
Metaが23日に年次の開発者向けイベント「Meta Connect 2026」にて発表したグラス型VRデバイス「Meta VR Glasses」。実はプレス向けに先行体験が行われていて、PANORAでも参加したのでその様子をレポートしていこう。
一言で言うと、我々が死ぬほど待ち望んでいたVRゴーグルがついに世の中に解き放たれたということです!
ずっと待ち望まれていたVRグラス
2026年は実は「VR元年」とよばれた2016年から10周年の年になる。
時は2013年。まだFacebookに買収される前で「Oculus Rift」と呼ばれていたVRゴーグルはKickstarterのクラウドファンディングで目標金額の10倍近くを集めて、その後、昨今のVRムーブメントに火をつけた。
その後のVR元年にリリースされた、PC向けのOculus Riftと「HTC VIVE」、PlayStation 4向けの「PlayStation VR」は、まだどれも有線。前後して「Gear VR」をはじめとするスマホ向けVRも話題になったが、見てる方向は取れるが空間における頭の位置を取れない「3DoF」で没入感はまだまだ低かった。同じ3DoFで一体型で廉価な「Oculus Go」も2018年にリリースされた。
そこから2019年、何も繋がないで動く一体型の「Oculus Quest」が登場して、2、3、3SとMetaのVRゴーグルは世代を重ねてきたのだが、ちょっと大きめのゴーグルを顔に密着させるという体験はずっと変わってこなかった。
筆者もVRの体験会を今でもやっているが、特に化粧や髪の毛をバッチリセットしている女性にかぶってもらうのは、正直なんだか申し訳なく感じてしまうこともある。
「VRはいつかメガネ型になって、そこからが本命ですから」
……と、そんな話をしていた夢がようやく実現したのだ。Meta自身が「VRの新時代へ」とうたっているが、本当にその通りのVR業界で悲願のプロダクトと言えるだろう(この話、「我々は10年待ったのだ!」というジオン再興みたいな話で死ぬほど語れますが、本当に長くなるのでこの辺で割愛します)。

既存のVRファンはもちろん、そうじゃない人も気軽にかけて
さて、実際にMeta VR Glassesをかけた(「かぶった」ではないのだ!)印象だが、「軽い! えっ、しかも視野角広い!」 という印象だった。
特に視野角について、MR(拡張現実、周囲の空間にCGを重ねて表示する)で見た場合、今までのARグラスで受けた「うーん、すごくいいのだけどCGが重ねられる範囲が狭くて体験がもったいないなぁ……」という違和感がなく、今までのQuestシリーズに近い感覚で普通に見られた。いわゆる「新鮮味がないことが、成功の証」と言うわけだ。

Questシリーズとは異なり、構造上、顔面に密着できないため、上下から外光は入ってくるものの、そんなにVR体験を損なうという印象はなかった。一方で、「平たい顔族」に起因するのか、鼻パッド問題はあるかもしれない。パッドは3種類用意されているが、筆者は最初に試したものが合わずに交換してもらったものの、それでもちょっと動くとずり落ちそうな感覚があった。この辺、短時間のデモなのでなんともいえないが、もう少し調整してみたかった。
ちなみに体験を始めるまでは、画面の指示に従って手動で左右のレンズを動かして「IPD」(瞳孔間距離)を調整し、表示された点を目で見てアイトラッキングの設定を済まして……という具合だった。空間に表示されたボタンなどを目で見て、指で指示して確定させるという操作が基本なので、アイトラッキングのキャリブレーション(調整)は必須なのだが、自然と済ませられるのがよかった。
その後は、ビリー・アイリッシュの3Dライブ、ロサンゼルス・ドジャースの「Immersive Sports」、映画が映し出されるスクリーン以外の周囲の空間も物語に合わせて作り込まれた「VR Enhanced Cinem」で「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、VRゲームの定番の「Beat Saber」……といったコンテンツを体験した。
ライブやスポーツは、5KのマイクロOLEDパネルという精細さが実感できた。アベンジャーズのVR Enhanced Cinemは、まさに映画の世界観をベースに作られたCGに周囲が取り囲まれ、例えば画面内で放たれているビームがVR空間でも描画されるなど、スクリーンの展開をその外の演出でも補強してくれるのがいいと感じた。手で遊ぶBeat Saberは新鮮だった。
筆者的に一番響いたのは、Windows機に無線でつないで、机の上にバーチャルのキーボードとトラックパッドを表示して作業できると言うデモだった。元々、Metaは今年2月にQuest 3向けに「Surface Keyboard」という同様の機能を出していた。筆者的には、出先で作業することが多いためiPadをサブディスプレーとして持ち歩いたりしていたが、視野角の広さもあって「Meta VR Glassesで事足りるのでは……?」という可能性を実感した。
最終的な製品版ではなく、短時間のツアー的に触ったものなので、なんともいえない部分もあるが、もっともっと試してみたいと感じさせる製品であったのは間違いない。体感的には、フィットネスなどの激しく動くような用途は既存のQuestシリーズが向いているが、リラックスしながら映画やスポーツを見る用途にはMeta VR Glassesが抜群に合っていると感じた。要するに、今までのVRファンとは異なる、「VRなんか被るの面倒だしなぁ……」と敬遠していた層にリーチしそうな可能性を感じた製品だった。
なんとなくなのだが、Questシリーズと、スマートグラスの両方を作り続けてきて、両方のノウハウが統合されて生まれたのがMeta VR Glassesなんじゃないかと感じさせるところがあった。特に古くからこの業界に携わっているVRクリエイターなら、是が非でも体験して欲しい。
(TEXT by Minoru Hirota)
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