バーチャル空間でヒーローを召喚してバトルロイヤル! VR大乱闘ゲーム「QUANTAAR」レビュー

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台湾のVRゲーム開発スタジオ「Pumpkin VR」が2023年6月7日にリリースした基本無料のVR大乱闘ゲーム「QUANTAAR」(クアンタール)。自分好みにカスタマイズしたヒーローをシンプルな操作で自在に操り、バーチャル空間のアリーナで、4人でのバトルロイヤルや2vs2のチーム戦など様々なルールでの対戦を楽しめる注目の作品だ。今回、先行プレーの機会が得られたので、そのファーストインプレッションをレポートしていく。

同ソフトは、Quest 2、PICO 4、SteamVRでリリースされ、クロスプラットフォームプレイにも対応。しかし、筆者が先行体験できたのは、Quest 2でのソロプレイだけだったため、レポートもソロプレイに関する印象のみの紹介となっている。


簡単操作でド派手なコンボや奥義も繰り出せる

「QUANTAAR」の世界観で特にユニークなのがプレイヤーの設定。プレイヤーは自らがヒーローになって戦うのではなく、「観察者(オブザーバー)」としてゲームに参加。さまざまなヒーローをパートナーして異次元から召喚し操ることで、他の観察者のヒーローたちと戦うのだ。観察者の姿は、ゲームの中では丸い頭と左右の腕だけの可愛らしい姿で描写。ヒーローが戦うフィールドの周囲に浮かんでおり、4人の観察者がフィールドを囲む姿は、ミニチュアフィギュアを使ったアナログゲームを遊んでいるような光景だ。

フィールドの周囲に浮いているのが観測者
戦う舞台の種類も豊富。これは、近未来的なイメージのアリーナ
エジプトをイメージしたアリーナ

アプリを起動すると、可愛いドロイドの案内によるチュートリアルがスタート。アナウンスの声は英語だが、日本語字幕も表示されるため、戸惑うことなく進めることができる。

二つのリングに手を通すことでゲームスタート

宇宙ステーションに到着すると、まずは3人のヒーローの中から最初のパートナーを選択することに。今回は、一番オーソドックスそうなビジュアルのキャラクター「クエーサー」を選択。

ここで選んだ以外のヒーローでも、後から自由に遊ぶことができる、

カーソルを合わせて決定ボタンを押すのではなく、ヒーローの突き出している拳にグータッチすることでパートナーを選択するという操作も面白い。

その後は、ステーション内の部屋を移動しながら、基本操作を順番にレクチャー。移動、ジャンプ、ダッシュはもちろん、コンボアタック、チャージ攻撃、ジャンプアタックなどの攻撃や防御もシンプルな操作で繰り出すことができる。

最初の部屋では、移動、ジャンプ、ダッシュを練習
クエーサーは、特にコンボ攻撃などを決めやすいヒーローのようだ

Quest 2のコントローラーの場合、トリガーを人差し指で引くと攻撃。左右のコントローラーに別々の攻撃が割り振られており、連続で異なる攻撃を2発当てるだけでコンボアタックが発動する。トリガー操作のタイミングはシビアではなく、格闘ゲームはレバガチャプレイが基本の筆者でも、すぐに爽快なコンボ攻撃を決めることができた。

相手に攻撃を当ててエネルギーを溜めることで使える必殺技(特別攻撃)も左右のトリガーを同時に引くだけで簡単に発動。

クエーサーの必殺技は、空中でキックとパンチを連続ヒットさせる

さらに、最強の攻撃である「奥義」は、左コントローラーのボタンを押すだけで放つことができる。

クエーサーの奥義は、フィールドの外から強力なエネルギー波を発射

アイテムを投げて、対戦相手の目隠しもできる

攻撃や防御などの基本的な戦い方の後に覚えるのは、「アイテムを投げる」「カメラを動かす」「一人称視点(に変える)」といったオプション的な操作。しかし、実は、これも「QUANTAAR」ならではの重要なテクニックだった。

バトル中、フィールド上にランダムで現れるアイテムは拾って投げることができるのだが、その標的はヒーローだけではなく、アイテムの中には、対戦相手の観察者に向けて投げられる物も。観察者の視界を遮って、プレイを邪魔することができるのだ。CPUとのバトル中、何度かアイテムを投げられたのだが、真っ正面から狙われるとかなり邪魔。ゲーム中、目の前に障害物が飛んで来て視界を奪われるのは、少し新鮮な感覚だった。

敵に投げられたアイテムが目の前に迫ってくると、かなり邪魔だ。

「カメラを動かす」というのは、観察者の位置を左右に移動させること。常にヒーローを操作しやすいポジションに移動するだけでなく、操作に慣れたら、相手の投げたアイテムをとっさにかわすこともできそうだ。

また、バトル中はいつでも「一人称視点」に切り替えることができる。しかし、FPSゲームのように操作キャラと完全に同化する一人称視点ではなく、ヒーローのすぐ後ろから周囲を見ているような準一人称視点。フィールドや対戦相手との距離が近い分、バトルの迫力は増すが、完全な一人称視点より周囲の状況もかなり確認しやすい。

一人称視点では、よりフィールドに近い視点からプレーできる

カスタマイズやアミューズメントなど楽しみ方が豊富

ヒーローは、コアと呼ばれる強化アイテムを装備することで、さままざな能力を覚えたり、向上させたりすることもできる。各ヒーローは4つのコアスロットを持ち、コアの種類も豊富なため、現時点ですでに何万通りものコアの組み合わせがあるそうだ。コアを購入するためのコインは、各種ミッションの達成報酬としても入手可能。

ゲームを始めてすぐ、一つ目のスロットを手に入れることができる

また、性能面のカスタマイズだけではなく、ビジュアルを変更するスキンの種類も豊富。プレイヤーである観察者をデコレーションするスキンやアクセサリーも用意され、さまざまなカスタマイズが楽しめる。

観察者のスキンやアクセサリーも豊富でカスタマイズも楽しそう

現在、遊べるルールは、4人制バトルロイヤルの「乱闘」と、二人ずつのチーム戦「2vs2」、大きなボールを使った「サッカー」の3種類。すべてオンライン対戦が可能だが、もちろんCPUとのソロプレイもできる。

格闘ゲーム初心者の筆者は、「2vs2」の方が戦いやすかった気がする
サッカーも2対2のチーム戦。敵への攻撃などのラフプレーもオッケー

今回のテストプレイでは、オンライン対戦を試すことはできなかったのだが、アイテムを使った妨害などは対人のオンライン対戦でこそ有効そうなテクニックだけに、「QUANTAAR」の本当の楽しさは、オンライン対戦でこそ体感できそうだ。

拠点となる宇宙ステーションの中には、ダーツ、ゴルフの打ちっぱなし、ボーリングなどが遊べるアミューズメントエリアもあり、フレンドを呼んで一緒に遊べるのもユニーク。

ボーリングは、各レーンに1人ずつという形でプレーする
最初は的に当てるのも難しかったダーツ。

フレンド以外も自由に入室できるテーマ別のソーシャルエリアを作り、「QUANTAAR」の中で新しい仲間と出会うことも可能となっている。

シンプルな操作でダイナミックなバトルを楽しめる一方、キャラクターカスタマイズなどのやり込み要素もあり、乱闘ゲーム以外のアミューズメントもオマケとは思えないほど充実している「QUANTAAR」。基本、無料ですべてのコンテンツが楽しめるだけに、対応のVR機器を所持している人は、ぜひ体験してみて欲しいゲームになっている。

(text by Daisuke Marumoto

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