2026年8月13日(木)~16日(日)、Shibuya LOVEZ(東京都渋谷区)とライブ配信プラットフォーム・ASOBI STAGEでのxRライブストリーミング(以下、xRライブ)にて、「アイドルマスター シンデレラガールズ」の、xRでのコンセプトライブ、「Pop‘n ToyBox!!」が開催された(冒頭部分の無料配信はこちら。8月13日夕方、8月14日昼、8月14日夜、8月15日夕方、8月16日昼、8月16日夜)。
「昼はこどもの時間、夜はおとなの時間。それぞれの『好き』」を詰め込んだライブをシンデレラガールズがお届けします。」と銘打たれた本ライブ。
出演したのは、歌唱も行うフロントメンバーだけでなく、サポートメンバーとして参加したアイドルも含め、9歳から31歳までのアイドル19名。サポートメンバーは、ダンスで場を引き締め、時に観客の視線を集め、さらにプロデューサー代理としてライブの制作総指揮を行ったメンバーもいた。
アイドルがゲームで見てきたそのままの姿で出てきただけでも嬉しいのに、ダンスのキレから小さな仕草まで、こういう(xR)ライブでは初めて見たアイドルに対しても、「このアイドルならばこう動く」と思っていた通りの動きを見せてくれた。さらにアイドルが複数人でパフォーマンスをしたシーンでは、接し方や間合いの取り方が、「これまで見てきた彼女たちの関係性そのままだ」と感じることができた。
「今まで知っていたアイドルが、目の前でパフォーマンスをしていた」と実感し、「カワイイ」とコールをすることになった筆者。本稿ではそんな今回のライブをレポートし、さらにそこに至るまでの作戦について考察を行う。
おもちゃ箱の中にいる7名のこども、12名のおとな
本公演に出演したのは、9歳から14歳の「こども」である年少組アイドル、フロントメンバーの市原仁奈さん、龍崎薫(りゅうざきかおる)さん、赤城みりあさん、椎名法子さん、浅利七海さん、佐城雪美(さじょうゆきみ)さん。そしてサポートメンバーであり本ライブにてプロデューサー代理を務めた池袋晶葉(いけぶくろあきは)さん。

そして20歳以上の「おとな」アイドルは、フロントメンバーとして川島瑞樹さん、佐藤心(さとうしん)さん、高垣楓さん、三船美優さん、大和亜季さん、鷹富士茄子(たかふじかこ)さんと、サポートメンバーとして篠原礼さん、財前時子さん、高橋礼子さん、柊志乃さん、黒川千秋さん、東郷あいさんが出演した。

前列左からフロントメンバーの大和亜季さん、鷹富士茄子さん、佐藤心さん、川島瑞樹さん、高垣楓さん、三船美優さん
彼女たちが身に着けているのはペールピンクと黒をベースに、腰から後ろにのばしたリボンが特徴的なドールのような衣装。まるで、おもちゃ箱の中から飛び出たお人形のようだ。
年少組は白地のフリルブラウスのトップスにベレー帽をかぶりかわいらしく。
大人組の衣装はアシンメトリーなスカートと片脚だけの網タイツで色っぽく、それでいて頭のリボン付きのヘッドドレスでキュートさも同居させる。
ライブは8月13日/15日の夕方公演、8月14日/16日の昼に開催された昼公演、同日夜に開催された夜公演の3種6公演で構成されていた。
夕方公演は19人の活躍を俯瞰して観ることができたライブ、昼公演は年少組たちがメインで活躍し彼女たちの夏休みを垣間見ているようなライブ、夜公演は大人組だけがステージに登場し(池袋さんは映像出演)、美しく魅力的なドールたちによるショーケースと、それぞれの公演によって異なるテーマが組まれていた。
それでは、異なる特徴があるおもちゃ箱のようなライブにおいて、どのようにして「今まで知っていたアイドルがそこでパフォーマンスをしていた」と感じられたか、披露されたパフォーマンスを振り返りながら見ていこう。
1)ライブ前の彼女たちの活躍を確認する
ゲームやアニメ、その他のメディアで彼女たちの活躍を見たことがある人でも、出演する19名全員のことはきっちり把握していない……という人も少なくはないだろう。
そこで、ライブ開催1ヵ月前から、アイドルと同時に天才発明家である池袋晶葉(あきは)さん(14歳)を中心に、彼女たちがどのようにこのライブを準備してきたか、「池袋晶葉とウサちゃんロボはオモチャ箱の夢を見る」と題する連載小説が公開された。

ここに書かれた彼女たちの活躍を読めば、彼女たちが何が好きで何が得意なアイドルであるか、さらにアイドル同士の関係性も見えてくる。今回のライブの選曲や演出にまつわるエピソードも描かれているようだ。
各公演は研究室の様子を映した映像から始まった(ライブ冒頭の無料配信にも当該映像が映っている)。大きなリボンが特徴的な薄いピンク色のゲートと、そして白衣を着た池袋晶葉さん。ゲート横のカードキーにカードをかざすと、ゲートの中が光りだして……という導入があるのだが、このゲートが何を意味するのかは上記の小説をチェックしていればより深く理解ができるだろう(知らなくてもある程度はMCで説明してくれる)。
2)アイドルたちの動きの違いから、それぞれのアイドルを感じる
筆者が最初に彼女たちのパフォーマンスを見て感じたのは、「アイドルが、自分の意志で、自分らしく動いていた」ということである。さらにいうと、その動きは、筆者が「このアイドルならばこう動く」と漫然と感じていたものと一致していたのである。
第1公演(と第4公演)である夕方公演の1曲目、最初の楽曲は、赤城みりあさん、椎名法子さん、市原仁奈さんが歌う、このライブのために作られた新曲「Poppin’ para Pong!」だ。大好きって気持ちがはじけそうではじけちゃう様子を終始楽しそうに飛び跳ねながら歌うこの楽曲。「好きなものをいっぱい詰め込んだ箱」というライブテーマから飛び出るようなパフォーマンスで観客の心をつかむ。
最初に飛び出すがごとく大きく手を広げて動いたのは赤城さん。小さいながらも精一杯の動きが目を惹いた市原さん。3名の中でお姉さんで少し控えめに見えつつ、気が付けば大好きなドーナツをイメージするポーズで喜んで動く椎名さん。と、3名が3名らしい動きをした。
いや、違う人物が違う動きをするのは当然ではあるが、それでも1曲目からいきいきとした様子に心をつかまれ、そして彼女たちのパフォーマンスを信じようと思った筆者であった。
夕方公演でおとな組として最初に登場したのは川島瑞樹さんと高垣楓さん。歌うのはクールに駆け抜けるEDMチューン、「Nocturne」だ。
今回のライブでは2名の歌唱はそのままに、マイクスタンドを持ってではなくダンスでのパフォーマンスであったが、川島さんが手や膝を大きく曲げ、情の深さというか湿っぽさを出していたのに対し、高垣さんの動きはスマートに見えていて、そのあたりに2名のパフォーマンスの違いも見えた。
サポートメンバーのパフォーマンスで筆者が一番最初に驚かされたのは、篠原礼さんだ。情熱的な誘惑に溺れそうな「熱情エナモラル」は佐藤心さんと大和亜季さんが歌唱。さらに篠原さん、黒川千秋さん、東郷あいさんが花を添える。
中でもセンターにいる篠原さんの手の動きは、キレがあるだけでなく細やかな動きをしていた。さらに足さばきでいうと、重心の落とし方がしっかりとしている。他のメンバーと同じ時間に同じ振りをしているはずだが、彼女の時間当たりの動きの情報量が多く、つい目が彼女のほうに向いてしまった。
実は筆者は篠原さんに対して、セクシーなぞなぞが好きなお姉さんということは知っていたが、ステージでどのようなパフォーマンスをするかは知らなかった。共演者のMCによると、もとは社交ダンスの先生であり、自身のダンスだけでなく、共演者のレッスンも助けるなど、チームにいい影響を与えていたという。この日の篠原さんのパフォーマンスを見て、彼女のダンスに惚れた次第だ。
三船美優さんと鷹富士茄子さんが歌唱したジャジーな雰囲気の「レッド・ソール」では篠原さんと柊志乃さんのダンスが色を付ける。
2番で鷹富士さんが脚を強調する動きをすると、それに絡ませるように脚を伸ばす柊さん。
三船さんと篠原さんは目線を交わし、すれ違う動きをした後、微笑みを魅せる篠原さん。
そんな絡み合うようなパフォーマンスを見せたと思ったら、間奏パートではダンスショーケースが如く、4名がそれぞれのダンスとポーズをとり、見るものの注目を浴びていた。このようなパフォーマンスが続くと、フロントメンバーだけでなく、サポートメンバーの活躍も大いに期待がもてると感じた。
3)共演パフォーマンスから、アイドルの関係性を感じる
では次に、複数人での共演場面にて、「これまで見てきた彼女たちの関係性そのままだ」と感じたパフォーマンスを見ていこう。
夕方公演で、おとな組のパフォーマンスの後は、あなたへの狂おしい程の愛を歌った「Love∞Destiny」を、佐城雪美さんが歌唱した。
一見、佐城さんが人差し指を立てて歌うには早すぎる楽曲か……と思いきや、そこに舞台袖から登場したのは黒川千秋さん。佐城さんが「eyes 見つめてる」と黒川さんに向かって歌うと、黒川さんは呼応するように手をのばし、そして指を回し合う。
マイクを持って歌唱する佐城さんの鏡のようにダンスで歌を表現する黒川さんは、間奏で佐城さんの手を取り引き寄せる。そして離れる黒川さんを追いかけるように佐城さんは背中に顔を寄せる……。
と、佐城さんひとりでは表現しきれない相手を求める狂おしさを、黒川さんとの共演で描き出した。
浅利七海さんは、ユニット「ファタ・モルガーナ」で歌う「Morgana」を、今回ソロで歌唱した。ステージに立つ浅利さんの後ろには、もう一人の女性の後ろ姿が。浅利さんのダンスにあわせ手を動かし、海の波間を表現する。
「ここじゃない場所へ 繋がる頼りない光 連れ出して」と歌ったところで浅利さんの後ろから離れ、そして手を伸ばしたのは、柊さんだ。
浅利さんの動きに合わせ、しかし顔を合わせたのはひとときで、かすかな微笑みをこぼしながら海を漂うように踊る柊さんは、神秘的で、でも切ない夜を浅利さんの歌に重ねるように表現した。
ドーナツ大好きな椎名さんは、ドーナツでみんなとあなたとを繋ぐ自身のソロ曲「プライスレス ドーナッCyu♡」を歌唱。椎名さんが手を振って呼び込み、そこに腕を組みながら歩いてきたのは、財前時子さん。ファンからは「時子様」と呼ばれ、それに対し「豚」と呼び接する彼女は、同僚アイドルにも簡単には表情を崩さない。
椎名さんは財前さんにいつものように話しかけるように歌唱を続ける。財前さんは意も介さぬような表情で椎名さんを見おろし、一番サビでは全身で踊る椎名さんに対し、めんどくさいわねと言わんばかりに手先の動きだけで同じフリをする。
そんな財前さんも一生懸命パフォーマンスする椎名さんに表情を緩め、続く大サビでは腰も使ってのダンスを行う。椎名さんの動きに合わせるようにポーズをとり、静かな投げキッスを決めるなど、余裕のある動きで元気あふれる椎名さんとのユニゾンを決めた。これがおとなの「プライスレス ドーナッCyu♡」か!
その姿に、観客からは「見たいものが見れた」とばかり大きな拍手と歓声が沸き起こった。
まだ巡り合えぬあなたに、想いのこもったハンバーグを作ってあげる、そんな「恋のHamburg♪」を今回歌ったのは龍崎薫さん。今回彼女がハンバーグを作る相手は、「あいお姉ちゃん」と呼んで慕う、ユニット「ギャラント・ナイツ」で一緒の東郷あいさんだ。
凛とした姿で同性にも人気のある東郷さん。もちろん龍崎さんにも優しい。今回のパフォーマンスの中でも東郷さんは、龍崎さんにおはようと声をかけられれば手を振り、元気に舞台を飛び回れる姿をみれば優しく見守り、「お料理得意なんです!」と言われれば頷く。
なにより、龍崎さんの元気なダンスにあわせ、普段クールな東郷さんも同じようにキュートに動き、最後には一緒にハートマークを作る姿は、お姉さんの優しさ満載である。
赤城さんが今回、佐藤さん、東郷さん、高橋礼子さんをバックダンサーにして、ソロで歌唱したのは「私色ギフト」。
歌詞にある、かわいい存在としてカワイイかつスウィーティーな佐藤さん、かっこいい存在として東郷さんが、遠くにある光として本ライブ最年長の高橋さんがフィーチャーされ、赤城さんが私らしく進む道の道しるべとして、ステージを支えた。
4)年少組の夏休み公演で、 見ているこちらも童心に帰る
ここまで、ライブ前の事前準備と夕方公演でのライブパフォーマンスで、ゲームなどで見てきた彼女たちがステージでも同じように活躍している様子を見てきた。では、そんな彼女たちが明確なテーマを設定したライブでどのように輝くのか、8月14/16日に開催された昼公演と夜公演にフォーカスしてみてみよう。
まずは、年少組がメインで活躍する昼公演について。出演者紹介の映像ののち、ステージには市原さん、龍崎さん、佐城さんが登場。市原さんが「仁奈よりちっちぇー子たちがいっぱいだー」、龍崎さんが「みんなー、もっとおーっきな声で声出ししましょー」と話しかけてくれる。市原さんや龍崎さんがお姉さんのように振る舞っているということは、観客は池袋さん開発のゲートをくぐった結果、ちっちゃい子になってしまったのか!
「みんなもラジオ体操にきやがりましたか?」と問いかけをする市原さん。どうも今回のライブのテーマは「夏休み」らしい。そしてラジオ体操は夏休みの醍醐味を感じるもの。ということで、昼公演の最初のナンバーは……なんと「ラジオ体操第一」。年少組7名が全員壇上に上がり、観客と一緒に体をほぐしていく。
市原さんの「みんなのきもち」は、前日の夕方公演では(おそらく池袋さん開発による)動くぬいぐるみと一緒でのパフォーマンスだったが、昼公演では年少組6名が動物になりきってダンスに参加。見ているみんなも童心に返って動物の鳴き声をマネした。
「ギョーてん!しーわーるど!」(浅利さん、市原さん、龍崎さん、池袋さん)、「プライスレス ドーナッCyu♡」(椎名さんと財前さん)、「にんぎょひめ練習中!」(浅利さん)と、おやつのドーナツを食べながら海水浴に行った気分に。
「小さなお友達のみんなー、夏休み、楽しんでるー?」と椎名さんの挨拶に続き、赤城さんに「よしよししてあげる」と頭を撫でてもらう。これ、私たち完全に小学生、しかも低学年のちびっこになってるぞ!

池袋さんのゲートの力で夏休みの世界に入っているアイドルのみんなと私たち。小学校高学年の赤城さん、中学生の椎名さんは「夏休みデビュー」をしてオシャレになりたいとのこと。

ということで、「MOTTO!」(椎名さん、浅利さん)、「Romantic Now」(赤城さん)、「Kawaii make MY day!」(椎名さん)、「おねえちゃんデスコ」(市原さん)、「私色ギフト」(赤城さん+サポート:佐藤さん、高橋さん、東郷さん)と、彼女たちが今の自分よりも上の世代を意識した楽曲を披露。
MCパートでは、龍崎さんが大好きな人たちと一緒に夏休みを過ごしたいということで、佐藤さんと大和さんを呼ぶ。一ヶ月以上あるこどもたちの夏休みに対し、「逆に長すぎる休みは怖くなるからね」と佐藤さんが言うと、ちびっこになっていた観客も我に返り苦笑いが沸き起こった。
おとなたちも一緒に過ごす夏休みは、「がおちゅー♪さふぁりぱーく!」(市原さん、三船さん+サポート:赤城さん、高橋さん)、「ささのはに、うたかたに。」(佐城さん、鷹富士さん)、「恋のHamburg♪」(龍崎さん+サポート:東郷さん)、「ひまわりマークをさがせ!」(龍崎さん)、「Love∞Destiny」(佐城さん+サポート:黒川さん)、「君のステージ衣装、本当は…」(佐城さん)、「Morgana」(浅利さん+サポート:柊さん)と続く。

浅利さんと佐城さんが歌う和風ホラーテイストの楽曲「廻談詣り」には、おとなたちが肝試し参加者として登場。柊さんにワザと怖がるフリを見せる高橋さん、平然と歩く東郷さんと財前さんに対し、及び腰の黒川さんにしがみ付き、何かを見つけたらダッシュで立ち去る篠原さんと、不気味な怖さが特徴的なこの曲を夏休みの一風景に見立てていた。
MCパートで舞台に上がった川島さんと高垣さんの後ろから忍び寄り、改めておどかす浅利さんと佐城さん。驚く川島さん、ダジャレで返しつつ、さらに川島さんをおどかす側に回る高垣さんと、ここでも年少組と大人組の共演を楽しんでいた。
花火の夜に夏の終わりを感じる「悠久星涼」(ゆうきゅうのほしすずし)(龍崎さん、椎名さん、佐城さん)で始まったこのブロック。ライブ…池袋さんの作り出した夏休みの終わりを感じさせるように、「とくとく…… とく……」(佐城さん)、「わたぐも」(赤城さん)と、しっとりと優しい歌が続く。
赤城さん、龍崎さん、市原さん、佐城さんが歌ったのは「よりみちリトルスター☆」。夕暮れの帰り道、小さなシンデレラが仲間たちとよりみちをしながら未来を夢見て、明日また会おうねと約束する、そんな風景が思い浮かぶ一曲。
MCコーナーで、「おわりたくねーです」と夏休みとの別れを惜しみ泣きそうになる市原さん。
そんな彼女を見て、お姉さんの椎名さんが「ドーナツの輪!」と手で輪っかを作り、赤城さんもそれに続く。市原さんや会場のちびっこにも促すと、市原さんは「わけわからねーですよ」といいつつもなんだか楽しい気分になったようだ。
この夏休みが終わっても、まだまだ遊ぼうと約束すると、3名は昼公演の最後の曲「Poppin’ para Pong!」を披露。そののち、7名がステージに揃う。夜の部の大人たちの公演の予告をしつつ、赤城さんが「この会場から出たら私たちとの夏休みはおしまい。でも、絶対忘れられない夏休みの思い出にしてね」とみんなとの約束をした後、それぞれの形であいさつをして、本公演は幕を閉じた。
5)大人組の夜公演で、魅力的に踊るドールたちをプロデュースする
夜の部に出演するのは、大人組の12名。映像出演が予告されていた池袋さんを含めた紹介映像が終わると、ここから披露される楽曲のコンセプトとして、「Cool」との文字が表示された。
1曲目は、高垣さんの歌唱から。星街すいせいさんと一緒に歌った「ジュビリー」を、このステージでは黒川さんと東郷さんとのダンスサポートで披露。高垣さんの澄み渡るハイトーンボイスの歌唱の中、彼女を引き立てるように動く黒川さんと東郷さんが躍る姿は、この楽曲の世界に厚みを生んでいた。
そして、「Max Beat」(高垣さん、大和さん、鷹富士さん+サポートメンバー:高橋さん、財前さん)、「レッド・ソール」(三船さん、鷹富士さん+サポートメンバー:篠原さん、柊さん)、「弾丸サバイバー」(大和さん)、「秘密のトワレ」(川島さん、三船さん)、「Nocturne」(川島さん、高垣さん)と、クールな情熱、クールなセクシーさをもった曲が続く。

MCコーナーに現れたのは川島さん。元アナウンサーらしい活舌のよさに色気を交えた声で、本公演でステージにいるのは人形たちだと伝える。どうやら本公演のテーマは「様々な魅力をみせるステージの人形たち」というものらしい。
そして、「客席で私たちを見ているのは、プロデューサー」と本公演での観客の役割を伝える。「私たちを見つけて、選んで、夢中になってね」と大人の公演らしく誘い、「そのために人形は踊っているのだから。よろしく頼むわよ。プロデューサーくん」と呼びかけた。
続く「Easy-going」というコンセプトのブロック。「Angel Breeze」(川島さん)、「初夢をあなたと」(鷹富士さん)、「Take me☆Take you」(佐藤さん、高垣さん、三船さん)、「オルゴールの小箱」(川島さん、三船さん)、「流星浪漫」(鷹富士さん)、「つぼみ」(高垣さん)、「Dreaming of you」(川島さん)と、人形たちは歌唱を中心にパフォーマンスを行った。
鷹富士さんと大和さんが次のコーナーとして紹介したのはスペシャルダンスパフォーマンス、パーティークイーン・高橋礼子さんの主催による「Midnight Dance Party」だ。
「ダンス・ダンス・ダンス -ミフメイ Remix-」が流れ、スポットライトの中に現れたのは高橋さんと東郷さん。一通りのアピールを決めた後、ステージ下手から黒川さんと財前さんが現れ、そして柊さんと篠原さんが登場。
6名は時に、フォーメーションを揃え、
時に競うようにソロアピールを行い、見るものの目を惹きつけ続けた。
そして、3分半のパーティは本当にあっという間に終わってしまった。
続くMCパートにて、「お好みの人形は見つかりましたか?」と、客席のプロデューサーにここまでのパフォーマンスの反応を聞く鷹富士さん。大和さんに自信のほどを聞かれ、鷹富士さんはここまでは普段通りと答えた上で「私の魅力、これで全部じゃありませんよ」と返すと、大和さんも「飛び切りの秘密兵器を温存しております」と、互いにまだまだ見てもらいたいパフォーマンスがあるようだ。
そうして始まった最後のブロックのコンセプトは、「セクシー」。「熱情エナモラル」(佐藤さん、大和さん+サポート:篠原さん、黒川さん、東郷さん)、「Last Kiss」(三船さん)、「Next Chapter」(佐藤さん+サポート:財前さん、高橋さん、柊さん、黒川さん)、「クレイジークレイジー」(佐藤さん、鷹富士さん)、「Little More」(三船さん)と、溺れる愛、終わってしまった恋、次に進めない関係、もう一歩を踏み出そうとする想いといったものを歌とダンス、口づけに込めたブロックだ。
MCパートにて三船さんは、この人形たちのショーも最後が近づいていることを告げる。そんなMCでも客席の「プロデューサー」を惑わすようなことを口にする三船さん。ステージパフォーマンスだけが人形のショーケースではないとは、さすがは大人組の公演だ。
そして、このパートの最後を締めるのは、このライブのために作られた、大人組の高垣さん、三船さん、大和さんの楽曲、「Cookie Dough」。クッキー生地を意味するこの曲名、それだけを聞くと椎名さんにぴったりな、ドーナツを作る歌かと思わせる。が、イントロのピアノで引き寄せた後にジャジーに奏でられるこの曲は、恋の場数を踏んだお姉さんが教える、イケナイ子を作るレシピであった。
高垣さんの強いながらも吐息交じりの声、三船さんの甘く誘ってくる声。そして大和さんが飛び切りの秘密兵器と呼んでいた、力強さをベースに艶っぽさを加えることで生まれたイイオンナの声が、聴くものの理性を奪ってしまう。聴いてはダメだ椎名さん!
鳴りやまないアンコールの声に応えて登場したのは、川島さんと高垣さん。彼女たちがアンコールナンバーに選んだのは、Sola-iris(中学生の久川颯さん、乙倉悠貴さん)の楽曲「サマーサイダー」。先ほどまで大人の魅力としてねっとりと歌っていた両名が、この曲ではこのふたりが大人でありながら青春をエンジョイしたらどうなるか、そんな爽やかさを感じさせる歌唱をするのはさすがだ。
「私たちのこと、私のこと、欲しいと思ってくださいましたか」という、ライブの頭に川島さんが提示した本公演ならではの表現で、これまた本公演ならではの、プロデューサーである観客に感想を聞く高垣さん。
そして、夕方公演、昼公演、夜公演と続いた今回のライブも、いよいよ最後の曲へ。
6)彼女たちに「カワイイ」と声をかけて、彼女たちがカワイイと再確認する
ここで紹介する夕方公演と夜公演のラストナンバーは、佐藤さんが歌う「もしも「カワイイ」が世界からなくなっても」。
この曲は、昨年11月に開催された「CINDERELLA GIRLS fes. Once Upon a St@rs」にて、「自称・しゅがーはぁと」ことカワイイ佐藤さんと、「自称・カワイイ」でやっぱりカワイイ輿水幸子さんが2人で歌った楽曲。両名が「幸子とはぁとは」と歌ったら、聞くものは思わず「カワイイ」とコールを入れてしまうこの曲を、今回は佐藤さんが「はぁとはすっごく」と歌った。
が、この曲がそれで終わるわけがない。「2番の特急のぞみコーナーは、みんなにもカワイイをおすそ分けしちゃうぞ」と案内から「アイドルのみんな、カモンスウィーティー」と共演アイドルを呼び込むと、夕方公演では赤城さんと龍崎さんが登場。佐藤さんの「みりあ と かおる は」という合図にあわせ、客席からは「カワイイ」という声が響く。
以下、「にな と みゆ は」「ななみ と あきは は」「しの と れいこ は」「ちあき と ゆきみ は」「かこ と あき は」「れい と あい は」「みずき と かえで は」「のりこ と ときこ は」と、みんなで「カワイイ」を伝えた。
もちろん夜公演での本楽曲でも、「恒例の特急のぞみコーナーだけど、説明はいらないよな」とアイドルを呼び込む。
「かこ と あき は」「れい と ちあき は」「あい と ときこ は」「れいこ と しの は」「みずき と かえで は」と歌い、最後は佐藤さんが自ら上手に移動して「みゆ と はぁと は」と歌い、本来の歌唱を続けた。
7)彼女の名前を呼んで、感謝の気持ちを伝える
夜公演の最後には、出演者12名が登壇。佐藤さんが「プロデューサーも魔法が解けて、もとの世界に戻っていくわけだけど、ここから出ても、はぁとたちのことを探して、見つけて、はぁとたちの魅力を世界に広めるんだぞ」と、年少組の昼公演と同じようにライブが終わることに対し名残惜しい気持ちを伝えた。
そして、最後にステージのスクリーンに映し出されたのは池袋さんの姿。ライブ前日にプロデューサー代行を引き受けた彼女が、ここまでのレッスンと準備の過程を、出演者全員が書いた付箋が貼られたノートを見ながら振り返ったものだ。
そんな映像を見て、何も思わない我々ではない。スタッフクレジットの中に「制作総指揮 池袋晶葉」の文字を見つけると、19人の出演者の名前が現れた時よりも大きな歓声をあげ、そして会場が明るくなった後には、今回の功労者である彼女の労をねぎらうべく「あきは!あきは!」というコールが自然発生し、続いたのであった。
記憶と信頼の連鎖が生み出す、アイドルが「そこにいる」実感
ここで、アイドルライブのレポートから外れた話をする。
xRライブ、というかXRの体験においては、受け手の情報が多ければ多いほど、そしてそれが信頼に足るものであればあるほど、あたかもそこに実在しているかのように感じられるものである。ここでいう情報とは、体験において提示される視覚・聴覚などを通じて得られる情報もそうだし、また体験をする前に持っている記憶や知識、経験も含まれる。
今回の「アイドルマスター シンデレラガールズのxRライブ」においては、観客の多くは*ゲームやアニメなど様々な媒体で描かれたアイドルの情報を記憶として既に持っていると思われる。そこにノベル「池袋晶葉とウサちゃんロボはオモチャ箱の夢を見る」の連載を通じて、観客に出演アイドルの情報の追加と愛着の醸成を図った。特に、プロデューサー代理として奮闘する池袋晶葉さんには思い入れも高まるであろう。
そうして迎えたxRライブ当日。ステージの上(あるいは配信画面の中)でアイドルのルックがこれまでゲームで見てきたものと同じで、かつその動きが観客の頭で思っていたものと一致したならば、観客のxRライブ、そしてそこに出演するアイドルの存在に対する信頼は確固たるものとなった。
その信頼は、さらにライブのさまざまなものへ広がっていく。それは、観客がまだ詳しくは知らなかったアイドルの存在の説得力にも波及したし、あるいは「年少アイドルの夏休み」や「おとなアイドルのドールショウケース」といった新しいライブの取り組みの実現にも波及した。
こうして体験したライブの終わりに、アイドル19名に対しての「カワイイ」というコールをすることや、プロデューサー代理として尽力した池袋さんへの「あきは!」というねぎらいの声をかけることで、観客の能動的な行動としてこのxRライブをさらに確かなものにしたのであった。
*ちなみに、シンデレラガールズのアイドルの事を詳しくは知らなかったPANORA編集長は、「会場でどよめいてる声を聞いて、ステージに立つアイドルへの信頼性を高めた」とのこと。
おまけ)次回のライブ開催地を叫ぶ
アイドルのライブの話に戻ろう。
8月16日の夜公演では、次回のシンデレラガールズのxRライブの予告も行われた。辻野あかりさんのソロ曲「トキメキは赤くて甘い」が流れ、冒頭のフレーズ「一番のりんごは 何りんご? せーの!」に続いて観客が「山形りんご!」と叫ぶと、次回のxRライブが2027年の2月に、「やまぎん県民ホール」(山形県山形市)で開催されることがスクリーンに表示された。
公演コンセプトはフルーツ×バレンタイン、出演アイドルは「#UNICUS」(辻野あかりさん、砂塚あきらさん、夢見りあむさん)と「スウィート・ソアー」(佐久間まゆさん、橘ありすさん)であるとのことだが、詳細は後日発表とのことだ。
本公演はYouTubeのアイドルマスターチャンネルにて冒頭部分の無料配信がされている(8月13日夕方、8月14日昼、8月14日夜、8月15日夕方、8月16日昼、8月16日夜)。また、2026年9月13日(日)までASOBI STAGEにてアーカイブ配信もされる。
また、ノベル「池袋晶葉とウサちゃんロボはオモチャ箱の夢を見る」について、公演の前日譚や後日談を描いた「トイボックス・エクストラ」が2026年9月14日(月)まで隔日で連載が行われる。
夕方公演、昼公演、夜公演のセットリストは以下の通り。
THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
(TEXT by tabata hideki)
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・ 池袋晶葉とウサちゃんロボはオモチャ箱の夢を見る-アイドルマスター シンデレラガールズ(メクリメクル)





































































































































