サイバネットシステム
サイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役 社長執行役員:白石 善治、以下「サイバネット」)は、サイバネットが販売・サポートするVR設計レビュー支援システム「バーチャルデザインレビュー(以下VDR)」を活用した「核融合炉VR(バーチャルリアリティ)」コンテンツを制作し、7月28日に国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 六ヶ所フュージョンエネルギー研究所(青森県上北郡)で開催された施設公開イベントにて一般公開を行ったことをお知らせします。
■量子科学技術研究開発機構の活動
六ヶ所フュージョンエネルギー研究所とは
六ヶ所フュージョンエネルギー研究所(以下、「六ヶ所研」)は、量子科学技術研究開発機構(以下、「QST」)における量子エネルギー研究分野の中核研究所の一つとして、核融合反応で発生するエネルギーにより電力を生み出す発電システムの研究開発を行っています。
核融合反応は、太陽などの恒星の中で起こっている反応です。この反応を地上で実現することで発生するフュージョン(核融合)エネルギーは、「地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない」、「容易に反応を止められるので安全性に優れている」、「燃料資源が枯渇することがない」などの特長を有しており、世界的なカーボンニュートラルへの意識の高まりを背景に、活用の期待が高まっています。
※QSTWebページより
https://www.qst.go.jp/site/rokkasyo/4675.html
■六ヶ所研「施設公開イベント」で初公開!「核融合炉VR」とは
六ヶ所研「施設公開イベント」とは、本研究所の活動を広く知ってもらうために年に一度開催されるイベントです。今年は7月28日に行われ、子供からお年寄りまで400名以上が来場しました。
サイバネットが協賛した「核融合炉VR」は、参加者にヘッドマウントディスプレイを装着してもらい、高さ30m幅30mの実物大のトカマク型(※1)核融合炉の中に入ったような体験を可能とするバーチャルリアリティコンテンツです。核融合反応による発電システムの理解周知のため、VDRを活用して制作し、本イベントで初めて公開されました。
参加者は、あたかも核融合炉の中に居るような視界の中で発電システムの説明を受けられ、より深い理解が期待されます。また、コントローラーを操作して3D空間内を自在に浮遊/移動することもでき、遅延のないVR空間の再現による高い没入感を実感できます。
バーチャルデザインレビュー(VDR)とは
バーチャルデザインレビューは、VRを利用したコミュニケーションツールです。3D CADの形状をデータ変換等の手間をかけず直接VR空間に投影させ、遠隔地のメンバーを含む複数人が同一のVR空間の中でコミュニケーションを取りながらレビューすることができます。
その場で設計を変更し、リアルタイムにVR空間で確認することも可能です。普段CADを利用しない担当者や生産担当者が設計レビューをしやすくなるほか、設計変更等の情報を有効に共有することで手戻りを軽減し、開発にかかるコストや時間を削減します。
バーチャルデザインレビュー製品サイト:
https://www.cybernet.co.jp/ar-vr/products/vdr/
■QST六ヶ所研 担当者コメント
「核融合炉VR」制作のきっかけ
VRで核融合炉を表現したいと考えた最初のきっかけは、研究所の他の拠点との間で、核融合炉の設計についてより深い意思疎通を図るためでした。離れた場所にいる相手やベテラン/新米研究員同士でも、同じ3Dモデルの視界を共有することで齟齬のないやり取りができるツールとしてVRを利用できないかと考え、サイバネットのVDRはまさにこの目的をかなえられるソフトウェアでした。
一方、アウトリーチ活動も私たちの研究者の大事の役目であり、私たち研究員と専門家ではない一般の方との間の理解の差を埋める助けをしてくれるのにVRが適していると考えています。サイバネットのVDRは私たちの研究内容をすぐにVR化できるのが大きな検討要素となり、昨年関係者を集めた体験会を実施した際には全ての職員から好反応を得られたため、今回制作を決定いたしました。
施設公開イベントでの成果
施設公開イベントは、主に地元の皆さんに本研究所の活動を知っていただくための催しですが、核融合の説明は工学的な専門用語を知らない方には非常に難しく、イメージ映像や文章だけでは限界を感じていました。VRで可視化された核融合炉なら、どこにプラズマがあって、どこのコイルや磁石がどう動いて熱くなるのかということまで、再現性の高いモデルの中から見せながら本物の核融合炉よりもわかりやすく説明できるため、この存在価値は大きいと感じました。
今回の施設公開イベントでは、80名近い参加者の方に「核融合炉VR」を体験いただきました。参加者から収集したアンケートの結果から、多くの方が理解を深められ、そして核融合炉VRを楽しんでいただけたことがわかったので、核融合研究への理解促進に大きな手ごたえを感じました。
■サイバネットシステム株式会社
デジタルエンジニアリング事業本部 営業統括部 教育・官公庁営業室 室長
前村 皓一 コメント
このたび本イベントに参画させていただき、研究・建設中の核融合炉を一般の方に体感してもらえるという点で、バーチャルリアリティは非常にわかりやすくインパクトが大きいことが実感できました。
今回使用したVDRは、操作性の良さや高いデータ処理技術が評価され、さまざまな製造業各社で開発業務に用いられています。今後は核融合炉の開発・設計のプロセスでも役立てていただき、国際共同開発プロジェクトの推進に貢献できれば非常にうれしく思います。
注釈
※1:トカマク型の核融合炉:ドーナツ型真空容器の周りに配置された超伝導コイルによる磁場と、プラズマ中に流れる電流との作用によって、エネルギー生成を行う原理の炉。
QSTについて
量子科学技術に関わる研究開発を通じて、新たな価値を創出・提供することで、経済・社会・環境が調和した持続可能な未来社会の実現への貢献に取り組んでいます。第2期中長期期間において研究開発を推進するにあたり、以下の方向性を掲げ、引き続き、世界最高水準の研究開発推進と研究成果を創出していきます。
・世界最先端かつ高性能な大型研究開発施設群とその基盤技術を活用して、QSTと国内外の研究者の協創や施設供用により、量子科学技術のみならず幅広い分野で世界を牽引します。
・国の指定を受けた量子技術基盤拠点、量子生命拠点、フュージョンテクノロジー・イノベーション拠点、基幹高度被ばく医療支援センター、3GeV高輝度放射光施設等の研究開発拠点では、国の量子科学技術基盤の中核として人材、知財、施設を強化します。
・量子科学技術基盤に立脚した4つの研究分野(量子技術イノベーション、量子医学・医療、量子エネルギー、量子ビーム科学)を中心に、先進的かつ独創的な研究開発を展開します。
QSTに関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
https://www.qst.go.jp/
サイバネットについて
サイバネットシステム株式会社は、1985年の創業以来、製造業の研究・開発・設計部門や大学・政府の研究機関を中心に、コンピュータシミュレーションやサイバーセキュリティ、AR/VR、医用画像処理などに関わるデジタルソリューション、そしてそれらを組み合わせた技術コンサルティングサービスを提供してまいりました。
近年は、CAE、MBD、MBSEを中心とした製造業におけるエンジニアリングチェーンの革新に加え、PLMやIoTを活用したソリューションも取り扱いを始めています。さらに、AIを活用したプログラム医療機器を共同開発し、国内で初めて医療機器承認・公的医療保険の適用を受けるなど、医療AIのパイオニアとしても業界をリードしています。
サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
https://www.cybernet.co.jp/
本件に関するお問い合わせ先:サイバネットシステム株式会社
内容について:
デジタルエンジニアリング事業本部 DXソリューション事業部 AR/VRサービス室
担当:西岡
E-MAIL:[email protected]
報道の方は:
コーポレートマーケティング室
担当:宮本
E-MAIL:[email protected]
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