アイマス・三浦あずさ&秋月律子「つみまつよるまち」東京公演レポート 歌唱中に涙するりっちゃんに共感したxRライブ

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2026年8月28日(金)、「Zepp Haneda (TOKYO)」(東京都大田区)とライブ配信プラットフォーム・ASOBI STAGEでのxRライブストリーミングにて「dual twin live tour 三浦 あずさ・秋月 律子 twin live “ つみまつよるまち ”」の、[TOKYO LAST CHOICE]と題する東京公演が開催された(冒頭部分の無料配信はこちら)。

芸能事務所「765プロダクション」*所属の秋月律子さんと三浦あずささんが出演するこのtwin live。8月の大阪・名古屋・東京の3都市を巡ったライブツアーも、この日が千秋楽となった。

そんな千秋楽のライブで、秋月さんは歌唱中に感極まって泣き出した。普段からきっちりパフォーマンスを仕上げてくる彼女が、しかもライブで描かれる物語の登場人物の心情に合わせるように考え抜いたパフォーマンスを見せていた中でだ。その姿に筆者は驚いた次第だ。

本稿では、三浦さんとのライブではあるが、まずは秋月さんにフォーカスを合わせ、大阪・名古屋公演を振り返ったのちに東京公演のライブパフォーマンスを見ていく。そして、歌唱中に泣いてしまうほど背中を預けられる存在である三浦さんとの関係に触れる。そして最後に、xRライブで曲中で泣くことについて考えてみる。

*ゲームやアニメなどで展開される「アイドルマスター」に登場する芸能事務所


秋月律子とは

765プロダクションのアイドル、秋月律子さん(19歳)。もともとはプロデュースや裏方仕事に関心があって事務所に入ったものの、現在はアイドルとして活躍している。

頭脳派アイドルとも呼ばれる彼女は、事務所の同僚アイドルからは、鬼軍曹と揶揄されることもあるが、同僚にも自分にも厳しく誠実でもある姿には信頼が置かれている。

「dual twin live tour」を冠する今回のライブは、秋月さんと三浦さんのtwin live「つみまつよるまち」の前日に、同じく765プロに所属する双海亜美さん・双海真美さんが出演するtwin live、「ふたごぼしのつばさ 」も開催され、東名阪のZeppを巡る両ライブをあわせ計6公演によるツアーとなっている。いたずら好きの亜美さん真美さんや、極度な方向音痴と言われる三浦さんと巡るツアーでの秋月さんの姿は、引率の先生のようだったとMCで触れられていた。

また他事務所のアイドルが歌う楽曲「KisS」を本ライブで披露するために奔走したというエピソードもあるように、ステージの裏側での活躍も見せている。

秋月律子さん

アイドルの秋月さんのパフォーマンスについて、今回のライブツアー中に三浦さんが言及していたが、秋月さんははつらつとした歌い方が特徴的で、恋愛の歌や、聴く者を力づける応援ソングなどを持ち歌としている。 

ライブの盛り上げ隊長とも呼ばれており、観客を巧みに煽りコールをさせる楽曲「いっぱいいっぱい」は彼女の代表曲だ。一方で、大阪公演でも歌われた楽曲「livE」「Discord Area」では、生き抜くことへの覚悟を演じ上げている。

「Discord Area」 (大阪公演より)


大阪・名古屋の「つみまつよるまち」の物語……
ふたりの女性が選んだ道と、
それを演じるふたりのパフォーマンスの見せ方

そんな秋月さんが、765プロの同期であり年上でもある三浦あずささんと今回のtwin liveで挑んだのが、「楽曲歌唱とポエトリーリーディングで綴る、同じ人を愛し、そして失ったふたりの女性が再生する物語」。ふたりの女性は、同じ人を失い異なる悲しみを抱えるもうひとりの女性とすれ違うことで、背中を押され再び自分の道を進むようになる。

大阪公演では三浦さんが演じる「別離を受け入れられず泣いていた女性」が別離を受け入れる道を選んだ物語が、名古屋公演では秋月さんが演じる「前に進む勇気が持てない女性」が自分をさらけ出して進む道を選んだ物語が描かれた。

そんな物語のふたりは、秋月さんと三浦さんの歌唱やダンスパフォーマンスの違い、言うならば演じ方の違いで表現されていた。

例えば名古屋公演では、EDM楽曲「VELVET QUIET」にて、三浦さんが歌唱にもダンスにも威厳ある圧倒的なパフォーマンスをしたのに対して、秋月さんは前に進めない女性を、ウイスパーボイスで歌唱し、抑え目に動くことで表現していた。(詳しくは名古屋公演レポートを参照)

自分が思う自分と、他人から見た自分は違って見えるのだろう。大阪公演で披露された楽曲「livE」では、三浦さんは突き抜けられずに控えめになってしまう女性のように優しげなアピールをしたのに対し、秋月さんは生きる貪欲さを力強いパフォーマンスで見せた。 (詳しくは大阪公演レポートを参照)

大阪・名古屋の公演ではフォーカスを当てた女性がもうひとりの女性に出会う事でどう変わっていったかが描かれた。千秋楽である東京公演の「つみまつよるまち」の物語では、秋月さんと三浦さんが演じるふたりにフォーカスが当てられ、ふたりが出会い変わった、さらにその先まで描かれた。それではその東京公演についてみていこう。


ふたりが選んだ道の、その先を見据えた物語

大阪・名古屋公演と同じようにポエトリーの朗読から始まった今回の東京公演。続いて前2つの公演で重要な役割を果たした楽曲である、三浦さんの「隣に…」、秋月さんの「いっぱいいっぱい」が披露された。

スモークの中登場した三浦さんの「隣に…」
「隣に…」
「いっぱいいっぱい」

この日の「いっぱいいっぱい」は、先述のような観客を煽るような歌い方ではなく、自身の中にある気持ちを吐露するように歌う。この楽曲は名古屋公演でも披露していたが、東京公演ではさらにやわらかな表情をしていた。

2番サビ終わり「でもきっとずっと胸の内?」にて。名古屋公演では気持ちを胸の奥に隠しているように目をつむって歌っていたが、東京公演では目を開き、少し余裕があるかの如く優しく微笑んでいった

MCでは、これまでのツアーの三浦さんの迷子エピソード(三浦さんは方向音痴)を交えつつ、お互いがいたからこそ、それぞれの公演での気づきを得ながら千秋楽を迎えることができたと語る秋月さんと三浦さん。

物語のふたりも前の2公演の中で迷いながら自分の進む道を選んできた、そんなふたりを見届けるためにステージに立つと言うふたり。秋月さんが「照明さん、もう少しだけ夜を深くしてもらえますか」と指示を出すと、ステージを照らす照明は暗くなり、物語は続けられた。

「KisS」「アイシテの呪縛~Je vous aime~」「CRIMSON LOVERS」と、同じ人を愛したふたりの想いの強さを示す歌を歌った後、彼女たちは互いの弱さと、自分にない強さを感じ取る。

「KisS」
「アイシテの呪縛~Je vous aime~」
「CRIMSON LOVERS」

そして三浦さんは大阪公演の終盤に歌われた「I Do」で、秋月さんは名古屋公演の終盤に歌われた「灯」(あかし)で、物語のふたりがそれぞれ進む道を歌で表現する。そして、ふたりが選んだふたつの道を確かめるように本ライブのために作られた楽曲、「Binary Star」が歌われる。

「I Do」
「灯」

「灯」の「ひとりきりじゃない事を教えてくれたから」という詞について、秋月さんは名古屋公演では目をつむって祈るように歌唱していたが、東京公演では確信を持っているかの如く目を開き歌っていた。

「Binary Star」の最後は公演キービジュアル(下記)のようなポーズで締められるのだが、これまでの公演では目を閉じていたところ、今回の公演では両名とも目を開き前を見据え、口元にも意思が感じられるような表情をしていた。


愛したあなたを忘れないのは鎖ではなく灯り、出会ったのは運命

「つみまつよるまち」の物語のふたりが、罪…愛したあの人を忘れられないのは自分を縛る鎖ではなく、先に進むための灯だと気づいた時、それを表現する歌も変わった。秋月さんの「BRAVE STAR」は熱いロックで、三浦さんの「そしてぼくらは旅にでる」は朗らかに、ふたりで歌う「黎明スターライン」は軽やかにと、今回のパフォーマンスではこれまで見せていなかった表情を秋月さんと三浦さんは見せた。

「BRAVE STAR」
「そしてぼくらは旅にでる」
「黎明スターライン」

「BRAVE STAR」「そしてぼくらは旅にでる」「黎明スターライン」の3曲は、双海亜美さん・真美さんの「ふたごぼしのつばさ」で歌唱された楽曲でもある(名古屋公演レポート・東京公演レポート)。 同じ楽曲が歌われることで、関連があると示唆されていた両ライブの物語が接続していることが明確になり、考察の糸口になった。 また、「黎明スターライン」は亜美さん真美さんは飛ぶようにステージを動き回るのに対し、秋月さん三浦さんはゆったりと落ち着いたパフォーマンスをする。一方で「BRAVE STAR」は優しく勇気づけるように歌う亜美さん真美さんに対し、秋月さんが聴くものに火をつけるように熱く歌うなど、「ふたごぼし」と「ふたりの女性」の解釈の違いを楽しむのも面白い。

「黎明スターライン」にて。ふたつの流星をバックに歌うふたりの女性

さらに、「みなさんに見ていただきたい姿があります」「まだ見てない私たちの魅力ぅ、ありますよねー」とふたりがMCで煽り観客を沸かすと、秋月さんは快活に「恋するミカタ」を、三浦さんはキュートに「ラ❤ブ❤リ❤」を披露する。そしてファンが待ち望んでいたふたりのデュオ曲「シャララ」で、恋バナで盛り上がる女性の姿を見せてくれた。

「恋するミカタ」
「ラ❤ブ❤リ❤」
「シャララ」

ライブはいよいよ終盤へ。

物語のふたりは「ねえ、最初に出会った日、覚えてる?」「あれからどれだけの時間が経ったのだろう」と愛した人へ話しかける。出会わなければ、罪も生まれなかったかもしれない。それでも、出会ったからこそ選んだ道があり、迷いながらも道を歩いたからここにいる意味が生まれた。それが彼女たちの運命であり、出会ってくれてありがとうと感謝を告げたのであった。

そして秋月さんと三浦さんが披露したのは、765プロ所属アイドルにとって大切な楽曲、「Destiny」。

支えてきてくれた人への感謝とこれからを歌うこの曲が、彼女たちを応援する者と同時に、「つみまつよるまち」の物語でふたりの女性が語った、既に会えなくなったあなたへも向けて気持ちを伝える歌にもなった。

観客からのアンコール、そして時間経過を示す映像ののちに、ふたりが歌ったのは「フタリの記憶」だ。

原曲が発表された時点も、詩にある「キミ」が誰なのか、広く議論された楽曲である。今回の公演においても、「キミ」が、物語の女性から見た失った相手なのか、それとも物語の女性同士を指しているのか、秋月さんと三浦さんの歌唱を見ながら考えるのも面白い。

だが、2番に入ったあたりから秋月さんの声が震え始める。込み上げる熱いものを必死に呑み込み、泣き崩れそうになるのを堪えるように顔が小刻みに上下へと揺れていた。

そんな秋月さんの姿を受け止めたのか、三浦さんは物語の登場人物に向けてだけではなく、隣に立つ秋月さんに向きあい、優しく寄り添って歌い紡いでいた。 

ここまで役を踏まえ演じるようにパフォーマンスをしてきた秋月さん。それは彼女にとって計算でもあり挑戦でもあった。

三浦さんとパフォーマンスや演出について語り、共に大阪・名古屋・東京と繋いだ3公演。さらに別演目ながらツアーに同行した双海姉妹も加え、時に引率をしながら、時に楽しみながらこの夏を駆け抜けた6公演。そんな公演の千秋楽のラストで、秋月さんは泣き崩れた。それは計算ではなく彼女の本心だろう。

歌唱後のMCパートでも涙は止まらず、いったん舞台袖にはける秋月さん。舞台に戻ってきても高まった気持ちは止まず、「ちゃんとあずささんとふたりで、フタリの記憶、リベンジしたいです」と表現者としての意地を見せ強気に振る舞う。

しかし、このMCが公演の「最後だ」という言葉を聞いて、改めて涙ぐんでしまった。そして、秋月さんの肩に手を当て慰める三浦さんまでもらい泣きしてしまう。

感極まった秋月さんに「りっちゃんがんばれ」と三浦さんが励ますと、観客も一緒に「りっちゃんがんばれ」コールをする。さすがに恥ずかしかったのか、秋月さんは嗚咽を止めて照れていた。こんな姿も、秋月さんと三浦さんのこれまでの関係があってのからこそだろう。

あらためて、ここまでのツアーを振り返り、どうしたら物語を届けられるだろうと話し合いを重ね、レッスンを重ね、やることは全部やったというふたり。秋月さんを「まっすぐでいて、その奥にある優しさを何度も感じた」と評する三浦さんに、「やわらかくて、あったかくて、でも歌うときは誰よりも強くて、その強さに何度も支えられた」と秋月さんも三浦さんへの感謝を伝えた。

そして、秋月さんと三浦さんは「なかよし」とは少し違う、いうならば背中を預けられる相手であるとお互いに確認したのであった。

最後に歌ったのは、ふたりの旅を見守った観客とスタッフへの感謝の気持ち、そして「つみまつよるまち」の物語のふたりの結末を示す「思い出をありがとう」。

ふたりは最後に、会場全体の観客と配信視聴者に何度も「ありがとうございました」とお礼を述べ、リベンジも含め「またお会いしましょう」「またねー」と再会を望み、そして一礼をしてステージを去った。


お互いに背中を預けられる、秋月律子と三浦あずさという関係

最後のMCパートにて、秋月さんと三浦さんはお互いに背中を預けあえる関係であるという話題があがったことについて、少し考えを巡らせてみる。

MC中でお互いに対する印象を語っていたが、ファン目線でいうと、秋月さんは楽曲「いっぱいいっぱい」のように観客を煽りステージを盛り上げてくれるし、MCではきっちりアドリブを効かせてはっちゃけることもある。それでいて、ステージパフォーマンスについてはきっちりと準備を行い仕上げてくれているというイメージがある。本稿の冒頭であげた楽曲「livE」のような、ドラマティックなパフォーマンスも筆者は個人的に大好きだ。そんな彼女が「フタリの記憶」の歌唱中に、パフォーマンスプランや観客の盛り上がりではなく自身の感情で泣いてしまう、というのは痛恨の出来事でもあったのだろうかと思う。なんせ直後に「リベンジしたいです」と言うくらいだ。

一方で三浦さんについて、こちらもファン目線でいうと、今回のライブでも披露した「隣に…」のように会場中を沈黙させるような歌唱をすることもあれば、これまた本稿の冒頭であげた「VELVET QUIET」のようにボーカル・ダンス・ビジュアルをバッチリ決めたパフォーマンスをすることもある。普段はほんわかお姉さんだが、それでいて後ろから見守ってくれているという安心感もある。

今回のツアーにて、秋月さんの楽曲「livE」は三浦さんと、三浦さんの楽曲「VELVET QUIET」は秋月さんとの共演で披露されたが、「つみまつよるまち」という物語に登場する女性としてお互いの歌を歌うにあたり、お互いに何度も相談をし、共にレッスンを重ねたという。

双海姉妹の(ライブ以外での)ツアーの引率や、各関係者とのやり取りもMCで触れられており、アイドルであると同時にプロデューサー気質のある秋月さんにとって、8月いっぱいをかけた、準備期間を含めたらさらに長い期間のツアーが終盤に近付いたらそれは感極まるものもあるだろう。しかも今回のライブでは、物語の女性を演じるにあたり、ライブ中に様々な感情を表現してきたはずだ。何かのきっかけに感情が溢れてしまう事もあるだろう。

そんな時にステージ上の秋月さんの隣にいたのは、765プロの同期アイドルの中で唯一の年上である三浦さん。背中を預けるというのは、共に戦うことができる関係でもあり、弱みを見せられる関係でもあるということであろう。筆者は客席からステージを見て、ふたりは血の通った生きた存在だと実感した。

そしてこれから先、異なるパフォーマンスをするふたりが背中合わせにパフォーマンスする舞台に想いを巡らせ、そんな未来を楽しみにしている。


秋月律子たちの息づかいを生み出した演出、
そしてツアーの3週間という時間

秋月さんたちは私たちの目の前でパフォーマンスを見せてくれているアイドルである。

という話とは別に、本稿の最後にメタ的なことを言えば、計算されていると思われるxRライブにおいて、彼女たちが生きている息づかいを筆者が感じたのは、前述の通り秋月さんが歌唱中に感極まったシーンである。それも、ただ泣くシーンがあっただけではなく、会場に入ってからの2時間弱だけではなく、東名阪ツアーという3週間かけてのライブ体験があったからより実感できたというのがあるだろう。また、MCが始まってメイク直しのためにいったん舞台を降りる、なんとか元気になってもらおうと三浦さんと観客が「りっちゃんがんばれ」と声をかけるといった、泣いた後の諸々の出来事も含めて体験したからだろう(なお、そのシーンが生まれる過程においても秋月さん・三浦さんの公演関係者によるライブ感あるやり取りがあったそうである)。

また細かい描写でいうと、秋月さんの指示にあわせ実際に舞台の照明が暗くなるというのも、ステージにいるアイドルと現実の舞台との境界線を無くす演出として感心をした(これができたのは、他事務所との折衝も担当するなどスタッフワークも行う秋月さんだからこそ演出として効果的だったのかもしれない)。

前日の「ふたごぼしのつばさ」では、双海亜美さんのマイクトラブルが起き、その解決に向けた双海姉妹とスタッフの奮闘が見られたが、それも含めxRライブにおいて「生の息づかい」を感じさせるものは、まだまだいろいろありそうだ。これからの展開にも大いに期待したい。

本公演のセットリストは下記画像の通り。

©窪岡俊之 THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

(TEXT by tabata hideki)  


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