台湾HTC Corporationは米国時間の5日、同社のVRゴーグル「VIVE Focus 3」向けのVRトラッカー「VIVE Wrist Tracker」を発表した。手首に装着して指先から肘までの動きを取得するだけでなく、物に取り付けて現実空間での位置を3D空間に反映する用途にも使える。2022年の第一四半期に米国市場から発売。価格は129ドル(約1万5000円)。
現状、HTCでは、人体や物の空間における位置を取得するために「VIVEトラッカー」シリーズを発売している。こちらは米Valveが開発するVRシステム「StramVR」を元にしており、動作には外部のベースステーションを利用する必要がある。
一方でVIVE Wrist Trackerは、ワンボタンでVIVE Focus 3に無線でペアリングして、トラッカーに内蔵されたLEDをVIVE Focus 3の内蔵カメラで直接拾って動きを取得するという仕組みが異なる。プレスリリースによれば、慣性計測ユニット(IMU)と運動学モデルを活用することで、トラッカーがVRゴーグルから見えない位置に動いても動作を予測してくれるとのこと。
用途としては、トレーニング向けのVR、ロケーションベースのゲーム、ヨガのようなXRヘルスケア体験などを想定。テニスラケットや野球のバットといったスポーツ用品、FPSの武器などにも活用できる。トラッカーを物に取り付けるためのマウンターを作るために、HTCではトラッカーのCADファイルを公開する予定だ。
オプションとして、VIVE Focus 3と2台のコントローラーを充電できる専用ケースや、VIVE Focus 3用バッテリーを4つ同時に充電できるマルチバッテリーチャージャーなども発表している。
同時に、VIVE Focus 3向けの新機能も発表した。無線LANの新規格である「WiFi 6E」への対応、2D Android APKをサイドロードすることでタッチ操作をVR空間で直接設定できるようになったこと、VIVE Wrist Trackerの登場で体験品質が向上したためハンドトラッキングを標準で有効にした点などを明らかにしている。
別のプレスリリースでは、通信会社であるルーメン・テクノロジーズと協業も発表している。HTCのプライベート5Gと、エッジコンピューティングを内蔵したLumenのファイバーネットワークを活用することで、PCでレンダリングしたVRコンテンツを5G回線でVRゴーグル側に送り、一体型VRゴーグルで課題となっている高画質を実現するという。