11月21日(火)にデビュー配信を行った謎の大型新人VTuberアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノさん。「元・四天王」というインパクト抜群の肩書きや、ソニーミュージックからの単独デビューということにも驚かされたが、なんとデビュー配信日の朝から渋谷の街をジャック。スクランブル交差点の大型ビジョンにはデビュー予告の動画が流され、翌日からは渋谷モディの大型ビジョンにも登場。メインビジュアルと名前を大きく掲示したアドトラックは、「パースタパスタパースタ」と、どこか聴き覚えのあるフレーズのオリジナルソングを流しながら、渋谷の街を巡回するという。「元・四天王」の肩書きに相応しいスケールの大きなプロモーションが行われたのだ。
デビュー配信から遡ること数日、大型新人のデビュー計画を聞きつけたPANORAは、ペペロンチーノさんへの初インタビューを実施。辛い思い出が多い故郷での生活や、10月27日(金)に建国したばかりという「パスタ王国」のこと、そして、みんなでバカになって笑って過ごしたいというVTuber活動への思いなどを語ってもらった。
「パスタ王国」は自分の思うままに生きられる自由な国
──11月21日(火)のデビュー配信を観た読者も多いと思いますが(インタビューはデビュー配信前に実施)、まずは自己紹介をお願いします。
アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノさん(敬称略、以降、ペペ) パスタ王国国王のアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノなのじゃ。ペロペロペロピー。
── いきなり一番気になることを伺ってしまうのですが、ソニーミュージックさんから事前に頂いたペペロンチーノさんの資料には、「『元・四天王』VTuberが、新しいキャラクターとして生まれ変わり」と書かれていて驚きました。
ぺぺ ん? なんのことなのじゃ? ペペには意味が分からないのじゃ? ペペは、ペペなのじゃ。
── あ、なるほど……。そういうことなのですね、失礼しました。でも、ペペさんの声を聞いた瞬間から、なぜかすごく懐かしくて嬉しい気持ちになっています。
ペペ 誰かに似ているのかな? まあ、世界には自分に似た人が3人いるって聞くし、偶然だと思うのじゃ(笑)
── きっと、そうですね(笑)。ここからはペペロンチーノさんについて、お話を聞かせてください。「パスタ王国」を建国するまでの生い立ちは、配信デビュー前にYouTubeチャンネルで公開された動画(「Prelude Op.1 輪廻転生 -Reincarnation-」「Prelude Op.2 アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ -Peperoncino-」「Prelude Op.3 再始動 – Restart-」)でも語られていますが、改めて教えていただけますか?
ペペ ペペは、「ゲッティ帝国」というパスタ人間の国の姫だったのじゃ。「ゲッティ帝国」は、みんなと同じことが正義の国で、他の人と違うのは悪いこと。見た目や考え方の違いで迫害されたりもするのじゃ。
──個性的に生きることが許されない国なのですね。
ペペ 例えば、パスタを食べるときの茹で時間は7分で、種類はスパゲッティだけ。ペペたちパスタ人間の髪はパスタなのじゃが、「ゲッティ帝国」ではスパゲッティ型の髪と、ボロネーゼやカルボナーラなどオイル系以外の種族だけが美しいとされていて。いろいろなパスタが混じった髪で、身体からはガーリックの香りが匂うペペは、姫に相応しくないと言われて、ずっとひとりぼっちだったのじゃ。
──一国の姫なのに、ひとりぼっちだったとは……。
ペペ だから、ずっと一人で遊んたのじゃ。でも、ある時、帝国図書館の奥で禁書庫を見つけてしまって。そこで、他の世界では、スパゲッティだけじゃなくタリアッテレとかペンネとかいろいろなパスタが「どれも最高! どれも美味しい!」と言われているし、ガーリックの匂いも「美味しそう」とか言われていることを知ったのじゃ。「ゲッティ帝国」の外では、ペペは悪しきものじゃない。自分らしく生きていてもいいと知ったのじゃ。
──それで、この世界の日本に亡命を?
ペペ いや、禁書庫に入ったことが王様にバレて裁判にかけられ、有罪判決で監獄に入れられて。脱獄したら「ゲッティ帝国」を永久追放になったのじゃ……。
──想像よりも可哀想な状況でした。
ペペ しかも、追放になったとはいえ一応、「ゲッティ帝国」の姫だからか、ペペを捕まえようとする悪い奴らがいて。どうやら、賞金がかかってるみたいなのじゃ。だから、今も逃げている真っ最中。ずっと走っているのじゃ(笑)
──では、ペペさんが建国したという「パスタ王国」は、逃げながら作った国土の無い国?
ペペ そうなのじゃ。「パスタ王国」は、どの国のどんな人も大歓迎。見た目も考え方も匂いも違って良くて、誰もが自分の思うままに楽しく生きられる自由な国なのじゃ。人をわざと傷つけたりするのはダメじゃけどね。こっちの世界も、最近は言いたいことが言えず、好きなものを好きって言いにくい窮屈な世の中になってきてるんじゃろ? だから、「パスタ王国」にいるときだけでも、もっと自分らしく自由に楽しく生きて欲しいのじゃ。ちなみに、建国記念日は「10月27日」なのじゃ。
「アンパンマンになりたい系VTuber」
──VTuberとしての配信デビューは11月21日(火)とのことですが、10月27日(金)に「パスタ王国」を建国したのは何か理由があるのですか?
ペペ 理由? なんとなく、この日が好きで良いなって思っただけなのじゃ。もし何かの記念日とかと重なっていても、それは偶然。来年からも大勢の人と一緒に、この大好きな日をお祝いしていきたいのじゃ。
──Xの「#Vになった流れ」タグで、「走ってたらソニー・ミュージックのお兄さんにスカウトされたのじゃ!」とポストされていましたが、VTuberになったのは、活動を通じてパスタ王国の国民を増やすためですか?
ペペ そうそう。ソニー・ミュージックって、地球ではそこそこ有名なんじゃろ?
──かなり有名ですね(笑)
ペペ 声をかけられたときも逃げている途中だったし、最初はよく分からなくて「え? なに? VTuber?」みたいな感じじゃったけど、VTuberとして活動すると国民が増えるって話だったから契約書にサインしたのじゃ。ソニー・ミュージックのお兄さん、いい人そうだったし。
──今の言葉だけ聞くと詐欺の被害者にインタビューしているような気持ちになって不安ですが、ソニー・ミュージックさんは大企業ですし安心ですね。では、具体的に、VTuberとしてどのような活動をして、「パスタ王国」をどのような国にしたいですか?
ペペ さっきの話の繰り返しみたいになるんじゃけど、好きなものを好きなだけ気ままに楽しめる自由な国にしたいから、まずはペペ自身が心から楽しみながら活動していきたいのじゃ。今、考えているモットーは、とにかく盛大にバカしようってことなのじゃ。
──バカをする?
ペペ バカってすごく悲しいネガティブな言葉ではあるけど、そういう意味ではなくて。バカ騒ぎみたいな? バカになるくらい全力で振り切って楽しいことをして、みんなでハッピーになりたいのじゃ。そうやって全力でバカをして、全力で楽しんで、全力でお金を稼ぎたいのじゃ(笑)
──急に生々しい話になりましたね(笑)
ペペ 国を運営するには、お金も大切なのじゃ(笑)。国民のみんなと一緒に、イベントとかいろいろと楽しいこともやりたいし。それに、そうやって全力で楽しんで全力で稼いだら、さらにやりたいことあるのじゃ。
──さらに先の目標ですね。ぜひ聞かせてください。
ペペ 全力で寄付したいのじゃ。
──寄付ですか? まったく想像していない目標でした。
ペペ 急にこういう話をしたら、すごく偽善な感じに聞こえるのは分かっているのじゃ(笑)
──いえいえ、さすがは王族だなと感心しただけです(笑)
ペペ お金をたくさん稼いで、自分の欲しい物をたくさん買ったり、やりたいことをやったりすることも、もちろんいいと思うんじゃよ。でも、「自分が本当に幸せなるって何だろう? 何のために活動してるんだろう?」って思ったとき、やっぱり、誰かのためになりたい、喜んで欲しいし、何かの後押しがしたいという気持ちがあって。この話、今日、初めて話すから上手に喋れないんじゃけど……。とにかく、みんなといっぱい大バカをして、いっぱい楽しんで。いっぱい寄付もできるようになりたいのじゃ(笑)。きっと、そこに自分の価値とか生きる意味を感じられたりもするのかなって。それで、どういう風な寄付をしたいかと言うと、ペペはパスタ人間だから、みんなには食べ物を美味しく食べてもらいたいと思ってるのじゃ。この世界にも、お腹いっぱい食べられない子供たちはおるんじゃろ?
──そうですね。
ペペ そういう人たちにお腹いっぱい美味しいものを食べて欲しい……って言うと上から目線に聞こえそうじゃけど。そのちょっとした後押しをできたら良いなと思っているのじゃ。お腹を空かせている子供がゼロの世界にしたいというのが、自分の中のすごく大きな目標だったりするのじゃ。
──お話を聞きながら、まるでアンパンマンみたいだなと思っていました。
ペペ ホントだ! この世界には、同じ目的の偉大な先輩がいたのじゃ。ペペは、アンパンマンになりたい系VTuberなのじゃ(笑)
オリジナル曲をどんどん作っていきたい
──(取材時点で)デビューを間近に控えているわけですが、現在のVTuber界については、どのような印象がありますか?
ペペ みんなで仲良くわちゃわちゃしているのが、すごく楽しそうなのじゃ。ペペは、ずっと一人ぼっちで生きてきたコミュ障なので、他のVTuberさんとお喋りするとか、一緒に遊ぶとか、上手にできるのかすごく不安だけど……。お友達をたくさん増やしたいって、すっごく思っているのじゃ。
──一人で活動を続けていくのは大変だと思いますか?
ペペ 一人だけで活動するのも、もちろん楽しいと思うんじゃが、やっぱり仲良しの輪が広がっていくのも楽しいと思うのじゃ。
──ペペさんは、元お姫さまで現在は国王だからか、新人さんとは思えない「王」のオーラも放っているので、周りのVTuberは遠慮したり、恐縮したりして声を掛けづらいかもしれませんね。
ペペ そんなこと全然無いから、気軽にどんどん声を掛けて、仲良くして欲しいのじゃ。ペペも仲良しの輪が広がるように、コミュ障なりに頑張る(笑)。ただ、こんなことを言うと「この新人、調子に乗っているな」と思われるかもしれないけど、先輩たちを相手に変にかしこまってばかりいると、せっかく仲良くなれる関係も思うように進まなかったりするじゃろ? だから、馴れ馴れしくならない範囲で、リスペクトは持ちながらもフラットな関係性を築けたら良いとは思っているのじゃ。みんなの住んでいる世界は、先輩への礼儀とかもすごく大切かもしれないけど、バーチャルの世界はもう少しだけ気楽で自由でも良いのかなって。
──お友達といえば、デビュー前にも関わらず、すでに人気声優の中島由貴さんと仲良くなっていて、Xは相互フォローの関係ということに驚きました。
ペペ 由貴ちゃんとは仲良しのお友達なのじゃ。一緒にラジオ番組とかやりたいから、スポンサーさん大募集中なのじゃ(笑)
──お二人のラジオなら、すぐに良いスポンサーが決まりそうな気もします。ところで、11月21日(火)のデビュー配信後は、具体的にどのようなスタイルでのVTuber活動を予定していますか? 生配信がメインですか? それとも動画投稿がメインですか?
ペペ 今は、自分でも「VTuberって何ができるんだろう?」ってすごく考えているところで、まだ分からないところもあるんじゃが、ベースはYouTubeでの生配信。その中では、もちろん普通に雑談はするし、王国での出来事を喋ったりもするはず。あとは、他のVTuberさんがよくやっているゲーム配信や歌配信にも挑戦したいのじゃ。
──生配信中心に、さまざまなことに挑戦していきたいのですね。
ペペ あ、あと、絶対にやりたい大事なことを忘れていた。
──何ですか?
ペペ 禁書庫に入ったとき、「ゲッティ帝国」以外の世界には、「アルデンテ」というパスタの茹で方があると知ったんじゃよ。
──ほんの少しだけパスタに芯を残す茹で方ですね。
ペペ そうそう。「ゲッティ帝国」ではパスタの茹で時間は7分って決まっていたから、一度、アルデンテで食べてみたいのじゃ。
──「ゲッティ帝国」を追放された後も、アルデンテのパスタは食べたことがなかったのですね?
ペペ うん。まだ食べられてないから、アルデンテを食べる配信をしたいのじゃ。パスタだけでなく、いろんなものをアルデンテで食べるのも面白そうなのじゃ。
──パスタ以外……うどんとかラーメンとかですか?
ペペ 麺類も良いけど、いろんなことに挑戦したいから、みんなからも募集するのじゃ。アルデンテで食べたら美味しかったり、楽しかったりするものがあったら、ぜひ教えて欲しいのじゃ。あとは、歌うことも大好きだから、オリジナル曲をどんどん作っていきたいのじゃ。もうレコーディングは終わっている曲もあるんだけど、その他にもどんどん増やしていきたいのじゃ。
──取材の前に、オリジナル曲「パスタの歌 ~ペペロンチーノ~」を聴かせていただきました。
ペペ 聴いているだけで、めちゃくちゃ楽しくなる曲じゃろ? 頭が真っ白じゃなくて、なんて言うか……頭の中が宇宙みたいな感じになって歌ったのじゃ。
──たぶん、都市部に住んでいる人の多くが聴いたことのある曲を彷彿とさせるメロディでもあって。「ペーロペーロペロ ペペロンチーノ」「パースタパスタパースタ」というフレーズの繰り返しには、洗脳されそうな感覚になりました。
ペペ メロディの話は、ペペにはよく分からないのじゃ(笑)。でも、歌っていたら、すごくペペロンチーノを食べたくなったし、ボイトレの先生やレコーディングのスタッフさんも同じことを言ってくれてたのじゃ。すでに、ペペロンチーノを広めることに大成功しているから、これからもいっぱいみんなで歌って、広めていきたいのじゃ。
──一度聴いたら忘れないメロディとフレーズなので、歌うのも簡単で楽しそうですね。
ペペ たしかに、すごく覚えやすい曲なのじゃ。ちっちゃなお子様からおじいちゃんおばあちゃんまで、家族みんなで歌って欲しいのじゃ。
「パスタ王国」の国民を100万人にしたい
──デビュー配信日の翌日22日(水)からは、ペペロンチーノさんのアドトラックが「パスタの歌 ~ペペロンチーノ~」を流しながら、渋谷の街を走るらしいですね。
ペペ びっくりじゃろ(笑)。ソニー・ミュージックのお兄さんが「トラックを走らせよう」って言い出して。しかも、「この曲を流したら、みんながペペロンチーノを食べたくなるし、パスタ王国の国民にもなりたいと思ってもらえるはず」って言うから、「じゃあやりましょう」ってなったんじゃが、まさか1週間も走るなんて(笑)
──さすが、ソニー・ミュージックの大型新人だなと思いました。
ペペ でも、トラック代とかの費用を使った分はこれから稼がなきゃいけないから、「パスタ王国」の財政はデビュー前から大変なんじゃよ(笑)。かっこいいティザーPVも作っちゃったし……。でも、国をアピールするためにはこれも必要な経費なのじゃ。
──今後のVTuber活動に関して、数字などで測れる具体的な目標はありますか?
ペペ う~ん、そうじゃなあ……やっぱり、せっかく国を建国したのだから、「パスタ王国」の国民を100万人にしたいのじゃ。
──YouTubeチャンネルの登録者数を100万人にしたいということですね。
ペペ もちろん、国民の数はただ多ければ良いってわけではないし。100人でも1000人でもすごく嬉しくて大切なんじゃよ。でも、なぜか100万人って数字は、すごく気になるんじゃ。なんでじゃろ? それに、やっぱり夢はでっかく持つべきだし、言ったもん勝ちでもあるし(笑)。まずは「パスタ王国」の国民100万人を目指して、頑張っていきたいのじゃ。
──では、最後に、これから始まるVTuber活動で、一番楽しみなことを教えてください。
ペペ 一番楽しみなのは、アルデンテを食べることなのじゃ(笑)。あの禁書庫で見た、アルデンテのレシピが忘れられなくて、今からすごく楽しみ。「ゲッティ帝国」では、7分茹でたパスタだけしか食べられなかったから、この世界では、6分のパスタや5分のパスタ、1分のパスタだって食べてみたいのじゃ。ペペは、固いのが好き!
──なるほど(笑)
ペペ いや、今のは別に下ネタでは無いのじゃ(笑)。ペペは、下ネタなんて言わないのじゃ。とにかく、前の暮らし、前の世界では、できなかったことにいっぱい挑戦していきたいのじゃ。あとは、世界中の言葉で歌いたいとも思っていて。いろいろな言語を喋ることはできないけど、歌だったら練習をすれば歌えるはず。そこから繋がるご縁もあると思うし、ちょっとソニーミュージックのお兄さんに相談してみるのじゃ(笑)
──相談は、これからなのですね(笑)。本日は、デビュー配信直前のお忙しい中、インタビューにご協力いただきありがとうございました。
ペペ こちらこそなのじゃ。
──今日お話ししていて気づいたことなのですが、ペペさんの「のじゃ」という語尾は、「VTuber四天王」と呼ばれた、ねこますさん(バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん)にも似ていますね。
ペペ 「けもみみおーこく」ののじゃおじさん? そう言われたら、そうかもしれないのじゃ。のじゃおじさんは大先輩だし、「のじゃ同士」いつかお会いしてみたいのじゃ(笑)
(TEXT by Daisuke Marumoto)