クレーンの「ラジコン操縦」に特化したVR訓練システムをシンフォニアが開発

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シンフォニア株式会社

XRコンテンツ開発を手掛けるシンフォニア株式会社(東京都府中市、代表取締役:瀬戸 豊)は、従来より販売していた「小型移動式クレーンVR訓練システム」のラジコン訓練用システムが完成したことを発表しました。

小型移動式クレーンの資格を取得したものの現場に出たことのない新人オペレーターから、ベテランオペレーターの再教育まで、小型移動式クレーンを操作する全ての方が効率的に学習を行うことの可能なシステムとなっております。

「ラジコン版 小型移動式クレーンVR訓練システム」
「ラジコン版 小型移動式クレーンVR訓練システム」 機材構成

本製品はシンフォニア株式会社が展開している、『Enhanced XR』を象徴するシステムとして2024年春以降のリリースを予定しております。

※『Enhanced XR』とは、体感強化用のデバイスをXRと連動させる形で付加することにより、従来のVR,ARデバイスでは実現できなかった操作感や没入感を実現する手法のことです。VRコントローラーだけでは実現不可能な、リアルな「操作体験」による高い学習効果が期待できます。

独自開発を行ったラジコン装置

「ラジコン版 小型移動式クレーンVR訓練システム」で用いられるラジコン装置は当社が独自に、2021年から約2年間開発を続けてきたものです。

現物の小型移動式クレーンを操作するラジコンの操作感に近づけるため、複数回のプロトタイプ開発を重ねてまいりました。

2022年に開発を行った初期のプロトタイプは形状こそ似通っているものの、実際に手にした際の操作感や、グリップ具合に納得がいかず、全体の形状から見直しを行いました。

ラジコン訓練用コントローラー 初期型のプロトタイプ

2023年の秋頃、形状を全て見直した上で、実物のラジコンとサイズ・操作感・グリップ感の全てにおいて遜色のない、ラジコン装置が完成しました。

ラジコン訓練用コントローラー完成版 前面

4種類の操作選択スイッチと人差し指の速度レバーを組み合わせて操縦するという、実物のラジコンと同様の操作感を実現しております。

また、操作選択スイッチはタッチセンサになっており、VR内のラジコンには、自分がどのスイッチに触れているかが表示されます。

タッチセンサが反応し、VR内に反映されている様子

片手で操作しやすいグリップ・形状に設計されており、操作性を再現するために非常に重要な速度レバーの操作感(押し具合)も、数多くのテストを重ねバネの強さや配置を調整し、実物と遜色ない操作感になっております。

ラジコン装置背面

「ラジコン版 小型移動式クレーンVR訓練」コンテンツ

ラジコン操作と動作確認

ラジコンを操作して小型移動式クレーンを操縦した経験が無い方を対象としたコンテンツです。どのようにラジコンを操作すると小型移動式クレーンが動作するかを1から学習していただ内容となっております。

本コンテンツ内では、ブームの伸縮、旋回、起伏、フックの巻上げ・下げの操作を一つずつ学習します。自身が満足いくまで、操作を何回でも試すことができます。

全ての操作を一通り学習した後、指示された場所に向けて小型移動式クレーンを操縦できるかのテストが用意されており、操作を習得できたかのセルフチェックまで行うことが可能になっております。

各スイッチの解説の様子
操縦テストの様子

ベーシック訓練

一般的な小型移動式クレーン作業現場における手順を学びたい方を対象としたコンテンツです。

実際の現場では、小型移動式クレーンの操縦だけではなく、関係者との折衝、規制帯の設置など、様々な作業を行うことが求められます。特に安全を確保するための手順は非常に重要であり、一つでも無視してしまうと重大な事故を引き起こす可能性があります。

ベーシック訓練では、最初は作業関係者との作業内容の確認、次に障害物の除去…等、どの作業現場でも必要となる作業フローを一つずつ順番に学習することが出来るようになっております。

これから現場に投入される方だけではなく、ベテランの方の再教育ツールとしてもご利用いただくにも最適です。

吊り荷の上部にフックを移動させた様子
荷台に吊り荷を移動させた様子

直感的なインターフェイス

「ラジコン版 小型移動式クレーンVR訓練システム」では、訓練者がラジコン装置を把持している関係上、VRコントローラーを使用することなく、ハンドトラッキングを用いて、空間をタッチすることでVR内でのアクションを行うUIを採用しています。

メニューやテレポート先を、空間タッチで選択

また、小型移動式クレーンをラジコンで操作する場合は、操縦者が移動しながら作業を行うことがほとんどであるため、「ラジコン版 小型移動式クレーンVR訓練システム」では、狭いスペースでも訓練できるよう、各地点にテレポートで移動することが可能な仕組みになっております。

(広いスペースが確保できる場合、操縦者がスペース内を移動しながらVR訓練を行うことも可能です)

テレポート先を選択している様子

開発の背景

当社が「小型移動式クレーンVR訓練システム」を販売開始したのが2020年12月のことです。

これまで、一般社団法人日本クレーン協会が主催する「全国クレーン安全大会」や、大阪万博の前哨イベントとして行われた「HANAZONOEXPO 2023」等、数多くのイベントに出展し、多くの方々にご体験を頂きました。

2022年11月に石川県金沢市にて行われた「第42回全国クレーン安全大会」に出展を行った様子

また、「小型移動式クレーンVR訓練システム」の有用性・操作性を評価いただき、日刊工業新聞社が主催する「第34回中小企業優秀新技術・新製品賞」、並びに東京都が主催す「Tokyo Contents/Solution Business Award 2022」にて奨励賞を受賞しております。

「第34回中小企業優秀新技術・新製品賞」授賞式の様子

多くの方から様々なフィードバックを頂戴しアップデートを重ねて参りましたが、その中でも、ご体験頂いた方々から特に多かったフィードバックが「ラジコンで操作する訓練を開発して欲しい」というものでした。

小型移動式クレーンの教習所ではレバーを使用した操縦のみで教習を行います。

しかし、資格取得後のクレーンオペレーターが現場で作業を行う際には、レバーを使用せずラジコンのみを使用するというユーザーが大半となっておりました。現在、作業現場における小型移動式クレーンは、ラジコンでの操作が約9割程度を占めます(当社調べ)。

当社としても、ラジコンでの操縦を前提とした訓練システムをご提供することで、職場での日常的な訓練としてに役立てていただけるのではないかと考え、2021年から本格的にラジコン装置、及び現場を想定したコンテンツの開発に着手を行いました。

尚、本製品は東京都中小企業振興公社の「製品改良/規格適合・認証取得支援事業」に採択されております。

今後の展開

本製品は春以降の販売受付開始を予定しております。その後の展開としまして、「危険体験訓練(安全訓練)」の実装を予定しています。危険体験訓練では、軟弱地盤へのアウトリガーの展開による地盤の沈み込み、アウトリガーの張り出し不足による車体の転倒など、様々な事故をVR内で体験できるようになります。

現実で同様の事故に遭うことの無いよう、VR内で事故を一度体験することで、大きな事故予防、及び安全啓蒙の効果が見込めます。

シンフォニア株式会社について

会社名:シンフォニア株式会社
所在地:東京都府中市宮町2-15-13 第15三ツ木ビル3F
代表者:代表取締役 瀬戸豊

設立:2014年5月

「小型移動式クレーンVR訓練システム」公式HP:https://crane-vr.com/
会社ホームページ:https://sinfonia.biz/

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