ホロライブプロダクション最大のイベントが今年も開催。3月16日(土)と17日(日)に、千葉県の幕張メッセの展示ホール4~8で「hololive SUPER EXPO 2024 Supported By BANDAI」が行われ、世界中から数多くのホロライブファンが集結し、ホロメンたちの直筆メッセージやサインも描かれた展示物や、オリジナルフード&ドリンク、ステージイベントなどを楽しんだ。
同日、展示ホール1~3では、ホロライブの全体ライブ「hololive 5th fes. Capture the Moment」の全4ステージも開催。今年の「5th fes」は、ホロライブ(JP)、ホロライブID、ホロライブENの3Dモデルの身体を持っている53人が出演する過去最大規模のフェスとなった。この記事では、17日(日)に開催された「Honey Works stage」と「stage3」の現地会場で、特に印象的だったシーンをレポートする。
「Honey Works stage」には、37人のホロメンが出演!
幅広い世代から絶大な支持を集めているクリエイターユニット「HoneyWorks(通称:ハニワ)」と、ホロライブのコラボレーション音楽プロジェクト「hololive × HoneyWorks(ホロハニ)」。昨年9月のプロジェクト発表以来、カバーMVの公開、オリジナル曲のリリース、アルバム「ほろはにヶ丘高校 -Originals-」と「ほろはにヶ丘高校 -Covers-」のリリースなどさまざまな活動を行ってきたが、「ホロハニ」初のライブとして、「5th fes」2日目の昼、「Honey Works stage」が開催された。
出演者は、ときのそらさん、白上フブキさん、夏色まつりさん、紫咲シオンさん、百鬼あやめさん、大空スバルさん、AZKiさん、大神ミオさん、さくらみこさん、猫又おかゆさん、
戌神ころねさん、星街すいせいさん、兎田ぺこらさん、不知火フレアさん、白銀ノエルさん、宝鐘マリンさん、天音かなたさん、角巻わためさん、常闇トワさん、姫森ルーナさん、雪花ラミィさん、桃鈴ねねさん、獅白ぼたんさん、尾丸ポルカさん、ラプラス・ダークネスさん、鷹嶺ルイさん、博衣こよりさん、沙花叉クロヱさん、風真いろはさん、ムーナ・ホシノヴァさん、クレイジー・オリーさん、アーニャ・メルフィッサさん、こぼ・かなえるさん、小鳥遊キアラさん、がうる・ぐらさん、ハコス・ベールズさん。そこに、サプライズでの出演となった湊あくあさんを加えた37人。前日の「stage1&2」と同じ展示ホール1~3に設置されたホロライブ初の3面ステージで、既存のHoneyWorks楽曲のカバーと「ホロハニ」オリジナル曲の全22曲が披露された。
オープニング映像の後、最初に正面のステージに登場したのは、フブキさん、まつりさん、フレアさん、ノエルさん。出演者全員が統一のライブ衣装姿だった前日とは違い、メインビジュアルなどでお馴染みの通常衣装姿で登場した4人は、「ファンサ」のカバーを披露。「HoneyWorks」の代表曲の一つであり、VTuberのライブや歌動画でカバーされる機会も非常に多い人気曲で、「Honey Works stage」のステージは開幕した
前日とは異なる魅力も放つホロメンたち
前日には「stage1」と「stage2」を取材していたこともあり、個人的には、前日のステージからの印象の変化も大きかったメンバーのパフォーマンスが特に印象深かった「Honey Works stage」。「stage1」で熱血アニソン「真赤な誓い」を歌い、エアリアル(側宙)も決めるというド派手なステージで会場をどよめかせたころねさんは、ワクワク感でいっぱいのキュートな「ホロハニ」オリジナルソング「かわいこちぇっく!」を披露。歌詞に合わせて尻尾をフリフリする姿も可愛い。
「stage2」では、サンバのリズムに乗せて大好きな「カブクワ」(カブトムシとクワガタムシ)への愛を歌うコミカルなオリジナル曲「ねねちのギラギラファンミーティング」で会場を沸かせたねねさんは、大好きな推しへの複雑な思いを歌った「同担☆拒否」をカバー。好きな存在への愛がテーマの曲という点では、どちらも共通しているのだが、「同担☆拒否」の歌とダンスは、まさに正統派アイドルの魅力。ギラギラと熱くハイテンションで癖になる前日のパフォーマンスとは、ガラリと印象が変わっている。しかし、一つ一つの動きが大きく切れがあり、メリハリの効いたねねさんのダンスは、コミカルな曲でも、ポップなアイドル曲でもステージ映えして楽しい。広い会場との相性も抜群だった。
13曲目では、さくらみこさんが「motto☆いちごオレ」をカバー。いつも甘くとろけるような口調も特徴的なみこさんが、可愛くも勇ましいヒーローソングを歌う姿には、やはりアイドルとしての表現力はエリートだと実感させられた。また、14曲目では、昨年12月から一部の活動を休止している紫咲シオンさんが、「リア充★撲滅運動」をカバー。元気なパフォーマンスを観られたことに安心しつつ、変わらぬ可愛さに、また早くこんな姿を観られる日が来ることを期待してしまう。
クライマックスの20曲目では、「ホロライブサマー2023」のメインテーマ「青春アーカイブ」を、このステージの出演者には名前が入っておらずサプライズでの出演だったあくあさんを含む9人で披露。「ホロハニ」プロジェクト始動以前に発表されていた「Honey Works」とホロライブのコラボ曲だが、当然、「Honey Works stage」にもぴったりのまさに青春という楽曲。ホロライブJPのそらさん、すいせいさん、フブキさん、あくあさん、かなたさん。ホロライブIDのムーナさん、イオフィさん。ホロライブENのキアラさん、ぐらさんと、アニメMVや音源に収録されているのと同じホロメンが勢揃いし、「fes」ならではの華やかで豪華なステージだった。
5度目のフェス最後のステージは、「キラメキライダー☆」で開幕
「5th fes」の最後を飾る「stage3」は、17日(日)の夜に開催。ロボ子さん、白上フブキさん、湊あくあさん、紫咲シオンさん、百鬼あやめさん、AZKiさん、さくらみこさん、猫又おかゆさん、星街すいせいさん、常闇トワさん、雪花ラミィさん、ラプラス・ダークネスさん、ムーナ・ホシノヴァさん、クレイジー・オリーさん、アーニャ・メルフィッサさん、ワトソン・アメリアさん、セレス・ファウナさん、七詩ムメイさんの18人が、全28曲を披露した。
疾走感あふれる全体曲「キラメキライダー☆」で開幕した「stage3」。最初に驚かされたのが、3曲目でオリジナル曲「ω猫」(オメガねこ)を歌ったAZKiさん。2018年11月の活動開始から、2022年4月のホロライブ移籍までは、音楽に特化した活動を続けていた歌姫が30曲以上のオリジナルソングの中からセレクトしたのは、語尾が「にゃん」のネコ語も織りまぜられた可愛さ全振りの楽曲。「1st fes」から去年の「4th fes」までのソロパートでは、エモーショナルな曲を歌ってきた印象が強いだけに、積極的に変化と進化を続けるAZKiさんが、また一つ殻を破ったようにも感じられた。
AZKiさんの存在を知った活動初期、情念的な歌声やビジュアルの印象から、ミステリアスなタイプのシンガーだと思い込んでいた当時の筆者であれば、同姓同名の別人だと思っていたかもしれない。ホロライブへの移籍後、VTuberとしての活動の幅を大きく広げると同時に、AZKiさんの可愛さは広く知られてきたのだが、生で聴く「にゃん」は、想像を上回る破壊力だった。
・ホロライブVTuber・AZKiに聞く、VTuber Fes Japanへの想い 「みんなの記憶に少しでも残るパフォーマンスがしたい」
「stage1」からすべてのステージに共通していたことだが、例年のフェス以上に、コラボ曲のメンバーの組み合わせに新鮮味を感じることが多かった「5th fes」。9曲目、あやめさん、ラミィさん、アーニャさんの「初恋サイダー」。13曲目、シオンさん、アメリアさん、ムメイさんの「空色デイズ」。そして、18曲目、ロボ子さん、あくあさん、ファウナさんの「ぼなべてぃーと♡S」などは、年に一度のフェスならではのスペシャル感を特に強く感じさせつつ、パフォーマンスも魅力的だった。
大人気のすいちゃんは、オリジナル曲メドレーを熱唱
そして、「stage3」のクライマックスを大いに盛り上げたのは、今では、ホロライブやバーチャル界という枠を越え、アーティストとして際立つ存在感を放っているすいせいさん。おそらく、会場のホロライブファンの多くが、すいせいさんがどの曲を歌うのか想像しながら登場を楽しみに待っていたはずだが、ソロ出演者の大トリとして登場し、「お待たせ!」と叫んだすいせいさんは、まず「灼熱にて純情(wii-wii-woo)」の1番を熱唱。間奏を中断する力強いドラムと同時に、「Newton」のメロディに切り替わったときは、会場を震わすような歓声が響きわたった。「Newton」を歌った後、さらに「ソワレ」のイントロへと切り替わると、歓声とコールの声はさらにボリュームを増す。すいせいさんは、後のMCで「歌いたい曲があり過ぎてメドレーになった」と語ったが、聴きたい曲があり過ぎるファンにとっても嬉しいサプライズだった。
3曲メドレーで会場を歓喜させたすいせいさんは、27曲目では、AZKiさんとのデュエット曲「The Last Frontier」も披露。2019年5月から2022年3月までカバー(ホロライブプロダクションの運営会社)の中に存在していた音楽特化レーベル「イノナカミュージック」の所属アーティストだった二人(すいせいさんは、2019年12月にホロライブへ移籍)。2021年10月にリリースされたこの曲は、AZKiさんが作詞、作曲を担当。二人の出会いや歩みを歌った曲でありながらも、歩みを止めた語り手が、輝き続けるかつての仲間(彗星)に向けて、未来を託してエールを送っているような歌詞になっている。しかし、この「stage3」では、ライブバージョンとして歌詞の一部を変更。筆者は、リアルタイムでその変化に気づくことはできなかったのだが、歌唱後の二人でのMCで、新たな歌詞を担当したすいせいさんが、サプライズでAZKiさんに宛てた手紙を朗読。その中では、新たな歌詞に込められたAZKiさんに対する思いも語られ、AZKiさんは、泣きながら、それを聞いていた。
星街すいせいとAZKiを繋ぐ「イノナカ」の絆
2018年12月に、ホロライブとは別のカバー内の新たなVTuberプロジェクトとして活動を開始したAZKiさん。そして、「イノナカミュージック」の発足と同時に、2018年3月から企業のサポートなどを受けない個人勢アイドルVTuberとして活動をしていたすいせいさんも加入し、二人は出会うことになった。ちなみに、「イノナカミュージック」の始動が発表されたのは、秋葉原エンタスで開催されたAZKiさんの1stワンマンライブ「The Shitest Start」のオープニング。その場で、すいせいさんの加入も発表され、個人勢時代に発表した2ndオリジナル曲「天球、彗星は夜を跨いで」をLive2Dの身体で披露。すいせいさんにとっては、それがライブでの初歌唱だった。
後に、AZKiさん自身の言葉で明らかになったことだが、AZKiさんのプロジェクトは、2022年7月に終了することが早くから決まっており、美しい最後を見せることも想定した企画として進行。AZKiさん自身、限られた時間の中で何を残せるか考えながら活動していたそうだ。しかし、そのルートは、AZKiさん自身の意志により異なる道へと分岐。2022年3月のイノナカミュージック活動終了に合わせて、ホロライブに移籍すると、先に移籍していたすいせいさんと同じホロライブ0期生となり、VTuberとしての活動の幅を広げていった。
「The Last Frontier」は、AZKiさんが決められたエンディングを見据えながら活動していた時期に作られた曲。そのため、すいせいさんに対する思いが込められた歌詞は、AZKiさんからのエールの様な内容になっていたのだろう。しかし、同じホロライブ0期生として一緒に実質的な「fes」の大トリを務めることになった今回、今の二人だから歌える曲に変えたいと考えたすいせいさんは、AZKiさんに歌詞の変更を提案。「最前線の地へ 君なら行ける」という言葉を「最前線の地へ 共に進もう」に変えるなど、ルートが変わって共に歩み続けられている仲間へのアンサーソングへと変更したのだ。
二人のお互いを思う優しさ、そして、すいせいさんのアイデアとそれを実行していく行動力が結びついた成果、「The Last Frontier」は、「Capture the Moment」(瞬間を感じて記憶に残す)というタイトルを掲げた「5th fes」のフィナーレに、より相応しい曲になっていた。そして、最後の28曲目には、「stage3」の全出演者が3つのステージに分かれて、「5th fes」のテーマ曲「Capture the Moment」を披露。全世界のホロライブファンが熱狂した2日間のお祭りは、大歓声の中で終了した。
2日間を通じて会場で強く感じたのは、広い会場を物ともしないファンの歓声やコールの大きさと温かさ。コロナ禍では禁止されていたライブでの声出しが解禁されて以降、観客は全力でライブを楽しみ熱狂している様子なのに、声のボリュームだけはなぜか以前よりも小さく感じることも多く。ライブの楽しみ方自体が変わってしまったのかと考えたこともあるのだが、この「5th fes」では、久々に聴くようなレベルの大歓声、しかも、ただ乱暴に叫ぶだけではなく、嬉しさや驚きが伝わるような歓声が常に広い会場に響いていた。会場の最後方からこの雰囲気を感じていた筆者でも楽しかったのだから、ステージであの歓声を浴びていたホロメンたちは、きっと今すぐにでも「6th fes」をやりたいと思っているに違いない。
●「hololive 5th fes. Capture the Moment」セットリスト
「Honey Works stage」
M1 ファンサ/白上フブキ、夏色まつり、不知火フレア、⚔️白銀ノエル
M2 かわいこちぇっく!/戌神ころね
M3 シス×ラブ/クレイジー・オリー、アーニャ・メルフィッサ
M4 アイドル十ヶ条/猫又おかゆ、姫森ルーナ
M5 同担☆拒否/桃鈴ねね
M6 可愛くてごめん/ロボ子さん、アキ・ローゼンタール、癒月ちょこ、猫又おかゆ、宝鐘マリン、桃鈴ねね、ラプラス・ダークネス、博衣こより、パヴォリア・レイネ、セレス・ファウナ
M7 うたげ☆独壇場!/百鬼あやめ
M8 決戦スピリット/ムーナ・ホシノヴァ
M9 Tokyo Wabi-Sabi Lullaby/がうる・ぐら
M10 東京サマーセッション/大空スバル、天音かなた
M11 パクパク成敗/ハコス・ベールズ
M12 1日ヒーロー/こぼ・かなえる、小鳥遊キアラ
M13 motto☆いちごオレ/さくらみこ
M14 リア充★撲滅運動/紫咲シオン
M15 大嫌いなはずだった。/獅白ぼたん、尾丸ポルカ
M16 センパイ。/AZKi、大神ミオ、雪花ラミィ
M17 プライダルドリーム/兎田ぺこら, 宝鐘マリン
M18 アウトサイダー計画/ラプラス・ダークネス、鷹嶺ルイ、博衣こより、沙花叉クロヱ、風真いろは
M19 イノコリ先生/角巻わため、常闇トワ
M20 青春アーカイブ/ときのそら、白上フブキ、湊あくあ、星街すいせい、天音かなた、ムーナ・ホシノヴァ、アイラニ・イオフィフティーン、小鳥遊キアラ、がうる・ぐら
M21 誇り高きアイドル/ときのそら
M22 教室に青/星街すいせい
「stage3」
M1 キラメキライダー☆/stage3全員
M2 y*Love♡Fest☆/雪花ラミィ
M3 AZKi
M4 ソングオブザデッド/クレイジー・オリー
M5 むげんだいすき/さくらみこ、白上フブキ
M6 シュガーソングとビターステップ/ワトソン・アメリア
M7 mumei/七詩ムメイ
M8 合縁事変/ラプラス・ダークネス
M9 初恋サイダー/百鬼あやめ、雪花ラミィ、アーニャ・メルフィッサ
M10 偽造人間40号/アーニャ・メルフィッサ
M11 Who’s Toxic? It’s You!/ムーナ・ホシノヴァ
M12 S.T.Y./常闇トワ
M13 空色デイズ/紫咲シオン、ワトソン・アメリア、七詩ムメイ
M14 Shiny Smily Story/Stage3全員
M15 シンデレラ・マジック/紫咲シオン
M16 ネコカブリーナ/猫又おかゆ
M17 君の最推しにしてよ!/湊あくあ
M18 ぼなぺてぃーと♡S /ロボ子さん、湊あくあ、セレス・ファウナ
M19 僕が死のうと思ったのは/ロボ子さん
M20 ODDTAXI/セレス・ファウナ
M21 melting/百鬼あやめ
M22 Gimme×Gimme/ムーナ・ホシノヴァ、猫又おかゆ
M23 Letter☆彡/白上フブキ
M24 アワーツリー/さくらみこ
M25 星街すいせいメドレー/星街すいせい
M26 RAD DOGS/常闇トワ、ラプラス・ダークネス、クレイジー・オリー
M27 The Last Frontier/AZKi、星街すいせい
M28 Capture the Moment/Stage3全員
(text by Daisuke Marumoto)
©️ 2016 COVER Corp.
●公式サイト
https://hololivesuperexpo2024.hololivepro.com/
●配信情報
配信チケット:各公演6500円(税込)、通し券2万5000円(税込)
配信サイト(SPWN)
https://spwn.jp/events/24031601-jphololive5thfes