「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社が手がけるバーチャル空間プロジェクト「ホロアース」で、約2年ぶりとなる音楽ライブが開催。12月21日(日)に、ホロライブ5期生、通称「ねぽらぼ」の桃鈴ねねさん、尾丸ポルカさん、雪花ラミィさん、獅白ぼたんさんが出演する「hololive 5th Generation ねぽらぼライブ re:VISION Holoearth Live」が実施された。
同社が展開する新形式のライブ「re:VISION Holoearth Live」の第一弾として行われた次元を超えて「ねぽらぼに会える」ライブに、デスクトップPCから参加。スタッフへの取材で明かされた今後の「re:VISION Holoearth Live」の展望も含めて、ホロアースでのライブ体験をレポートする。
目の前の円形ステージにねぽらぼが降臨!
2021年11月に発表されたバーチャル空間プロジェクト「ホロアース」。その後、約3年半にわたって、プロトタイプ版、ユーザーも参加したβ版でのテストプレイが続けられ、大小のアップデートが重ねられてきた。
そして、今年の4月24日(木)には、ついに正式版Ver.1.0.0がリリース。自分好みにカスタマイズできるアバターで世界を探索したり、他のユーザーとコミュニケーションを取ったりするだけではなく、ホロアース内のファッションアイテムやスタンプを自作し、他のユーザーに販売できる「ホロアースマーケットプレイス」のサービスなども開始。行動の幅がさらに拡大し、バーチャルな世界でユーザーが生活できる空間として進化を遂げた。ヘッドマウントディスプレイなどのVR機器を使わずPC(Windows)のみで、より気軽に参加できるバーチャル空間という点も大きな特徴だ。
さらに、6月20日(金)のアップデートでは、ホロライブのタレントが「本人」の姿でホロアースに登場できる「タレント降臨機能」も実装。ときのそらさんたちが、ホロアース内でリアルタイムにファンと交流しながらYouTube生配信を行った。そして、ファンの期待がさらに高まる中、β版運用時代の2023年7月16日(日)に実施された和風ライブ「Protolive#2 〜ヤマトファンタジア〜」以来、2年ぶりとなるホロアースでの音楽ライブとして開催されたのが今回の「hololive 5th Generation ねぽらぼライブ re:VISION Holoearth Live」なのだ。
しかもリアル開催とも、各種配信プラットフォームなどで視聴するものとも異なり、ユーザーもアバターの姿となってバーチャルタレントと同じ空間に入って、目の前のステージに登場するホロメンたちに会えるライブになる。流れとしては、ホロアースにログインしたユーザーは、エントランスの「フォーカル・スクエア」に到着。今回の入場チケットである「IDカードホルダー」を購入していれば会場に入れる。
クリスマスイルミネーションなどで華やかに飾られたライブ会場の中央には、円形のステージが設置。ホロメンのライブを見慣れている人が初めて見ると、おそらく驚くくらいにコンパクトなステージだ。ステージを囲う柵などはなく、アバターは、ステージに手が届きそうな距離まで近付くことができる。そして、開演時間になると、ステージにお揃いの衣装を着たねぽらぼの4人が登場。オリジナル曲「Hyper Jumpin’」を目の前のステージで披露した。
円形のステージを自由に動きまわりながら、歌い踊る4人。ユーザーは、ライブ中も自由に移動できるため、推しメンを追いかけてステージの周囲を移動してもOK。少しマニアックだが、後ろ姿を見続けることもできる。リアルライブでは迷惑行為になってしまう行動も、ホロアースのライブでは楽しみ方の一つだ。
2年前の「Protolive#2 〜ヤマトファンタジア〜」では、まだテスト開発中であったことからかライブ会場に入ったユーザーのアバターは、シンプルな三角錐になっていたが、今回のねぽらぼライブでは、ユーザーがホロアースで使用しているアバターのまま入場が可能。このライブのために「ねぽらぼ」がホロアースで自作したライブTシャツなどのファッションアイテムを購入して、身に着けることもできた。
また、「フォトモード」に切り替えると、アバターの立ち位置とは独立した動きで、かなり自由にカメラのアングルを操作可能。フォトモードに切り替えた後もアバター自体は、その場所に存在するため、カメラの位置やアングルとシャッターのタイミングを調整すれば、ステージ上のホロメンと一緒に写真を撮ることも可能だ。
ユーザーと同じTシャツ姿でねぽらぼが登場
MCを挟んだ2曲目からは、ソロ曲のコーナー。ねねさんの「Ring-A-Linger」。ポルカさんの「ペルソナ」。ラミィさんの「Fleur」。ぼたんさんの「Lioness’ Pride」が続けて披露された。4人が着ているのは、前述のホロアースで自作したオリジナルデザインのライブ記念Tシャツ。このシャツはアバター用だけでなく、リアルで着用できるグッズとしてAmazonでも販売している。
6曲目は、再び、ねぽらぼの4人が勢揃い。8月17日(日)の5周年学祭3Dライブ「ねぽらぼ学園 ☆5周年記念!!輝く学寮祭☆」で発表された最新曲「ひとつになる声」を披露した。着ているのは、4人分のデザインが1枚になった特別仕様のTシャツだ。前向きで多幸感に溢れる楽曲を爽やかに歌い上げる4人。360度の円形ステージを活かしたパフォーマンスと空間演出は、シャッターチャンスだらけで、カメラが自由に動かせる分、ついつい写真撮影に集中してしまった。
MCでは、4人が初めてのホロアースでのライブの感想を語っていく。
桃鈴ねね「こうやって360度(のステージ)で歌って踊ってるところを観てもらえるのって新鮮で、ちょっと恥ずかしかったかもしれない(笑)」
尾丸ポルカ「恥ずかしいって、なんだよ(笑)」
雪花ラミィ「でも、『ここで、こんな振り付けなんだ』って観れるのは、ホロアースならではですよね」
尾丸ポルカ「こういう新しい形で観てもらえるのって、想像してなかったから、本当に嬉しい!」
雪花ラミィ「そうだね。みんながアバターになって来てくれるとは、思わなかったもんね」
獅白ぼたん「めちゃくちゃ楽しかったので、次もやりたいです」
ねね&ポルカ「やりたい、やりたい!」
雪花ラミィ「ラミィももちろん、もっとみんなに観てもらいたい! 今度は生放送とか、本格的なライブもやりたいですね」
尾丸ポルカ「リアルのライブもそうだけど、ホロアースでのライブもやっていきたいよね」
今回のねぽらぼライブは、事前収録されたものだと告知されていたが、この距離感でのホロメンとの交流をリアルタイムで行えるのであれば、ライブの楽しさは倍増するだろう。ホロアースのスタッフによると、ホロアースでリアルタイムライブを開催することは、技術的に可能とのこと。今回は、開催決定から開催までの準備期間が通常のライブよりもかなり短かったため、タレントのスケジュールも含めた時間的な理由で、事前収録での公開となったそうだ。
ラストは、サンタ衣装のねぽらぼも登場!
ホロアースでの初めてのねぽらぼライブ最後の曲は、ねぽらぼオリジナル曲をクリスマスアレンジした「Cosmic Wonderful Tour! -Christmas Remix-」。可愛いサンタ衣装に着替えた4人は、ステージの端ぎりぎりまで近付いて、全方向にファンサをしながら、クリスマスライブを盛り上げた。
「ホロアース」だけではなく、動画配信サービス「SPWN」と「ZAIKO」でも通常の配信ライブとして視聴できた今回の企画。しかし、全7曲の終了後、ホロアースで視聴している人たちだけが限定の「特別パート」に参加できた。ホロアース限定パートは、ライブではなくトークコーナー。本編以上に自由に動き周る4人によるファンサの時間でもあった。特に行動が自由だったねねさんは、両手にペンライトを持って華麗なオタ芸も披露。スカート衣装のままステージの上に寝転がったりもしていた。4人全員があまりに自由な行動をするため、どの位置で誰を観るのか迷い続けてしまうほどだ。
ライブ本編でも、どこで誰を観るのかずっと迷っていたのだが、この「re:VISION Holoearth Live」は、空間ごと丸っと保存した3Dアーカイブが楽しめるのも大きな魅力。「IDカードホルダー」を購入した人は、期間中、何度もライブに参加し、今度は別のポジションからライブを再体験できるのだ。テキストチャットやエモートを利用したユーザー同士の交流も楽しめるように開催時間は決まっているが(毎日5公演を開催)、アーカイブ期間の2026年1月4日(日)の23時59分までは、全公演に参加することもできる。
また、ホロアースでは、すでにホロライブプロダクションの全タレントが「本人の姿」で登場できる準備ができており、タレントがログインすると、いつでもお馴染みの姿でホロアースに降臨可能。3Dアーカイブの開催中、ねぽらぼ以外のタレントがふらっと遊びに来たり、同時視聴をしたりする可能性もあるそうだ。
カバーが定期的に開催してきたリアルライブ、配信限定ライブに続く、第3のライブ形式である「re:VISION Holoearth Live」。ホロアースのスタッフによると、今回の「ねぽらぼライブ」を皮切りに、今後もさまざまなタレントによる公演を開催していきたいと考えているとのこと。リアル会場を使ったライブに比べると、コスト的な負担は大きく下がり、スケジュールや演出の自由度は大きく向上することが予想されるため、今まであまり機会が無かったホロメンによるライブが開催されるチャンスも増えるかも?
ホロライブファンには、ぜひ一度、体験して欲しい「re:VISION Holoearth Live」だが、現時点では、Windows11のPC環境が必須。CPUとGPUの推奨環境は、「Intel® Core™ i7 8700 と同等の性能を持つもの」と「NVIDIA GeForce RTX 2070」で、メモリは16GBとなっている。
一般的なゲーミングPCなら十分クリアできるスペックだが、普段、スマートフォンやタブレットで配信を視ているユーザーにとっては、やはり残念な点だろう。ホロアースの運営もその点は今後の課題だと考えているそうで、その過程として、「ホロアース」アプリが起動できないPCでもWEBブラウザから「re:VISION Holoearth Live」に参加できる「クラウドゲーミング」のシステムを開発中とのこと。「ねぽらぼ」ライブでは、メディア限定でテスト利用することができたため、筆者も試してみたが、画面も使用感も「ホロアース」アプリから参加した時と変わらない体験ができた。
今後のライブで正式採用されることになれば、より多くの人が「re:VISION Holoearth Live」を楽しめるようになるはず。日々、進化を遂げている「ホロアース」と同様に、「re:VISION Holoearth Live」の今後の進化も楽しみだ。
(TEXT by Daisuke Marumoto)
●関連リンク
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・ 「hololive 5th Generation ねぽらぼライブ re:VISION Holoearth Live」公式サイト




















