りだしたのを知って、私も「そんなに皆が話題にするなら」と思って見始めたんです。そしたら、思ったより知的な営みが行なわれていることに感激して。韻を踏みながら言いたいことまで伝える、それにアンサーを返す、っていう複雑なことを即興でやり取りするなんて、と。

そんな中、当時出演されていた漢 a.k.a. GAMIさんが番組内で「my money long」という楽曲を使っていて、「これはただの音楽 だが実は音楽ではない」ていうラインがある曲なんですけど、その曲が入っているCDを買おうと思ってアルバム「9SARI」を買ったんです。

そのアルバムの1曲目に入っている「oh my way」。この曲が確実にその後の人生を変えましたね。

Fra 俺、それ初めて聞いたかも。

ハクノ 初めて話すかもね。いわばミーハーな気持ちで、ただ出演者の音源を聴こうと思って買ったのに、あの曲を聞いたときにマジで食らったんですよ。

オタクの言葉で解釈するならば、ヒップホップ音楽というのはいわば「生きたキャラソン」「命があるキャラソン」なんだなって思ったんです。まさに今を生きている人がその瞬間に発している「生のキャラソン」だった。

そう感じた瞬間、これまで単に流行りモノとしか見ていなかったヒップホップが、「単に韻踏んでカッコつける音楽じゃなくて、生き方、カルチャーなんだな」ってバチっと自分の中でハマったんです。その流れで、ソロのファーストアルバム「導〜みちしるべ〜」も聞きましたね。


──ドンズバでハマった感じですね。

ハクノ 私は人生のある程度の時間で、演劇をやらせてもらってました。演劇はあらかじめ脚本があり、一言一言をどのように喋るかを何日もかけて詰めていって、本番のタイミングで最高の1回を出すという表現形態じゃないですか?なので、言ってしまえば瞬間的なパフォーマンスではないと思うんです。

でもMCバトルって、じっくり詰める時間がなくて、とにかく瞬間で出さなきゃいけない。だから「MCバトルは瞬発力ある人しかできないから、私に向いた表現形態ではない、自分事ではない」と遠くに感じていたんですけど、漢さんを通じてヒップホップの音源を聞いていくと「バトルはできないかもしれねぇが、ヒップホップ自体は私にもできるんじゃないか?」と思えたんです。

結果的には今の活動でヒップホップな曲をリリースしていますし、「oh my way」は確実に人生を変えた1曲、食らった1曲にあげられます。


──ありがとうございます。Fraさんはどうでしょう?

Fra 俺は10代からヒップホップをずっと聞いてて、それこそミュージックステーションでRIP SLYMEを聴いたときから、ずっと聞いてます。ただ人生で初めて食らった1曲、人生において1番大事だと思っている曲というと、刃頭 feat.ILL-BOSSTINOの「野良犬」という曲ですね。


──ドープな選曲ですね。

Fra これはオタク的に言うと、BLEACHのキャラクター紹介のページで阿散井恋次のキャラクターソングとして書かれてた曲でもあります。

ハクノ あ、そうなんだ。

Fra 北海道のTHA BLUE HERBというクルーのBOSS THE MCという人が、若い頃に刃頭というトラックメイカーにフューチャリングしてリリースされた曲なんですけど、歌詞が全行すごいんです。常に今の俺に向かって語りかけてくれてるんですよね、例えば、俺が一番好きなフレーズで言うと

「コロセウム 興奮した客が怒鳴る 勝ちさえすればあんたはもっと儲かる」

っていうフレーズとか。

要するに野良犬っていうどこにも属してない1匹の犬が、人間社会の様々なストラグルを横目に眺めながら、自分の人生を生きて、誰にも別に媚びたりする必要はなく、腹は減ってるけど別に俺は誇り高く生きてるからそれでいいんだ!というメンタリティーをずっとラップしているんです。

俺自身も「人生を変えるぞ」「自覚的に人生を変えるんだ」と思ったとき、この曲を聞いて奮い立たせてるんですよ。BOOGEY VOXXを始めようとした頃に企画書を書いてたときも、BOOGEY VOXXで初投稿したときも、天開くんの「神域リーグ」に出場していた頃に気持ち高めようと思ったときも、全部「野良犬」を聞いてました。そういえば「クルイビ」を始めることを情報解禁したときも、「野良犬」を流しながら作業してました。

ハクノ もう人生の一曲だね。

Fra そうだね。今の俺にすごく刺さってる歌詞は

俺よりも小さいと思っていた竜巻きが
一息に落ち葉を持ち上げるのを見た
俺よりもずっと大きいはずの自信が
もう立てないと嘆くのを何回も聞いた

っていうフレーズですね。ずっと反芻しながら最近は仕事してます。


──歌詞を反芻しながら日々を生きることってめちゃくちゃありますよね。

Fra なんというか、後悔とか取り戻せないものに対する執着がすごい強いタイプなんですよ、自分。昔やりたかったけどできなかったこと、手に入らなかった悔しさ、そういうものが俺のエンジンを回すガソリンになってて。傍から見た時にすげえ稼いでたとしても、一度も満足したことがない。一般的に幸せそうに見えるだろうし、実際幸せだなーと心のなかで思っていても、飢餓感を忘れたことは一度もないんですよね。


──なるほど。

Fra 常に「悔しいな」と思って寝てるんです。そこが多分、ハクノと似通ってるのかも。

ハクノ 話すたびに、なんかマインドが近いとこあるなってやっぱり思ったね。私いつも偉そうにしてるから、見てる人の想像と違うかもしれないけど、結構クヨクヨするタイプで、手から取りこぼしたようなものとかを、ずっと悔やむようなタイプなんです。それこそ「進学する時、東京に行ったらよかったのにな〜」とかね。

Fra わかるわかる(笑)

ハクノ 幼少期とか学生時代とか、今更取り返しがつかないことを、ずっとうじうじ後悔してるようなタイプで。でもやっぱり、ヒップホップしているラッパーを見ると、堂々としてないといけないなと感じるんですよね。ラッパーとして、というかショーマンとしてかもしれないけど、お客さんブチ上げなきゃならないステージの上では、困ってることなんて何も一つもなくて、「今とてもうまくいってる」というツラをしなくちゃいけない。

だから私もネットの公開アカウントは全部ステージなんだから、「とてもうまくいっている」というツラをすることに努めようと学んだのよ。

Fra 曲の話から俺ら2人の話になっちゃったんですけど、人間性が相似しているんですよ。俺とハクノは。

ハクノ そうね。

Fra 戻りたくない夜があるし、戻りたくない夜へと戻る恐怖心をなだめるために、自分が決めた成功を積み重ねていく、みたいな。実際のところ俺ら2人は、とあるシーンで一定の成功を積み重ねた側ではあるんですけど、成功した結果、「この穴は成功じゃ埋まらない」ということにも気付いたんですよ。

ハクノ そうだね。昇ったということは、次は落ちるんじゃないか?ってことをすごい考えちゃうし、きっとどこに行ってもこの感じから逃れられないんだって活動の中で気付かされた。

Fra


本気で楽しいことやって
 みんなの心の灯火をつけて大きくなっていく」

──イベント「クルイビ」をお聞きしたのですが、現在どれくらいの方がスタッフとして関わっているんでしょうか?

Fra 基本的に俺とハクノの2人だけが在籍していて、もう一人サポートの人がいるので、実質3人が関わっています。


──直近で開催される11月8日のLOFT9 Shibuyaでのプレパーティーなんですけど、お二人以外にどんな方が出演されますか?

ハクノ ゲストで出演してくれるNICOくんは、「GASSAI」という楽曲で一緒にラップしていただいた縁のある方です。私はNICOくんとめっちゃ絡みがあるってわけではないんですけど、若くてイケてる子というのは知っているし、今回プレイベントとはいえ記念すべき1回目じゃないですか? その意味もあって、Fraが「ぜひ呼ぼうや!」ということでゲストとして出演してくれます。私自身、彼と会えるのを楽しみにしてます。

──他にもDJさんがいらっしゃいますよね。

ハクノ そうですね。まずヌコメソーセキは、ラップとDJが上手い猫です。イベントメンバーの多くはゲームをよく一緒にする面々なんですけど、ソーセキはよく周りを見て気づく人ですね。私は組織の中にいるのが非常に苦手なタイプで、人間関係の機微、たとえば今頭下げなきゃいけん感じか、とか、この人に挨拶しなきゃいけないんだ、とかに疎い時があるんですけど、そういう時、彼は「ここはしっかりしたほうが良いっす」とか、私にちょっと教えてくれたりします。あと、みんなでゲームをした時には1番味方にキレるタイプでもあります(笑)

──他の方はいかがでしょう?

ハクノ デリンマンさんは、私の友人の中でほぼ唯一、ドカ食いの量が私を上回ります。

Fra そうかも。

ハクノ 人となりの話をすると、人間関係に関しては独特な部分、独自の間合いを持っているタイプだと私は感じてますね。その間合いを理解して乗っかれたら、すごく正直な人柄だし、安心して付き合える方だなと思っています。あと、私の映像や声とかを切り貼りして遊んで良い素材だと思っている側のうちの1人だな(笑)


──そんなことされているんですか?(笑)

ハクノ そうです。でも楽しいやりとりですよ。あとは御酒よいというやつがDJで出てくれますが、彼女は私のミーム的後輩にあたる人物です。

言ってしまうと、彼女は私と同じ酒クズVTuberで、今酒ハクノに憧れてVTuberを始めた!と言ってくれている子です。私に憧れている、と言ってくれたVTuberは有難いことに何人かいるんですが、私は人間性に問題があるのでそのまま友人になれることは稀で、彼女はそういう意味では特徴的かな。本当にありがたいなって思っているんだけど、酒飲んで記憶飛ばす頻度が私を上回るくらいで(笑)

Fra マジでヤバイ。びっくりするくらいの頻度で記憶トバしてる。

ハクノ DiscordのVCに繋いで通話しているときにすごい酔っ払って、「パラッパラッパー」の曲をずっと流し続けて泣いてるんですよ。で、起きてから本人に聞いたらひとつも覚えていないんですよ。憧れてもらってる私としては「とんでもない化け物生み出してしまったな」とちょっと反省してて、責任の一端あるなって思ってます(笑)

Fra あとは氷雨悠冰(ひさめ ゆうひ)かな。

ハクノ 悠冰くんは、DJ・ラッパーなんですけど、ゲームやってる時にめちゃくちゃふざけますね。人狼系のゲームとかをやっていてもふざけるので、悠冰くんはほぼ村側、白だろうと思うけど「ふざけてるから殺そう」って言って殺したことがあります。

Fra ああー! あったね! 「おまえ黙れ」っていって(笑)

ハクノ 「さすがにこいつ殺さね?」ってね(笑)


──村人なのに殺そうってなるのは相当ヤバイですよ。

ハクノ ただもう一つ、我々の中だと彼はすごい読書家じゃない?

Fra 悠冰がいちばん本を読むね。

ハクノ すごく豊かな感性を持ってるんですけど、恥ずかしくてふざけてるんだろうなって思います。

──ライブではハクノさんとFraさん、eilie(アイリ)さんが出られますね。

ハクノ eilieちゃんは、現代のV業界のフィメールラッパーでも一番ブチギレているんじゃないかな?

Fra たぶんブチギレてる。

ハクノ  一番怒ってるよね。


──なにかエピソードが?

Fra VCを繋いでて作業通話してる時に、彼女が作詞に困ってたんです。「どうしたん?」って聞いたら、「いや、なんか……ちょっと怒ることがなくて、ちょっとやばいかもしんないです」とか言い出して。

ハクノ そうそう。怒りが創作の原動力になっているような子で、怒ってないことに困ってたりする。

Fra うちのゲームサーバーは俺が結構年上の方なので、全員にふざけた態度を取るんです。ただゲームによっては、eilieにふざけた態度を取らないようにしてますもん、怖いから。ハクノとゲームの趣味が一番近いのはeilieじゃない?

ハクノ そう。ローグライト仲間はFraだけど、作業ゲーで8時間溶かすとか、レート制のゲームをイラつきながら遊ぶとかの仲間はeilieちゃん。

──今回集まった面々は、ゲームサーバー繋がりの友達なんですね?

Fra ライブとDJの面々がそうですね。


──なるほど。ふだんのゲーム仲間同士でつくるイベントになるわけですね。ひとつ確認なんですが、みなさんどういう風に出演をされるんでしょう? 3Dビジュアル、Live2D、そのまま出てこられる方と様々かと思うんですが。

Fra 基本的には、普段の活動主体とおなじような出演になりますね。

ハクノ 私は3Dビジュアルで、Fraは「超美麗3D」で出演かな?

Fra そのへんは、その演者自身がベストだと思う出演形態でてくれると思います。昨年開催したハクノのソロイベントと同じく出演してくれる面々がいますし、その時に来てくれたファンの方なら違和感なく楽しめるだろうとは思います。


──割と長く追ってくれているファンが来られることを想定してますしね。それこそターゲットとして。

Fra VTuberの音楽シーンの話で言うと、いまめちゃくちゃ二極化が進んでいる時代だと思っていて。インターネット上では、いわゆるアバター(インターネット上の姿)を持っているけど、リアルイベントのライブにおいては生身の姿で出るっていうスタイルもある。うちは両方あるよってことなんですけど、その辺のシーンにおけるルールというのは、もうみんな個々人で感じて欲しい。回覧板を読んできて欲しい、みたいな(笑)


──「回覧板読んでる? 読んでないのかよ」みたいな。

Fra もうVTuberも9年経つじゃないですか、生まれてから。その中でいろんなスタイル、いろんなやり方が生まれてきてる時代だから、特に強調して何かを書く気はないんです。


──心の器量を深くもって見てくれ、楽しんでくれってことですね。

ハクノ 我々は思う通りに楽しいことをやるので、形はどうあれ興味持ってくれるファンは増えていくと思ってます。

Fra 俺に想いを寄せる女性が「クルイビ」に来てくれるかもしれない。

ハクノ ………は?


──はい(笑)。ということで、今後はどのようなアクションを想定してますか?

Fra 11月8日のプレパーティー以外にも、水面下で結構いろんなことを仕込んでいて、すでに地方、東京以外の開催に向けて動いています。ハクノが人気者でファンがいること、俺らがやりたいと想定している規模感を考えて、全国の会場とにらめっこして抑えようと動いてます。なので、今この瞬間は東京以外の方に寂しい思いをさせちゃってると思うんですけど、地方でも絶対にやるのでもう少し待っててほしいです。

その他の情報解禁は、「クルイビ」を冠するイベントが終わるごとに解禁していきたいと思ってます。もちろんロードマップは組んでいるので、その都度順々に情報解禁をしていこうかなと。あと、自分たちと同世代のひとらを相手にするという自覚があるので、「クルイビ vol.2は来週開催します!」みたいなことはしないです(笑)


──ちゃんとお休みを挟んで開催していくよと。数ヵ月単位とかですよね。

Fra そうですね。

ハクノ 「クルイビ」というイベント名は、ハレの日、つまり格式ある儀礼でもなく、ケの日、つまり退屈な日常でもない。ありのままに来れば盛り上がれる「クルイの日」を作ろうっていう話から生まれたんです。

信頼できる友人たちと本気で飲んで、本気で楽しいことやって、それがみんなの心の灯火をつけていって、より大きくなっていくという形にしたいんです。

日々のクリエイティブ、我々からすれば普段の仕事という意味ですけど、これはしっかり続けながら、特別なことを起こしたい。今まで今酒ハクノを追っかけてくれた人からすると驚くくらいの速度と規模感で、なにかが起こっていくということは知っていて欲しいかな。

Fra ハクノが言うところの特別な日を、みんなのなるべく近いところで巻き起こしたいと考えてます。皆さんの街へ会いに行こう。そういう機会をずっと探してます。

なので逆に言うと、地方での制作に強い興味を持っていますし、「クルイビ」のような大人向けなイベントじゃないとしても、ハクノやFraのことが好きだから2人を呼びたい!という理由でも、気軽に呼んでほしいと思ってます。


──音楽イベント以外の取り組みも、もしかしたらできるのかなと。

Fra 例えば地方の飯屋とか飲み屋とのコラボだったりとか、商品の広告とかね。

ハクノ マジでやりたいよね。


──それこそお酒関連だったらもってこいですよね。

Fra なので、そういった大人の方々からの連絡をお待ちしてます。

「クルイビ」連絡先: [email protected]

──「クルイビ」としての動きが明確に見えてきましたが、ハクノさんとFraさん、それぞれの活動は今後どんな感じになりますか。

ハクノ 普段のことは普段のことでやっていくに尽きますね。「クルイビ」の日は本気で狂いますけれども、日々の仕事は真面目にやっていきます。今までの酒飲みやドカ食い、レビューなどは続けていきますし、やめることはないです。私はいきなりアーティストに転向します!と言ってるわけじゃないんでね。

その上で”無理しない”というのは、大事にしないといけないかなと。あ、”無理しない”ってのは、マジで全部の意味で言っていて……健康を損ねないのもそうですけど、たとえば本当に無理な量の料理を作って捨てるとか、絶対に不可能な量のニンニクを盛った料理を作ってドカ捨てするとか、あまりにも意味わかんないコラボ生配信に出ないとか、謎の化粧品のPRを受けない。そういう意味合いの”無理しない”です(笑)

自分が大切にできる規模以上のことを無理にやろうとせずに、自分の面白いと思えることを、真面目にやっていくって言ったらいいのかな。「これはハクノが心からやりたくてやっている活動だ」と安心してご覧いただけるコンテンツを出していきますね。


──Fraさんはいかがでしょう?

Fra 配信はね、いまはちょっとライフステージというか、人生のテンポ的にちょっときつい状況になってて、週間予定表をつくってみんなに告知するなんてことはできないね(笑)。


──逆に今回のようなイベントプランナー的な動きが多い気がします。

Fra といっても俺がタレントであるっていう自認はもちろん捨ててなくて、だけど配信ベースの発信や活動というのはあんまりできない感じです。

こうしてイベントを作っていったり、イベントブランドを運営していくなかで、やっぱ自分が出る側であるという自負は持っています。逆に、Fraとして制作している音楽面はテンポを崩さずにちゃんと発信できるようにやっていこうかなと思ってます。

実は5曲入りのEPを今作ってて、それが10月末に出る予定になっています。「クルイビ」を発足して今後やっていくので、音楽制作のギアはもっと上げていきたいと考えてます。


──今回のパーティでももちろん披露しますもんね。

Fra そうですね。当然歌う予定なので、これを読んでいるみんなは、覚えて来てほしいなって思います。


後編へ続く

(TEXT by 草野虹

 
 
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