ピーナッツくん バーチャルライブ「PQ」レポート これはライブか、映像作品か?

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2025年11月23日にピーナッツくんによるバーチャルライブ「PQ」が開催され、配信サイトHuluや全国70館の映画館でライブビューイングが行われた。

最新作「Tele倶楽部II」にて客演として登場したPUNPEE、漢 a.k.a. GAMI、Daoko、幾田りら、轟はじめ(ホロライブ)がライブに登場することがアナウンスされると、シーンの垣根を超えたライブということで大いに話題を呼ぶことになった。

全国の劇場で放映されたこのライブ、劇場の大半がソールドアウト状態となっていたことからも、いかにいまピーナッツくんがヒップでポップな存在かが伝わってくるだろう。

今回はライブの流れを大まかに追いかけ、どういった内容・意味を持っているのかを記していこうと思う。

ピーナッツくん Virtual Live「PQ」Hulu配信:https://www.hulu.jp/store/pq

ライブ開始直前、ぽんぽこさんがスクリーンに登場すると、今回のライブ視聴の諸注意を一通り伝え、最後には「みんなで応援しよう!! P!Q!P!Q!P!Q!」と声を上げて声援を送った。

インフォメーションではPUNPEE、漢 a.k.a. GAMI、daoko、幾田りら、轟はじめが所属するグループ・ReGLOSS、それぞれのInformationが流れる。改めて「どうしてこの面々が一同に介したんだ?」と疑問に感じてしまう。驚きのメンツだ。

緑色のパソコン画面へと移り、ピーーーガガガッ!という音が流れるなかで”STARTING UP”という文字とロード画面が映し出される。まるで昭和の特撮作品かなにかのような、機械音とPC画面のベタな表現だ。

ローディングを終えると、カメラはとある部屋と人物を映し出す。「んー? 始まってる? 始まってますかぁ? おーーい?」と話しかけてくる人物、ボヤけていたたピントがフォーカスを合わせていくと、そこにはピーナッツくんが。

「配信で御覧の皆さん? 映画館で御覧の皆さん? 『PQ』が始まりましたよぉー!?」

語りかけてくるわけだが、まず驚いたのはピーナッツくん本人や彼が座っている部屋の描かれ方、俗に言う”質感”アニメート性の高さ。まるでディズニー映画のようなカートゥーン系のルックに仕上がっており、滑らかさと美麗さは段違いに素晴らしい。これほどまでに高められたビジュアルでありながら、音楽ライブとして表現されるというのは、ハッキリいうと信じられないレベルだ。

よいしょっと椅子から降りて、一曲目に披露したのは「Superchat」だ。

完全 温まってきたね 空気
huluから配信する(うぃーーー!)
生放送 ハッシュタグ 同接 何人?
チャット欄で飛び交う
Superchat

「Superchat」

自室である子供部屋が赤っぽく染まり、ミラーボールが頭上で回転する中でスピットしたこの冒頭のラップには、さすがに食らってしまった。高品位な3D空間で自室を作りあげ、その中に自分自身を取り込み、huluと映画館のもとにリスナーを集めて”ライブを配信する”。この日のライブをスタートするにバッチリなセルフボースティングだ。

1曲目を終えてMCをするピーナッツくん。細やかかつ美麗に作られた自室を子供部屋っぽく作られたといいつつ、「この中で始まり、この子供部屋からみんなに届けてるこの言葉。まぁ人から言わせれば……僕は”KidsRoomMan”なんて言われちゃうのかな」とつぶやき、楽曲「KidsRoomMan」へ。

ねじ巻きの音からシンセサウンドが広がり、ドリーミーな広がりとともにピーナッツくんはラップしていく。ボーカルエフェクトをかけて何重にもきこえる質感で、部屋に天井や壁にはプラネタリウムのように星座が広がる。

「そういえばそうだった。僕はここから、この子供部屋から……おしゃれになりたーーーーい!と思ってたんだった!」

そのように宣言すると、大きな揺れが起こり……部屋の壁がすべて倒れ、マンションや家の一部かと思っていた自身の部屋が大草原のど真ん中にあったことが明らかになる。流れ始めるイントロ、3曲目は「ピーナッツくんのおまじない feat.チャンチョ & オレンジ博士」だ。

ある朝目覚めたんだ
この重いまぶたが開いた
果てしない草原とダンボール
横にいるのチャンチョ

My name is ピーナッツくん
黄色い体で目立ってる.
生きてる証を刻んでる
オシャレになりたいピーナッツくん

「ピーナッツくんのおまじない feat.チャンチョ & オレンジ博士」

ショートアニメ「オシャレになりたい! ピーナッツくん」のチャンチョやオレンジ博士が登場するなか、ピーナッツくんの周囲にある草原は一気に花が咲いていく。どこかで見た光景だけどもイマイチ思い出せないピーナッツくんに、チャンチョは「この道を進めば分かる」と先へ進むように促す。軽快なギターリフのイントロが流れ、4曲目「CTP」へ。

絆創膏が剥がれるとき
デカイバックパックで出発だ
City boyのように気取る足並みに
さよならするDay of wonder

「CTP」

下り道を歩き始めるピーナッツくんにスケートボードに乗って追従するチャンチョ。町中へと到着した2人からカメラはフェードアウトして空を映し出すと、そこにはライブタイトル「PQ」の文字が浮かぶ。

無料配信で見られる冒頭の流れを丁寧に書いてみたが、どうだろう。

「子供部屋を飛び出してオシャレになろうとする人物」という成長物語を、流麗なCGアニメーションに自身の楽曲をうまく使いながら描く。物語の導入部になっているのが伝わるだろうか。

その後ピーナッツくんは、街の噴水のまえで「Yellow Big Header」を街中の人ともにブチかましたあと、一気に街は夜へ。オレンジ博士の誘いもあって、女の子がいっぱいいるというバーへと足を運ぶことに。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792057476489638

暗がりの裏路地を進んでいくピーナッツくんは「UNDER THE CLUB」と書かれた看板の建物へ入ると、バーも椅子もなく、ガランとした空間に公衆電話があるのみ。ジリリと鳴りだした公衆電話をとると、公衆電話はピーナッツくんとともに一気に地下へ降りていく。

驚きを隠せないピーナッツくんだったが、地下へ降りていくとゴージャスな装いのバーに到着した。しれっとタキシード姿となったピーナッツくんは、小ステージのもとへと足を運ぶと「TwinTurbo」を披露する。最初は周囲をキョロキョロと見回していたが、徐々にエンジンがかかるようにステップ踏みながらラップしていく。

歓声が返ってこないところを自分で「ふぅ~~!」と盛り上げ、「見てください! 僕のこの姿!」とタキシード姿を観客で見せつける。「ここに来たからにはみんなでブチあがろうぜ。こんなプロムみたいな場所ってことは……もしかしてあの人もきてくれるのかな?」とMCする。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792057476489638

すると、最新アルバムから「Stop Motion feat. 魔界ノりりむ」がスタート。電話のベルからでてきたのはもちろん魔界ノりりむ。ステージにいけないことを謝りながら、原曲通りピーナッツくんと「Stop!Motion!」と歌っていく。2ステップ~UKガラージなトラックの楽曲から、ディスクライクな1曲へ。ピーナッツくんのいるダンス会場は照明でカラフルに彩られ、ピーナッツくんは電話先のりりむと一緒に歌い踊っていく。

「いつもこんなことがしたい、あんなことがしたいって思ってやってきたんだけどさ、叶うこと叶わないこといっぱいあるよね。常にぼくは、あんなことやこんなこと、できたらいいなぁと思ってやってきたんだよ」

自身が抱えていた悩みや願望を白状し、フロアには「できたらいいな feat. 漢 a.k.a.GAMI」が流れる。ナイーブな感情で「できたらいいな」と歌うピーナッツくんの後ろから、漢 a.k.a.GAMIが現れ、ピーナッツくんのケツを叩くように攻撃的なフレーズをスピットすると、ピーナッツくんの奥底に引っ込んでいたアグレッシヴな部分を刺激する。

<ピーナッツくん>
夢描いた分が宿題
I need yhat 努力だってつまり
だけどその気分になれない
できたらいいな

<漢 a.k.a.GAMI>
できたらいいなじゃなくて
できるまでやるんだよ
それがピーナッツだろ

「できたらいいな feat. 漢 a.k.a.GAMI」
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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792067735757059

最終盤のアウトロで交わしたラップは、まさにメンターとメンティーのやりとり。アニメルックになった漢 a.k.a.GAMIがかわいいビジュアルになっているのは言わずもがな、「今日はおつまみじゃなくてメインディッシュだった」という言葉から抱きつく姿も見せてくれるのは、感慨深い気持ちにさせられる。

続く楽曲は「Clione feat. 轟はじめ」。バーカウンターから歩み寄り、ピーナッツくんと正対したポジションに立ち、2人は歌い踊っていく。笑顔を見せながら軽やかに踊る轟はじめだが、ところどころにピーナッツくんをセクシーに誘うようなポージングを見せてくれるなど、なんとも小悪魔的だ。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792067735757059

轟「ちょっちょかちまちがちゃっちゃ!!」
ピーナッツくん「なんて?(笑)」
(ちょっと歌詞間違えちゃった と言ってる模様)

歌い終わっていきなり反省の弁を口にする轟だが、全くそんなことは気にならないレベルのダンスで魅了してくれた。

ピーナッツくんはバーにシャンパンをもらいにいき、「ライブ開催を祝ってシャンパンを開けようと思います!乾杯しよう!」とコルク栓を抜くと、勢いよく飛び出したコルク栓がいたるところに飛び回り、なんとピーナッツくんの頭をぶち抜いてしまった(実際ちょっとグロ目な表現になっていたので、このあと配信ライブを見るという方はご用心したほうがいいだろう)。

脳漿が炸裂するほどに頭が吹っ飛んでしまったピーナッツくん。ふっと意識を取り戻すと、デジタルな描写で象られた都市空間を走る車に乗っていることに気づく。右隣のドライバー席には、DAOKOの姿。

「夢みたいだけど夢じゃない。いっしょに行けば分かるよ」と話すDAOKOとともに、「Tokyo Jumpers」を歌っていく。ビル群、街灯、人の姿を多彩な光と瞬きで表現した演出は、とてもきらびやかかつ刹那的だ。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792067735757059

そのまま街を越えていった先で車が停まると、ピーナッツくんを下ろすDAOKO。彼女を引き止めるように言葉をかわすが、DAOKOは車に乗って退場し、代わりにぽんぽこさんが登場した。

「おまえ死んだんだよ。覚えてないの?」

シャンパンのコルク栓にぶち抜かれたタイミングで死んでしまったことを突きつけられ、悲しみに暮れるピーナッツくん。ぽんぽこさんに宥められるように次の曲「幽体離脱」を披露する。

たくさんのクラゲが泳ぐ海中で歌っていく2人、低くうねるベースサウンドと対比してキラキラと鳴るシンセサウンドが、浮遊感を強く印象付ける。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792077223223714

出番を終えて退場するぽんぽこさんは、ピーナッツくんに向けて「答えを探し続けろよ」と声を掛ける。水中の映像美に目を奪われそうになるところ、クラゲに突き上げられてピーナッツくんはどこともわからぬ地上へと着く。

本当に自分が死んだとようやく自覚してきたピーナッツくんは、薄くなりゆく記憶をたどるように「自分はなにをしてきたのか?」と自問自答をする。「GRWM freestyle」がスタートする。

眠いから寝る 朝 目を開ける
少しだらける お腹が減る
布団の中 出る
顔 水かける
服を着替える 靴を並べる
どこか出かける 何かを食べる
食べすぎてゲップして 胃がもたれる
ネットで荒れる 誰かを見てる
明日は我が身だって また擦り切れる

「GRWM freestyle」

日々の生活を綴ったようなポエトリーでセンチメンタルな気持ちにさせられたところで、グランドピアノがピーナッツくんの背後に現れる。鍵盤をトントンと鳴らし、たどたどしく曲やフレーズを奏でていくと「Drippin’ Life」がスタートしていく。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792077223223714

自身の内面をドンドンとラップしていくピーナッツくんを、真横から動くこと無くワンカットで捉え続ける。すこしずつ声を荒らげていくような様すら、ごまかすことなくしっかりと捉えるカメラワークだ。歌い終えると空からスッと光が射し、ピーナッツくんは細かくなってすぅっと空へと導かれていった。

次のカット、地面からいきなり手が飛び出し、ピーナッツくんが突如として復活。吹き飛ばされた顔面部分は修復されていて、どこかゾンビがフランケンシュタインのようだ。チャンチョ、オレンジ博士、病んでるうさぎちゃん、地下アイドルちゃんらが姿を現し、全員が目を光らせていく。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792077223223714

ここで披露されたのは、なんと「ゾンビパーティナイト」。かつて自主制作アニメのなかで披露されていた楽曲であり、コアなファンでなければ知らないであろうこの曲をここでぶち当ててくるとは。しかもよりクラブ感が強くトランスミュージックへとリミックスされていた。

つづけざまにライブは「Squeeze」へ。ピーナッツくん達が頭部や顔面につけていたものはマスクのようにはがれ、目元が黒くなっている。攻撃的なビートにあわせてラップが舌鋒鋭く繰り出されていく。

歌い終えると空から緑色のビームが降り注ぎ、ピーナッツくんの周囲にいた友達がみな消え去り、銀色のボディにシールがベタベタ貼られたロボットが降り立つ。ロボットが起動するとPUNPEEがあらわれ、”NO MORE 映画泥棒”のマネをしつつに2人のコラボ曲「Small Soldiers feat. PUNPEE」へ。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792088031944731

PUNPEEとの会話からソンビウイルスが世界中に感染し、荒廃してしまったことを知ったピーナッツくん。ただオシャレになりたいと思って街に出てきたのにいつの間にか死んでしまい、生き返ったら街は荒廃、 工場現場のような街並みは炎に包まれる。絵に描いたようなバッドエンドコースだ。

そうして絶望しかけた彼の前に、公衆電話がふたたび現れる。不思議がって近づくと、公衆電話はさまざまな型の電話へと変わっていく。次々と電話の形を変えていくと、1点の光とともに女性の声が……。

「もしもし、ピーナッツくん。いまから飛べる?」

直後、光とともに空へと誘われるピーナッツくん。雲の向こう側へと連れていかれ、常世のものとは思えない光景から光の粒子が駆け巡る空間へ。1点の光は幾田りらへと変身し、「TIME TO LUV feat. 幾田りら」が披露される。崩壊しかけた世界を再構築するように”世界を救おう”とする2人、その歌声とともに光が集結する先へと飛んでいく。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792088031944731
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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792088031944731

楽曲が終わると、ピーナッツくんと幾田りらは雲の上。眼下に街並が広がり、どうやら世界を救ったようだ。キレイな世界に感嘆の声を上げながら、「オシャレになりたぁーーい!!」と叫び、ライブは終演を迎えたのだった。

アンコールに登場した彼は、最近の活動で体得したフリースタイルラップでスタッフや友人たちに感謝をつげ、「グミ超うめぇ」「豆舞」を披露。無事キレイに戻った街のなかでラップするピーナッツくんは、やりきったという達成感に満ちているのが伝わってきた。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792057476489638

「子供部屋を飛び出してオシャレになろうとする人物」という物語は、単なるパーソナリティの変化などではなく、世界や街の存亡をかけた規模の大きな物語へと広がっていった。こういったストーリーをみて、ライブ「PQ」は”セカイ系”などと言いたくなる人がいるだろう。実際幾田りらとのライブパフォーマンスとコンテの切り方などは、新海誠監督の某作品を思い出してしまう部分もあった。とはいえ、細かいところを見ればそうではないと言える。


まずはピーナッツくんがライブのMCで話していたことを鑑みれば、「やりたいと思ったことをやろう」というモチベートによって紡がれた物語である。

自分の好きなもので埋め尽くされた部屋を飛び出し、街へ繰り出して可愛らしい美女とともに踊り、時に自身の弱さと対峙する。そのなかで、陽気そのものだった街はゾンビに溢れてしまって崩壊しかけてしまう。そしてその折に登場する登場人物らは、ヒップホップのラッパー、新進気鋭のVTuber、日本を代表する女性ヴォーカリスト、そして自主制作アニメのキャラクター。

こうして書くと、すべてがアベコベでチグハグとし、まるで整合性がないように見える。だが、「”オシャレになりたい!!”というピーナッツくんの欲望によって駆動し描かれたストーリー」という一点でシームレスにつながり、ファンの心をブチ抜いていく。それが「PQ」で綴られた物語であり、ファンの方が見れば半自伝的なストーリーラインだと感じた方もいるだろう。

「ハムレット」に着想を得て父を殺された王女が復讐へ向かっていくストーリーを巧みに描いても、ある程度の整合性や妥当性がなければ、見る人の心が震わせるどころか理解すら得られなかったことを思い出しつつ、筆者はライブを見ていた。

加えてあまりにも作り込まれた映像美、巧みなストーリーテリングに目が行きがちだが、 ピーナッツくんの「PQ」が音楽ライブであることを思い出してみよう。

ライブをするというと当然3Dモーションキャプチャー技術を使っているわけで、しかもこの美麗さとヌルヌル感はおそらくUnreal Engineを使ってアニメーションを手掛けているとおもわれ、そういった環境だと何かしらのトラブルや違和感などが起こってしまうかもしれない。

だが実際のところは恐れていたトラブルが起こらず円満に進行し、無事にライブを終えることが出来た。このクオリティの映像を音楽ライブとして制作されながら淀み無く進行する、そのこと自体がすでに末恐ろしい。ところどころで事前収録・事前制作であろうムービーが挟まっていたが、それもまた淀み無く一つの演出として十二分に機能していた。

バーチャル空間をつかったライブ、またVTuberや歌い手などの3Dビジュアルを使った音楽ライブが多く手掛けられてきた近年、「バーチャルな表現を使ったライブとは?その表現とは?」といった命題に真摯にむきあい、自分らしさ全開のライブを見せてくれた「PQ」は、多くの同業者やクリエイターを刺激するに違いない。

だが一点。ここまで没入感・ストーリーテリングが高いライブをみてしまうと、「もはや音楽ライブではなく、一つの映像作品として制作したほうが良かったのでは?」などと感じてしまったのも事実。どこからがライブパフォーマンスで、どこからがアニメーションなのかが溶け合った「PQ」において、音楽ライブであることの意味合いがスッと薄まっていたように感じられたのだ。

といっても、ここまで完成度の高いアニメーションを見せられては、そういった部分はひとまず横において良いのかもしれない。テイラー・スウィフト、レディー・ガガといった海外のトップアーティストが音楽アルバムやライブを一種のショーや演劇のように仕上げてストーリーテリングに力を注ぎつつあるなかで、ピーナッツくんはそれらに呼応するようにしてライブ「PQ」を作り上げたように感じる。それは、VTuberという3D空間の住人として活動している存在としてのプライドを感じさせてくれる。

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引用:https://x.com/osyarenuts/status/1992792057476489638

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