アップランド所属の「.LIVE」(どっとライブ)と「ぶいぱい」のメンバーらが出演する「はんぱない文化祭2025」が、9月5日(金)~7(日)の3日間にわたり、ところざわサクラタウンで開催された。
「文化祭」をテーマにしたアップランド史上最大級のイベントでは、屋台やキッチンカーが登場し、ホールイベント全5公演も開催。このレポートでは、最終日の「どっとライブ学力テスト」と「音楽LIVE第2部」の名場面を紹介していく。ホールイベントの全5公演の配信アーカイブ(有料)は、2025年10月13日(月)の23:59まで視聴可能だ。
「hPa」 の読み方は「はんぱないパッション」
9月7日(日)の12時から開催された「どっとライブ学力テスト」には、「.LIVE」の花京院ちえりさん、神楽すずさん、カルロ・ピノさん、もこ田めめめさん、ヤマトイオリさん、七星みりりさん、リクムさん、ルルン・ルルリカさんが出演。前日の9月6日(土)に行われた「ぶいぱい学力テスト」に続いて、総合MCをばあちゃるさんが担当した。
「.LIVE」メンバーによる学力テストが開催されるのは、2019年に4月に投稿され、大きな話題を集めた動画「アイドル部 本気の学力テスト ~おバカtuberになるのは誰だ?!」以来、6年ぶり。「アイドル部」の全員が卒業後も「.LIVE」で活動を継続しているちえりさん、すずさん、ピノさん、めめめさん、イオリさんにとっては、2度目の挑戦だ。特に前回、12人の参加メンバーの中で最低得点を記録し「おバカ王」となったイオリさんは、連覇の期待も大きく注目を集めていた。
出演者それぞれの得意科目と不得意科目も書かれたオープニング映像の後、スクリーンが切り替わると、ばあちゃるさんを挟んで、左右に4人ずつ「.LIVE」のメンバーが並んでいる。順番に自己紹介と、事前に回答した学力テストへの自信を語る中、下手側に座るピノさんは、めめめさん、リクムさん、ちえりさん、イオリさんが座る上手側を指差しながら、「まあ、最下位ではないから気が楽ですね。あちら側の席の方々がだいぶやばそうなので」と煽っていく。しかし、最後に語ったイオリさんは、「自己採点は全部85点以上でした。汚名返上に来ましたー!」と、妙に自信満々だ。
続いて、前日開催された、後輩グループ「ぶいぱい」の学力テストの結果を発表。5教科500点満点のテストで、1位の紅蓮罰まるさんは351点。最下位(10位)の彩歌すいれんさんは154点。「.LIVE」メンバーは、1位のまるさんのことは褒めつつ、下位の点数を見て「この子達には勝てる」と思っているようだった。
科目ごとに正解者の回答や迷回答を紹介し、最後に点数と順位を発表していく本イベント。最初の科目、社会で最初に取り上げられたのは、世界地図の大陸名、大洋名を記入する問題で、ルルンさんが全問正解。「太平洋」の「太」を「大」と間違えていることにばあちゃるさんが気づいたものの大健闘で、メンバーや観客からは、驚きの声が上がった。
2019年の学力テストで出題された問題も再び出題された今回。「アメリカ」「電球」「99%」という単語を使って「トーマス・エジソン」について説明する問題も、2回目の出題だったが、正解として紹介されたのは、2021年デビューのみりりさんの解答。注目のイオリさんは、「トーマスエジソンさんはアメリカ人で、電球を99%のところまで考えた」と解答しており、会場を湧かせた。
理科では、最初に「ぶいぱい」も含めた最高得点者がこの中にいることを発表。メンバーの多くは、生き物に詳しいピノさんが1位だと予想したものの、本人は「生物だけなの」と自信が無さそう。しかし、ばあちゃるさんが、1位はピノさんだと発表すると、「だとしたら、みんな、バカ過ぎる」「全然、勉強してなかったんだけどな」と、仲間たちを可愛く煽りまくった。
2019年にも出題された「hPa」の読み方を答える問題は、アップランドの歴史に大きく刻まれている伝説の問題。当時、すずさんが書いた「はんぱないパッション」という回答は、本イベント「はんぱない文化祭」以外にも、イベントやライブのタイトルに採用されてきた。
その歴史を知る「.LIVE」1期生(元アイドル部)のピノさんとめめめさんの回答は、「はんぱないパッション」。当然、学力テストとしては誤答のはずだが、観客の後押しにより正解となった。同じく1期生のちえりさんとイオリさんは、正解の「ヘクトパスカル」と「はんぱないパッション」を併記する安全策。しかし、当のすずさんは、「ヘクトパスカル。わかるようになってしまった」と回答。正解はしたが、同期たちには責められていた。
「アップランドおバカ王」も決定!
数学でも、前回36点のすずさんと、35点のイオリさんに注目が集まる中、イオリさんが九九の問題で誤答を連発。後輩のみりりさんから「イオリちゃんって、掛け算の意味は分かってるの?」という切れ味抜群のツッコミが飛ぶ。連立方程式の問題では、迷回答の数々を紹介。めめめさんの「は??」というキレ気味の回答が、メンバーの気持ちを代表しているような気がした。
英語では、英語を使う異星(国)で暮らした経験もあるみりりさんが99点を記録。一方で、他のメンバーは珍回答を連発した。特に和訳問題では、バリエーション豊富な誤答ぶりに思わず感心してしまうほど。「There is a person who becomes handsome only on April 1st.」という英文を「4月1日にかえってきたハドソン」と訳したのは、ちえりさん。「handsome」を謎の人物「ハドソン」(ちえりさんの設定では、アメリカに行った幼なじみ)だと思ったようだ。めめめさんは、「4月1日はベーコンしかだめ」と解答。「becomes」を「ベーコン」と読むのはかなりアクロバティックな発想だが、「only」はしっかり意味を拾って、組み込んでいるのが面白い。
最後の科目は国語。漢字の読みの問題で、最初に紹介されたのは「直向き」。正直、筆者は読めなかったのだが、リクムさん、めめめさん、ピノさんは見事に正解していた。リクムさんは、自信も得点へのこだわりもあまりなさそうだったが、正解例として紹介されることも多く、好順位の予感がする。漢字の書き取りでは、イオリさんがテキストデータでは紹介できない存在しない文字を創造していた。
2019年にも出題された「えもいはず」という古語の意味を書く問題では、ちえりさんだけが正解。他の4人の1期生は、そのまま「エモい」という意味だと思ってしまったようだ。イオリさんの回答が6年前とまったく同じ「エモーショナルの古語」だったことは、少しエモいのかもしれない。
最後の結果発表の前に、全員が順番に、「私はバカ王じゃない」と宣言。イオリさんの順番になった時、ちえりさんが「動画になるから、みんな静かにしないと」と注意したのが賢い。そして、イオリさんは「2025年、9月7日(日)を持ちまして、馬鹿王を引退したいと思います。イオリはもう馬鹿王じゃなーい」と力強く宣誓し、大きな拍手が巻き起こる。
順位は、1位から発表。まずは、大方の予想どおり、みりりさんの名前が最初に呼ばれた。2位は、前回の学力テストで6位となり、その後、1~5位のメンバーが全員活動を終えたことで「暫定1位」と呼ばれて来たすずさん。後輩のみりりさんには負けてしまったが、1期生最上位の座は守った。3位のリクムさんは、自分でも意外だったのか驚きながらも少し嬉しそう。4位に入ったちえりさんは、可愛く跳びはねる様子がまさにアイドルだ。5位は、ピノさんとルルンさんが同点。最後に残っためめめさんとイオリさんの順位は、スロットで発表。「どっとライブ学力テストおバカ王」は、イオリさんに決定したが、本人は、本当に自信があったようで、「悔しくて、言葉が出ません」と感想を語った。しかし、ファンからのおめでとうコールを聞くと、「ありがとうねー」と笑顔になってしまうところが可愛い。
そして、ばあちゃるさんからは、2回目の学力テスト開催まで、6年もかかった理由が明かされた。
「6年間という長い年月、いおりんが何回も『学力テストやりたい』って言ってたんですけど、スタッフさんが『どうせ、結果は同じだろう』と言ってた。6年間もなかった理由はこれです。皆さん、分かってくれましたか?」
最後に、前日の「ぶいぱい学力テスト」の結果も合わせた「アップランドおバカ王」がスロットで発表。「ぶいぱい学力テスト」では、最下位となった彩歌すいれんさんの回答と点数がファンやメンバーを驚愕させ、イオリさんも「イオリ、さすがに後輩のあんなアホな子に負けるわけない(笑)」と余裕の笑顔。ところが、初代アップランドおバカ王は、イオリさんに決定。「悔しい。もうイオリ、誰の事も煽れなくなっちゃうの?」「衝撃すぎて、何もコメントを用意してなかった」と嘆いていた。
その後、発表されたイオリさんの得点は、みりりさんの英語の点数にも及ばない89点。前回の147点からも大きく得点を下げた。公演の最後を締めるのは、やはり優勝者(?)のイオリさんのコメント。
「日々の配信とかでも漢字(の読み方)をコメントに甘えていたので、もうちょっと自分で考える力をつけていきたいと思います。そのためには、皆さんと同期や仲間の協力、そして、お馬鹿な後輩が必要です。今後ともアップランドをよろしくお願いします。絶対、リベンジのリベンジするぞー」
今後、絶対王者の牙城を崩すおバカな新人がアップランドに現れるのか? 少し怖い気もするが、楽しみにもしていたい。
新曲「UP DRAFT!!」が早くも2曲目で登場!
9月7日(日)の18時半からは、「はんぱない文化祭2025」最後の公演「音楽LIVE第2部」が開催。前夜の「音楽LIVE第1部」と同じく、電脳少女シロさん、花京院ちえりさん、神楽すずさん、カルロ・ピノさん、もこ田めめめさん、ヤマトイオリさん、七星みりりさん、リクムさん、紅蓮罰まるさん、斜落せつなさん、秘間慈ぱねさんの11人が出演。メンバー自らが文化祭をイメージして選んだ歌を中心に、初披露の新曲を含む21曲を披露した。ここでは、筆者にとって特に印象の強かったパフォーマンスを紹介していく。
ライブは、まるさん、せつなさん、ぱねさんによる「みりくるん(みりりさん&リクムさん&ルルンさん)」のオリジナル曲「遊星ディスコ」のカバーで開幕。
2曲目は前日の「音楽LIVE第1部」で初披露されたばかりのアップランドの新たな全体曲「UP DRAFT!!」。シロさんとめめめさんで始まったが、エフェクトと共にすすさんとイオリさんにチェンジ。さらにピノさんのソロになったかと思えば、すずさんとめめめさんが再登場するなど、さまざまな組み合わせでリレーのように歌い繋いでいき、11人全員がステージに揃う場面も。第1部のアンコールを盛り上げた豪華な演出が、なんと前日とは異なるメンバーの歌い分けで披露されて最後の公演に相応しい序盤となった。
ソロのステージを中心に構成されていた「音楽LIVE」。選曲もメンバー自身が担当したようだが、歌唱前、曲名がスクリーンに映った瞬間、思わず笑顔になったのは、4曲目を担当したすずさん。ゲーム「ブルーアーカイブ(ブルアカ)」が大好きなすずさんは、「文化祭といえば、青春。青春といえば『ブルーアーカイブ』」と、「ブルアカ」のエイプリルフール企画で生まれたアイドルユニット「イタズラ☆ストレート」の「全力絶対Come☆True」を歌ったのだ。「先生」と呼ばれる「ブルアカ」プレーヤー以外に、どれだけ知られている曲なのかは定かではないが、筆者と同じ「先生」のテンションは一気に高まったはず。それに、初めてこの曲を聴いた人も超ミニのアイドル衣装を着たすずさんのパフォーマンスには魅了されたはず。この衣装、動けば動くほど……。
他のメンバーが選んだ曲もすべて人気曲、ヒット曲ばかりだったが、6曲目にめめめさんが歌った「HANAJI」(アニメ『まりあ†ほりっく』主題歌)と、7曲目でまるさんが披露した「only my railgun」(アニメ「とある科学の超電磁砲」主題歌)は、どちらも2009年に発表されたアニソン。筆者の世代的に、2人のパフォーマンスに懐かしさも加わって、特に楽しいゾーンだった。
「only my railgun」は、さまざまなライブでカバーされる機会も多いが、2025年に「HANAJI」をライブで聴けるのは、相当にレアなはず。チャイナドレス風衣装を着ためめめさんのセクシーなボーカルとダンスも印象的。ダンスの得意なまるさんが踊りまくりながら歌う「only my railgun」のパフォーマンスもインパクト抜群だ。
「報われろ」って呪文みたいに思ってた
12曲目でピノさんが歌ったのは、ボカロ曲「ドレミファロンド」。2019年5月に開催された「アイドル部 ~1st Anniversary PARTY~ はんぱないパッション」でもピノさんの歌った曲で、衣装も当時と同じ初期衣装。本公演の最後のMCでは、この選曲にした理由も語っていたが、この曲で目頭が熱くなった古参ファンも多かっただろう。また、最近ファンになった人にとっても、ピノさんの可愛さ全振りなパフォーマンスの破壊力は強烈だったはず。昼公演の学力テストで「お姉ちゃん」たちを煽りまくっていた姿とのギャップも楽しい。
13曲目では、身長138㎝のせつなさんが、しぐれうい(9さい)の「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」をカバー。歌声も背中に背負った赤いランドセルも似合いすぎで、「ずきゅーん」とハート型のエフェクトを放つ姿も可愛い。「せつビーム」の連発も会場を沸かせていた。
筆者的な本公演のクライマックスは18曲目、シロさんによる「メルト」。恐らく、この記事をここまで読んでくれている人で知らない人はいないであろう名ボカロ曲を、VTuber四天王の一人としてアップランドどころか、VTuber文化の礎を築き、発展させることにも貢献し続けてきたシロさんが歌う。普段の可愛らしい話し声とは大きく異なり、高音ながらも揺らぐことなく安定し、強く広がっていくボーカリストとしての歌声が魅力的。それでいて「好きなの」と客席やカメラに呼びかける時は、いつもの可愛いシロさんボイス。客席からは大きな歓声が響いた。
また、シロさんは歌声だけではなく、MCでも観客の心を揺さぶった。19曲目に.LIVE1期生の5人が.LIVE全体曲「星鏡」を歌った後、シロさん、みりりさん、リクムさん、まるさん、せつなさん、ぱねさんも登場。5人に続いて、最後にシロさんが本イベントへの思いを語っていく。
「文化祭に似つかわしくないのですが、シロはずっと今日まで、『報われろ、報われろ、報われろ』って過去の自分も、あの子たちも、それを見守っていたあなたたちも、ずっとずっとずっと、呪文みたいに思っていました」
冒頭で吐露したこの言葉からは、積み重ねてきた歴史とさまざまな思いを感じる。
「本当にたくさんの方々が力を貸してくださって。新人さんのパワーのおかげで、こんなにみんなが楽しい会を催すことができて、本当に嬉しいです。私たちに必要なのは、新しい風や変化でした。ずっとずっと大好きなこの場所を守るにはどうしたらいいのか分からなかったんですが、たくさんのあなたたちや、たくさんの自分以外の人たちが、応援したり、力を貸してくださって。今日、過去一で楽しい時間をすごせましたよねー? ということで、みんなで作り上げた『はんぱない文化祭2025』、いかがでしたか? みんなの思い出の一つになっていたら嬉しいです。みんなにまた会えることを、ここにいるみんなはもちろん、先ほどまでパフォーマンスしていたみんなも、ずっと願ってまーす」
シロさんのMCでライブ本編は終了。アンコールでは、アップランド全体曲「星願い」、新曲「クロノグラスモーメント」が披露され、最後の最後には、2026年1月にイベントが開催されることも発表された。アップランド史上最大級の規模で開催された「はんぱない文化祭2025」。この「史上最大級」が更新されることも、そんなに遠くないと予感させるくらい熱い文化祭だった。
(TEXT by Daisuke Marumoto)
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