ライバー5人の熱唱に北の大地が燃えた! 「にじさんじ JAPAN TOUR 2020」札幌公演レポート

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いちからはこの2〜3月、同社が運営するVTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の音楽ライブ「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」を全国5都市にて開催中だ(関連ニュース)。

9日には、1会場目となる北海道・札幌市のZepp Sapporoにて、御伽原江良(おとぎばらえら)さん、童田明治(わらべだめいじー)ちゃん、物述有栖(もののべありす)ちゃん、緑仙(りゅーしぇん)さん、シスター・クレアさんの5名が出演する札幌公演を実施。約2時間・17曲を披露して、ホールいっぱいに集まった観客を熱狂させていた。

昨年10月の「にじさんじ Music Festival」、12月の「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」に続く音楽ライブで、ファンからも注目度が高いということもあり、PANORAでは現地取材を敢行した。早速、レポートしていこう。

 
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マイナス一桁の気温を吹き飛ばすファンの熱気

札幌のこの季節といえば、雪像で知られる「さっぽろ雪まつり」がちょうど開催されている時期で、当然厳しい寒さが予見される。ライブ当日の昼間の天気は晴れだったものの、雪が道路を覆うほど積もっており、気温はマイナス1桁(筆者が現地を訪れた16時頃は-7度)まで下がっていた。

そんな中でも、Zepp Sapporoには朝からライブの物販に並ぶ行列ができており、ファンの期待の高さをうかがわせた。開場となる16時前には、ホールをぐるりと一周取り囲むほど入場列が伸びて、大勢の人がホールのドアが開くのを今か今かと待っていた。そんな寒さが沁みて体を動かしたかった思いもあったのか、17時過ぎにライブがスタートし、オープニングムービーが流れて出演者の名前が現れると、ファンは大きな歓声を上げて、高い熱量でペンライトを振っていた。

ライブが始まってまず感じたのは、距離感の近さだ。過去の幕張メッセイベントホールや両国国技館は6000人規模で、大勢で盛り上がって熱量を感じられたのがよかったが、JAPAN TOURを実施するZeppは2000人規模なので、より出演者を身近に感じられたのがよかった。

また、数十名が出演した過去の音楽ライブと比べると、5人という少数精鋭なので一人あたりの出番が多く、ファンにとっては「推し」の晴れ姿を存分に味わえたという点が嬉しかった。Twitterなどを見ていると遠征組も多かったと推測されるが、満足度はかなり高かったはずだ。

出演者の中で、個人的にピックアップしたいのが童田明治ちゃんで、3Dの姿を初お披露目した(ほかの4人はすでに公開済み)。赤ずきんな衣装も含めて非常に可愛らしい出来で、ライブ中盤に初めて彼女がステージに姿を見せると、会場から「うわーっ!」という待ってましたの歓声が上がる。

そんな彼女はソロパートで、テレビアニメ「境界の彼方」の主題歌である「境界の彼方」と、テレビアニメ『小林さんちのメイドラゴン』のオープニング「青空のラプソディ」の2曲を歌い上げる。元々、YouTubeに投稿していた「GO! GO! MANIAC」などの「けいおん!」曲で「歌うま」なのは折り紙つきだったが、ステージでもかわいらしい声をベースに、聞き惚れる伸びやかな高音を響かせて、リアルとネットの観客を魅了していた。

コンビでは、御伽原江良さんとの通称「がぶりえら」で、3月18日に発売するにじさんじオリジナルフルアルバム「SMASH The PAINT!!」に含まれるオリジナルソング「1+1でQ.E.D!!」と、アニメ「あんハピ♪」のオープニング「PUNCH☆MIND☆HAPPINESS」の2曲を披露した。「1+1でQ.E.D!!」は、ショートバージョンが前日の8日に公開されていたこともあり、ファンの合いの手がとてもアツく会場全体で盛り上がっていた。

アンコール後の感想パートでは、「今日初3Dお披露目ということで、すごい緊張したんだけど。泣きそうなぐらい緊張していて、童田にしては珍しく。童田が出た瞬間、すごいあったかい声を出してくれてて、若干泣きそうだった」とコメント。「3Dで大きな舞台で歌うのが夢だったので、ここまで童田を来させてくれてありがとう」とお礼を口にしていたのも印象に残った。3Dの姿はニコニコ生放送の有料パートで見られるので、ぜひファンはチェックしておこう。

「歌うま」でいえば、今回の出演者全員が該当するだろう。

御伽原江良さんは、「バラライカ」と「ファンサ」がソロパートで、何かから解き放たれたようにのびのびと歌い、ステージで縦横無尽に踊っていた姿が印象的だった。1月にあった3Dお披露目配信をはじめ、普段の芸人っぷりとのギャップがすごくて、ますます惚れたというファンも多いはずだ。

物述有栖ちゃんは、「白い雪のプリンセスは」「セツナトリップ」というボカロ曲2曲を「物述プロ」ともいえる安定した可愛らしい声で歌い上げる。VTuberが出演するシチュエーションコメディ「四月一日さん家の」のシーズン2となる「四月一日さん家と」への出演が決定したこともステージで発表し、「セツナトリップ」はその新衣装で熱唱していた。

シスター・クレアさんとのコラボ曲「pure♡paletワンダーランド」も非常にキュートだった。

シスター・クレアさんのソロパートは、「歌に形はないけれど」「S(mile)ING!」の2曲。特にボカロの名バラード「歌に形はないけれど」では、美声と圧倒的な清楚力を見せつけて、「私は泣いた」と御伽原さんが評するほど感動を呼んでいた。

緑仙さんは、「エージェント夜を往く」「輪舞-revolution」という「今の若い子は知らないんじゃないか!?」という少し古めの曲をチョイス。どんな曲でも見事に歌いこなす緑仙さんだが、今回も2曲とも声質にハマっていて魅了された。MCパートでは積極的にリードするなど、抜群のMC力を見せつけていたのも印象的だった。

シスター・クレアさんとの「愛欲のプリズナー」「十三番目の黙示録」も、耽美な世界観と演出が2人にハマっていた。

出演者以外で印象に残ったのは、3Dの動きの生々しさと、舞台演出のよさだ。

特にMCパートが顕著で、5人で組体操をやったり、無茶振りのBL(?)即興劇をやったりと生き生きと動いている姿から楽しさが伝わってきて、その表現力の高さに驚いた。舞台演出では、両国でもやっていた背景をドットにしてLEDぐらいの解像度のように落とす演出で、メインの演者を際立たせていたのもよかった。

次々と3D化を果たしてきている「にじさんじ」メンバーだが、今回のツアーのステージではその恩恵を最大限に受けていて、「推し」が本当にそこにいる(本当にいるのですが)という感覚を存分に味わえた。

そんな非常に高いクオリティーで披露してくれたラストの全体曲「Virtual to LIVE」は最高に心に響く1曲で、ここで「本当に札幌まで来てよかった」と完全燃焼したという観客も多かっただろう。

今後の4会場への期待が大きく高まった札幌会場。今後のツアーに参加するという方々は、予習も兼ねてぜひニコニコ生放送をチェックしておくといい。

●セットリスト
M1.白い雪のプリンセスは(物述有栖)
M2.pure♡paletワンダーランド(物述有栖、シスター・クレア)
M3.エージェント夜を往く(緑仙)
M4.バラライカ(御伽原江良)
M5.歌に形はないけれど(シスター・クレア)
M6.愛欲のプリズナー(緑仙、シスター・クレア)
M7.十三番目の黙示録(緑仙、シスター・クレア)
M8.境界の彼方(童田明治)
M9.セツナトリップ(物述有栖)
M10.青空のラプソディ(童田明治)
M11.PUNCH☆MIND☆HAPPINESS(御伽原江良、童田明治)
M12.ファンサ(御伽原江良)
M13.S(mile)ING!(シスター・クレア)
M14.輪舞-revolution(緑仙)
M15.1+1でQ.E.D!!(御伽原江良、童田明治)
M16.ふ・れ・ん・ど・し・た・い(御伽原江良、童田明治、​物述有栖)

・アンコール
M17.Virtual to LIVE(御伽原江良、童田明治、​物述有栖、緑仙、シスター・クレア)

次は2月13日のZepp Fukuokaでの開催となる

 
(TEXT&Photos by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!
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