超軽量高画質VRヘッドセットが「MeganeX 8K Mark II」にアップデート オプションのストラップも早速試してみた!

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日本のVR機器メーカー・Shiftallが「MeganeX 8K Mark II」を発表しました。価格は24万9900円で、2025年12月に出荷予定です。

同機は2025年1月からユーザーの手に届いたMeganeX superlight 8Kのアップデート版。画質を司るディスプレイパネルとパンケーキレンズは同じパーツを使うものの、安定性重視目的でプロセッサとOSを一新。USBポートの仕様を変更するなど、実用性を高めてきました。ちなみに現行の「MeganeX superlight 8K」ユーザー向けにアップグレードサービスも5万9800円で提供します。

先にダイジェストとして記しておきたいのですが、オプションで用意されるフェイスマウントキットが秀逸です。従来の頭部固定方式より目とレンズの位置が近くなるため、体感として視野角が広がったように感じました。記者発表会をレポートしていきます。


前モデルは日本だけではなく欧州・アメリカでも注目された

発表会の壇上で、Shiftallの岩佐琢磨CEOから「MeganeX Superlight 8K」発売後の状況が伝えられました。発売からまだ1年に満たないものの、初代MeganeXを上回る販売台数を記録しているといいます。

さらに、全販売台数の70〜80%が海外からの注文であり、特にイギリス、EU、アメリカからの引き合いが多かったと報告されました。

ユーザーの属性はVRChatユーザーが中心。加えて海外ではドライビングシミュレータやフライトシミュレータ愛好家が多く、さらに彼らはX(元Twitter)ではなく日常的にDiscordでコミュニケーションを取っており、Shiftall公式Discordサーバーには6000人以上のシミュレーター好き、VRChat好き、PC VRゲーム好きといった方々が集まりました。なかにはMODを開発するユーザーもいて、先日にもMeganeX Superlight 8K用の広視野角カスタムドライバーがDiscordメンバーから提供されました。

ここで筆者が思い出したのが、岩佐氏がCerevoを率いていた時代の発言です。当時、彼は「100カ国で100台売れれば採算がとれる」というグローバル・ニッチ戦略を掲げていました。

MeganeX Superlight 8Kもまさにその延長線上にあり、現在はDiscordのような世界中のユーザーと企業を直接つなぐコミュニケーション基盤が整ったことで、グローバル・ニッチ戦略が新たなステージに進化したと感じます。

Discordや、VRに積極的なYouTuberとのコミュニケーションを経て、Shiftallにはポジティブ・ネガティブともに多くのフィードバックが集まりました。またメーカーがユーザーと直接対話をすることで、ファンとなってもらえることも実感。

いわばDiscordコミュニティメンバーとの共同開発となったのが、今回発表されたMeganeX 8K Mark IIになります。

Discordコミュニティメンバーから要望を受け、改良されたポイントはいくつかあります。まずは本体のUSBポート部を、USBケーブルのコネクタ部を支える形状としたこと。また短いUSB延長ケーブルを用いて、数メートルの長さになるケーブルの重さは側面のアームで支えるようにしました。

またUSBポートの供給電力をアップ。フェイストラッカーやUSBマイクなど複数の機器を接続しても安定動作が可能になりました。

-7.0Dまで補性できるピント調整機能も改善。MeganeX 8K Mark IIをかぶったままでもディオプトリー・ゼロ(補性なし)の状態がわかるように、ダイヤルに突起部がつけられました。

Lighthouseセンサーの照射位置も調整。下向きになってもトラッキングロスがしにくくなり、没入感がアップしたそうです。

さらに前述したようにSoCとOSを一新したことで起動速度が5倍速となり、安定性が高まりました。

法人ユーザー向けに、3Dハンドトラッキングデバイスも発売予定。本体下部に固定するもののようですが、外付けデバイスを固定できるコールドシューを備えているのもMeganeX 8K Mark IIの特徴となりそうです。

販売価格は24万9900円。現在予約がスタートしており、12月下旬に発送予定です。なお発売までに予約した場合、保証期間が計3年となります。またMeganeX superlight 8Kユーザー向けに、5万9900円でMeganeX 8K Mark II仕様にするアップグレードサービスも提供されます。


安定性抜群のハードストラップ(9900円)

MeganeX 8K Mark IIと同時に、2つのストラップ(オプション)も公開されました。まずはハードストラップからご紹介しましょう。

標準付属するソフトストラップと同様にフリップアップが可能なうえ、後頭部を抱え込むように支えてくれるパッドで構成されます。勢いよく首を振ってもズレる気配は一切なし。

バンド部の樹脂製です。かなり重そうではありますが、岩佐氏いわく「確かに本体より重くなりました。しかし海外のDiscordメンバーによればトータルとしての重量が軽ければいいとのことなので、商品化を決めました」。

コントローラの状況を確認しやすいフリップアップ構造があることから、この固定方式がドライビング・フライトシミュレーター愛好家から寄せられた要望なのでは、と感じますね。

なお本体部179gというライトウェイトな性能が活きており、装着時の重量バランスは前1:後ろ1ではないかと感じるくらい快適。VRの世界に没入すると、装着していることを忘れそうになりそうです。


視野角、広がったよね!?と感じたフェイスマウントキット(1万円前後)

フリップアップ機能はオミットされますが、標準付属のソフトストラップよりも軽量。かつ「VRダンサーにおすすめ」(岩佐氏)というほど、強固に固定できるのがフェイスマウントキット。ライトウェイト機でありながら最初から頭頂部にかかるストラップも備わっています。

フェイスガスケットも目の周囲で荷重を分散する形状に変更されます。

ストラップの構造としてはもっともシンプル。ですが、個人的にはこのフェイスマウントキットが一番気に入りました。

強めに締め上げることで、目とレンズの位置を近づけさせることができるんです。力技といってもいいでしょう。

ソフトストラップ/ハードストラップは本体と目の距離をスライダーで調整可能ですが、無理に近づけても下側が浮き上がってしまい、見える映像品質が損なわれてしまいまし。しかしフェイスマウントキットは目の周囲全体をつかってマウントできるから、スイートスポットは外さずに近接効果を得られます。

Meta Quest 3クラスの視野角を得られたのでは、という感覚もあります。広視野角カスタムドライバーと併用したら、さらに広い空間を見ることができるVRデバイスになるかもしれない、という期待感も抱かせてくれます。

ディスプレイパネルとレンズは従来のまま、といいますが、全体を見るとこれは価値の高いマイナーチェンジモデルになったのではないでしょうか。


(TEXT by 武者良太

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