
ホロライブ内のユニット・ReGLOSS(リグロス)が、2025年12月16日、1stライブ「Flashpoint」を有明アリーナで開催した。
2023年9月のデビューから約2年2カ月。1stアルバム「ReGLOSS」、2ndアルバム「Snapshot」という2枚の盤を引っ提げての開催となった本公演は、初の単独ライブとは思えぬほどの熱量とスピード感、そしてメンバー4人の気迫が凝縮された内容となった。
今回は、彼女たちの新たな一歩となった本ライブをレビューしていく。
熱狂の幕開け 新衣装で見せたストリートな一面
冬の寒さが身に染みる12月の有明アリーナに、約1万5000人の観客が集結した。ホロライブ関連の楽曲が流れる会場BGMに耳を傾けながら、開演を待つ客席は徐々に熱を帯びていく。
BGMの音量が一段と大きくなると、観客のペンライトが激しく振られ、レスポンスの声も一段と高まる。ほぼ定刻通りに場内が暗転。生バンドによる力強い演奏とメンバー紹介のムービーが流れ、ボルテージは一気に最高潮を迎えると、なんと客席近くのスクリーンにメンバー4人が登場した。
キレのあるダンスを披露し、そのまま4人はセンターステージのスクリーンへと姿を現し、ライブのプロローグともいえるこの流れで、早くも観客の心を掌握していった。
記念すべき1曲目に選ばれたのは「フィーリングラデーション」。センターに音乃瀬奏(おとのせかなで)、後方に一条莉々華(いちじょうりりか)、左手に儒烏風亭らでん(じゅうふうていらでん)、右手に轟はじめ(とどろきはじめ)が位置につき、ついにライブの幕が上がった。

「こんにちは~!ReGLOSS 1st Live “Flashpoint”へようこそお越しくださいました!」というらでんの挨拶から、2曲目「bvdiz」を続けて披露。
おそらくメンバー全員が大なり小なりの緊張を抱えていたであろうし、それは観客も同じだったはずだ。この曲では振り付けをあえて固めすぎず、ステップを踏んだり跳ねたりと自然体な動きを見せる。曲が進むにつれ、彼女たちの肩の力が少しずつ抜けていくのが伝わってくる。ボーカルからも高揚感が溢れ出し、表情には笑顔が広がっていく。
驚きの連続 生バンドと新衣装が彩る中盤戦
MCパートでは、4人それぞれの自己紹介や生バンドの演奏について触れ、3曲目「SKAVLA」へ。横一列に並んでいた4人が中央に集まり、白いスモークとともにスッと姿を消すと、客席からは期待に満ちた興奮の声が上がった。

再び姿を見せた彼女たちがまとっていたのは、デニム生地で揃えた新衣装だ。ショート丈の長袖やスカート、太めのパンツなど、一人ひとり異なるディテールに仕上がっている。黒く光るブーツのタイプも各々で変えており、メガネをかけているらでんと莉々華の姿も新鮮で、これまでの衣装とは一線を画すラフでストリートな印象が会場を驚かせた。

そんな新衣装で披露された「SKAVLA」は、2ndアルバム『Snapshot』に収録されたシリアスなR&B曲。音数を絞った原曲に生バンドの肉厚なサウンドが加わり、よりグルーヴィーな楽曲へと進化。4人のフォーメーションもバッチリだ。

次に披露されたのは、なんと轟はじめのソロ曲「ビリラビリラ」。高いダンススキルで定評のある彼女だが、ライブ序盤という予想外のタイミングでのソロ披露に、観客からは驚きの声が漏れる。

しかし、“番長”はそんな観客の視線をどこ吹く風と受け流し、キレのあるダンスと歌声を披露。黒子姿のダンサー2人を引き連れたパフォーマンスで、ファンを感じさせるものだった。
ここからは驚きの演出が続く。「Bangarang」「LAKI MODE」「泡沫メイビー」「2co1」「SUPER DUPER」と続くセットリストの中で、「泡沫メイビー」を除く4曲が2人ユニットによるパフォーマンスとなったのだ。
莉々華と奏による「Bangarang」を皮切りに、奏と轟の「LAKI MODE」、らでんと轟の「2co1」、そして莉々華とらでんの「SUPER DUPER」と、変幻自在な組み合わせを見せていく。「泡沫メイビー」では、らでんの「指パッチン」に合わせて担当カラーを点灯させてほしいという事前のSNS告知が功を奏し、有明アリーナがこれ以上ないほど美しく彩られた。

本来なら4人で披露する楽曲をユニット編成に再構築した驚き、生バンドによる重厚な演奏、そして磨き上げられたダンスと歌が相まって、時間は瞬く間に過ぎていく。ReGLOSSの楽曲は3〜4分台とタイトな構成が多いことも要因だろうが、それにしても“一瞬”に感じられるほどのスピード感だった。

また、少人数のユニットになることで、必然的に注意深くメンバーの動きや表情をみることができる。ファンによってはこのパートを通じて、彼女たちのスキル向上を実感した方も多かったのではないか。筆者は特に、らでんと轟による「2co1」において、ダンス巧者の轟に引けを取らないらでんの緩急ある動きに驚かされた。

ソロパートを経て、ボルテージは最高潮へ
2度目のMCパートでは、お互いのパフォーマンスを称え合い、新衣装へのこだわりを語り合う。会場に集まった観客とコール&レスポンスを何度かおこない、「アワータイムイエロー」へ。
曲名通り黄色の光に包まれた会場で、観客は完璧なタイミングでコールを重ねる。一方で、2ステップやUKガラージを取り入れた複雑なビートが生ドラムでたくみに表現され、重低音とともに魅せる4人のフォーメーションダンスに目を奪われたファンも多かったろう。演奏後にはポップな映像演出が流れ、ライブは中盤へと差し掛かる。


中盤戦の始まりとして莉々華が「Happiness phenomenon」をソロで披露したのを皮切りに、らでんの「落昏」、奏の「Cheerful Vibes Echo」と、三者三様の魅力を提示。ダンサーと共に愛らしく歌った莉々華、ステッキ型マイクを手に自由な身振りでラップを刻んだらでん、そしてらでんとハイタッチして登場し、底抜けに明るい笑顔を届けた奏。それぞれが“らしさ”を存分に発揮した時間となった。「ミッドサマーシトラス Snapshot ver.」では、衣装を長袖から薄手の夏仕様へチェンジ。4人がステージに揃うと、それぞれの個性がより際立って見えた。
「実は、もうここから後半戦なんです~!」とはじめが名残惜しそうに告げると、会場からは惜しむ声が。メンバー一人ひとりが会場とのコール&レスポンスをおこない、メンバー&観客ともにボルテージをグッとあげて後半へと突入した。
ここまでのアップテンポなムードから一転、クールな「シンメトリー」で観客を惹きつけると、心地よいビートの「サクラミラージュ Snapshot ver.」を披露。そして本編の最後を飾ったのは、ライブのタイトルにもなっている「Flashpoint」だった。全力で歌い上げてステージを順々に降りていくメンバーたち、ステージに現れたReGLOSSのロゴがふっと点灯し、本編は幕を閉じた。
「季節の流れを遡るようなセットリストにした」とMCで語っていた通り、演出や楽曲の端々にそのコンセプトが感じられた。しっとりと余韻を残すのではなく、潔くキメて去る。その姿とコンセプトは実にクールだった。
サプライズと涙のアンコール そして4人の言葉
本編を終えて送られる拍手と声援、少し収まったかと思うとすぐに大きな”アンコール”を求める声が起こった。5分と経たぬうちに、ライブTシャツに着替えた4人が再びステージに現れた。

「XOVERLINE」のイントロが始まると同時に、奏が自撮り棒に装着したスマートフォンを持ち出した。なんとスマホカメラからのアングルが左・右・真ん中のスクリーンに映し出され、歌っている莉々華、らでん、はじめ、そして奏自身と順に映していく。自撮りならではの距離感で観客も画面に収まり、これには会場も大盛り上がり。驚きと喜びが混ざり合うサプライズとなった。
歌唱後のラストMCでは、ファンへ感謝の言葉を伝えた。
音乃瀬奏「人生最高の日です!小さい頃ステージで歌って踊って輝いている人たちに憧れていたのでこうやってライブできてめちゃくちゃ嬉しいです!これは応援してくれてるみんなのおかげです!ありがとう」
一条莉々華「今日が莉々華の人生でいちばん最高の一日です!莉々華たちの声、みんなに届いたようね!?みんなの声も莉々華に届きました!いやちょっともう泣きそうなんだけど、この現地ライブがReGLOSSの最初の一歩になれば良いなと思っています!」
儒烏風亭らでん「本日は現地に足を運んでいただいた皆様、配信で見ていただいている皆様、本当にありがとうございます。今回、ファーストライブを行うにあたりまして、いろんな方にご協力いただきました。人生という名の大きな宝箱があるとしたら、その宝箱に溢れるくらいの本当に本当に素敵なお宝を皆さんからいただきました。本当にありがとうございます」
轟はじめ「数年前には想像もできないところに、いま自分は立っています。初配信で語った夢の中に、”現地ライブ”と掲げておりましたが、夢がひとちゅかにゃいました!皆さんがここに連れてきてくれたんです。本当にありがとう。今日の番長かっこよかったでちか?(客席から大歓声)これからも番長かっこいいって思わせるんで、まだまだちゅいてこいよー!」
興奮気味に話す者、感極まって声をつまらせる者、冷静に感謝を述べる者、そして感情を爆発させる者。四者四様の言葉には、一様に熱い想いが宿っていた。
そして、ラストの楽曲へ……と思いきや、らでんが声を上げる。
「ちょっと時間があるということで、どうしてもやりたいことが1個だけあるんだけど。いま我々、イヤモニを装着しているんですけれども、今から外します。皆さんの生の声を鼓膜に直接ほしいです。私が“Reach The Top We Are”と言いますので、一緒に“ReGLOSS”と言ってください!」
4人がイヤモニを外し、会場に呼びかける。
「Reach The Top! We Are?」「「「ReGLOSS!!!」」」
有明アリーナを揺らすほどの地声の反響に、「ありがとう! すっごい聞こえました!」と顔をほころばせるメンバーたち。そして、彼女たちの原点であるデビュー曲「瞬間ハートビート」が始まった。
青い照明の中、スローな出だしから歌い継いでいき、アウトロではバンドメンバーやダンサーを紹介。最後はマイクを通さず、4人の生声で「ありがとうございました!!!!」と挨拶し、フィナーレを迎えた。

数回あったMCパートは話すことが整理されていて短めに、それでいてパフォーマンスに特化した約1時間50分。カバー曲なし&全編オリジナル楽曲のみで構成されたスピード感溢れるステージは、グループとしての矜持を感じさせるものだった。
ホロライブはこの約2年ほどのなかでアリーナ会場を中心にしてソロライブを開催する頻度が増えており、その潮流に乗ってデビューから約2年ほどで今回のソロライブへと至ったReGLOSS。2026年に彼女らのソロライブが開催されればファンにとっても喜ばしいところ。ReGLOSS1人1人の活躍もそうだが、4人グループ”ReGLOSS”としての存在感が徐々に強まっていけば……などと想像を巡らせるが、これは神のみぞ知るところ。いまは期待をして来年の活動を見守っていこう。
最後に、「瞬間ハートビート」において一瞬だれも歌わない合間がうまれていたことを指摘したが、そこで歌われるはずだった言葉を最後に置いておこう。さまざまな想いを胸に秘め、4人は今後も歩みを進めていく。
気づいたときにはね
I can’t live without you
いつまでもキミと一緒なら
●関連事項
・hololive DEV_IS公式ページ
・hololive DEV_IS公式YouTube
・ReGLOSS公式Instagram
















