ダンスの入門レッスン「はれクラス」公開インタビュー:「メタバースダンスレッスン教室とは?」【CLUSTARSコラボ連載・第20回】

LINEで送る
Pocket

2025年5月29日、メタバースイベントコミュニティ「CLUSTARS」は、clusterにてロックダンス入門レッスン「はれクラス」を主催するHareさんへの公開インタビューを開催しました。

本記事では、メタバースならではのダンスレッスンの魅力と、Hareさんの情熱に迫ります。

回答者紹介

Hareさん:はれクラスの主催。踊るのがすきな生きもの。

【はれクラス】とは?

──「はれクラス」とはどんなイベントなのかを教えてください。

Hare はれクラスは毎週日曜日の22時から23時にかけてVRChatにて、ダンス初心者に向けたストリートダンスのジャンルの一つ、ロックダンスのレッスンをやっています。ダンスに興味を持ってもらうことを目的としています。

【ロックダンス】とは?

──「ロックダンス」とはどんなダンスなのかを教えてください。

Hare ロックダンスと聞くとロックミュージックのRockと思われることが多いんですが、ロックダンスのロックは鍵をかけるという意味のLockになります。ピタピタと動きを止めてあげるのがロックダンスになります。


──ストリートダンスの一つという話がありましたが、それについて詳しく教えてください。

Hare ストリートダンスはオールドスクールやミドルスクールといった大きなジャンルに分かれていて、その中でもオールドスクールジャンルの中で1970年代頃に大きく発展して流行ったジャンルになっています。ディスコファンクなどの音楽と相性がいいです。


──いわゆるサタデーナイトフィーバーみたいな?

Hare そうですね。例えば「サタデーナイト・フィーバー」のように指先を差し出すだけで、ロックダンスではそれが「ポイント」と呼ばれる技になります。他にも両手をまっすぐ上げるだけで「ナイフ」、手を横に叩くだけで「ドラム」や「ペーシング」という技になります。もうこれだけでロックダンスの技を3つも覚えました。

──手の動きだけでも立派に成り立つあたりはメタバースと相性が良いのかなと感じました。

Hare そうですね。ロックダンスは基本的な技を色々組み合わせたりアレンジをすることができるので、1つの技から派生系ができます。自分のスキルが次に繋がるみたいなそんな感じで遊びがいのあるジャンルなんです。

初心者向けのダンスレッスンを始めた理由

──初心者向けのダンスレッスンを始めた理由を教えてください。

Hare 私がダンスを始めて1年くらいのタイミングで、フレンドをダンスレッスンのイベントに連れて行ったんです。そのときに難しすぎて心が折れちゃってる人を見てしまったんです。自分が好きなものを楽しいって思ってもらえないのが気に食わなくて仕方なくて。じゃあ私がやるしかねぇなと思って始めました。


──勢いがあって凄いですね。

Hare かなり無茶してますね。


──「はれクラス」以前はロックダンス以外のダンスを教えていたりしたのでしょうか?

Hare ロックダンス以前は横に揺れたり、ダンスのリズム取りなどを教えていました。DJイベントに行ったときに音を聞いてどう動けばいいか分からないって方が、こういう動きをしているだけでダンスしているように見えるんだよっていう啓蒙活動をしていました。


──Hareさんはもともとロックダンスが好きだった?

Hare 一番最初にダンスを始めようとしたきっかけがyoikamiさんという方で、yoikamiさんが一番好きなダンスジャンルがロックダンスでして。それを見てやってみたくなって挑戦して挫折してをずっと繰り返して結局諦めきれなくてってところが一番ですね。

yoikamiさん:VRダンサー。アバター専門のモーションアクター集団「カソウ舞踏団」の団長。

ダンスレッスンの内容について

──ダンスレッスンについて具体的にどのような内容なのか教えてください。

Hare まずダンスの基礎の説明をして、ロックダンスのいくつかの基礎ムーブやリズムトレーニングをした後に、8カウント2つ分の振り付けを1日の中で覚えて帰ってもらうという形です。基本的に私のレッスンの目的として、ちゃんとスタートの部分から説明するようにしています。そうしないと初めての方は心折れたりしちゃうと思うので、絶対最初から説明するようにしています。


──つまり8カウントの動きを2つ覚えることで、ダンスとしての形を楽しく覚えて帰ることができると。

Hare RPGゲームで気持ちよくなる瞬間ってボスを倒した時以外にも、レベルアップして新しい技を覚えた瞬間って嬉しくないですか?なので「私はこの技を覚えたぞ!」というのをレッスンの中で作ります。技を使った動きの組み合わせのことをルーティーンと呼ぶのですが、これを覚えたら曲を聴きながら踊れるので、ステップアップしたっていう実感を得られるなと思ってこの形式にしています。


──確かにそれはモチベーションが上がりますね!

Hare また、はれクラスのロック入門の特徴として、任意ではありますが宿題システムがあります。学んだ振り付けを動画に撮って、人前に出してみようといった感じです。提出してもらうと、私からこういう部分ができてるねっていう部分だったり、こういう部分をこうするともっと良くなるみたいなフィードバックを送るようになったりしているので、特に本格的なレベル上げをしたい方にはオススメです。

──ぜひこういう風な方々にロックダンスを体験してほしいっていうのはありますか?

Hare 実は、ロックダンス自体をずっと続けてもらいたい、という訳ではないんです。元々初心者向けのレッスンをしていて、ダンス楽しいって思って始めた方がいました。でも、その先何やったらいいかわからなくて困ってしまって、結局それで辞めてしまったんです。またそれが気に食わなくて、ジャンルごとのレッスンをやらなきゃいけないなと思いました。一歩進んでジャンルを何か1つやってみたら、「私はこのスキルツリーに従って練習をしてるんだ」っていう達成感があるから、とりあえずロックダンスをレッスンのジャンルに選んでいるだけなんです。本当にダンス自体に興味がなくても何か身につけてみたいな、習い事をしてみたいなと思っている方にぜひ来てほしいなと思ってます。

メタバースとダンスの相性について

──メタバース空間でダンスをする上でのメリットがあれば教えてください。

Hare メリットが圧倒的に多いです。現実のダンスレッスンに行くとなると、身だしなみを整えて、レッスン会場に着いて、大体1レッスン2000円くらい払って、汗だくになって着替えて、家に帰ってという流れが発生します。ですが、VRだと服装も下着でいいですし、レッスン会場にはお金がかからない、時間もかからない。その場に入った瞬間にレッスンが始まります。しんどくなったらすぐに抜けられます。さらにレッスン会場の広さも気にしなくてもいいので、動きの制限が無いのもありますね。加えて準備しなくても自分の最高のアバターが待っててくれてる。練習の時にどこでも鏡があるのもメリットですね。


──逆にデメリットがあれば教えてください。

Hare 初期投資がかかることですね。また、メリットでもデメリットでもあるのですが、部屋が綺麗になります。ブレイクダンスとかになると激しい動きによってお部屋をブレイクするところから始まりますので(笑)

工夫している点について

──レッスンを実施する時にあたって工夫する点や気をつける点などを教えてください。

Hare レッスン全体の難易度が上がりすぎないようにしています。初心者さんの心を折ってしまってはいけないので一番に。毎週毎週全く違う動きを考えているんですけど、考えすぎて始めた頃は睡眠障害も出ましたね。今だいぶもう考えられるようになってきたので慣れの問題ですね。

VRならではの注意点としては音ズレですね。他の人から見たら動きと音がずれるんです。リアルのレッスンだとタイミングに合わせた動きなどの説明を使うことが多いのですが、VRだとほぼ使えないです。なので、どの位置の筋肉を使っているかの説明をすることが大事になります。直接目に見えないからこそ体の感覚を理解してもらうことが大事だなと思います。とにかく徹底して説明を言語化するように気をつけてますね。

言語化するために私自身の知識が圧倒的に足りないと思って、ロックダンスのレッスンをやる半年前からこっそりロックダンスのリアルのレッスンに通うようにし始めたりもしました。

活動をしていて嬉しかったことについて

──活動していて嬉しかったことを教えてください。

Hare ちょこちょこ感想とかいただいたりしててですね。「はれクラスのおかげでダンス関係のいろんな人脈が増えてこんなに楽しめるようになると思ってなかった」みたいなメッセージをいただいたり、「教え方が優しかったり丁寧だったりするので安心して受けられる」とかいってもらえたりしたことですね。

相性が先生と悪かったみたいで、リアルのダンスでトラウマを植え付けられているような感じの方がいらっしゃいました。そういう方が私のレッスンに来て、だんだん今では本当にいろんな方とダンスの練習とか一緒にやったりして楽しく活動されていて、メッセージの動画送ってくださったこともありました。本当に嬉しかったですね。


──気に食わなかったから自分で初心者向けのレッスンを開いたという当時のモチベーションが達成されているってことで、願いが叶ったんじゃないですか?

Hare そうですね、願いはかなり叶ってますね。いろんな大変なことはあったんですけど、本当にやって良かったと思います。

今後の展開や目標について

──今後のはれクラスの展開や目標などがあったら教えてください。

Hare これがですね、正直ないんですよ。ある意味、はれクラスの大事な部分っていうのがある程度変わらないことなんですよ。いろんな方がいろんなタイミングでダンスに興味を持つパターンがあると思いますが、入門クラスと書いてるのに明らかに初級ぐらいのレベルのレッスンだったりすることがなるべく起こらないようにできたらいいなと思っています。


──今後、他のメタバースでもダンスレッスンをしてみたいですか?

Hare 大体1週間かけてレッスンの動きを考えているので、やる余裕が無いですね。だからこそ、私のレッスンから育っていった人たちが自分でレッスンをしてみようっていうのを応援したい気持ちは凄くありますね。

インタビューを終えて

Hareさんの話を、著者自身と重ねて聞いていました。ジャンルは違いますが、私も初心者案内人としてものを教える側の人間です。自分の「好き」を上手く伝えて相手にも好きになってもらうことを試行錯誤している姿勢は見習っていきたいなと思いました。

フルトラ持ってるしダンス学びに行こうかな……。

スタッフクレジット

・主催:CLUSTARS公式サイト
・協力:PANORA
・インタビュー回答者:Hare
・イベントMC:sun
・ライティング:ポリゴン
・カメラマン:つゆあさぎ
・記事用写真撮影:ポリゴン
・イベントサムネイル:LuAr
・記事校正:Komei Kobayashi
・プロデューサー:由宇霧ずんだ
・スタッフ統括:sun 

*連載一覧はこちら → CLUSTARSコラボ連載