KDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジーズ、渋谷未来デザインが組織するバーチャルシティコンソーシアムは22日、「バーチャルシティガイドライン ver.1」を発表した。
クリエイター経済圏の活性化、UGCの著作権、アバターの保護などの話題について、メタバースおよび都市連動型メタバースを設立・運用する際に注意・検討すべき論点を31ページに渡ってまとめている(PDFファイル)。
昨年10月にFacebookがMetaに改名した前後から大きく話題になっているメタバース。アバターの姿で3D空間にログインし、ネット越しにコミュニケーションできるというサービスで、コロナ禍の影響もあって現在ユーザーを増やしており、新たな経済圏として期待されている。
KDDIと渋谷区観光協会、渋谷未来デザインを中心とする「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」では、2020年5月よりKDDIが出資しているメタバース「cluster」を利用し、渋谷区公認で「バーチャル渋谷」を展開してきた。同団体では、この実在都市が存在するメタバースについて「都市連動型メタバース」と呼んでおり、バーチャル渋谷は累計100万人が体験してきたとのこと。
一方で、メタバースには、デジタルアイテムの所有権やアバターの肖像権が現行法で法的に保護される対象にならなかったり、プラットフォーム間の相互運用性が低かったりといった課題が生まれてきている。
そうした論点を整理し、他の自治体やメタバース関連事業者が参考にできるよう、経済産業省と渋谷区をオブザーバーに迎えて半年間研究会で議論を重ねた上で明文化したものが、今回のガイドラインになる。
●バーチャルシティガイドラインの主な項目
メタバース全般項目
・クリエイターエコノミーの活性化
・UGC(User Generated Contents)の著作権
・アバターの保護
・アバターの肖像権とパブリシティ権
・バーチャル・プロパティ
都市連動型メタバース項目
・実在都市の景観の再現性・改変
・「公共性」の考え方
・実在都市との連携・商流の整理
同時に、バーチャルシティコンソーシアムが考える都市連動型メタバースの存在意義や指針をまとめた「バーチャルシティ宣言」も発表している(PDFファイル)。
●バーチャルシティ宣言
- 創作活動を促し、人の多様性を開放する
- 人の生活空間を拡張し、新たな経済圏を創出する
- グローバルレベルでの「シティプライド」と都市の文化を育む
- 「ヒト・モノ・コト」の偶発的な出会いと、コミュニケーションを創出する
- テクノロジーを活用し、ユーザーの権利の適切な保護に努める
- 公の場としての適切な運営と、オープン性を確保する
- 民主的なルールメイキング活動を推進する
今後コンソーシアムでは、ガイドラインのver.2に向け、現状で未整理となっている、プライバシーや利用者権利の保護、メタバース間の相互運用性の確保、渋谷以外の他都市での適応に向けた整理などを継続して議論していく。
また、2022年3月設の一般社団法人Metaverse Japanとも連携し、行政、自治体、民間企業などで進めていくルールづくりに積極的に参加していくとのこと。