
バーチャルタレント事務所・Re:AcT(リアクト)によるオフラインイベント「Re:AcTフェス2025」が、2025年12月21日に池袋harevutaiにて開催された。
所属メンバー21人全員が一同に介するメモリアルなライブということで、ファンの熱量もとても高く、昼・夜という2回公演では、ミラクルプレゼントチケットとプレミアチケットが完売。当日は熱気ムンムンでライブが繰り広げられていた。
今回は昼・夜公演のうち、夜公演「ユメニミタカラ~Starlight Fantasia~」へ足を運んで、その熱気に触れた。今年ライブ公演で盛り上げた者、このライブを最後に卒業してしまう者、来年以降の飛躍を目指す者、さまざまな姿を見せてくれた一夜を、ここに記しておこう。
まず、この日出演したメンバーを一気に挙げてみる。
獅子神レオナ
花鋏キョウ
夢川かなう
水瓶ミア
丸餅つきみ
月紫アリア
猫乃ユキノ
九楽ライ
皇ロゼ
稀羽すう
魔光リサ
音伽ねむ
ククルア・クレイユ
白音ゆき
レイラ・サマ
杏夜くもり
音羽奏來
神凪アンナ
燈明寺かぐら
不知名イヲ
鈴花いのり
ズラリと並んだ21名。この内、神凪アンナ、不知名イヲ、レイラ・サマ、音羽奏來、鈴花いのり、燈明寺かぐら、杏夜くもり、白音ゆきの8名は、2025年に新たにデビュー・加入・活動復帰したメンバーである。
2024年末に同じく開催されたRe:AcT Music Festival 2024に出演した13人から、そのまま人数がググッと増えたうえで、この年末ライブを迎えたわけだ。

そんな面々を迎えるライブ直前、昼公演を終えて再び夜公演に臨む人が多いのか、客席にはとても和やかなムードが漂っていた。
開始直前のライブ上の諸注意を伝えるにナレーションはとある3人が担当していたのだが、たどたどしさある口調で観客からもニンマリと笑みがこぼれた。会場内がスッと暗転すると、オープニングムービーを迎えるハンドクラップが起こりさらに温かな空気に包まれた。
スクリーンが灯ると3段ステージにズラリと並んだ13人のメンバーが現れて、「Since-Re:ly ~シンシアリー~」を歌い始める。
花鋏キョウ・獅子神レオナを皮切りに2人1組で歌っていき、サビで13人全員がボーカルを合わせていく。もちろんコーラスやハモリも盛り盛りで、ポップなグルーヴだが独特なゴージャスさもあるアレンジ感が面白い。

2曲目は、2023年に当時のメンバー6人で披露した「Bye Bye バッドエンド」。YouTubeチャンネルでMVを公開していたり、Re:AcT公式BOOTHから購入はできるが、ストリーミング配信では扱われていないので、もしかしたらこの日に集まった観客の中にも聴いたことがなかったという方がいたかもしれない。ポップなギターリフに3人の力強いボーカルリレーで、観客の心にインパクトを与えただろう。


続く3曲目は、花鋏キョウと夢川かなうによる歌唱、花鋏の「Moment」を歌って観客を躍らせていたところ、そこから曲が変わって夢側の「アイリス」へとつながっていく。「Moment」から「アイリス」へ、リードボーカルも花鋏から夢川へ。観客からも驚きの声が上がるが、どちらの楽曲もミドルテンポのシンセポップ。まるでクラブDJのようによどみなくつながれたこともあって、心地よいムードが生まれていった。


続くは白音ゆきの「フェーデ」を丸餅つきみ、猫乃ユキノ、稀羽すうの3人が歌っていく。ミドルテンポで物語めいた歌詞、ストーリー性のつよい楽曲を3人で歌い継いでいった。

ここで最初のMCタイムを迎え、魔光リサと稀羽すうの2人が登場した。REVERBERATIONとしてコンビを組む2人、「盛り上がってますか~!?!?」と観客を煽り、笑顔を見せつつ次の曲へとつないでいく。
水瓶ミアと音伽ねむ登場し、歌い始めたのは獅子神の楽曲「はっぴーでいず!」だ。スイング気味のグルーヴでポップなサウンドに、サイドステップを踏みながら歌っていく水瓶と音伽の2人。オレンジの照明に青とピンクのペンライトが揺れていく。
6曲目は、皇ロゼ、ククルア・クレイユ、花鋏キョウの3人が登場して「Daisy」を披露した。花鋏からすれば自身の持ち曲に皇とククルアを迎え入れてのパフォーマンスとなるが、驚いたのは3人が声質が少しずつ似ているということ。原曲にはなかったハモリがあるだけではなく、楽曲ラストには原曲にないファルセットにコーラス、そして花鋏のボーカルフェイクがバッチリ。とても贅沢なアレンジで観客の心を奪ってみせた。
少しうっとりとした空気になっているところに、手で片目を隠すようなポーズで皇ロゼと音伽ねむが登場。ステージ上が明るくなってもなお無言でポージングしている2人に、観客から「かっこいい~」と少し声が上がると、堪えきれなくなった2人が堰をきるように笑いはじめて、MCをスタートする。
客席がほがらかになったところで、7曲目へ。ここで鈴花いのり、神凪アンナ、不知名イヲ、燈明寺かぐら、音羽奏來の新人5人が登場し、アニメ「マクロスΔ」の楽曲「一度だけの恋なら」の披露した。

ステージに出ているメンバーが5人ということでペンライトの色はさすがにバラバラ。だが5人のボーカルやコーラスは統率がとれた響きとなっていく。続く8曲目も同じ「マクロス」シリーズから「マクロスF」の「トライアングラー」を魔光リサとククルア・クレイユの2人が歌った。
どちらも原曲に忠実な歌唱になっており、特に「トライアングラー」は2人での歌唱ということにひっかけ、劇中でシェリル・ノームとランカ・リーの2人が歌う「トライアングラー (fight on stage)」を選んでいるのはなんとも粋なチョイスだ。


カバー曲はまだ続き、電ǂ鯨によるボカロ曲「クーネル・エンゲイザー」を九楽ライと稀羽すうの2人が担当。おでこ付近に手を当てて猫のように歌っていくなかで、体をピョコピョコと動きながら歌う姿は実にキュート。低音のハモリなどしっかり聞こえてきて、細かいところで手を抜かない一面が感じられた。
10曲目は、月紫アリアと猫乃ユキノの2人による、アニメ「迷い猫オーバーラン!」の主題歌「はっぴぃ にゅう にゃあ」。この原曲・このアニメを知っている人が会場にいるのかは怪しいが、楽曲タイトル通りに月紫・猫乃どちらも愛らしい身振りで歌っていく。しかも2人ともこの電波ソングにピッタリな”アニメ声”(あえてそう形容させていただく)なのが、まさに原作・原曲通りといったところ。同期グループ・ねころまんさーとしてファンに知られている2人の面目躍如といったところだった。

そんなデュオ歌唱をみせてくれた月紫アリアと猫乃ユキノに、九楽ライが加わった3人でMCパートへ。笑顔満面で会場へ挨拶をし、11曲目には白音ゆき、杏夜くもり、レイラ・サマの3人による「絶体絶命」を歌った。
一度卒業し、今年3月に復帰を果たした白音だが、その際に一緒にデビューしたのが杏夜くもり、レイラ・サマの2人であり、同期ユニット”PolarNight”としてコラボ配信している。
彼女らも先に出た新人5人と同じくLive2Dビジュアルでの出演となったが、スローテンポのなかでロングトーンを多用する楽曲をしっかりと歌い上げる。少し語弊があるかもしれないが、3人全員がほぼ同じタイプのシンガー、それでいて同じように力を込めて”歌い上げられる”タイプで、気づけば彼女ら3人の歌声にスゥっと吸い寄せられるように見入ってしまった。Live2Dや3Dといった部分を超えたモーメントが、ここに生まれていたような気がした。

気づけばライブも終盤。丸餅つきみと音伽ねむの2人が「Ready To Party」をしなやかなダンスとともに披露し、月紫アリアと九楽ライのMelty R.I.P.は互いのソロ曲「too late」と「息するしたい!」さらにユニット曲「Melt My Heart」の3曲をメドレーとして歌う。月紫と九楽は普段の衣装で歌っていたところ、スポーティーな衣装やガーリィなメイド服へと着替える演出が入ると、一部から雄叫びが聞こえるほど会場が興奮していた。
この流れを継いだのが、獅子神レオナ、夢川かなう、水瓶ミア、花鋏キョウ「もっと!」だ。いわずもがなRe:AcT2期生による同期グループ”Re_KMKL”がズラリと揃い、アップテンポかつポジティブなメッセージに溢れるこの曲を歌う、それだけでバチンと特大パンチを食らったような衝撃とある種の納得感に包まれた。

獅子神レオナと夢川かなうがステージに姿を表すと、なぜか片足立ちのポーズで我慢比べしあっており、ハハ!と笑って最後のMCを始める。「みんなお腹すいたよね~?!」とファンに話を振り、次の曲がラストであると名残惜しく伝える。
本編ラストは「夢色エール」だ。本日最初に披露したときと同じような3段ステージに3Dビジュアルを持つメンバーが全員並ぶ。立ち位置がそのときとは多少異なっているが、クリーンかつクリアな声色で揃ったヴォーカル・ハモリ・コーラスワークには変わらぬ輝きを放つ。客席のペンライトは一様にバラバラでカラフルに揺れるなか、重厚なラストで締めくくられた。

アンコールの声で湧くなか、パッとステージが明るくなって再びメンバーが集まり、歌唱したのはなんと「KAGAYAKI STARS!!」。あまり深くご存知でない方向けに記すと、Re:AcTは2018年12月に現名義へと変更する前は事務所名が「KAGAYAKI STARS」であり、当時所属していたメンバーらが歌唱したのがこの「KAGAYAKI STARS!!」という楽曲になる。
そもそもこの曲を歌うということ自体がかなり久しぶりであり、新メンバーが増えたこのタイミングで原点回帰という意味合いもこの選曲には込められているのだろう。「キラキラの その先へ」というサビとメロディは、ポップでブライトな輝きをイメージさせてくれる。笑顔で手を振る出演陣に、手を振り返す観客たち。こうして「Re:AcTフェス2025」は大団円を迎えた。
12月27日をもって、メンバーのククルア・クレイユはRe:AcTから卒業すると発表しており、本日のライブは、観客と彼女が直に触れ合えるラストチャンスでもあった。今後も活動を続ける者、途中でその道から外れる者、そして新たにスタートを切ったばかり者、そんな彼女ら全員が一同に介する瞬間はこの場・この瞬間のみ。スペシャルな一夜となったのは言うまでもない。

●セットリスト
1.Since-Re:ly ~シンシアリー~/全員
2.Bye Bye バッドエンド/獅子神レオナ、魔光リサ、皇ロゼ
3.Moment to Iris/花鋏キョウ、夢川かなう
4.フェーデ/丸餅つきみ 稀羽すう、猫乃ユキノ
5.はっぴーでいず!/水瓶ミア、音伽ねむ
6.Daisy/皇ロゼ、ククルア・クレイユ、花鋏キョウ
7.一度だけの恋なら/鈴花いのり、神凪アンナ、不知名イヲ、燈明寺かぐら、音羽奏來
8.トライアングラー/魔光リサ、ククルア・クレイユ
9.クーネル・エンゲイザー/九楽ライ、稀羽すう
10.はっぴぃ にゅう にゃあ/月紫アリア、猫乃ユキノ
11.絶体絶命/白音ゆき、杏夜くもり、レイラ・サマ
12.Ready To Party/丸餅つきみ、音伽ねむ
13.too late+息するしたい!+Melt My Heart/月紫アリア、九楽ライ
14.もっと!/獅子神レオナ、夢川かなう、水瓶ミア、花鋏キョウ
15.夢色エール/全員
*アンコール
16.KAGAYAKI STARS !!/全員
(TEXT by 草野虹)
●関連リンク
・Re:AcTフェス2025(配信ページ)
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