軽い・広い・鮮明! ウワサの新型PC VRゴーグル「Bigscreen Beyond 2」をレビュー

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2025年3月に発表されたPC向けVRヘッドセット「Bigscreen Beyond 2」(注文ページはこちら)。従来機の「Bigscreen Beyond」(初代)より、対角線視野角が102度から116度へ向上し、これまでなかったIPDの調節機能も追加されるなど、アップデートがなされたうえで、価格は据え置きの16万9800円~。さらに、本体重量が16%減の107gとより軽量化するなど、気になっているVRユーザーも多いのではないだろうか。

PANORAでは4月21日、日本代理店のIntoFreeと協力し、そんな同機を国内最速で触れる無料体験会を実施した。本記事では、この体験会で触れたBigscreen Beyond 2のファーストインプレッションをみなさんとシェアしたい。

Bigscreen Beyond 2 スペックおさらい

「Bigscreen Beyond 2」は、3月21日に予約受付を開始した新型のPCVRヘッドセット。SteamVRに対応しており、別途、BaseStation1.0/2.0やコントローラーを用意して、PCにケーブルで接続した上で利用する、いわゆるアウトサイドイン方式を採用している。

従来機からの最大の変更点は、新型のパンケーキレンズだ。ディスプレイ自体は従来機と同様の片目あたり2560×2560ドット、75/90Hzで動作する1インチマイクロOLEDを搭載している。しかし、この新型パンケーキレンズにより、対角線視野角が102度から116度に広がった上、スイートスポット(映像が綺麗に見える範囲)も広がったという。対角線視野角116度というのは、Meta Quest3(110度)に匹敵するもので、普段使いには申し分ないだろう。

さらに、新しいレンズ設計により、明るさとグレアが改善され、より鮮明な映像表現が可能となっている。

また、初代では注文時にiPhoneなどを用いて顔の3Dスキャンを行い、ユーザー専用のフェイスクッションをオーダーメイドで削り出すほか、IPDも固定されて発送される方式だった。一方で、Beyond 2ではフェイスクッションの注文は任意となったほか、IPDを調節できるドライバーが同梱されており、手動での調整が可能となった。

このように専用ドライバーをネジ穴に差し手動でIPD調整を行う。

●仕様
・対角線視野角:116度
・解像度:片眼2560×2560ドット
・リフレッシュレート:75/90Hz、
・瞳孔間距離:48~75mmで調節可能(物理的には55~70mm)
・音声入力:デュアルマイクアレイ
・音声出力:純正オーディオストラップでのオンイヤーイヤフォン(別途購入)
・アクセサリ用ポート:USB-C×1
・6DoFトラッキング方式:SteamVRトラッキング(BaseStation1.0もしくは2.0を別途購入)
・コントローラー:Valve IndexなどのSteamVR対応の各種コントローラーに対応(別途購入)
・フルボディトラッキング:VIVEトラッカーやTundra Trackerに対応(別途購入)
・本体重量:107g
・PCとの接続:5m光ファイバーケーブルと専用リンクボックス

●PCの最低動作スペック
・CPU:Quad Core IntelもしくはAMD
・GPU:NVIDIA RTX2070もしくはAMD RX5700XT以上(DisplayPort1.4とDSC必須)
・ポート:DP1.4ポート×1、USB3.0×2
・OS:Windows10/11


「軽さ」「視野の広さ」「映像の鮮明さ」が実現する没入感

まず、装着感からレビューしていきたい。

今回は、デモ用のフェイスクッション3種類の中から、自身の顔にフィットするものを選んで装着する方式だった。Beyond 2ほどゴーグルのサイズが小さくなると、接顔部のフィット感が体験を大きく左右する。今回は、比較的フィットするフェイスクッションが見つかったので、大きなストレスなく装着ができた。

実際に装着した様子。カスタムフェイスクッションと、オーディオストラップを使用している。

実は、Beyond 2から公式アクセサリーとしてナイトビジョンに着想を得たという「ヘイローマウント」が新たに登場しており、こちらの場合はヘッドセットを額に固定し、本体の傾きや顔との距離を調節できる。個人的には、普段からVRゴーグルのフェイスクッションが顔の、特に目の周りに当たる感覚がどうしても没入感を下げてしまう気がしていて、この「ヘイローマウント」をぜひ試してみたかったのだが、今回の体験会には間に合わなかったようだ。

公式リリースより引用。「汎用ライトシーリング※ヘイローマウント同梱」と併用することで、より圧迫感の少ない装着が期待できる

着け心地自体はかなり良い。他社製品のVRゴーグルであれば、どうしても「重心が前面に傾いてしまう感じがする」「重心を解消するために、カウンターウェイトを入れたら全体的に重たくなってしまう」といったような、VRゴーグルを被っている重量感を意識せざるを得ない。しかし、Beyond 2ほどの軽量(本体107g)となれば、この重量感がほぼ気にならない。固定するための締め付け感だけが感じられて、「重さ」はあまり感じなかった。

また、レンズと目との距離が近いからなのか、視野角については記載スペック以上に広く感じた。感覚としては「視野全体にVR空間が広がっている」という感じで、「ゴーグルを覗いている」という感覚はかなり払拭されていると感じた。

そして驚くのが、その映像の鮮明さ。特に、文字の読みやすさは、これまで体験してきたVRゴーグルの中でもトップクラスのものだった。体験には、「VRChat」を使用させてもらったのだが、メニュー画面はもちろんのこと、ワールド上に表示される文字についても、非常に鮮明で、小さな文字や遠くの文字もかなりハッキリと読むことができた。この、「可読性の高さ」は体験会を通じて、複数のユーザーから同じ声が上がっていたのも印象的だ。

ディスプレーでも読みにくいQVPenのUI文字がハッキリ読めることに驚く筆者
体験会中にフレンドのいるインスタンスへ移動して音声会話を試みた筆者。友人曰く、特に違和感ないようだ。

従来機から改善されたポイントのひとつに、コントラストと発色、「明るさ」と「グレア」も挙げられていた。実際に、「VRChat」で暗めのワールドに訪れてみたところ、確かに暗闇の中でもはっきりとコントラストが分かったり、光の表現がより綺麗だと感じる場面があった。

検証に使用したVRChatワールド「Starlit Canopy」by 민소담_

初代Beyondとの比較ではないので、参考程度にはなってしまうが、筆者が普段使用しているPICO 4と比べると、ワールドの綺麗さは圧倒的に感じられた。特に、暗い中でもしっかりと木々や水面が見えるというのは、ホラーワールドなどが好きなユーザーにとっては、かなり嬉しいのではないだろうか。

「軽さ」「視野の広さ」「映像の鮮明さ」の3点が合わさったVR体験は、没入感が高い。さらに、長時間装着していても疲れにくく、ついゴーグルを被っていることを忘れてしまえるようなまでの没入感が味わえるだろう。実際に、本体験会を通して約3名ほどが、新規予約を決断しており、試してみる価値は大いにある。ベースステーション2.0やSteamVR対応コントローラーなどをすでに持っていて、ゴーグルの買い替えを検討しているVRヘビーユーザーにとっては、かなり有力な選択肢になると感じた。


(TEXT by アシュトン


関連リンク
Bigscreen Beyond(公式オンラインストア)
Bigscreen Beyond(公式サイト)