森ビルと国土交通省による「PLATEAU」(プラトー)は10日、虎ノ門ヒルズステーションタワーにてXRをテーマにしたハッカソン「TOKYO NODE “XR HACKATHON” powerd by PLATEAU」の最終審査会となる「AWARD NIGHT」を開催した。
PLATEAUは、都市デジタルツイン実装プロジェクト。107名の応募から選ばれた16組のファイナリストが登壇し、手がけた作品を審査員にプレゼン。元々4つの賞を用意していたが、審査が難航したため「特別賞」が追加されて最終的に以下の5チームが選ばれた。
グランプリ
●TORANOMON bird’s eye view(チーム:LUDENS)
虎ノ門ヒルズの近くに立ってスマホカメラで周りを見渡すと、施設や店舗、他のユーザーがノードとして画面に表示される。ノードは平面だけでなく垂直の方向にも表示されるので、ビルを見上げるなどして平面の地図ではわかりにくい高層階の位置も直感的につかめる。さらに、スマホカメラで見ている一人称視点から、俯瞰視点にシームレスに切り替えて、建物の内外で自分がどこにいるのかを把握できるのが特徴だ。
既存のヒルズアプリと連携させて、ノードをタップしたら情報を取得させたり、ハッカソンのXRコンテンツを展示してる場所を表示するなど、XR基盤としての活用も想定している。
●審査員評価:森ビル TOKYO NODE運営室・杉山氏
「受賞の理由として、まちづくりの視点から都市の抱えている課題をテクノロジーで解決していると感じた点がいちばんのポイント。特に都市構造が高密度、立体化することによって、ナビゲーションがユーザーにとっての課題になっている中、今回のプロダクトが自分の位置がわかって、透けて建物が見えてという、直感的に都市のスケールが把握できる」
PLATEAU賞
●ARプロゴルファー虎(チーム:虎ノ門ゴルフカントリー)
スマートフォンを使い、現実世界にARでコースを重ね合わせたゴルフアプリ。コースは、公園から森タワー、ステーションタワーの駅前広場のB2FからB1F、森タワーのオーバル広場からステーションタワーの8Fテラスという、虎ノ門ヒルズの環境を生かした3つを用意。リアルのゴルフと同様、一打打った後に、主人公のキャラクター・虎丸くんと共にボールがある場所まで移動するというのも特徴になる。
●審査員評価:国土交通省総合政策局/都市局 IT戦略企画調整官・内山氏
「今回のハッカソンのテーマはテジタルツインになっているけど、その中でわれわれ国交省・PLATEAUと森ビルさんと協力して都市スケール、例えば虎ノ門エリアみたいなのの全体のデジタルツインと、虎ノ門ステーションタワーの屋内みたいな詳細なデジタルツインを統合した本当の意味でのデジタルツインみたいなものをなんとか作って、活用してソリューションを生み出したいという思いがあった。虎ノ門ゴルフカントリーさんはまさに屋外から屋内とか、屋内から屋外、そして屋外においてもボールを打って追いかけるみたいな身体性も含めた都市全体のリアルな体験と、ARの体験を融合させたという、ありそうでなかったソリューションを作っていただけた」
Xplorer賞
●SKyscraper stage in Toranomon(チーム:SKiT)
電子ドラムを叩くと、演奏に合わせてビル壁面や中空にAR演出が現れるというソリューション。ダイナミクス(音の強弱)に合わせて表現が変わるのもポイントだ。
●審査員評価:バスキュール代表取締役・朴氏
「XRのコンテンツを作るのは何かと複雑になりそうなのですが、やりたいことがいい意味でシンプルで、楽しむ方も安心して楽しめると思った。僕らはXplorerを作ってるけど、そのままやりたいと思った」
Volumetoric賞
●WARAWARA(チーム:ばいそん)
ロケーションベースのARコンテンツに、好きなからだを参加させて記念撮影できるカメラアプリ。自分の体やキャラクターなどをスキャンしてその場でパペットを生成。空を飛んだり滑り落ちたりと言った、地形を絡めてアニメーションさせたAR動画を撮影して、ネットに投稿できる。VPSを活用し、顔はめパネルのように特定の場所でしか体験できないようになっているのも特徴だ。
●審査員評価:WIRED日本版編集長・松嶋氏
「このハッカソン自体がXRによって都市の価値を拡張して、その中で体験価値をどれだけ増やせるかということを目標にしていると思うのですが、今回の中で一番楽しそうで、このサービスをみんなが使うようになるというのを感じさせる素晴らしい作品だと感じた」
特別賞
●XR Sensory Map(チーム:センサリーカメレオン)
感覚過敏の人々を支援することを目的に作られたサービス。例えばビル内にある眩しい看板など、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーにおいて視覚/聴覚/嗅覚で刺激がある場所をマーカー化。事前なら3D空間をキャラクターで歩き回って、現地ならスマートフォンをかざしたARで、どこに刺激の発生源があるかを把握できる。サービスの制作にあたって、実際に感覚過敏の方々に話を聞くフィールドワークを行ったのも特徴だ。
●審査員評価
「今回の枠組みの中で評価しきれなかったものの、素晴らしい取り組みなので何か賞を与えたいということで選ばさせていただいた。まちづくりをしている森ビルの立場でもなかなか気付けないような、当たり前に作っているサインや照明、音の環境など、そう言ったところに改めて気づかせていただいた」
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