ななしいんく所属のゲーマーアイドルVTuber・季咲(きさき)あんこさんが、デビュー4周年を記念して、2ndシングル「きらめきわーるど」をデジタルリリース(関連ニュース)。明るく可愛いあんこさんのイメージにぴったりなアイドルソングを生み出したのは、同じななしいんく所属のベーシストVTuberで、シンガーソングライターでもある花奏(かなで)かのんさんだ
2023年1月まで、ななしいんく内に存在していたグループ「ブイアパ」でも一緒に活動してきた仲良しコンビに、お互いの第一印象から、新曲制作の過程まで幅広く語り合ってもらった。
友達であり、仲間でもあるんですけど、ファンでもある
──個人勢として活動されていた花奏さんがブイアパに加入したのが2019年9月29日で、約1か月後の10月26日に季咲さんがブイアパからVTuberデビューしています。お二人は、最初はどのような関係性で、そこからどのように変化していったのですか?
季咲あんこ(敬称略 以下、季咲) 私は人見知りとかをあまりしなくて、誰にでも「よろしくお願いします!」みたいな感じで行っちゃうタイプなんです。たぶん、かのんちゃんにも最初からけっこうグイグイ行っちゃってたんじゃないかな? そんなイメージがあります。
花奏かのん(敬称略 以下、花奏) たしかに初めて会ったときから初対面感はあんまりなくて。このインタビューの前に、二人でちょっと話していたんですけど、最初に会ったときと今とで関係性が変わったかって言われると、あんまり変わった印象はなくて。最初から、ずっとこんな感じだったんですよね。
季咲 そうなんですよ。最初から心地良い距離感というか、お互いをリスペクトしている感じがあって。今も、お互いの配信をよく観ていたりもするんです(笑)。
花奏 うん、観てる、観てる(笑)。
季咲 その関係がずっと続いているから、より仲良くなったきっかけとかも特に無くて……。ただ、かのんちゃんとは配信外でも定期的に話しているので、その中で自然に信頼関係みたいなのが生まれていったのかなって思ったりはします。
──では、まず季咲さんに伺いたいのですが、出会ったときの花奏さんの印象を教えてください。
季咲 最初、かのんちゃんは、チョコミント(のカップアイス)が頭に乗ってたんですよ(笑)。「この子、なんでチョコミントが乗ってるんだろう?」って、そのことがすごく気になってました(笑)。
花奏 懐かしい、その時期かー(笑)。
──ミントグリーンの部屋着姿のときには、頭にアイスが乗っていました。最初は、そのインパクトが強烈だったのですね(笑)。
季咲 それで、どんな子なんだろうって思っていたんですけど。話してみたら、音楽もすごくできるし、頭も良くって。最近は、かのんちゃんって、この世で知らないことあるのかなってよく思います。というか、本人にもそう言ってます。
花奏 あるある、いっぱいあるよ(笑)。
季咲 かのんちゃんは、いつも今みたいに言うんですけど、私は「ないでしょ」とか言っていて(笑)。本当にそれくらい、すごく物知りなんです。いろいろなこともできるから、よく1日が24時間で足りてるなって思います。
──では、花奏さんも、季咲さんの第一印象を教えてください。
花奏 最初、あんこちゃんの声を聞く前に「今度、こういう子がブイアパに入ってくるよ」って、お写真だけを先に見させていただいたのですが、当時の774inc.(現・ななしいんく)にはあまりいない可愛さ100%な感じで。実際にお話ししても、明るくて可愛くて、最初は少しふわふわしているような印象があったんです。でも、一緒の時間を重ねていくと、実はすごく芯がしっかりしているし、自分の意志を持っている人だと思うようになっていって。最初は、妹的なイメージだったんですけど、今はけっこうお姉さん的な印象が強くなっています。
──そうなのですね。花奏さんは、「推しの像を作る」と題した「Minecraft」配信で季咲さんの像を作っていましたが、いつ頃から「推し」になったのですか?
花奏 あはは、いつからだろう(笑)。最初はこんな感じじゃなかったよね。
季咲 たしかに。
花奏 それこそ、(1stシングルの)「ほっぴんぐすたー」あたりからかもしれないですね。不思議な感覚なんですよ。友達であり、仲間でもあるんですけど、ファンでもあります(笑)。
「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えたい
──2021年10月26日に発表された季咲さんの1stシングル「ほっぴんぐすたー」は、作詞・作曲・編曲を花奏さんが担当しています。どういった経緯で、花奏さんが担当することになったのですか?
季咲 元々、私は歌うことが大好きなので、歌枠もけっこうやっていたんです。それで、マネージャーさんと「自分のオリジナルソングを持っている人ってカッコ良いですよね」みたいな会話をしていたら、「じゃあ作っちゃう」「え? 作れるんですか?」みたいな話になって。運営さんが「あんこちゃん、よく考えて。ブイアパには、音楽を作れる子がいるよね。一度、相談してみるのもいいんじゃない?」という話になったのが始まりです。
──では、相談の結果、花奏さんが制作すると決まったわけですね。
花奏 はい。でも、相談というか、あんこちゃんとは「二人で曲とかやれたらいいよね」みたいな雑談をしていたんです。たぶん、その話があんこちゃんから運営さんに伝わって。気づいたら(正式に)作ることになっていました(笑)。もちろん、嬉しかったんですけど、あれよあれよという間に……。
季咲 気づいたら、現実になってたみたいな感じでした。
──10月28日に発表された、2年ぶりの2ndシングル「きらめきわーるど」も花奏さんが作詞・作曲・編曲を担当していますが、この曲の制作に関しては、どのような形でスタートしたのですか?
季咲 10月26日がデビュー記念日なので、そのあたりで2ndシングルを作ろうという話をマネージャーさんとしていて。まず、誰に(曲作りを)お願いしたいかという話になったんです。そこで、私が即答で「かのんちゃんにお願いしたいです!」と言いました。マネージャーさんからは「外部の方とかにお願いすることもできるよ」と確認されたんですけど、私は、かのんちゃんの作る歌がすごく好きなんです。それに、私のことをよく知ってくれていて、私の良さを100%以上に引き出してくれるのは、かのんちゃんだと思ったので、「かのんちゃんがいいです!」と伝えました。
──花奏さんは、1stシングルに続く、2度目のオファーが届いたときは、どのような心境でしたか?
花奏 めちゃくちゃ嬉しかったです。ななしいんくでも、いろいろなメンバーのオリジナル曲がすでに出ていたり、これから出たりするんですけど。わりと有名な方というか、自分の好きなアーティストさんにお願いして曲を作ってもらう方も多いんですね。そんな中、私にまた依頼していただけたのは、すごく嬉しいことでした。
──つまり、季咲さんの好きなアーティストは、花奏さんということですね。
季咲 そうです、そうです!
花奏 あら、あら(笑)。
──「きらめきわーるど」の制作は、どのような作業からスタートしたのですか?
季咲 曲を作るにあたって、かのんちゃんから、私がこの曲で何を伝えたいのか考えて、書いて欲しいというお題をもらって。考えたときに「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えたいなって思ったんです。それで、誰にどんな「ありがとう」を伝えたいのかを箇条書きにした作文みたいなものを書いてかのんちゃんに渡し、歌詞に当てはめてもらった感じです。
──季咲さんの中で、4周年を迎える今、まず伝えたいと思った気持ちが「ありがとう」だったのですね。
季咲 はい、そうです。
──どんな「ありがとう」について書いたのですか?
季咲 例えば、ファンのみんなへの感謝だったり、私に関わってくれるななしいんくのメンバーへの感謝だったりですね。
──その作文を書くときには、何を書こうか悩んだりもしたのでしょうか?
季咲 いいえ、すぐにさらさらっと書けました。「ありがとう」って気持ちを書こうと思ったら、伝えたいことがどんどん出てきたんです。
花奏 本当に書くのが早かったよね。 たぶん、皆さんが想像するよりも全然早かったです(笑)。あと、あんこちゃんには、「ポジティブな内容に限らなくても良いので、素直な心境を自由に書いてね」とも伝えたのですが、あんこちゃんからは、ネガティブな言葉が一切出てこなくて。書かれているのはポジティブな内容だけでした。
──季咲さんのイメージにぴったりのエピソードですね。花奏さんは、季咲さんの伝えたい思いを受け取って、どのように制作を進めていったのでしょうか?
花奏 今回も、一応、私が作詞をやらせていただいてるんですけど、私が書いたというよりは、あんこちゃんに書いてもらった、リスナーさんたちへのお手紙みたいな作文と、普段のあんこちゃんの振る舞いを元に書いた形です。今、お話ししたみたいに、あんこちゃんって本当にポジティブで。配信では絶対にネガティブなことを言わないし、配信外で喋っていても、ネガティブなことはほとんど言わないんです。本当は、辛いこともいっぱいあると思うんですけど、表に出すものはポジティブなものだけ。私個人だと、ジメジメした歌詞を書きがちなんですけど(笑)。そういうネガティブな言葉は、入れないようにしました。
──どんな作文だったのかも気になります。一部だけでも、この記事の中で紹介させていだたくことはできないですか?
季咲 やだやだ! 恥ずかしい!
花奏 あはは(笑)。
──残念ですが、諦めます(笑)。
普段より少し大人っぽい歌い方をしている箇所がある
──花奏さんに伺いたいのですが、ネガティブな要素を感じさせない季咲さんのための曲を作るときには、普段の曲作りとは異なる感覚があったりするのでしょうか?
花奏 あんこちゃん以外にも、楽曲提供をさせていただいたことはあるんですけど。そういうとき、基本的には私の世界観のまま作らせていただいたんです。でも、あんこちゃんの曲だけは、私があんこちゃんの世界に行くようなイメージ。普段、開けない引き出しを開けまくって、なんとか、あんこちゃんに近づこうとしながら作りました。
──季咲さんは、「きらめきわーるど」の曲や歌詞を最初に聴いたとき、どのような印象を受けましたか?
季咲 とにかく可愛くて、ライブ映えのする歌だなって思いました。それに、歌詞がすごく真っ直ぐで、聴いたらそのまま素直に伝わるような内容で、早くお披露目したいという気持ちが強くなったし、「本当に2ndシングルを出すんだ」という実感もどんどん湧いてきました。
──歌ったときの印象も教えてください。
季咲 今回の曲では、普段より少し大人っぽい歌い方をしている箇所があるんです。だから、一つの曲を通して、いろいろな私を知ってもらえる曲にもなっているんじゃないかなと思いました。
──歌い方を変えているのは、「ずっとずっと知らなかった~」のパートですね。それは、花奏さんからの指示だったのですか?
季咲 はい。かのんちゃんから、ここの歌詞はどんなイメージで作ってもらったのかを聞いて。「大人っぽい感じで歌ってるあんこちゃんのイメージ作ったよ」と言ってもらったので、レコーディングのときも、そのイメージに沿った歌い方をできたらなと思いました。
──レコーディングの当日は、花奏さんもスタジオにいたのですか?
花奏 はい。もちろんいました。
──では、スタジオで歌う季咲さんに対する印象を教えてください。
花奏 やっぱり、あんこちゃんは、歌が上手いです(笑)。
季咲 ずっと「可愛いよ~」って言われていました(笑)。
花奏 可愛かったです(笑)。真面目に話をすると、配信だと、可愛い歌い方が「あんこちゃん」で、カッコ良い歌い方が「ANKOさん」ってリスナーさんから呼ばれているんですけど。レコーディングのときも、「あんこちゃん」と「ANKOさん」をシームレスに行き来できるというか。「ここは可愛いイメージで」って言ったらすごく可愛く歌えるし、「ここはカッコ良いイメージ」って言ったら、すぐに切り替えてカッコ良く歌えるし。シンガーとしての幅がすごく広いなという印象がありました。
──季咲さんは、いろいろな曲を歌って欲しいと思うような歌い手ですか?
花奏 そう思いますね。今回も、いろんな可能性がありました。「ほっぴんぐすたー」を作ったときには、「2曲目はロック系もいいよね」みたいな話もしていたんですよ。
季咲 うんうん。
花奏 「あんこちゃん」とも「ANKOさん」ともまた違う、カッコ良さ増し増しの「あんこ君」もいて(笑)。以前、(アニメ「呪術廻戦」のオープニング)「廻廻奇譚」を歌動画で歌っていたりして、わりとロック系も合うんです。
──歌い方も非常にカッコ良いですよね。
花奏 カッコ良いのも、バラードも、可愛いのも良くて、シンガーとして何でもいけるなみたいな状態だから、今回もどういう方向性でいくのかはすごく考えました。ただ、曲を作る直前(の6月)に「太陽と月とエトワール」という(ななしいんくの)音楽イベントがありまして。そのときのあんこちゃんのパフォーマンスが、めちゃくちゃアイドルとして盛り上がっていたんです。たぶん、イベントの中で、一番お客さんのコールがすごくなるくらいのパフォーマンスをしていました。さっきも言ったように、あんこちゃんはシンガーとして本当にどんな曲でも行けると思うんですけど。今回に関しては、ライブで盛り上がるような、アイドルらしい魅力が出せる曲にしようと思いました。
本当にポジティブなものしか詰まってない曲
──2曲目には、花奏さんを含むななしいんくの4人(宗⾕いちかさん、杏⼾ゆげさん、花奏かのんさん、⾶良ひかりさん)のコールが入った、さらにテンションが高いバージョンも収録されています。コール付きバージョンも収録することになったタイミングや理由などを教えてください。
季咲 どのタイミングだったっけ?
花奏 最初から決まってたわけではなくて、途中で決まったよね。たしか、 最初にフルバージョンのデモを提出したときだったと思います。
季咲 最初、コールの声は、私とかのんちゃんの二人の予定だったんです。でも、それだとコールに厚みが無いし、せっかくなら来てくれそうなメンバーを呼ぼうよという話になって。私が普段からすごくお世話になってる3人にも声をかけたら、「むしろ参加させて」くらいの感じで言ってもらえたんです。
──3人のコールも、スタジオでレコーディングしたのですか?
花奏 いえ、それぞれに録ったものを送ってもらいました。
──特に面白いと思ったのは誰のコールですか?
季咲 誰だった?
花奏 みんなすごく良かったんですけど、個人的に好きだったのは、ゆげちゃんです。コールだから、いちかちゃんとひかりちゃんは、元気いっぱいに「あんこちゃーん!」みたいな感じでやってるんですけど。ゆげちゃん自身のキャラクター性も、あんこちゃんとの関係性も、そういう感じではないので。もちろん、すごく一生懸命やってくれてるんですけど、ほんのちょっとだけ冷めてるというか……。100%の「あんこちゃーん!」みたいな感じじゃないんです。
──最前列で、ペンライトを振ってるファンではない感じですね。
花奏 そうですね。一番後ろの席とかで、しっかり応援してる感じの雰囲気があります。
季咲 静かにペンライトは振ってくれてる感じだね。
花奏 そうそう。あんこちゃんのことは大好きだけど、あんまり表には出さないみたいな(笑)。
──季咲さんは、皆さんのコールにどのような印象を受けましたか?
季咲 良い意味で、みんないつも話すときと変わらない印象というか。そのままのイメージのコールが来たと思って、嬉しかったです。
──これは、お二人に伺いたいのですが、この「きらめきわーるど」は、ご自身にとって、どのような曲になりましたか? まずは、花奏さんからお願いします。
花奏 先ほどもお話ししましたが、「太陽と月とエトワール」のあんこちゃんのパフォーマンスを観て、ライブでファンの方がめちゃめちゃ盛り上がる曲を作ろうというところから、作曲をスタートした曲で、私の初めてのアイドル曲です。花奏かのん個人の曲は、内を向いていて自分との対話になりがちなんですけど、この曲は、あんこちゃんのリスナーさんにどうやったら楽しんでもらえるかなということを一番考えながら作りました。だから、私の作った曲の中で、一番、ライブで盛り上がってもらえる曲になったかなと思います。
──季咲さんにとっては、どのような曲になりましたか?
季咲 いつ聴いても元気になれるというか、聴いてるうちに、気づいたら笑顔になれちゃうような曲だなって思います。普段は恥ずかしくて、感謝とかをあんまり言葉にして言えないんですけど。この曲を通してなら「ありがとう」って素直に伝えられると思うし、本当に嬉しいです。
──聴いたリスナーさんは、きっと嬉しくて元気になると思うのですが、歌っている季咲さんご自身も元気になれるような曲ですか?
季咲 はい。レコーディングのときもそうだったんですけど、最初に聴いたときから、すごく可愛くて元気な曲だなって思っていて。歌っているときはもちろん、私自身が聴いていてもすごく楽しい曲です。
──花奏さんも「ライブ映えする曲」と仰っていましたが、早くライブで歌ってみたい曲ですか?
季咲 もちろん、そうです。会場全体で盛り上がりたいなって思います。
──では、最後の質問になるのですが。正直、季咲さんや花奏さんのファンは、この記事を読んでいなくても、すでに「きらめきわーるど」を聴いてくれていると思うんです(笑)。そうではない読者に勧めるとしたら、どんな人や、どんなときに、聴いてもらいたい曲だと思いますか?
季咲 どんなときが良いかな?
花奏 疲れたときとか、元気がないときとか。
季咲 そうだね。癒されたいときとか。
花奏 本当にポジティブなものしか詰まってない曲なので。ちょっと疲れたな~って人は、あんこちゃんから元気をもらえるんじゃないかな。
季咲 たぶん、気づいたら一緒にコールしてます(笑)。
花奏 あはは(笑)。
(TEXT by Daisuke Marumoto)
●楽曲データ
2023年10月28日(土) デジタルリリース
季咲あんこ2nd Single「きらめきわーるど」
Lyrics:花奏かのん
Music:花奏かのん
M1. きらめきわーるど
M2. きらめきわーるど(宗⾕いちか & 杏⼾ゆげ & 花奏かのん & ⾶良ひかり コールver.)
M3. きらめきわーるど(Instrumental)
●関連リンク
・季咲あんこ(X)
・季咲あんこ(YouTube)
・花奏かのん(X)
・花奏かのん(YouTube)
・ななしいんく(公式サイト)
・ななしいんく(X)
・No-Name Records(X)