ソフトバンク・LiVR、AKB48グループのVRライブ配信を2/3開始 最前列のその前「超神席」を体験

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AKSとソフトバンクは16日、ソフトバンクが提供するスマートフォン向けVRライブ配信プラットフォーム「LiVR」(ライブイアール)を利用し、AKB48グループ3劇場の公演を有料チャンネルで生配信すると発表した。

対象となる劇場は、東京・秋葉原の「AKB48劇場」、愛知・名古屋の「SKE48劇場」、新潟の「NGT48劇場」。サービス料金は各劇場チャンネルごとに月額3300円で、各劇場を切り替えて見られるグループチャンネルが月額8400円。

その他、1日限定で各劇場の公演を体験できる「1日視聴券」を1100円で用意。LiVR特製のVRゴーグルと30日間の無料視聴券がセットになった「AKB48劇場VRパック」「SKE48劇場VRパック」「NGT48劇場VRパック」もAKBグループショップで4500円で販売する(以上、各税込)。

今回の劇場ライブ配信を記念して3月31日まで、「AKB劇場14周年記念公演」を無料で提供

現状は生配信のみで、アーカイブ視聴には対応していない。対象となるスマートフォンはiOS 11以上のiPhoneと、Android 6.0以上のスマートフォンかタブレットだ。

3会場とも、3台のVRカメラを正面/上手/下手に配置し、「推し」の立ち位置などに合わせてユーザーがアングルを切り替えられるというのが特徴だ。特に正面のカメラは最前列の前に置かれており、各劇場は入場順が抽選でライブに来ても必ずしも最前列で見られるわけではないため、貴重なアングルになるだろう。なお、カメラや劇場を切り替える場合は、コントローラーなどは利用せず、下方にあるボタンを目で数秒見つめることになる。

実際に体験してみたところ、まず映像が3Dのため、特に正面のアングルでは奥行き感が出て、ライブの迫力が感じられた。アングルはやや下からで、座った状態で見るのに近いと感じた。カメラの切り替えもスムーズで、切り替えの間にもたつくということもなかった。

カメラはZ CAMのE2を2台採用し、前方のみを撮影する。映像品質については4K60pで、端末の再生性能に合わせてビットレートを調節している。なお、通信環境では最低3Mbspが必要で、10Mbps以上が推奨となっているのでWi-Fiで視聴するのが安全だ。4K60pの映像というと端末への高負荷による熱暴走が気になるところだが、今のところトラブルはない模様だ。

Z CAM「E2」2台のカメラで立体視を実現
VRパックに含まれる特製VRゴーグル
上部にあるダイヤルを使って、セットしたスマートフォンを前後に動かしてピントを合わせたり、レンズのIPD(瞳孔間距離)を調節可能だ

このLiVRは、2019年3月から商用化しているサービスで、ヤフオクドームでの福岡ソフトバンクホークス戦や格闘技イベントのRIZINなどを中継してきた。また、5Gの実証実験の一環として、ホークス戦「FUJI ROCK FESTIVAL ’19」バスケットボール日本代表国際試合では、会場にブースを設け、アバターの姿になった複数人でバーチャル空間にログインしてスポーツ観戦やライブイベントを楽しむというブースも提供してきた。

その先にあるのが今回のプロジェクトで、AKSとソフトバンクは今後も5Gを活用したAKB48グループのVRコンテンツ提供を目指して協力していくという。国内最大級ともいえるアイドルグループをVRに巻き込んだという点だけでも非常に大きく、この定期配信がどこまでファンに受け入れられるか、XR業界的にも注目が集まるところだ。

冷や水を浴びせるわけではないが、ひとつ気になったのが、VRならではのライブ体験の追求だ。

例えば目線。VRライブを見たことがある方ならわかるかもしれないが、ステージの出演者は基本的に観客に向けてパフォーマンスを行なっていてカメラを見ないVR映像も多く、そうなると「置いてけぼり」感が高くなる。VRで視聴する際は、ライブに会場にいる感覚が非常に強く、その場にファンがいるならやっぱり「推し」が目を合わせて欲しいだろう。この辺は、VRカメラに向けたアピールタイムなどの演出でカバーできるはずだ。

また、ライブといえば、単純に出演者が見られればいいわけではなく、タイミングを合わせて合いの手を入れるなど、同志と一緒に盛り上がりたい欲求もある。ある意味、客もコンテンツのひとつなのだが、今回のカメラ位置では客席がほとんど映っておらず、現地の熱が伝わりにくいと感じた。CGのVRライブだが、「アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション」では、客席側の制作にも力を入れていた例もあり、客席最前から3列目ぐらいの視点もあるといいかもと感じた。

ともあれ、このVRライブ配信が秘めている可能性は非常に大きい。

今後、先のアバターを使ったバーチャルAKB48劇場をつくってVRユーザーのみが別で盛り上がれるようにしたり、5G内蔵の一体型VRゴーグルをリリースしてどこでもライブ体験ができるようにするなど、さまざまな施策が出てくるはずだ。その未来を感じ取るために、サービス提供の2月3日以降に体験しておくべし。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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