にじさんじ・伏見ガクがRPG風の大冒険! 初ソロイベント「伏見ガクエスト」レポート

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2025年6月21日(土)、愛知県芸術劇場の大ホールで、にじさんじ所属のバーチャルライバー伏見ガクさん初のソロイベント「伏見ガクエスト 〜伝説の調理器具(ピース)を求めて〜」が開催された。

異世界を舞台に世界一美味しい料理を作ることを夢見る宮廷料理人の伏見さんが、剣持刀也さん社築さんましろ爻さん宇佐美リトさんというにじさんじの4人の仲間とパーティを組み、伝説の調理器具を探す旅に出発するというロールプレイングゲームをイメージしたイベントで、同じくにじさんじの北見遊征さんがナレーションを担当。観客も巻き込んで、歌あり、ゲームありの大冒険が繰り広げられた。

この記事は、ニコニコ生放送によるオンライン視聴でを元にしたレポートとなっている。なお、アーカイブ(タイムシフト)の視聴期限は、2025年7月8日(火)の23時59分までだ。


「伝説の調理器具」を求めて旅に出発

にじさんじの公式YouTubeチャンネルでは、4月からイベントの前日譚となる「伏見ガクエスト 序章動画」全6本を公開。ジサンジ王国の宮廷料理人である伏見さんが、世界一美味しい料理を作れるという「伝説の調理器具」を探す旅に出ることを決意。さまざまな対決の末に「剣士・剣持刀也」「魔法使い・社築」「呪術師・ましろ爻」「武闘家・宇佐美リト」を仲間に加え、ジサンジ王国の王の許可も得て、旅立つまでが描かれていた。「気配斬り」「あっちむいてホイ」など緩めな勝負で真剣対決していく動画だ。

特に印象的だったのは、最初の動画「Quest1 仲間集め」の冒頭。スタジオに呼び出され、サプライズでソロイベント開催決定を知らされた伏見さんの姿。カメラが止まっていると勘違いしていた伏見さんは、スタジオでイベント担当スタッフを見つけると、カメラの画角から外れる勢いで駆け寄り、「いつもお世話になっております。よろしくお願いします」と言いながら、90度以上も深々とお辞儀をしたのだ。にじさんじ2期生として2018年3月にデビューして以来、ずっと変わらず抱いてきた「明るい好青年」という伏見さんのイメージにピッタリ過ぎるシーンだった。

【伏見ガクソロイベント】#伏見ガクエスト 序章動画「Quest1 仲間集め」

「伏見ガクエスト」の本番は、RPG「●●●●クエスト」のような名前入力画面からスタート。「ガク」と入力すると、画面の中央にはドット絵の伏見さんが登場。一度、暗転した後、明るくなると、マントを付けた伏見さんと4人の仲間がステージに立っている。王様に旅立ちを告げる「序章動画」のシーンを再現すると、RPGのオープニングのようにイベントロゴが現れて、今年デビュー7周年を迎えた伏見さん初のソロイベントが開幕した。

暗転後、青空と白い入道雲をバックに伏見さんが登場し、アニメ「マギ The labyrinth of magic」の第1クールオープニング「V.I.P」(シド)をカバー。いきなりのソロステージで、多くのアクター(伏見さんリスナーの愛称)を歓喜させる。冒険物の名作のオープニング主題歌という選曲もこのイベントの幕開けにピッタリだ。

北見さんのナレーションと共に、冒険を始める5人。体調不良な4人の仲間の自由な動きにツッコミ担当の伏見さんは大忙し。しかも、最初のモンスターとの戦闘でいきなり爆散してパーティは全滅してしまう。王様の命令で伏見さんの旅をサポートする喋るお玉「レードル4世」の力で蘇ったもの4人の仲間は爆発によって全国に散り散りに。伏見さんは、伝説の調理器具を手に入れるためのカギである5つの「グルメの石」を求めて「レードル4世」と共に冒険を続けながら、仲間との再会も目指すこととなった。


人気ユニット「咎人」でのステージも披露

「イタリアの石」があるという港町では、剣持さんと再会。二人で石を持っているマフィアのアジトに踏み込むと、マフィアを倒すためゲームに挑戦することとなった。二人が挑んだのは、同じ回答を答えられたら正解という「以心伝心!シンクロクイズ!」。同期ユニット「咎人」としての活動だけでなく、プライベートでも仲が良いことで知られる二人。伏見さんは「余裕なんじゃないですか?」と自信満々。剣持さんも「年に3回くらいはコラボしてるんだぞ、我々は」とあまり根拠にならないコメントをしつつも自信はありそうだ。

調子良く3問中2問を正解した後の「伏見ガクの好きなところはどこ」という問いに、剣持さんは「少しズレてる」と回答。伏見さんと答えが違ったと分かった瞬間の動揺ぶりは楽しかった。さらに、「僕は賢いから分かる。次(のクイズ)は、僕の好きなところだよ」と断言した後、5問目が「この大冒険、このあとも楽しめそう?」で、予想は大外れ。剣持さんの恥ずかしがる姿に客席からは大きな笑い声が響く。

無事に最後の問題もクリアーした後は、二人でアニメ「銀魂’」のオープニングテーマ「桃源郷エイリアン」(serial TV drama)をカバー。剣士というジョブに合わせて、一応、侍アニメである「銀魂」第2期の主題歌を選曲したのだろうか。間奏、二人がすれ違いざまにハイタッチすると、配信コメントの熱量と速度が急上昇する。配信では聞こえなかったが、きっと会場でも黄色い悲鳴が響いていたことだろう。

冒険を続ける二人は、「中華の石」があるという山で、武闘家の宇佐美さんと再会。お宝を持っていそうなドラゴンと戦うことになった。3人で挑戦したゲームは「仲間を信じろ!パワーダービー」。挑戦者に選ばれた1名が、ドラゴンからの試練に挑戦。残る2人は回答者として挑戦者の記録を予想。挑戦者の記録が回答者の予想を超えていたらクリアというゲームだ。

ルール説明後、「回答者が1回とか1秒とか指定したら、もうクリアになるんじゃないすか?」と、爽やか好青年らしくないズルいアイデアを提案する伏見さん。宇佐美さんは「こすいですねー(笑)」と若干引き気味で、剣持さんは「自分のイベントを盛り上げず、クリアーしようとするやつ、格好いいぜ」と微妙な称賛を送る。剣持さんと、伏見さんが試練を成功した後、5㎏の重りを持ってのスクワットに挑戦した宇佐美さん。伏見さんと剣持さんの予想は21回だったが、まるで重りなどないかのように余裕でスクワットを続けていく。最後は、急に疲れたフリをして止まったのだが、どうやら宇佐美さんは回数を数え間違えていたらしく記録は20回。回答者の2人に突っ込まれまくる結果となったが、ドラゴンを倒して、「中華の石」を手に入れた。

二つの石を預かった剣持さんが、「ちょっと僕、行くところができたから」と裏切り者ムーブでステージを去った後は、伏見さんと宇佐美さんのライブステージ。宇佐美さんがヒーロー「Oriens」のメンバーであることにちなんでか、2人でヒーローアニメ「SSSS.GRIDMAN」のオープニング主題歌「UNION」(OxT)を熱唱した。二入で並ぶ姿を見ていると、実はカラーリングの相性がバッチリだということに気づく。そして、絶対に悪いことをしなさそうな2人には、ヒーローアニメの主題歌がよく似合う。


みんなで一緒に「いただきます」を実現

聖なる古代遺跡で「アジアンの石」を探すパーティには、いつの間にか魔法使いの社さんが合流。「レードル4世」の調査で石は、神様のペット「虹色の鳥」が持っていると分かる。紆余曲折あり、神様と仲良くなるために「舌で見破れ!利きカレーの試練」に挑むことになった4人。神様の好物である4種類のカレーを食べて、金額の高い順を予想するゲームだ。

突然現れた長机の前に座ってそれぞれが選んだカレーを食べる4人。社さんだけは、「良い牛肉を使ってる!」などと値段を予想しながら食べているが、他の3人はただただ美味しそうだ。また、伏見さんは、デビュー初期から続く人気企画「おはガク!」での恒例「いだだきます」の挨拶を会場やオンラインの「アクター」と一緒に行った。客席では一緒に食事をすることはできないが、きっと、一緒に「いただきます」をできただけでも、このイベントに対する満足度は、さらに跳ね上がったはず。そして、クイズは一発で正解してゲームクリア。一番高い2000円のカレーを食べたのは剣持さんだったので、他のメンバーも食べたがっていたが、その願いはかなわず、冒険は続く。

神様と仲良くなり「アジアンの石」を手に入れた4人。すると、宇佐美さんが2000円のカレーが食べたいと言ってステージを去り、剣持さんもなぜか「アジアンの石」を盗んでまた逃亡する。謎展開でステージに残った伏見さんと社さんが歌うのは、アニメ「スクライド」のオープニング主題歌「Reckless fire」(井出泰彰)。熱いアニメの熱い主題歌で、おそらく中盤を越えているイベントをさらに盛り上げる。

「フレンチの石」があるという怪しい館には、悪霊の取り憑いた人形もあるという噂があった。館の前で、呪術師のましろさんも合流し、ついにフルメンバーが揃ったパーティーは、館の探索を始めた。ダウジングでルートを探るましろさんに先導されながら奥に進むと、巨大化した呪いの人形と遭遇。呪いを鎮めるために「幽霊を見破れ!ジェスチャー人狼」で戦うことになった。

5人がお題の書かれたクジを順番に引いて、お題に沿ったジェスチャーをするのだが、5枚のうち1枚だけは他の4枚とは異なるお題。悪霊に取り憑かれて、仲間とは違うお題のジェスチャーをしているのは誰かを当てるゲームだ。3回中2回も人狼になった宇佐美さんの冷静な立ち回りもあって、票が割れたりもしたが、最終的に3回中2回クリアー。呪いの人形を倒した後、呪術師が呪いを解くと、フレンチの石が出現した。

3人が先に館を出た後、残っていた伏見さんとましろさんは、「ゴーストルール」(DECO*27)を披露。伏見さんの優しい歌声と、ましろさんの中性的な魅力もある歌声は相性抜群。ここまでの3曲はアニソンだったが、この日初のボカロ曲で、ステージの雰囲気もガラッと変わった。


大どんでん返しでまさかのラスボスと対決!

魔王が持つ最後のグルメの石「和食の石」を手に入れるため、魔王のいる部屋の前まで来た5人。ところが、そこにいたのは、ジサンジ王国の王様。「伝説の調理器具(ピース)に強大な魔力を注げば この世界ごと調理 つまり ワシ好みにできる! しかし 石を集めるのは面倒でな。見つけてくれて助かったわい」と語り、隠していた本性を現す。しかも、伏見さんたちの冒険をサポートしていた喋るお玉「レードル4世」も王様の手先だったのだ。配信で観ていての印象だが、王様が正体を明かした時よりも、レードル4世の裏切りが判明した時の方が客席のざわめきの声が大きかった気がするのは、少し面白い。レードル4世は、かなり人気があったようだ。

剣持さんは泣きながら「レードル4世に裏切られるなんて。仲間だと思ってたのに!」と迫真の絶叫。伏見さんも冒険の日々の振り返りながら、レードル4世に語りかける。そして、「俺たちとレードル4世は、今までもこれからも仲間だ! この絆は奪わせない! 帰ってこい、レードル4世!」と叫ぶと、4人の仲間も「レードル4世」と呼びかける。お玉相手に、謎に熱い展開になってきたぞと笑いながら見守っていると、レードル4世が放っていた禍々しいオーラが消える。王様の洗脳が解けたのだ。レードル4世も仲間に戻り、5人と1本のフルメンバーで王様に挑む伏見さんたち。ところが、王様はとんでもなく強く、痛恨の一撃で簡単にパーティを全滅させた。完全に負けイベントだ。

真っ暗になったステージに映し出される「GAME OVER」の文字。真剣に「この後、どうするんだ?」と思っていると、爽やかな声が聞こえてきた。「会場のみんな 聞こえるか? ナレーション担当の北見だ。今 お前らの脳内に直接語りかけています」と、何度も見たことはあるけれど、実際に聞いたことはなかなかない定番のフレーズで語りかけてくる。

そして、伏見さんたちが復活するためには、たくさんの応援が必要だと説明し、「大きな声で『コンティニュー』とコールしてくれ」と呼びかける。北見さんの声に合わせて、大きな声でリズム良く「コンティニュー」と叫び続ける会場の観客たち。コメントも「コンティニュー」の文字で埋まっている。約1分半も続いたコンティニューコールの後、閃光と共に伏見さんが復活。蘇ったましろさんも合流し、「向こう側のみんな(観客)」にお礼をって、今後のことを話し合う。王様との圧倒的な力の差を埋めるため、レベル上げが必要だと言うましろさんは、客席に向かって「何年待てる?」と質問。「一生!」という客席からの声に対して、伏見さんが会場の貸切時間のことを心配していると、「ここ買おう?」と提案。客席から大きな笑い声が響く。

他の仲間も戻って来て合流する中、伏見さんは作戦を思いついた様子。再びラストダンジョンに辿り着くと王様とのリベンジバトルが始まった。長い時間待たされてお怒りの王様は、最終形態に進化してさらにパワーアップしていたが、客席の声や配信のコメントを力に変えることができるようになった伏見さんたちは、観客や視聴者と一緒に声を揃えて強力な攻撃を繰り出していく。最後は、伏見さんが「みんなーラストの攻撃はピース!」と叫びながらトレードマークのピースサインを掲げると、王様を撃破。「和食の石」をゲットしたことで5つの「グルメの石」が揃い、伝説の調理器具こと「伝説のフライパン」も手に入れた。

街に戻って、伏見さんが伝説のフライパンで作った世界一美味しい料理を食べる5人。世界の各地を旅して、馴染み深い料理がみんなを笑顔にすることに気づいたという伏見さんの作った料理は、けんちん汁。「フライパンで、けんちん汁?」という疑問も浮かぶ中、5人は、ボカロ曲「神のまにまに」(れるりり)を披露した。伏見さんと4人のそれぞれのデュエットでも感じていたのだが、絶妙な幅で奇麗に重なるハーモニーが非常に心地良い。歌声のバランスが素晴らしいメンバーだ。


フィナーレは、ソロ曲「モーニングアクター」

全員でのライブの後、レードル4世から「この世界に来てくれてありがとう」とお礼を言われる5人。そして、北見さんの「かくして、伏見ガクは、美味しい料理を作り、世界中を笑顔にした。彼らの伝説は、永遠に語り継がれることだろう」というナレーションの後、5人の姿は消えた。舞台は「にじさんじ」のスタジオか事務所に切り替わり、長いソファには5人が並んで座り眠っている。みんなでゲーム中に寝落ちしてしまったらしく、ここまでの長い冒険は夢だったようだ。

目を覚まして、順番に帰っていく5人。すると、誰もいなくなった後、ゲーム画面が映り、「コンティニューしますか?」というメッセージが。勝手に「はい」が選ばれると、シルエット姿の王様が現れて、「この物語は終わらない。何度でも生き返って お前たちを……」と語りかけてくる。夢オチと見せかけての不穏エンドかと思っていると、何かの用事で帰ってきた伏見さんがゲームの電源コードにつまづき、画面と共に王様の姿は消去。こうして、伏見さんたちの壮大な冒険は本当に終了した。暗転後、イベントオリジナルTシャツ姿の伏見さんと、冒険者の装備を外した4人が登場。アフタートークが始まった。

一人ずつ、ゲストに来て欲しいと思った理由などを語っていく伏見さん。そして、イベントグッズなどの告知後、ゲストは一人ずつ感想や伏見さんへのメッセージを語って退場していく。同期の剣持さんが語った「伏見ガクソロイベント、こんな日を待っていました」という言葉には、特に熱いものを感じた。ナレーションの北見さんも声だけで感想を述べた後、ステージに一人になった伏見さんが「できるとは思っていなかった」というソロイベントに対する思いを語っていく。

そして、繰り返し、アクターのみんなへの感謝を述べた後、「最後にもう1曲だけ歌わせてもらって良いでしょうか?」と語ると、客席から歓喜の声が響く。披露したのは、2019年に公開されたファンメイドのオリジナル曲「モーニングアクター」。伏見さんが初めて公開した歌動画の曲でもあり、初のソロイベントのフィナーレにこれ以上、相応しい曲はないだろう。最後は、満面の笑顔で、トレードマークのピースと共に、伏見さん初のソロイベントが終了した。

最初から最後まで、明るく楽しく爽やかな伏見さんのイメージがそのまま反映されたようなイベントだった「伏見ガクエスト」。その上で、王様が正体を現した後の終盤の展開は、王道でありながらひねりも加わり、想像していなかった方向からの楽しさも味わえた。イベント終了から、すでに1週間。アクターの多くは、すでに視聴済みだと思うが、もし音楽イベントでは無いということで、内容が分からず尻込みをしている人がいたら、ぜひ視聴して見て欲しい。このイベントを楽しむための条件はただ一つ、「伏見ガクが好き」ということだけだ。

(Text by Daisuke Marumoto


●関連リンク
「伏見ガクエスト 〜伝説の調理器具(ピース)を求めて〜」公式サイト
にじさんじ公式(X)