DataMesh株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:黄 宇、以下: DataMesh)は、株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング(本社:東京都荒川区、代表取締役社長:水口 和之、以下:ネクスコ東日本エンジニアリング)が群馬県高崎市に拠点を有する、ネクスコ東日本エンジニアリング テクニカル・トレーニングセンター(以下:テクニカル・トレーニングセンター/略称:TTC)※1において、技術者育成の課題解決を目的に、デジタルツイン技術、MR技術※2を活用した教育研修用ツールの開発支援を行いました。
ETC設備、トンネル非常用設備をデジタルツイン技術で3Dデータとして再現し、MR技術の活用により現実空間上に3Dデータを重畳させた教育研修は、日本国内初の取組みです。
※1 テクニカル・トレーニングセンター(略称:TTC)について
所在地:〒370-1203 群馬県高崎市矢中町21-2
「施設設備と土木構造物のメンテナンスに関する技量向上」を目的とし、テクニカル・トレーニングセンターでは実際に高速道路上で使われているETC設備や土木構造物のカットモデルなどの実物を使用しメンテナンスや故障対応等の実践的な教育・訓練を行っています。
※2 MR技術について
MR技術は、Mixed Reality(複合現実)技術の略称です。現実世界と仮想世界を融合させることができる技術です。
- 教育研修の実施方法の変化
-ETC設備の教育研修
・これまでの研修の様子
・デジタルツイン技術、MR技術を適用させた現在の研修の様子
(ETC設備をデジタルツイン技術で3Dとして再現し、MR技術で現実空間に重畳させ、自動車がETCに進入するイメージ、制御信号やデータの流れを可視化した様子)
-トンネル非常用設備の教育研修
・これまでの研修の様子
・デジタルツイン技術、MR技術を適用させた現在の研修の様子
(自動弁をデジタルツイン技術で3Dとして再現し、MR技術で現実空間に重畳させ、弁体の内部構造と水の流れを可視化した様子)
(放水の様子をデジタルツイン技術で3Dとして再現し、MR技術で現実空間に重畳させ、3Dで再現した様子)
- 取り組みの背景と概要
1.TTCの事業内容
NEXCO東日本グループは、毎日通行台数約270万台が利用する営業延長約4,000Km、約500箇所のインターチェンジ(SIC含む)を有する高速道路等のインフラを24時間365日維持管理しています。高速道路を維持管理するため、ネクスコ東日本エンジニアリングでは、高度な点検・保守技術を有する技術者が必要不可欠であり、それらを育成することを目的に、研修施設(TTC)を設立しました。
現在、TTCでは、Microsoft社のHoloLens 2とタブレット端末を活用して、開通等で増え続ける道路資産の点検や老朽化による保守に対応する中堅社員のメンテナンススキルの向上と維持、新入社員の教育とスキルアップに取り組んでいます。
2.TTCの現状の課題、トレーニング時における課題
高度な技術集団としての技術者育成によるメンテナンス品質の向上と維持が課題でした。
TTCではメンテナンス品質の向上と維持を目的に技術者研修を行っていますが、従前はインビジブルな「テキスト」「スライド」などの資料を活用して口頭説明により実施していました。研修生は自らイメージし理解しようとしますが、実際には理解度に差が生じている状況にあり、特に可視化できない「ETC設備」や「トンネル非常用設備」研修では若年層の研修生でその課題が顕在化している状況にありました。
3.ETC、トンネル非常用設備の研修において、トレーニング時における具体的な課題
ETC設備の動作を学ぶ際には、車両が進入しセンサーを通過するタイミングの無線通信の流れ、制御信号やデータの流れ、路側表示や機器動作について、多くの教材を用いて説明したのち、実際のETC設備機器で確認していました。しかし、複数の教材を関連付けて理解することは大変複雑で時間を要し、実機では無線通信や制御信号の流れは実際に見ることが不可能で、研修生のイメージに頼らなければなりませんでした。
また、トンネル非常用設備の自動弁の動作原理や、設備内を通過する水の流れの説明においても、実機のカットモデルやパネルイラストを用いて行っても、研修生が構造や動作原理についてイメージすることが難しく、理解度に差異が生ずることや、講師による説明も多少異なることから研修生全員に同じ情報を提供できていないことが大きな課題でした。
4.デジタルツイン技術、MR技術の取り組み及び効果について
「百聞は一見に如かず」をデジタルツイン技術にて実現。
今回、デジタルツイン技術で実績のあるDataMesh株式会社の協力のもと、Microsoft社のHoloLens 2、Apple社のiPadのデバイスを活用し、ETC設備研修とトンネル非常用設備研修にデジタルツイン技術を取り入れました。「インビジブル」を「ビジブル」にすることで、可視化を図り、これまで以上の研修成果を上げることが実現できました。
具体的には以下の通りです。
-ETC設備について
デジタルツイン技術を活用し、ETC設備を精密な3Dモデルで再現、センサーから照射される赤外線も可視化、車両検知の仕組みを見える化し、検知によって無線通信が開始され制御信号が路側機からサーバに流れる状況も可視化、機器動作まで再現することにより、ETCの一連の動作の仕組みをデジタルツイン教材に集約でき、実機を見なくても分かりやすく理解することが可能になりました。
また、タブレットなどのデバイス間の連携を行うことで、遠隔地からの研修参加も可能となり、多くの研修生が参加できる環境が整備できました。
-トンネル非常用設備について
トンネル内の車両火災時に使用する非常用設備の水噴霧装置で、水流を制御している自動弁装置の内部は目視で確認することができず、構造を理解することが非常に困難でした。
デジタルツイン技術により、車両火災発生から放水までの機器動作を再現し、自動弁装置内部のバルブの動きや水の流れなどの内部構造を可視化、動作不良時の調査ポイントや復旧方法の習得が可能な疑似再現機能も追加することで、更なる理解度の向上が可能となりました。
5.今後のTTCの展望
今回、研修内容の一部をデジタルツイン技術により可視化をすることによって理解度が格段に向上し、仮想空間において同一の体験ができるようになりました。受講生個々人のイメージによるものではなく、デジタルツインによって可視化された同一のものを体験できることで、1対nの研修から1対1の学習効果が得られることが検証できました。
従来、見えないから分からなくて良い、知らなくても良いというリスク回避にもつながりました。
また、オンライン研修への展開も可能で、時間を気にせずフォローアップや繰り返し自主学習ができる環境が整うことで更なる理解度の向上が見込まれることから、HoloLens 2及びデジタルツイン技術、MR技術を活用した研修への適用拡大を進めることができると感じています。
少子高齢化による技術者不足に対応すべく、効率化・省力化が急務な現場においてICTを活用したリモートメンテナンス(遠隔点検や遠隔故障対応)などのイノベーションにも取組み、お客様により快適な高速道路空間が提供できるよう日々努力してまいります。
※ 記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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- DataMesh株式会社について
創業以来、“XR/デジタルツインの民主化“を掲げ、世界最先端のXR/デジタルツインソリューションを提供して参りました。直近では、Microsoft Partner of the Year Awards 2020 Mixed Reality部門において、確かな実績を評価いただきアジアから史上初めてFinalistにノミネートされました。また、株式会社NTTドコモ主催の“docomo 5G DX AWARDS 2021”にて最優秀賞を受賞しました。XR/デジタルツイン技術の実装支援を通じて、昨今の社会課題を解決するための取り組みを強化しています。
- 本件に関するお問い合わせ先について
DataMesh株式会社
担当者:鹿島田 健将
E-mail:[email protected]