2024年6月9日にYOKOHAMA COAST garage+にて、音楽ライブイベント「Meteopolis Carnival」が開催された。RIOT MUSIC内のレーベル・Meteopolisが主催で、凪原涼菜・神崎茜・初瀬川岬の所属メンバー3人全員が出演する豪華な内容となった。
また、このイベントは朝10時から約12時間続いたワンデイイベントとなっており、内容も非常に濃密。「初瀬川岬 Meteopolis Carnival オープニングライブ」「サテライトラジオ ~MPC出張版~」「神崎茜バースデーライブ 紫焔 -SHIEN-」「凪原涼菜ワンマンライブ 哉醒 -SAISEI-」となんと4本立てでライブが続き、各メンバーとのコラボフードやオリジナルTCG「フェスタヴィータ」の販売およびプレイコーナーが置かれるなど、まさに「Meteopolis Carnival」という言葉通りファンを楽しませてくれた。
このレポートでは午後に開催された「神崎茜バースデーライブ 紫焔 -SHIEN-」「凪原涼菜ワンマンライブ 哉醒 -SAISEI-」の2つのライブについて、ギュギュっとレポートしていこう。
神崎茜の熱い歌声 そんな彼女への「ハッピーバースデー」
Meteopolisに所属する神崎茜は初瀬川岬とともに2023年4月にデビューし、つい先日には2人の活動1周年を祝う1st Anniversary Live「開闢 -かいびゃく-」をオンラインで開催したばかり。今回のライブは、神崎の誕生日である6月23日にちなんだバースデーライブとして催された。
ライブ始まる前から紫色のペンライトの数々が灯るなか、会場が暗転してライブはスタートした。
彼女のオリジナル曲「年中夢境」を歌い、スウィングジャズ×ボーカルのゴージャスな1曲で華々しくライブをスタートした。
まだ活動をスタートして1年ほどということで、歌唱した楽曲の大半はカバーソング。2曲目から宮崎歩「brave heart」、和田光司の「FIRE!!」「Butter-Fly ~tri.Version~」と歌っていったが、始まってすぐのイントロでは声のみアカペラ部となっており、これは彼女が投稿してきたカバー動画とおなじサウンドであった。「あの投稿動画とおなじか!」と心躍った方も多かっただろう。
MCを挟んで歌っていったのは「Super Driver」「God knows…」「Lost my music」と平野綾関連楽曲を3連打、この後には凪原涼菜が登場し、2人で「Hero too」「革命デュアリズム」「ライオン」を熱唱した。
グンと伸びていくようなボーカルが特徴的な2人だからこそ、ときに声をぶつけ合うように、ときに向かい合って声を重ね合うように歌っていった。「楽しかった!なんか3秒くらいで終わっちゃった感じ!」と2人がMCをすると観客からは笑いが飛んだが、気持ちもわからなくもない。
オリジナル曲「バーニング・トゥ・ナイト」「パルフェイク」の2曲をキッチリと歌いきって、無事本編を終えた。アンコールの声に応じて登場した神崎が「この曲はRIOT MUSICに入る前から聴いていて、この曲があったからここに入ったと言っても過言じゃない」と語って歌い始めたのは、凪原の代表曲「Okeanos」。そして最後に歌ったのは、彼女にとって4曲目となるオリジナル曲「BLOOM!!」。この日が初披露となる楽曲で、明るいポップパンクらしいサウンドはこれまでの彼女にピッタリな1曲と感じられた。
大きく手を振って最後まで観客にアピールした神崎。彼女がステージからいなくなった際には、誕生日を祝うように「ハッピーバースデートゥユー」を観客全員で大合唱。彼女へのエール・お祝いの気持ちを示した。
シリアスで穏やかな熱気を灯した第1部 ”凪原”ワールド全開の第2部
凪原涼菜のライブ『哉醒 -SAISEI-』は、なんと休憩時間有りの2部構成ライブとなっており、第1部はピアニストと自分のみで構成されたアコースティックな編成でカバーソングを中心に歌い、第2部は凪原のオリジナル曲を中心にした内容となっていた。
まずは第1部。STRIXのピアノ・匠とともに登場した凪原の流麗な音楽とオープニング映像が流れ、凪原がステージに現れると、1曲目に歌い始めたのは石川智晶「Prototype」だ。
二部構成であること、ピアニストと自分のみで構成されるアコースティック編成であること、何から何まで新しいチャレンジ。その出足ということでおそらく非常に緊張していたはずだが、一切ナーバスなムードはない。スっと伸びていく持ち前のロングトーンを武器にしながら、心地よく、それでいて原曲が表現していたピンと張ったシリアスなムードを生み出していく。
「思い入れのある曲を選びました」とMCする凪原。その選曲も中島みゆき「糸」、一青窈「ハナミズキ」といったJ-POPの名曲に、木村弓「いのちの名前」や小林幸子「風といっしょに」など懐かしのアニソンを歌っていく
そのなかで白眉だったのは林明日香「小さきもの」のカバーだった。ここまでスローなナンバーを歌ってきたわけだが、この曲あたりでエンジンがフル稼働となったのだろう。声の大小やタッチ、太い声・細めの声のコントロールなどが抜群に冴え、まさに「自分のもの」として歌い上げていたのは素晴らしかった。こうなってくると、本当はあまり好ましいと言われない呼吸音・ブレス音がマイクに乗ることすらも美しく感じられるほどだ。
ここで神崎をゲストに呼び込んで「翼をください」「リフレクティア」の2曲を披露。「いやぁ、子守唄みたいに聞こえてきて…」と切り出した神崎、それまでシンと静かだった会場に笑いが起こった。それだけ観客が凪原の歌声・パフォーマンスに集中させられていたということでもある。
「さっきまでの曲は思い入れある曲をしっとりと歌いましたが、このあとは意外性のある曲やスピード感ある曲を歌っていきますね」とMCすると、「美しい鰭」「ガーネット」「雫」「甲賀忍法帖」とつぎつぎに歌っていく。
再度書かせてもらうが、ピアノとボーカルの2人のみによるアコースティックな構成となっており、いわずもがな”音楽を2人だけで作り上げる”ことが要求される。当然2人以外の音が混じることはないので、より繊細かつ注意深く、音と声のやりとり・応答していくことが求められる。注意深く凪原をみれば、左手・左腕・首でピアノの音をとって声を合わせているのがわかる。
第1部最後に歌ったのは、自身の楽曲「Okeanos」。原曲よりも多少遅めに、だからこそ生まれる呼吸感で気持ちいっぱいに歌い上げた。無駄に歓声をあげることなく、拍手のみで2人に感謝を告げ、第1部は終了となった。
15分ほどの休憩の後、第2部がスタートした。登場してすぐに気づいたのは、白色と水色を基調にした新衣装を着ていたこと。事前に新衣装をお披露目するとアナウンスしていたが、高身長の彼女にロングブーツ&ショートスカートは非常にピッタリ、これには観客もおもわず雄叫びを上げていた。
第2部では彼女のオリジナル楽曲のみのセットリストで、センチメンタルで濃密なムードを作り上げていた第1部とは違い、ここではさまざまな表情を見せてくれる。
「断章」「虹色の魔法」では多少音を外しても構わず観客に「盛り上がろう」と言わんばかりに煽ってみせ、3曲目「PANDORA」では打って変わってファルセットを存分に使ってダークな世界観を表現し、「プロタゴニスト」では艶っぽく唄う部分とウィスパー気味に唄うところとスイッチするように歌う。この振り幅・表現の広さこそ、凪原の真骨頂だろう。
「朝からのイベントなんですけど、皆さん朝からいるんですか?」と会場の観客に問いかけると、会場全体が大きな返事で答える。RIOT MUSICのメンバーが集まったコンピレーションアルバムから「Air」「PRELUDE」の2曲を歌い(筆者はまさか歌うとは思っていなかった)、「初めて尽くしのライブイベントになったんですが、人生の中でも宝物ののような1日になったと思います」と今日を振り返りつつ、「わたしの最新曲と、最初にリリースした曲を歌います」とMCして、「雲透きの詩」「楽園航路」と未発表曲も含めて歌ってみせた。最終盤になってもブライトな輝きを放つ彼女の歌声に、この日集まったファンも心震えただろう。
アンコールの声に応えて登場した彼女は疲れ知らず。RIOT MUSICのコンピレーションアルバムから「We Are Here」に加え、この日4度目(!)でSrav3R Remixとなる「Okeanos」をバッチリと歌い上げ、会場から12時間にも及ぶワンデイイベント「Meteopolis Carnival」を締めてみせた。
つい先日に凪原涼菜のコラムでも触れたが、RIOT MUSICにはMeteopolis以外にもBlitz Wing、汽元象レコードといったレーベルがあり、さまざまなシンガーが所属している。開催を予定していた「Re:Volt 2024」は、新旧さまざまなメンバーが活動する中での環境づくりに専念するということで、今年はじめに開催を見送ることをすでに発表している。
確かにネガティブな話題に見えるのだが、今回のようなレーベル毎のライブイベントにくわえ、松永依織や長瀬有花のようにソロ活動が活気づいていく動きが起こっている。RIOT MUSIC所属の面々がどのようなインパクトを残してくれるのか? 大きな注目が集まっている。
●神崎茜バースデーライブ 紫焔 -SHIEN- セットリスト
- 年中夢境
- brave heart
- FIRE!!
- Butter-Fly ~tri.Version~
- Super Driver
- God knows…
- Lost my music
- Hero too
- 革命デュアリズム
- ライオン
- 世界が終るまでは…
- マイ フレンド
- バーニング・トゥ・ナイト
- パルフェイク
- Okeanos
- BLOOM!!
●凪原涼菜ワンマンライブ 哉醒 -SAISEI-セットリスト
<第一部>
- Prototype
- 糸
- ハナミズキ
- いのちの名前
- 風といっしょに
- 小さきもの
- 翼をください
- リフレクティア
- 美しい鰭
- ガーネット
- 雫
- 甲賀忍法帖
- ETERNAL BLAZE
- Okeanos
<第二部>
- 断章
- 虹色の魔法
- PANDORA
- Fatum Pupa
- プロタゴニスト
- レクトル
- 暁光
- Okeanos
- Air
- PRELUDE
- 雲透きの詩
- 楽園航路
- We Are Here (涼菜ソロver.)
- Okeanos (Srav3R Remix)
(TEXT by 草野虹、Photos by Minoru Hirota)
●関連リンク
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