2024年にVRChat配信で大きな話題となったストリーマーのスタンミさんが、自作ショートフィルム「夏は君がいたから色づいて。」を発表しました。直近では俳優としての活動もめざましいスタンミさんですが、本作は彼が主演を務める映像作品となります。
4月24日には本作の試写会が実施。午前中にはメディア、関係者向けの試写会も実施され、今回筆者はこの試写会に参加することができました。以下にて、本作の内容の一部や、制作の経緯についてご紹介いたします。
ある配信者が追体験する、”一番戻りたくて戻りたくない日”
「夏は君がいたから色づいて。」では、スタンミさん自身が主役の作中人物として登場します。配信者として活躍している「ユウヤ(活動名:スタンミ)」は、屋外配信をしながら夏祭りへ向かっている途中、車と衝突。その瞬間、元彼女・みさき(演:安野澄さん)に別れを切り出された半年前の過去へタイムスリップしてしまいます。
その後も、車との衝突をトリガーとして、現在と過去を行き来することになるユウヤ。幸せではあったものの、同時に影を落としていたみさきと暮らす日々を追体験し、やがて自分にとっての大切なものを思い出していく──あらすじをざっくり説明すると、こんな感じです。
少しSFの要素も取り入れつつ、全体的にはほろ苦いお話。配信では愉快なエンターテイナーとして走り続けるスタンミさんですが、この映画ではその面影も残しつつ、様々な葛藤を抱える青年の姿を見せてくれます。涙もろい人は思わずウルッとくるかもしれません。
ちなみに、作中ではスタンミさんがよく行う屋外配信の様子も映されており、ジンバルつきスマホ自撮り棒や、Twitchそのままな配信画面など、今どきなアイテムもたくさん登場します。中には、「VRChat配信見ました~!」と駆け寄るファンも登場したりと、直近のスタンミさんのトピックも盛り込まれています。
そして、VTuber好きなPANORA読者のみなさまが特に驚かされそうなのは、ホロライブのラプラス・ダークネスさんが主題歌を担当していることでしょうか。EGOIST「Departures~あなたにおくるアイの歌~」のカバーですが、歌唱力バツグンなラプラスさんだけに、映画をいい感じで締めくくる一曲となっています。
「映像資料がないなら作ろう!」
俳優業へ加速するスタンミが”ほろ苦い”物語を目指した理由

本作は、スタンミさんの自主制作映画です。ストリーマーのSHAKAさんらがスポンサーとして参加しつつも、基本的にはスタンミの実費制作。映画館での上映はないため、制作時点で赤字が確定しているそう。
制作に至った第一の理由は「俳優としての映像資料準備」。俳優業の本格化させたスタンミさんですが、オーディションなどに送付する映像資料がなかったことに気づき、「じゃあ自作主演映画作るか!」と意気込んだのが制作の発端だったとのこと。現在、いくつかの映像作品などに出演しているスタンミさんですが、時系列的には本作が初芝居なのだそうです。
そして、もう一つの制作理由は「自分の速度を上げるため」。俳優を目指す上で、漫然と取り組むよりも、ある程度の速度と負荷をともなって取り組んだほうが、目標へ向けてしっかりと動き出せるのでは、と考えたのだそうです。確かに、多少きつくても明確な目標があったほうが、人間はがんばれるし、成長できるものですよね。
その処女作に「ほろ苦い失恋」をテーマに持ってきたのは、「世の中にある作品が苦すぎる」と考えたからとコメント。夜の街やパパ活などのダークな側面が注目されがちな風潮から脱却したいと思い、脚本家とともに「ほろ苦さ」を重視したシナリオを考えていったとのことです。
ちなみに、本作は人によってハッピーエンドかバッドエンドかで感想が分かれる結末となっています。軸になる価値観は「恋愛と人生どちらを選ぶのか」。「大枠は『ラ・ラ・ランド』に近いですね」と語りつつ、このような結末の作り方も、チャレンジングながらスタンミさんがぜひ今回盛り込みたかった要素なのだそうです。
ちなみに、上記のようなシナリオ面だけでなく、映像編集に自ら立ち会うなど、スタンミさんは様々な場面で制作に立ち会っているとのこと。先のホロライブタレント・ラプラスさんとのコラボも実現させるなど、とにかくスタンミさんのやりたいことが詰まっている作品であると、お話を聞いている中で伝わってきました。
2025年のスタンミさんは、すでに初主演作品が決定しているほか、ミュージカルの実施も予定しており、俳優として大きな挑戦の年となります。やりたいことへ向かって全力疾走する彼のパワーは、昨年のVRChat旋風を見ていた人も知るところ。新たな舞台でどんな活躍を見せてくれるか、今年も目が離せない一人になりそうです!
スタンミさん自主制作映画 「夏は君がいたから色づいて。」は、スタンミさんのYouTubeチャンネルにて全編公開中です。
●作品概要
ショートフィルム「夏は君がいたから色づいて。」
・キャスト:スタンミ、安野澄、千葉祐夕、moca(lol-エルオーエル-)、佐藤友祐(lol-エルオーエル-)、まざー3
・エグゼクティヴ・プロデューサー:角谷瞭
・プロデューサー:小峯真凜
・制作プロダクション:スタジオヒジキ
・製作:ROFL
・監督・編集:細見将志
・脚本:谷碧仁(劇団時間制作)
・音楽:杉江 一
・主題歌:「Departures~あなたにおくるアイの歌~Ending edit ver. Covered by Laplus Darknesss」
作詞・作曲 ryo、歌唱 ラプラス・ダークネス
・撮影:時光佑輔
・照明:渡邉幸朔
・録音・整音/音響効果:中島浩一(株式会社エイエスディスタジオ)
・美術:ねる屋
・ヘアメイク・衣装:石松英恵
・制作担当:荻澤駿
・助監督:貝田祐介
・助監督 セカンド:大谷美里
・助監督 サード:佐藤夏希
・演出応援:小池隆太
・撮影助手:伊藤隼幹、湊舞⾐、宮城豪
・撮影(Bパート):石塚瞬、杭田尚晃、長尾美月
・照明助手:戸塚唯佑汰、篠木優作、小野銀路、武田哲喜
・美術助手:宮川和樹、尾身龍実、平野貴音
・ヘアメイク・衣装 助手:鶴野楓奈
・ヘアメイク 応援:木村紗菜
・制作主任:巨勢竜也
・制作デスク:豊島理央
・制作進行:工藤裕貴、新山みさき、浅井承、⼟屋綾実
・オンラインエディター:大江康弘
・ポストプロダクションマネージャー:髙山俊樹
・スチール:Ryo Yoshiya、志村颯
・メイキング:仁木大雅
・スペシャルサンクス:阿部さやか
・スポンサー:SHAKA、AlphaAzur、Zerost、じゃすぱー、らいじん、しゃるる、たぬき忍者
・協力:レノボ・ジャパン、アディングデザイン
(TEXT:浅田カズラ)
●関連記事
・金メタ出演記念「スタンミじゃぱん」インタビュー VRChatの魅力を引き出したルーツは生主の外配信にあった!
●関連リンク
・公式X
・YouTube
・Twitch