
KAMITSUBAKI STUDIOに所属するバーチャル・シンガーのヰ世界情緒(いせかいじょうちょ)が、2026年5月1日、Zepp Hanedaにてソロライブ「Flower Closet」を開催した(アーカイブ)。
2日間にわたって開催されるヰ世界情緒のワンマンライブ。その初日は、彼女がこれまで着てきた“衣装”をテーマに、その衣装にまつわる楽曲やイメージに即した内容を中心とした構成で披露された。
数曲ごとどころか、1曲ごとに変わっていく衣装。それにあわせて3Dステージも目まぐるしく変化していく。さまざまな装いとステージ、そしてそのパフォーマンスを通して、彼女自身の願いや祈りを届けるライブとなっていた。

当日昼までの雨模様が嘘のように晴れ上がった5月1日。Zepp Hanedaには多くのファンが詰めかけており、会場内は満員御礼の状態だった。
そんな中、BGMとして流れるのは「花のワルツ」(Waltz of the Flowers)。チャイコフスキーが作曲したバレエ「くるみ割り人形」で使われるクラシックの名曲が、会場に実にエレガントな空気を運んでくれる。ステージのスクリーンにはカーテンがかけられ、西洋風のクローゼットが置かれている。
暗転してライブがスタート。ステージスクリーンにはムービーが流れ始める。筆で無数の線が引かれていくと、そこに赤・青・黄の三原色が入り込み、色をつけていく。

バンド隊が演奏をスタートさせると、クローゼットにさまざまな色のライトが当たり、幕が下りるとともに逆光を浴びたヰ世界情緒が登場し、1曲目「果てなきソラへ」を歌い始めた。
繰り返すだけの日々に
不意に胸が疼く
扉開けた世界は
どんな景色広がるかな
何処にだって行けるの
自由に描くから
これが私の絵の具
白いクローゼットの前に立って歌うヰ世界情緒。絵の具や景色を歌うたいである自分と紐づけた歌詞は、いかにも彼女らしさがある。
2曲目「ラケナリアの夢」、3曲目「まぼろしの行方」とアップテンポな楽曲を続けていく。この日のライブは、ギター・ベース・ドラムス・鍵盤の4人に加え、バイオリンとチェロのストリングス2人を加えた6人編成。厚みのある生音とヰ世界情緒の変幻自在な歌声が徐々に混ざり合っていく。また3曲目の途中で衣装が白から黒へと一変し、観客から大歓声が上がる。


「みなさーーん!こんばんはーー!ヰ世界情緒です!」
「本日開催しているこのライブ『Flower Closet』は、衣装をテーマにしたライブとなっています。装いに記憶が結びつくように、楽曲の世界を纏い拡張する、そんなライブにしたいと思っていますので、最後まで楽しんでいってください」
4曲目はファンタジーRPG「ステラソラ」の楽曲「FARAWAY」。ダンスビートを踏まえた跳ねるビートが、音源よりもアップテンポなグルーヴとなって会場に響く。
さまざまな世界を歩くヰ世界情緒のMVと、ステージ上で大きく体を動かしながら伸びやかに歌う姿が重なり、ライブ初披露の楽曲でありながら、まるで以前から歌われてきたかのように自然に馴染んでいた点は、不思議な感覚さえあった。

歌い終えると、次々とクローゼットが開いては新たな世界を見せていく。
「今日はライブへ来てくれてありがとう。ここは、わたしの大切なものの隠し場所です。歌と、花と、記憶。すべてつながっている。扉を開けて、みんなにも少しずつ見せていくね」

バイオリンと鍵盤に導かれてそう独白すると、ステージスクリーンの上部や脇に額縁と歯車が現れる。恐らくこれは、ヰ世界情緒の世界の中へ入り込んでいく演出なのだろう。ここで青と白を基調にした衣装「普遍体 Nemophila I」へと変化。身体に光が集まり変化していくその演出に、観客から歓声が上がった。
この衣装ということはセカンドアルバムの楽曲からの構成になるはず。ライブは「そして白に還る」から始まった。
原曲ではオーケストレーションを活かした壮大な導入だったが、本公演ではストリングスとともにそれを再現し、Aメロから一気に観客を引き込む。ギターのカッティングやソロ、ドラムビートでよりアグレッシブに楽曲を表現すれば、ヰ世界情緒のボーカルも深みのある声で応える。
「パンドラコール」では、擦り切れたテープ音とオルゴールとともにスローに歌い出し、曲の合間で艶やかな声色と挑発的なパフォーマンスを見せる。軽く腕を振ると観客は「ハイ!ハイ!」と歓声をあげる。見事に心を射抜いてみせた証拠だ。

「こちらの衣装、やはり、纏うと何度でも背筋の伸びる衣装だなと思います。」
「今日は、きっと皆さんがわたしと出会ってくださったときに、わたしが着ていた衣装だったり、あなたにとって馴染み深いあの衣装も登場するはずです。楽曲と衣装、そしてあなたの思い出がリンクして、また新しい思い出が芽生えるように、歌をあなたに届けていきます」
MCを終え、「ラピスのお人形」では鍵盤の導入に合わせてヰ世界情緒がボーカルを重ね、ベースはウッドベースへと楽器を変えて一気にジャジーな質感に。ワルツのようなリズムに乗りながら、ステージを右へ左へと歩き、腕を大きく広げて歌っていく。まさに“エレガント”そのもの。間奏中に衣装が黒へと変化し、驚きの声が会場から上がる。

「此処に棘と死を」では一気にテンポを速め、2テンポ気味のリズムで駆け足に歌っていく。マイクスタンドがステージ下からスッと現れると、身体を揺らしてサイドステップを踏み、マイクスタンドを使ってダンスしながら歌っていく。がなりを効かせたトーンと崩した節回し、なにより衣装の色を黒に変えて歌うその姿は、まさにジャズやソウルシンガーそのものだ。

ステージが左右に分かれ、ステージ下手へと歩いて退場していくヰ世界情緒。ここで古代ローマ風の古びた建造物と草原が現れる。
鍵盤とストリングスから「ARCADIA」が始まり、扉が開くとヰ世界情緒が現れ、観客から歓声と拍手が湧く。しかも衣装が「変異体 Heliotrope」へ変わっている。ステージ退場してから扉を開けるあいだで、着替えたということになるのだろう。なんともニクい登場の仕方だ。
ヰ世界情緒もボーカルを取る。先ほどの歓声はスッと静かになり、ヰ世界情緒の呼気も聞こえそうなほどの薄く静かなボーカルが会場に響く。

1番を歌い終えるロングトーンが響くなかで、衣装が「変異体 Calla lily」へと変わっていく。先ほど衣装を変えたばかりなのに!? という驚きとともに、楽曲は「ANGELIC」へ。しかも朝焼けの色の空がパカーンと二手に割れ、昼頃の空模様という新しい空へと変わった。

「ANGELIC」の1番を歌い終えると、再び空模様が変わって夜空へ。ヰ世界情緒もノースリーブと黄色いロングスカートが特徴的な衣装「変異体 Edelweiss」へと変化し、続いて3曲目として「ETERNAL」を歌い始める。

「ETERNAL」は2番歌詞から最後まで歌い、ロングトーンを見せつつラララと歌いながら腕を左右に振っていく。
すると、ラララと歌っている途中から雨がポツリポツリと降りはじめ、ヰ世界情緒は壁にかかっていた傘をさす。傘をさしたまま「雨の日は傘をさして 弾む水のオーケストラ」と「ARCADIA」の一節を雨音とともに歌いだすと、メドレーのフィナーレとして「ARCADIA」のラストサビへと戻り、歌い終えたのだった。

バラード曲をメドレーで3連打。しっとりと穏やかに、ただ確かに感情が強く鳴動していることをヰ世界情緒のボーカルが表現した時間だった。
雨が止んで朝の日の出が見え、虹の色合いが空に広がる……なんとも幻想的な演出。観客からは温かい拍手が起こったのは言うまでもない。長く、余韻が遠のくまで。
「こちらの3曲は、わたしが開催したライブ『Anima』それぞれのエンディングでお披露目した、ライブの最後を彩った楽曲たちです」
「足跡を思い出す楽曲たちですし、積み重ねてきたものがあったからこそ、メドレーというまた新しい形で皆さんにお届けできたことがとても嬉しく、感慨深いです。自分が普段着ている服とはまた違った気品にあふれていて、自分もとっても好きなお洋服です」
「そんな情感あふれる曲の次は、何が来ると思いますか? 戸惑いの声が聞こえますね。じゃあ、答え合わせにいきましょう!」
明るくMCをすると、先ほどまでの美しくもクリーンな流れから、10曲目に披露されたのはなんと「アンビバレント」だ。衣装も「変異体 Margaret Luna」へと変化し、彼女の背後にはMVで使用されたアンビバレントの文字が映し出される。
MVで描かれていたヰ世界情緒のポジションに本人がすっぽりと収まるというセルフオマージュに、大歓声が巻き起こる。
ベースサウンドを中心にした不穏で奇妙なサウンドのなかで、ウィスパーな歌声から太めの歌声、エッジボイスを使ったり、フラットに歌ったりと、変幻自在なヰ世界情緒のボーカリズムが炸裂する。
病的な狂気と揺らぎを表現したこの曲の魅力を、さまざまなボーカルテクニックと声色の変化によってペルソナを切り替えるようにパフォーマンスしていった。この日のライブでも白眉の歌唱だったといえるだろう。

続く楽曲は「Capullo」。この楽曲はまだ正式リリースやMVが行われておらず、「AnimaⅢ」などのライブでのみ披露されているレアな楽曲だ。
変拍子やクセになるリズムパターン、バンドアンサンブルとエレクトロニカを行き来する大胆なサウンド変化など、一聴すると何が何やら分からないほど複雑な構成の楽曲である。
そんな楽曲を歌うヰ世界情緒は、大股に歩いたり、身をよじるようにして歌っていく。「変異体 Margaret Luna」の黒い衣装・黒いタイツ・黒い靴と、全身黒尽くめになった彼女。
独特の艶めかしさを放つ彼女と、おそらく多くの人がこの日初めて体感する楽曲。そのシアトリカルな演出に多くの観客が呆気にとられ、妖艶なヰ世界情緒の姿に目を奪われたのは間違いないだろう。
ライブも中盤に入り、ここで再び一気にステージチェンジ。マーガレットと蝶を模した模型が上から降りてきて、舞台歌劇で見られるようなセンター階段も登場。ネオンライトのように外郭が光る花と蝶に目を奪われているうちに、ポップなサウンドがスタートし、衣装も「変異体 Margaret Sol」へ。
ここからはゲーム「Virtual Ties ~ヰ世界情緒夢想曲~」の楽曲が披露されていった。
まずは「コンパスローズ」。爽快感のあるサウンドはまさにゲームのオープニングらしさのある楽曲で、続く「モシモノセカイ」ではピンク色の衣装へとチェンジし、よりアップテンポかつギターサウンドの映えた楽曲を披露した。

両曲ともにバンドサウンドとストリングスを活かした王道のアイドル・ポップスといっても過言ではないが、ヰ世界情緒のボーカルが混ざり合うことで、よりダイナミックに会場に響いていく。サイドステップを軽やかに踏んで踊る彼女。本日のアイドル・ヰ世界情緒、いや水瀬星海が現れたといっても過言ではなかった。

もう何度目かというステージチェンジが訪れる。今度は最初にスクリーン上部にかかっていた歯車や額縁と同じものが幾重にもなって現れ、中央を突き抜けるように階段が伸び、その先には多数の本がひとつにまとまった物体が置かれている。まさにマトリョーシカ構造、あるいは入れ子構造・多重ステージといっていい。
そんな複雑なステージ表現のなか、ヰ世界情緒は衣装を「普遍体 Anemone I」へとチェンジし、ファーストアルバムに収録されている「物語りのワルツ」を歌い始めた。ストリングスとギターバッキング、クラップ音に深いベース音、そこにヰ世界情緒の大仰なボーカルが加わり、独特の緊迫感を帯びていく。
それでいてこの緊迫感は、音や声から生まれるのではなく、彼女が歌う小説的な物語から立ち上がっていることに気付かされる。
「さようなら、世界。」
何にもない 形もない
喉元の音 途絶えて
闇に 導かれて「はじめまして、この度は。」
名前もない この実験体
呪いの魔法を唱えて、開いて、縫い合わせて、この声 この顔 どなたのものでしょう
ありふれた悲劇的思考で染め上げないでよ
遥かなる未知数を 穿つこの花
新しい世界を君と視ていたいよ
さざめくノイズ掛けて 独り闇に歌う
切迫した孤独感や痛みを訴える物語は、このあとの「とめどなき白情」で無垢さや幼気さにまつわる物語を歌う流れへとつながっていく。
白い化石のような花がステージに多数現れ、グレーが混ざったくすんだ色の照明と真っ白な照明が交互に明滅していく。無意識の羨望を歌ったこの曲を印象的に彩っていた。

「ゲーム『Virtual Ties ~ヰ世界情緒夢想曲~』の3曲。そして『物語りのワルツ』『とめどなき白情』を歌わせていただきました。久しぶりのこの衣装ですが、いかがでしょうか? 懐かしい感じもしますが、今のわたしが着ると、ちょっと小さいかな。そんなことないか(笑)」
「今回のライブは衣装をテーマにしたライブで、それらにリンクするさまざまな楽曲を歌わせていただきました。わたし自身も自分の足跡を振り返って、今の居場所を再認識するような、そんなライブにできていっているんじゃないかなと思います」
「どんな場所であっても、この衣装たちがわたしの背筋を伸ばしてくれました。そしてその衣装は、素晴らしいクリエイターのみなさんと、いつも応援してくださるあなたがいるから、纏うことのできるものだと思います。託してくれるものがあるから、何度だって生まれ変われる。衣装の数だけ、あなたとの思い出がある、わたしの宝物です」
少し声を震わせつつMCを終えると、ストリングスの響きとともにステージ上の白い花などは退き、山と木々が現れ、うっすらと夜空がのぞく。ヰ世界情緒は衣装「普遍体 Anemone II」へと変え、「聴いてください、『シリウスの心臓』」と曲を告げた。


ストリングスと鍵盤の立ち上がりに、ヰ世界情緒が声で応える。その声は切なさというよりも寂しさを露わにした声色で、宇宙へと旅立った人を想う。その悲しみと切なさは、バンド隊が加わった後半にかけて滲み、会場へと広がっていった。あまりの壮大さに、曲が終わってハッと我に返るのが遅れてしまったほどだ。

余韻が残る中でバンド演奏が始まり、バンドメンバーの紹介へ。そして本編最後の楽曲「ヰ世界の宝石譚」が披露された。ドラムスの跳ねるビート感が強く前に出て、より前へと進んでいくようだ。芯の通ったヰ世界情緒のボーカルとともに歌われる歌詞は、こうだ。
名前もない花を 狩る獣
荒れ果てた帝都と 夢の割れ(ワレ)
闇 厭味 病 異酷の砲石箱
触れるたび痣だらけになるそれはただ
脆いもの? 喚くもの?
消えるもの? 裂けるもの?
腫れ / 晴れるもの?
滲んでゆく、視界さえもスバラシキ(ヰ)世界
スバラシキ(ヰ)世界
傷ついてばかり 溺れてさあ
でも、零れないで!
スクワレル心が在るのなら

混乱に満ちた世界のなかで勇敢に生きていこうというメッセージであり、戦いの終息や平和を願う祈りでもある。しかしこの日のライブにおいては、ここまでに描かれてきた多様な音楽世界すべてへの讃歌のようにも響いた。
スバラシキ(ヰ)世解
私は見た!私は聴いた!
泥に塗れたって、
それは 宝石なんだ!
この強い歌詞は、ひとつの叫びだ。自身の創作性や意欲を「Anima」と題してライブを重ねてきた彼女にとって、疑う余地のない“存在の証明”として、この日のクライマックスを締めくくった。幼さを感じさせる一面を見せることもある彼女だが、この瞬間、その眼差しは鋭く、力強かった。

スッと左右からカーテンが迫り、ステージは幕を閉じる。それはひとつの劇であり、ひとつの映像作品でもあったことを示すような終わり方だった。このシアトリカルな締めくくりは、実にヰ世界情緒らしい。もちろん、アンコールの声が方々から上がる。
アンコールの幕が開くと、真っ白な空間のなかでヰ世界情緒とともに、これまで彼女が着てきた衣装がトルソーにかけられた状態でステージに並んでいる。「思念体 Seventh Heaven」を着たヰ世界情緒が登場すると、観客から感嘆の声が上がり、彼女は深く一礼して「かたちなきもの」を歌い出した。

アレンジは音数も絞ったアコースティックなもの。情感豊かなボーカルとギターの響きが印象的で、ラストのサビでは即興的なロングトーンによってよりドラマティックに歌い上げた。

「わたしがデザインをさせていただいた『Seventh Heaven』にお着替えさせていただきました。ライブでは初公開の衣装となります。」
「こちらの衣装は、自分の立っているところ、精神の狭間をテーマにデザインさせていただきました。なので、この姿で皆さんに会うのは、少しの照れくささとともに、じんわりと温かくなるような嬉しさを感じます」
「衣装とは単に纏うものではなくて、その時の記憶だったり、感情、わたしたちを作り上げる文化、この時でなければ生まれなかったさまざまなものを一つに集約する、しおりのようなものだなと思います」
「あなたの中に残り続けるならば、その出来事は永遠になれる。どこかで見かけたこの言葉が、わたしは大好きです。時間をも通り越して思いをつないでくれる衣装やこのライブが、そのような形をしていたら、とっても嬉しいです」
衣装について、そして自身の想いについてしゃべり終えると、アンコール2曲目「みらいのかたち」そして新曲「永久に枯れぬ花」を披露し、この日のライブはフィナーレを迎えた。
「みらいのかたち」での艶やかで芯のあるボーカル、「永久に枯れぬ花」ではテクニックに頼りすぎず軽やかに歌うアプローチが印象的で、極彩色の照明に彩られた会場は、最高潮の熱気のまま終幕を迎えた。
彼女は元々、絵を描くことでアートを感じていたが、今は歌うことにも同じ感覚を見出している。それはライブ「Anima」のテーマでもあるが、この日の公演では衣装という要素を通じて表現されていた。
途中のMCで彼女は、それぞれの衣装には思い出が刻まれ、デザインにも個人の想いが込められていると語っていた。アンコールでトルソーにかけられていた衣装がすべて白で統一されていたことに気づいた人は、どれほどいただろうか。
彼女がその衣装を身にまとえば、私たちがよく知るあの色彩へと変わる。それは、ヰ世界情緒が歌うことで初めて立ち上がる色なのだ。
逆にいえば、それは彼女からの問いかけでもある。ファンでありリスナーである私たちはどうだろうか。きっと彼女の楽曲を聴くとき、それぞれが唯一無二の感情を見いだし、そこに意味を与えているはずだ。
正解はないし、間違いもない。しかし、そこに浮かび上がる色は人それぞれだ。それこそが音楽という創作、ひいてはポップアートの本質であり、彼女が提示している楽しみ方のひとつなのだろう。
ヰ世界情緒はライブ中、「自由にペンライトの色をつけてほしい」と観客に伝えていた。しかし実際には、アンコールを待つ時間、あるいは開演前からすでにペンライトの色はばらばらだった。本来であれば彼女のイメージカラーである白に揃う場面でも、それぞれ異なる色が灯っていたことを、筆者は見逃さなかった。
「あなたとともにわたしの音楽がありますように」
そんな彼女の願いは、確かに観客一人ひとりに届いていた。


/
●セットリスト
1.果てなきソラへ
2.ラケナリアの夢
3.まぼろしの行方
4.FARAWAY
5.そして白に還る
6.パンドラコール
7.ラピスのお人形
8.此処に棘と死を
9.ARCADIA ? ANGELIC ? ETERNAL メドレー
10.アンビバレント
11.Capullo
12.コンパスローズ
13.モシモノセカイ
14.また、ここから
15.物語りのワルツ
16.とめどなき白情
17.シリウスの心臓
18.ヰ世界の宝石譚
*アンコール
19.かたちなきもの
20.みらいのかたち
21.永久に枯れぬ花
(TEXT by 草野虹、Photo by 日吉“JP”純平)
●関連リンク
・アーカイブページ(Z-aN)
・ヰ世界情緒(公式ページ)
・ヰ世界情緒(X)
・ヰ世界情緒(YouTube)
・KAMITSUBAKI STUDIO
















