ローンチから始まる壮大な未来 バーチャル旅行プラットフォームアプリ「ANA GranWhale」

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ANA NEOは12月11日、バーチャル旅行プラットフォームアプリ「ANA GranWhale」を日本でローンチした。(関連記事

当アプリはスマートフォン専用アプリで、iOS、Androidに対応している。スマートフォンから国内外あわせて合計64ヵ所の観光地へのバーチャル旅行や、誰もが知る有名ブランドのアバター用デジタルアイテムの購入ECサイトにて実際の商品の購入や、マイルを獲得できるガチャなどを体験できる。

コロナ禍以降、非航空系事業の収益拡大に力を入れてきたANAグループが約3年の開発期間を経てローンチしたこのアプリは、バーチャルと旅行という一見すると相反する領域を「バーチャル旅行プラットフォーム」という大枠で発表したものになっている。

バーチャルで旅行を楽しめてしまったら実際に旅行に出かけず、飛行機に乗る人が減ってしまうのでは? という疑問はあるが、ANAグループとしてはむしろ「ANA GranWhale」は旅の入り口であり旅にとって代わるものではなく、旅に行きたくなるきっかけのひとつとして考えているという。バーチャル旅行で観光地の良さを知り、実際にその土地へ誘うという、バーチャルとリアルの相互関係を感じさせるものだった。


ANA GranWhaleで遊ぶとマイルが貯まる!

バーチャル旅行プラットフォームアプリとしてローンチされた「ANA GranWhale」は、プラットフォームというだけあり、さまざまな観光地をバーチャル旅行したり、モールでショッピングすることができるなど、旅行に関するさまざまなものごとを体験できるほか、なんと実際に使用できるマイルを獲得するチャンスもある。

アプリ内のワールドには随所に「グランチップ」という青いコインのようなアイテムが落ちており、一定数集めるとガチャを回すことができ、それによってマイルを獲得できる。ゲームのログインボーナスでマイルを貯められると思うとその凄さが伝わりやすいのではないだろうか。

マイルを貯めるにはANAマイレージクラブ(AMC)のアカウントを連携させる必要があり、連携すると専用のログインボーナスもある。

とはいえマイルで旅行するには行先にもよるが国内線のローシーズンで片道5000マイルは必要なため、アプリ内のガチャだけで旅行に行くには途方もない時間がかかりそうだ。元から貯めている方は旅行先を調べる流れで、はたまた新しいバーチャルプラットフォームで遊びながら貯められると思うとお得感がある。これを機に貯めてみようかな? という方もウェブサイトから簡単にAMC会員登録できるので、ぜひやってみよう。

グランチップ200枚につき一回ガチャを回せる。グランチップはワールドで取得するほか、デイリーボーナスやデイリーミッションの報酬としても獲得できる。毎日コツコツ遊ぶほどマイルを獲得できるとなると、義務感だけでなく「マイルが欲しい」という明確な動機付けが働くのは凄い点だと感じた。

一点、注意点として、アプリとしては重い部類になるため、通信環境の良い場所でのダウンロードがおすすめだ。また、エリアの移動や新しい店舗に入る際などに追加ダウンロードも必要になるのを気に留めておこう。


64ヵ所の観光地をバーチャル旅行できる「V-TRIP」

「ANA GranWhale」のメインコンテンツとも言えるV-TRIPは、ガイドが観光地を案内する形式でその土地の情報やみどころ、観光名所の見やすいポイントなどを知ることができるガイド付きツアー。ツアーが終わるころにはその土地に詳しくなれて、写真スポットなども体験できるため、行ったときの参考になる。また、デイリーボーナスのチャレンジにも設定されているため、バーチャル旅行を体験するとグランチップも貯まる。

基本的には360度画像内を移動して体験する形だが、一部の観光地は国土交通省のデジタルツインデータ「PLATEAU」を活用するなど、意欲的なものになっている。
上記のスクリーンショットはPLATEAUが活用されている京都府先斗町。細い路地に飲み屋が連なる独特の景観がリアルに再現されているのが楽しい。

観光地は京都、北海道、沖縄を中心に国内の人気観光地と海外の有名観光地数カ所を合わせた全64ヵ所。日本の観光地として人気の高い場所から選ばれた中から、日本でのローンチに先立って海外でローンチされたさいに一番人気だったという桜の名所として有名な青森県の弘前城を体験した。

ツアーは一人から最大四人まで参加できる。同時に参加した場合は音声チャットでやり取りできるというが、今回は一人で参加していたため音声でのやりとりはできなかった。

ガイドが詳しい情報や歴史的背景などを教えてくれるため、深掘りするのが好きな方や、好きな作品のロケ地や舞台の聖地巡礼が趣味の方は結構見入ってしまうのではないだろうか。

また、V-TRIP中に撮影した写真を投稿する「ロケポスト」という機能があり、いろんなユーザーが思い思いに写真を投稿しているのも面白い。旅行先の写真をSNSに投稿するのは当たり前になっているが、場所自体に写真を紐づけるようなところはGoogleMapに近いかもしれない。このロケポストの投稿や、いいねを押すことでもデイリーミッションをクリアできる。

ひとつのツアーをしっかり見ようとすると30分くらいかかることもあり、毎日少しずつ体験していっても現在64ヵ所もあるため、全てを見て回るのはかなり時間がかかると思う。


有名ブランドのアバターファッションを購入できる「Skyモール」

その名の通りアプリ内のショッピングモールで、大きな商業施設のようなエリア内を各ショップが軒を連ねている。ANA GranWhaleの凄い点として、Skyモールに参加しているのはミズノやLACOSTEといった誰もが知るブランドが並んでいる点だ。しかも、まだオープンしていない店舗があるなど、今後の拡張が気になるところ。

それぞれのショップではANA GranWhale内で着用できるアバターファッション用アイテムの購入と、ECサイトへジャンプして実際の商品の購入も可能。ANA GranWhale内の購入はすべてコインなので、デイリーミッションをクリアするなどアプリを楽しんでいれば基本的に無料でも楽しめる。もちろん、コインやチップを実際に購入することもできるが、無料でも十分たのしめるのは大きい。


ローンチから始まるANA GranWhaleの壮大な未来

ANA GranWhaleの今後の展開も発表になったが、かなり壮大な計画になっていた。新しいライフスタイルを実現するためにバーチャル、リアルをつなぐプラットフォームを作り出すというSF小説で描かれるようなメタバース構想を目指しており、今回のアプリローンチはそのスタート地点ということになる。

現時点ではスマートフォンアプリとしてのサービス提供となるが、観光地のリアルな作りはぜひVRで体験したいと思った。旅行先の情報収集においてインターネット検索が当たり前の現在、専用のプラットフォームを作りバーチャルとリアルが相互に補う旅行のあり方は、旅行のみならず、バーチャルショッピングやメタバース事業の今後にも影響しそうだ。

●ANA GranWhale
・ANA GranWhale:https://www.ana-granwhale.com/
・ANA NEO:https://www.ana-neo.com/

(TEXT by ササニシキ