
2025年10月18日(土)、19日(日)に、千葉県松戸市の「森のホール21(松戸市文化会館)」とライブ配信プラットフォーム・ASOBI STAGEでのxRライブストリーミング(以下、xRライブ)にて、「高槻 やよい ・ 水瀬 伊織 twin live “ いつまでもなかよし! ”」というライブが開催された。出演したのは、芸能事務所「765プロダクション」*のアイドル、高槻やよいさんと水瀬伊織さんだ。
*ゲームやアニメなどで展開される「アイドルマスター」に登場する芸能事務所
同事務所の中でもなかよしで知られる2人ではあるが、揃っての仕事というのはそう多くはない。そんな中、今年5月に発表になった本ライブに、ファンは大いに期待した。
本稿では、そんな2人の現地および配信でのライブと、ライブの記憶を増幅させる取り組みについてレポートする。
高槻やよいさん、水瀬伊織さん、そして今回のライブについて
高槻やよいさんは、765プロ所属のアイドルで、現在14歳。素直で元気はつらつで家庭的なイメージで、最近では大阪府高槻市の観光大使も務める。
水瀬伊織さんは、同じく765プロ所属で、15歳。かわいさもあり気品もあり、さらには小悪魔なところもある(罵られることを望む一部ファンもいる)アイドルだ。
2人は同世代でデビューも同時期であり、性格的には反対でも、お互いがお互いを気遣う仲の良さ、相性の良さはファンも知るところである。
この動画では、2025年7月まで西武園ゆうえんちで開催された、高槻さんと水瀬さんが一緒にアンバサダーとして携わった「レトロフェス」の紹介を水瀬さんがしている。「なかよしのやよいとペアで参加」と発言しているほか、各所で楽しむ高槻さんの様子もレポートしてくれた。
しかしながら、2人だけのユニットは組まれていないし、2人のためのデュオ楽曲もこれまで「仲良しでいようね♡」という曲がアルバムに収録されただけだ。
そんな中、5月の高槻さんのもやしパーティー配信番組で、本ライブの告知が行われた。出演者は2人だけのtwin live、しかも「いつまでのなかよし」というライブタイトルと、「しあわせな時間をお届けします」というキャッチコピーに、ファンはライブの日が来るのを楽しみにしていた。
なお、10月18日(土)の第1公演は[えがおだね!]、19日(日)昼の第2公演は[ひゃくねんさきも!]、夜の第3公演[きみとおはなし!]というサブタイトルが付いている。それぞれ「たね」「さき」「はな」と、花に関する言葉が埋め込まれていることが事前に言われていた。
そして当日。会場である「森のホール21」は「21世紀の森と広場」という公園の敷地内にあるのだが、2人が公園を散策したときの様子もSNSで公開された。このような森がある空間で、どのようなライブが行われるのであろうか。
高槻さんの笑顔と元気が咲き誇る [えがおだね!]公演
ライブ冒頭部分の無料配信はこちら。
開演前(と終演後)には、日本語だけでなく英語でのアナウンスが行われた。声の主は千葉のFM局・BAYFMでも番組を持つ、フォーンクルック幹治さん。765プロのライブではプロダクションの事務員さんによるアナウンスが行われることが多いのだが、突然の流暢な英語アナウンスで、いつもと違う世界でのライブの扉は開いていたのだ。
開演のブザーが鳴り、フォーンクルック幹治さんによるアナウンスの後に始まったのは、絵本作家、ちゅうがんじ たかむ さんによって描かれた絵本の物語。朗読するのは高槻さんと水瀬さん。
そこで語られるのは、まとめると以下のような物語だ。
ひだまりの国という王国のお城に住む、キラキラと輝く、しかし外で走り回りともだちと笑いあうことができないお姫様。 お城のふもとにある、こもれびの街と呼ばれるにぎやかな通りに住む、お金はないけれど、いつも走り回る、しあわせを見つける名人である街娘。 街娘はお姫様に憧れ、お姫様は街娘に憧れる。 ある日、お姫様は思い切って声をかける。「あなたのように笑ってみたい」 街娘はにっこりわらって答える。「じゃあ、いっしょに笑おうよ」 その日、姫は生まれて初めてお城を抜け出る。街娘は姫の手を引き、森の奥で色とりどりの花びらが降り注ぐアーチを見つける。アーチを抜けるとそこは花の国。 そこでは笑顔がひとつ生まれるたび、大きな花がさく、不思議な国。 ふたりのちいさな大冒険のはじまりです。
なお、上記の物語にあわせて、現地会場では舞台の上にある花のアーチがあり、その中にある花の国で2人がパフォーマンスを行う。
xRライブでは、石柱に囲まれた花の国の広場にて歌う2人を、様々な映像演出とともに見ることができる。
さて、ライブの始まりだ。小鳥のさえずりからから始まるイントロにあわせて前進しつつ時折ジャンプする振りでステージ脇からステージに現れた高槻さん。1曲目は彼女のデビュー当初から歌われている「おはよう!!朝ごはん」だ。一日の始まりに迎える朝ご飯。その楽しさと嬉しさが伝わるコミカルな歌詞にあわせ、彼女は左手でマイクを持ちながら元気に踊る。
1番が終わったところで水瀬さんも参加。ステージに登場し高槻さんと同じ方向に行進したり、一緒に後ろを向いてお尻を振ったりするなど、間奏の時点ですでに息がぴったりなところを見せてくれた。
2曲目は「ポジティブ」。こちらも2人がデビューした頃の楽曲で、同じ765プロのアイドル、双海亜美さんと(のちに双海真美さんとも)歌唱することも多いが、今回は2人で披露。
大サビ前の間奏では台詞パートもあり、ダメダメな気持ちも伝染してしまうが、元気も伝わるということで「お互い、ポジティブに!」と声を揃えて宣言。ここからさらに聞くものたちに元気とやる気を送り込んでくれた。
続く3曲目は、これまた前向きで上向きなポップス「GO MY WAY!!」でノンストップで駆け抜ける。定番曲ゆえ客席からのBメロのコールも大きなうねりが感じられるほどだ。
2人のダンスの傾向を見ると、高槻さんは足を広げるなど大きな振りで元気よくアピールすることが多い。それに対し水瀬さんは、ファンサービスをしつつ可愛く、あるいは凛とした佇まいで決めるイメージがある。
しかし、この「GO MY WAY!!」の大サビ前の「イエーイ」にあわせてジャンプするところで、水瀬さんは足を後ろに曲げ、高槻さんよりも高く跳んだのだ。高槻さんのハツラツなパフォーマンスに刺激を受けたのか、それとも一緒のライブが楽しくてはしゃいだのか。ソロライブでは見れない、2人による化学反応が堪能できるのもtwinライブのよいところだ。
MCパートでは、観客が持つオレンジとピンク、そして緑色のコンサートライトが揺れる様を、お花畑に見立てる発言があった。「私たちがふーとしたら、お花がもーっとゆらゆらーってするかなー?」という高槻さんの提案により、2人の合図に合わせ客席の光はきれいに揺らめいた。私たちは、花の国を冒険するお姫様と街娘をそっと見守るお花なのだ!
高槻さんの「キラメキラリ、いっくよー」の言葉。高槻さんの名刺曲とも言われる「キラメキラリ」の始まりだ!
再び水瀬さんが加わっての5曲目は激しくも陰があるダンサブルなナンバー、「待ち受けプリンス」。
セリフパートで「待たせたな」とキザ男を演じる高槻さんに対し、最初はツンとしているが、甘い言葉に乗せられてコロっといってしまう水瀬さんのチョロさ…いや、演技も見どころだ。
6曲目は「私はアイドル♡」。この楽曲もコールが楽しい一曲で、ファンの声がパフォーマンスを盛り立てる。
2人の動きに注目すると、飛び跳ねるところは高槻さんが高く決めていたのに対し、観客への煽りは水瀬さんが先導する形で行うなど、息があった動きの中でも役割分担もしっかりしていた。
7曲目は「全力アイドル」。夢にでるほど好きな先輩に告白されるも逃げざるを得ない女の子、その理由は……。初恋を心に閉じ込め、みんなへの愛に応えるアイドルの気持ちを役になりきって水瀬さんが歌う。
ひと昔前のアイドルソングが如くレトロな曲調の中、恋愛ができない女の子の切なさを歌うAメロBメロと、迷いながらもアイドルとしてやりきるサビとの切り替わりが見せ場であるこの曲だが、観客の「I D O L」「L O V E」というコールをきっかけにアイドルに変身する、コールを入れる事でこのドラマ仕立ての一曲を完成させるパーツになれたことは、ライブならではの体験であった。
MCパートでは、高槻さんが「全力アイドル」での水瀬さんのパフォーマンスと観客の盛り上がりを褒めると、「伊織ちゃんならこれくらい当然よ」と髪をかきあげながら胸を張るも直後に笑みもこぼしており、高槻さんからのコメントに嬉しさが隠せない様子。高槻さんの「キラメキラリ」を「火が付いたみたいに一気に盛り上がってすごかったわよ」と感想を述べると、高槻さんは「伊織ちゃんにそういってもらえるとすっごくうれしいなーって」と素直に喜びを伝えた。これが2人のいつもの関係性なのだろう。
MCでは本ライブのために作られた2人衣装にも言及があった。お花をコンセプトにして作られたというのは共通しているが、細かな違いもあるという。襟やレースの付け方なども違いがあるのだが、その中でも筆者は、腰のリボンのこだわりについて述べたい。
高槻さんは腰の左右にオレンジ色のリボンをつけていて、回ったりジャンプをしたりすると彼女のツインテールと同じようになびく。
一方で水瀬さんは腰の後ろ側に長いリボンをつけており、彼女が舞うとロングヘアと一緒にリボンも舞い、水瀬さんの可憐さと優雅さを引き立てる形になっていた。
水瀬さんの「あの呪文を一緒に唱えましょう」というセリフから始まったのは、遊び心あふれるイタズラポップス、「ビジョナリー」。世界をおもちゃ箱のように自由にしちゃうこの歌を満面の笑顔で歌う。
前述の「あの呪文」とは、サビ前にある「イグシアダーツサムロディーア」「ウォキアサーツサムロディーア」という歌詞のこと。2人と一緒に観客も唱え、笑顔になっていた。
高槻さんがソロで歌唱したのは「プラ・ソニック・ラブ!」。先述の水瀬さんの「全力アイドル」と同時期にリリースされたこの曲。学生の恋心を歌ったという点では共通しているが、こちらはアプローチがないので超ダッシュかつ超ジャンプでアタックしていくという歌だ。
高槻さんは、客席からの「やる気ターボ!」のコールを受け、疾走感や高揚感を、歌唱だけでなく左右へのステップや拍手がでるほどのジャンプで表現していった。
続いては、水瀬さんのソロ曲「ロイヤルストレートフラッシュ」。綺麗に輝くためメイクアップをするさまを、ポーカーで役を揃えていく流れになぞらえて女心を歌うおしゃれな一曲。
リズムにあわせ左右に効かせるステップにも水瀬さんの小悪魔なキュートさと周りをひれ伏せるような凛としたカッコよさとが同居しているのが見える。
「Here we go!!」は、わがままに振る舞うけれど本当の自分も知ってほしい、といったツンデレな女の子を描いた歌だ。これまた2人がデビュー当時に歌った曲で、最近の水瀬さんの楽曲に比べると子供っぽさがあるのかもしれない。そんな楽曲をシャボン玉のエフェクトがある中で高槻さんと歌い、最後に「にひひ」「えへへ」と笑い合う姿を見ると、編曲の妙もあって心がポカポカした筆者であった。
ここで再びMCコーナーに。今回のテーマは、花をテーマにした舞台で繰り広げられているが、会場の「森のホール21」がある「21世紀の森と広場」も自然があふれる公園であることに触れられた。2人はリハーサル前に散歩したそうで、観客にも周った人がいるか聞いたところ、4分の1くらいの人が反応した。
高槻さんは、公園の中で気になったスポットとしてバーベキュー場を挙げ、自然あふれる公園で「妹や弟たちと一緒にもやしパーティーをしたら、すっごいおいしいもやしが食べられそうだなーって」と発言。水瀬さんも一緒にと誘ったところ、「やよいがどうしてもっていうなら」ともったいぶりつつ、前傾姿勢で覗き込む高槻さんに対し、今回のライブが成功したら今度やりましょうと応えるのであった。
「みんなをもっともーっと元気にして、素敵な場所へお連れします」というコメントの後、舞台下からポップアップで飛び出てくるような大きなジャンプで始まったのは、高槻さんのバンド曲、「ゲンキトリッパー」だ。
前奏の時も舞台の端から端まで動き回り、客のコールを煽るように手を振る高槻さん。歌唱が始まってもそのままの勢いで前のめりにステップを踏む姿を見たら、見てる方も元気が湧き出るだろう。
水瀬さんも舞台に登場し2人で歌ったのは「星彩ステッパー」。ジャジーなピアノにあわせ、ふわりふわりと空へ、そして星まで連れていってくれそうなキュートなポップナンバー。
2人の楽しい歌にあわせ一緒に旅をしていたら、ずいぶん遠くまで来てしまった。そうであっても、2人は笑い合って、一緒に行こうと言ってくれる。
続いての楽曲は、「99 Nights」。別れの朝が明ける前の99番目の夜に伝えたい言葉が言えるか……そんな切ない夜を歌うブレイクビーツ。
ここまで披露してきたのとは異なるタイプの歌唱と、間奏でのダンスも見どころであるが、お花畑が似合おう白いドレスを着た2人が夜闇を照らすスポットを浴びて舞う姿を見ると、どこかに行ってしまいそうな寂しさも感じてしまう。
「VOY@GER」は、その旅を惑星探査機になぞらえて、君とならば何億光年先にだって、どんな可能性にだって向かっていけると歌う歌だ。
「99 Nights」にも共通するのだが、戻れないかもしれない場所や未来に向かうときの不安さを歌う楽曲において、高槻さんは元気さではなく純粋というか透明感のある歌い方をするのだが、水瀬さんの芯のある歌唱とは違った意味合いで、人間の存在というものを表現してくれる。
MCパートでは、「99 Nights」と「VOY@GER」のダンスについては、夜遅くまで2人でいろいろ考えながらレッスンをしたという報告があった。そして水瀬さんは「とーってもクールなやよいと伊織ちゃん、どうだった?」と高槻さんを立てつつ、2人のパフォーマンスの反応を観客に聞いていた。
「星彩ステッパー」から「VOY@GER」までの流れで、夜になったら2人の小さな大冒険が星や宇宙レベルまでいってしまい、そのスケールに驚いてしまったところもあるが、ここで本編最後の楽曲として紹介されたのは、今回のライブのために作られた、2人のための新曲、「Flower Knows」。
水瀬さんが「みんなと一緒におしゃべりするような空間をお届けしちゃいますね」と紹介したように、やさしく、それで楽しくはねるようなメロディにあわせ、お花しか聞いてない場所で、なかよしの相手とナイショの話を含めたおしゃべりをする、そんな幸せあふれる空気をおすそ分けしてもらえる楽曲だ。
楽曲を歌う前に、2人の色(オレンジとピンク)のコンサートライトできれいなお花畑を作ってねと案内があった。つまりお花である我々は2人のおしゃべりに参加してねと誘われていたのだ。
「Flower Knows」の後、客席からのアンコールが沸き起こり、それに応えるように絵本の物語の続きが語られた。
花の国で笑顔を振りまくと、花たちは輝き、それは笑顔の種になった。その種をひだまりの国に蒔くと、国は花でいっぱいになった、という。そしてお姫様と街娘は、それぞれの場所から花をみて、いつまでもニコニコ笑ったそうだ。
そんな笑顔があふれる物語の後に披露されたのは、高槻さんのソロ楽曲、「スマイル体操」。高槻さんの明るく、そしてお姉さんのようなあたたかさで、世界中みんなで自分らしく笑おうと歌を通じて教えてくれる、笑顔になる歌であり、同時にそのあたたかさで少し涙ぐんでしまうこともある歌だ。
今回のライブでは、絵本の物語にあわせて、「笑うことに故郷も身分も関係ない、それそれの小さな笑顔が、いつかは大きなお花になる」という内容の台詞が入り、そして「だから、みんな笑って!」と声をかけてくれた。これを聞いて、「街娘は幸せを見つける名人」ということがどういう事を指しているのか、筆者は実感できた。
「スマイル体操」の終わりの、高槻さんの「笑顔の花、たっくさん咲きましたー」という台詞に続けて、水瀬さんと歌唱したのはアップテンポな「shiny smile」。
キラキラ輝いているお姫様が、笑顔の街娘と一緒に飛び切りの笑顔で、「いつだってキラキラでいたい」「私 shiny smile ずっと」と歌う。物語はよい形になったようだ。
最後のMCコーナーでは、本公演のテーマが[えがおだね!]ということで、高槻さんが観客に向かって、笑顔になってくれましたかと尋ねる。続けて、水瀬さんにも「伊織ちゃんも、とっても素敵な笑顔だね」と伝えると、「やよいだって写真に残しておいておきたいくらい笑顔じゃない」と返される。このやりとりを見ている我々も幸せである。
水瀬さんと観客が、「高槻さんはみんなを笑顔にする天才」であることを確認し、物語だけでなく会場にも笑顔の花が咲いたところで本公演は大成功だ。
本公演の最後に披露されたのは、2人の最初のデュオソング、「仲良しでいようね♡」。こちらも、何でもおしゃべりできる仲良しな2人を描いた歌だ。
うれしい時も、切ない時も、いつまでも仲良しでいようねと歌ったとき、2人の間には大きな花が咲き誇ったのだ。
水瀬さんの輝きが歴史になる [ひゃくねんさきも!]公演
ライブ冒頭部分の無料配信はこちら。
10月19日の昼に開催されたのは、第2公演、[ひゃくねんさきも!」。今回も絵本の朗読から始まったが、前日の[えがおだね!]公演とは違い
ある日、街娘は思い切って声をかける。「あなたのようにキラキラしてみたい」 街娘はにっこりわらって答える。「じゃあ、いっしょに輝きましょう」 そこは、輝きが1つ生まれるたびに、大きな花がさく不思議な国
と今回は、輝きを探す、小さな大冒険が始まるようだ。
暗い舞台を夜明け前の森に見立て、何かを探すように登場した2人。スポットライトが点くと、「オハヨ SUN SUN SUN」といきなりのテンションで歌い始めた。
本日の公演の1曲目は「オハヨ○サンシャイン」。新しい1日の始まりにどんなワクワクすることが待っているのか、小さな大冒険のオープニングにふさわしい曲だ。
続いて「GO MY WAY!!」「ビジョナリー」と前日の[えがおだね!]公演で歌われた、元気で楽しい楽曲が続く。輝きを求める街娘をお姫様が連れだした冒険もうまくいきそうだ。
本公演最初のMCパートでは、昨日と同じように客席にいる観客に息を吹きかけてコンサートライトのお花畑が揺らめくのを確認。さらに、高槻さんの提案でスクショタイムを設けることに。しかもこの時間は「会場のみんなに、スマートフォンに触るのを許可してあげるわ」と水瀬さんからのお許しが出て、現地会場でもスマートフォンによる撮影ができるようになった。
スクショタイムでキュートな姿を見せた水瀬さんは、「全力キュートな伊織ちゃん」が堪能できる、「全力アイドル」を披露。
キュートな女の子の恋バナレポートソング、「Do-Dai」は高槻さんと水瀬さんが披露。憧れのプリンスに告られたのでデートを申し込み、3日間でダイエットやメイクを何とかするも、本番当日アタフタしまくり、涙目になった彼女にプリンスは…とハイスピードな恋バナを見せた。
「ポジティブ!」「キラメキラリ」と元気印な高槻さんでも少し息を切らせてしまう怒涛の展開のあとは、休憩がてらMCパートに。前日の公演でも触れた、会場周辺の「21世紀の森と広場」に行った人がいるか観客席に対して質問したところ、今回は来場者の半分くらいがコンサートライトを揺らして応えていた。
話は、2人で散歩していた時に高槻さんが見つけた「森のプロローグ」というトンネルを抜けた先にある、松戸市立博物館に行ったという話題に。博物館では旧石器時代から昭和まで松戸の歴史が分かる資料などが展示されているのだが、高槻さんは、ライブ会場の周りにも歴史があり、公園の森や自然がそれらを見てきたことに感激をしていた。水瀬さんも、[ひゃくねんさきも]という本公演のサブタイトルと比較して、それよりも長い千年、二千年という長い歴史を公演会場の周辺がまとっていることに触れる。
「私たちのこのライブもなれるかな、歴史に」という高槻さんに、「もちろんよ。だって、みんながいてくれるじゃない!」と水瀬さんは観客に同意を求める。100年先も、1万年先も覚えていてくれるかと尋ねる2人に、現地の観客は歓声で、配信視聴者は書き込みで約束をするのであった。
そんな2人を草花になって見届ける状況にぴったりな曲はそう、本ライブのための新曲、「Flower Knows」だ。
「Here we go!!」でわがままな姿、本心を伝えたい姿を見るのもよいだろう。
あるいは……惑星探査機のように長く、そしてどこまでも見届け続けるという「VOY@GER」にもなぞらえることができるのかもしれない。
MCで、いつもとは違う、大人っぽかったり、かっこよかったりするパフォーマンスが見せられたかなと述べる高槻さんに続き、ウルトラキュートな伊織ちゃんを見せてあげると言って披露したのは「ソナー」。
オシャレにまとめた曲調ではあるが、相手が去ったという事実に直面し、それをそのまま受け入れるのではなく、音声で対象物との距離を測るソナーのように、叫ぶといった行為をしてまでも相手の反応を期待する、という少女の感情が剥き出す時を歌った楽曲だ。
高槻さんは、なかよしな相手との卒業の時を描いた曲「まほろば」を笑顔で歌う。
「きょうまでありがとう」に続く言葉が「あすからどうぞよろしく」となっているように、卒業は悲観する別れではなく、新しい道に進むけれどこれからの関係が無くなるわけではない、と高槻さんが語りかけてくれているように聞こえる。
2人で披露した「99 Nights」は、前日の[えがおだね!]公演でも歌われたが、「ソナー」「まほろば」の後に聞くと、「夜」の部分よりも、「夜が明け100番目の朝になったら、君はいない」という部分が強調されて聞こえる。
水瀬さんが歌うミドルナンバー「フタリの記憶」は、シンプルな音の中に彼女の声のよさが響く一曲。
しかし歌われているのは出会ったキミとの別れの時。普段楽曲として聞く分には説得力がある一曲であるが、この流れでは特にそれが重く響いてしまう。お姫様と街娘はやはり別れてしまう運命なのか……。
続いては「DIAMOND」。これも水瀬さんのソロ楽曲で、彼女の力強い歌唱と表情が、ダイヤモンドのような輝きを持つ原石であり、私の夢は叶う、輝き続けるという意志を示している。
しかし、ここまで別れを予兆するような曲が並ぶと、「お姫様は街娘と別れてしまうが、1人でも輝くことを誓う」というように聞こえてしまう。私は輝くわという水瀬さんの強い表情も1番が終わり、間奏では下を向いて寂しさを感じるような表情になった。
しかし、そこで舞台脇からもう1人の少女が歩いてきた。それはもちろん高槻さん。そして、水瀬さんの持ち歌である「DIAMOND」を歌いだしたのだ。
その姿に水瀬さんの表情も明るくなる。そしてBメロからはお互いの顔を見合わせ、お互いに言葉の意味を伝えながら歌う。
「DIAMOND」には「I am Diamond」という歌詞もあるように、自分は輝き続けると言い聞かせる楽曲である。と同時に、「You are Diamond」という詞のように、あなたも輝くことができると伝えている楽曲でもあるはずだ。
お姫様は、キラキラ輝きたいと望む街娘を誘い、冒険を始めた。なかよしになり、離れたとしてもまた逢える、そんな街娘に、お姫様は「あなたもダイヤモンドよ」と伝えたのであった。その友情は、「どこまでもForever」であろう。
MCでは、寂しく切なく曲が続いたが、今は2人で一緒に歌えて暖かい気持ちだとであると述べる2人。レッスンの過程で「こんなに誰かと2人でいろいろ考えることってなかなか無い」(水瀬さん)、「ちょっとだけ揉めちゃったこともあった」(高槻さん)とのことだが、2人でライブについて言い合い、考えてきたことがいい思い出ということで、「これからもよろしくね」と互いに感謝の言葉を伝えるのであった。
ライブができたのは見守ってくれるみんなのおかげとファンにも感謝をしたところで、次が最後の曲と告げる高槻さん。「私たちは私たちらしく、みんな、笑顔でいてね」という言葉から始まった本編ラストナンバーは、まさに「笑顔でいてね」という呼びかけから始まる「Good-Byes」。
高槻さんが歌唱した「まほろば」と同じく、新しい旅立ちを笑顔で祝う、クラップが楽しい青春ロックだ。
観客からのアンコールの後、「変わっていくことへの恐れ、分かれへの不安を乗り越えて、花の国の冒険は、2人の心の中に、ひゃくねんさきも変わらない、ダイヤモンドのように輝くきれいな花を咲かせました」という絵本の物語の続きが語られる。冒険が終わると2人はこれまでの生活に戻り、すぐには会えないけれど、2人の心の中には、いつまでも輝く花が咲き続けている。
お姫様は離れていても届くように、窓へ向けて歌う。
アンコール1曲目は、水瀬さんによる「my song」だ。笑顔で、穏やかに、やさしく、力強く歌うバラードを届けるのは、一緒に冒険をした街娘へなのか、一緒にライブを作り上げた高槻さんへなのか、2人の冒険を見届けた花たちへなのか、2人にエールをくれるファンへなのか。
アンコール2曲目はは、高槻さんと水瀬さんによる「チクタク」。嬉しい時も悲しい時も、時は一秒一秒、一日一日と進んでいくから、自分らしく歩んでいこうという、前向きさと切なさを併せ持つバラードだ。元気な歌が多い高槻さんが、水瀬さんと顔を見合わせながら姉のように周りを温かく包む歌を歌うと、聞いている者の心が洗われていく。
間奏では「やよい、ずっと、ずっと待ってたわ」「うん、私も」という台詞があったのだが、これはお姫様と街娘が、小さな大冒険の日から時が経ってからの再会を意味しているのだろうか。
アンコールMCパートでは、水瀬さんは隣にいる高槻さんに支えてもらったと言い、高槻さんは隣でキラキラ輝く「伊織ちゃん」のようになれたかなと観客に尋ねた。
「100年も、1000年も、1万年もずーっと仲良しでいられますように」という願いを込めて歌われたのは、[えがおだね!]公演と同じく、2人の最初のデュオ曲、「仲良しでいようね♡」だ。
この曲には、古いいい感じのカフェで、紅茶を片手に様々なことを語る、という情景が描かれているのだが、先の「チクタク」の話を踏まえて、街娘とお姫様が大人になって再会して、思い出話や今の話、これからの夢の話などをカフェで語り合っている様子を想像すると、2人を見届けてきた花としては感傷的にもなってしまうのであった。
笑顔と輝きのある2人とお話をするのはだれ? [きみとおはなし!]
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本ライブ最終公演のサブタイトルは、[きみとおはなし!]。今回も、絵本の形でお姫様と街娘の物語が語られた。お互いがお互いに憧れる2人という点では同じだが、今回の公演では
お姫様が「あなたのように笑ってみたい」と話しかけ 街娘が「あなたのように輝いてみたい」と話しかけ そして「じゃあ、いっしょに!」と声を揃えて誘う
という流れになっている。
今回の[きみとおはなし!]公演の舞台は夜からスタートした。曲も「VOY@GER」「99 Nights」「星彩ステッパー」と、最初の[えがおだね!]公演の終盤のセットリストを逆に辿る形になっており、遠く離れた地での旅での心細さや別れの寂しさなどは吹き飛ばし、いきなりスケールの大きな冒険が繰り広げられたのだ。
観客が持つコンサートライトを花畑に見立て、息を吹きかけゆらゆらと揺らす流れは今回も健在。しかも今回は夜から始まったのもあり、星空という意味合いも重ねられた。
そうこうしているうちに、2人の冒険は 「オハヨ○サンシャイン」 がぴったりな朝になっていたようだ。
続いて朝から高槻さんの「ゲンキトリッパー」で元気を注入!
続いては水瀬さんの「リゾラ」で南国バカンス気分に。「リゾラ」とは「リゾートラブ」とイタリア語で島を表す「L’isola」のタブルミーニング。真夏のリゾート地で片想いの相手に絶対告白させてみせると意気込むゴージャス&チャーミングな歌は、優雅でもあり人をトリコにさせる魅力も持つ水瀬さんにピッタリな歌だ。
2人の「Do-Dai」で憧れのプリンスとの恋バナで慌てながらも楽しい時間を過ごしたのちはMCタイムに。
ライブを通じて本当に花の国を2人で旅をしている気分だと言い合いつつ、水瀬さんはこの先もさらにジェットコースターのように全速力で進んでいくと予告をする。
その予告通り、「待ち受けプリンス」で男に翻弄されつつそれでも惹かれつつの激しい恋をダンスにのせて描いたら、
水瀬さんの「全力アイドル」で先輩との初恋を諦め世界中を夢中にさせることを選ぶアイドルを、観客のコールを加え作り上げる。
観客と作るといえば負けれられないのは高槻さんの「キラメキラリ」で、彼女のハイテンションとステージのオレンジの舞台演出、さらに客席のコールとウルトラオレンジのサイリウムで花の国を燃え上がらせさせる。
2人が揃って舞台に上がったところで流れたのは「ザ・ライブ革命でSHOW!」。アイドルのライブを表から裏から、ルール無用にまくしたてるアップテンションポップ。…いや、これは普段は13人とか少なくとも5,6人とかが集まりワチャワチャと掛け合いながら披露する歌なのですが、それを2人でやるかと!!!
カワイク! キワドク! ハゲシク! アザトク! とおバカともいえる騒がしさを2人で表現しきり、観客も刮目というか目を離すことができなかったのであった。
流石に客席も盛り上がる曲を連続でやると2人も休憩が欲しいようで、ここでいったんMCパートに。「ザ・ライブ革命でSHOW!」は歌詞もダンスも先述の通り大人数でのパフォーマンスが前提で作られているのだが、そんな曲の2人で披露するにあたり、歌割も2人で相談しながら決めていったという。
配信向けスクショタイム&現地観客向け撮影タイムではハートのポーズやハイタッチのポーズなど、お互いが得意とするポーズを見せてくれた。
ポーズ繋がりで、かわいく噛みついて血を吸うポーズを見せながら紹介されたのは、「きゅんっ!ヴァンパイアガール」。
か弱いオーラで男の子を惑わせて血を吸う、しかし1番好きなあなたの血は吸えないと惑わされてしまうヴァンパイアの女の子を描いたポップスだ。水瀬さんの小悪魔的ウインクにも、高槻さんの怖さではなくかわいさを感じる歌い方にも、結局メロメロになってしまう筆者であった。
水瀬さんは、小悪魔さを、かわいさとではなくかっこよさと掛け合わせた「ロイヤルストレートフラッシュ」を披露。
続いて高槻さんが歌ったのは、「ふたりのもじぴったん」だ。ゲーム「ことばのパズル もじぴったん」シリーズの挿入歌を高槻さん向けにアレンジしてカバーした曲だが、まさかライブで聞けるとは夢にも思わず、筆者の全席にいたファンは泣き、配信コメントも驚きの声であふれた。
ゲームシステムに合わせ韻を踏んだ言葉遣いの詞を高槻さんが歌うと、中毒性のあるかわいさが湧き出てくる。さらに、振り付きで披露される機会がほとんどないこの歌のダンスも見どころだ。間奏だけでなく歌唱しているときも、小さく、時に大きく飛び跳ねることが多く、特にサビの「もじぴったん」という歌詞にあわせて手をまわしながら大きくジャンプするところは、ゲームのキャラクター、「もじくん」を彷彿させる。曲の後半では高槻さんに呼ばれた水瀬さんも登場、一緒にダンスを披露。文字通り「ふたりのもじぴったん」となった。
そんな、今回は特ににぎやかで楽しい曲にあふれた冒険も終わりが近づいてきた。「Flower Knows」で2人のナイショだけどにぎやかな旅をお花である観客と振り返ったのち、MCパートへ。
高槻さんに「コンサートライトを一度全部消してほしいんです」と言われると、観客もその言葉に従い持ってライトを消す。すると水瀬さんから「今から後ろを向くので、私たちの色のライトでお花畑を見せてほしいの」と言われる。彼女たちが後ろを向き、再びライトを点けると、舞台は暗転し、2人から「その光で、私の背中を押して」というお願いをされた。
ライブ本編最後の歌は、「shy→shining」。もっと輝きたい、そんな夢を抱えて不安と一緒に歩んできた。その不安を乗り越え、輝き続け、笑顔であり続けられるのは、応援してくれるみんながいるからだという、アイドルがファンに向けて感謝を伝えるのにぴったりな一曲だ。
優しい声が勇気をくれ、そしてあふれるほどのライトが背中を押してくれると歌うこの楽曲の中で
「みんな、こんな景色を見せてくれて、ありがとうございます」(水瀬さん)
「でも、もっともーっと、笑顔の花を咲かせたいです」(高槻さん)
「だから、これからも、よろしくお願いいたします」(高槻さん・水瀬さん)
と、笑顔のお花である観客に、2人は語りかけたのだ。
客席からのアンコールののちに語られた絵本の物語では、お姫様の輝きと街娘の笑顔が重なり、一際大きな花が咲いたと語られた。そして、2人は互いの違いを超え、心でつながる親友になり、[ひゃくねんさき]も[なかよし]でいられるよう、[いつまでも]手をつなぎ続けたという。
アンコールの1曲目として歌われた楽曲は「My Best Friend」。友達以上恋人未満の相手へのドキドキの歌ではあるが、今回は文字通り親友との楽しい日々の歌として、2人動きを揃えた振りで歌う。
いや、ライブのセットリストを見ると「まるでジェットコースターみたいね」という歌詞には同意しかしないのだが、「好きよ」というパートをお互いに言い合うのも同意しかない。
続いては、どこまでまでも、いついつまでも、ずっと続く希望の歌、「私たちはずっと…でしょう?」を披露。これまでも、そしてこれからも続くこの関係を、2人は、いや観客も含めた皆でとびきりの明るさで「でしょう?」と歌い合った。
「友はライバル」と互いに負けないぞ宣言する歌詞のパートで、2人は向きあって指をさすも、完全に嬉しそうな笑顔で楽しく歌っていたのも印象的であった。
最後のMCでは、菊地真さん・萩原雪歩さんの「はんげつであえたら」に続いての765プロのtwin liveであったことに触れる。菊地さんたちの努力を近くで見ていた水瀬さんは、高槻さんと精一杯頑張ろうという意識になったと述べる。高槻さんは、twin liveということで2人に任される部分も多く、2人でたくさん考え、練習してきたが、そんな時も同事務所メンバーのアイディアやアドバイス提供に励まされたと言う。
さらに、水瀬さんと高槻さんは、今回のライブのパートナーである高槻さんと水瀬さんに感謝の言葉を言い合い、そして、このライブをやり抜けたのは、会場にいる観客や配信で見ている視聴者の応援のおかげだと、改めてお礼を述べた。「ニコニコーって笑って、キラキラのライトを振って、声を聞かせてくれて。なんだかみんなで一緒におーっきなお花を咲かせられたみたいでとっても嬉しいです」と高槻さんは言うが、それはこれまで歌ってきた歌やパフォーマンスからこちらにも伝わってきていた。
と、ここでこの公演のサブタイトル、[きみとおはなし!]について考えてみると、街娘とお姫様は小さな大冒険の中でお互いと話しただけではなく、冒険を見守っていたお花たちにも話しかけ、それに対して笑顔と輝きと声援で応えてきたことに気づく。そう、[きみ]とは2人だけでなく、応援するファンの事も指していたのではないか。そう考えると、筆者の心もぽかぽかとしてきて、大きな花が咲いたのであった。
「この思い出は、私たちとみんなの中で一生生き続けると信じています」と、その記念のハイタッチを2人と交わした後、「応援してくれているみーんな、ずーっと仲良しだからね」と水瀬さんが声をかけてから始めた歌はもちろん、「仲良しでいようね♡」。仲良く楽しそうにこの時間を過ごす2人を、仲良しと呼んでくれた我々は見守るのであった。
と、このライブはこれでは終わらなかった。
「これからもずっとずーっと、私たちの応援、よろしくねー」という水瀬さんのお願いと、「いっくよーっ」という高槻さんの合図で、本ライブ最後の楽曲、「THE IDOLM@STER」が始まった。
765プロのアンセムともいえるこの定番曲に、寝起きで流れてきても無意識に反応できるとばかりの客席からのコールが会場を、配信視聴者からの書き込みがコメント欄を埋め尽くす。スクリーンに描かれたたくさんの花と、オレンジとピンクを中心とした12色の照明が舞台上で舞い踊る。
そしてなにより、髪もリボンも大きく揺らしながら見る者すべてを盛り上げるべくパフォーマンスをする高槻さんと水瀬さん。そんな熱狂の中、今回のライブは幕を閉じたのであった。
ステージの外でも「いつまでもなかよし!」
最近のアイドルマスターの現地&xRライブでは、ステージ以外でもファンにとってアイドルの存在が感じられる、身近にいると思えるような取り組みが行われている。今回の「いつまでもなかよし!」でもいくつかの取り組みが行われた。その中から、筆者が気になったものを挙げていこう。
1)お見送り会
765プロのtwin liveではお馴染みのお見送り会が、今回のライブでも実施された。先ほどまでステージにいた高槻さんと水瀬さんが終演後に1m先に来てくれて、さらに運がよければライブ応援グッズや2人にまつわるアイテムに反応してくれる、ファン冥利に尽きる企画だ。
2)会場周辺を、絵本の世界や2人の会話と繋げる取り組み
今回、[えがおだね!]公演の前に会場周辺にある21世紀の森と広場で2人が散策する様子がSNSで公開され、さらに公演中にその話題でのトークがMCパートで行われた。
ファンというのは推している対象がライブで「ここに行った」「この名物を食べた」と発言したら、その日か翌日にはその場所に行き、その名物を食べ尽くすものである。当然高槻さんと水瀬さんのファンにも共通していて、筆者も早目に現地に着き、21世紀の森と広場に行きピクニックにいそしんだのだが、周りを見渡せば2人のファンと思われる人々がライブ前の憩いの時間を過ごしていた。
これならば普通のことなのだが、今回は「ライブの中で描かれる絵本の物語が森の中」で、かつ2人が「周辺も自然があふれる森」だと発言しているところがポイントだ。筆者はベンチに腰をかけながら、森を見て「花の国の入口はどこかな」と考え、公園で子供たちが遊んでいるのを見て「こもれびの街でも子供たちははしゃいでいるのかな」と想像し、さらに周辺の建造物に対し、「これがひだまりの国のお城かな?違うかな?」なんて妄想をしてしまった。
つまり、絵本の物語の世界と自分がいる世界が繋がっているのではないかという感覚。これはライブ体験をより豊かにしてくれた。
[ひゃくねんさきも!]公演では、100年先も1万年先も仲良しでいれるように、あるいは応援してねという発言があった。また同公演で2人は隣にある博物館に行き、歴史を感じてきたと述べていた。彼女たちが言う、100年、あるいは1万年という時間がどれくらいのものか、博物館を介して歴史というスケールを比較すると実感が湧くのではないだろうか。

(画像はhttps://www.city.matsudo.chiba.jp/m_muse/kannnai/1_floor.html より)
ともあれ、ライブ会場である建物だけでなく、周辺の公園の自然や歴史をライブと繋げることで、ファンにとって今回のライブがより地に足が付いたものになったであろう。
3)ライブの思い出を、ライブが終わっても育てる取り組み
今回のライブは花がテーマであり、現地会場のステージの前面は花が一面に広がっており、花の国のアーチを示すフレームや舞台袖の柱にも花が飾られていた。
花が咲いているのはライブの時だけではない。ライブ終盤のMCではステージにある花を、2人が抽選で選んだ席のチケットを持っている5人にプレゼントする企画があった。約2千人の中から5人というのはなかなか倍率が高く、当選した人にとってはそれだけ大切なものになったであろう。
さらに、特典付きライブチケットを購入した人には、「お花の種付きメッセージしおり」というのをもらうことができた。
筆者は(知人とダブったのを交換して)金魚草、ポピー、かすみ草の種を集め、それぞれを蒔いたのだが、今の所ポピーの芽がでてきたところだ。
このように種を蒔いて、水をやりながら芽生えを待ち、花が咲くことを楽しみにしていると、花の国での出来事を思い出してしまう。笑顔でいた方がいいのかな、輝いていた方が育つのかなと、いつか咲くであろう花と向き合いながら考えていると、これが[きみとおはなし!]なのかもしれないなと、絵本の物語が自分の生活にも影響していると実感するのである。あるいは、ライブをその日だけの出来事から、少なくともその日プレゼントをもらった観客の歴史に残るものにしようとする流れなのではなかろうか。
ちなみに、[きみとおはなし!]公演で貰えたしおりには、育てた花が咲いた様子と、高槻さんと水瀬さんが涙を流しながらも抱き合って喜んでいると思われるイラストが描かれている。
貰った種を秋に蒔くと、花が咲くのは春ごろである。我々も、花が咲くころにまた2人と再会できるといいな…そう思いながら今日も水をやるのであった。
なお、本公演のxRライブはYouTubeで無料配信されている([えがおだね!]、[ひゃくねんさきも!]、[きみとおはなし!])。本編は、2025年11月24日(月・祝)までアーカイブ配信されている。また、2025年11月15日には声優の仁後真耶子さん・釘宮理恵さんによる[きみとおはなし!]公演の生オーディオコメンタリー(アーカイブあり)が実施される。
LIVE Blu-rayも受注受付中だ(受注期間:2025年12月21日(日)まで)
セットリストは以下のXの投稿の通り。
THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
(TEXT by tabata hideki)
●関連リンク
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