Quest 2採用のカプコン「逆転裁判 VR20号事件」を体験 カガク捜査だけでなく「異議あり!」エモートも楽しいぞ!

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カプコンは7月19日より、石川県白山市にある体験型アミューズメント施設「MIRAINO イオンモール白山店」にて新作のVRカガク捜査アクション「逆転裁判 VR20号事件」の稼働を開始した。プレイ人数は1〜2人で、料金は1回1人あたり1200円。

カプコンといえば、バイオハザードロックマンモンスターハンターなど、自社ゲームタイトルを積極的にVR化して店頭で展開してきた企業だ(「囚われのパルマ」もそうですね)。

その最新タイトルとして選ばれたのは、なんと「逆転裁判」シリーズだった。今までのアクションなら、バーチャル空間で迫り来る敵をバッタバッタと撃破するというのが想像できるが、同シリーズはプレイヤーが弁護士となって依頼人を救う内容だ。裁判のVR体験とは一体……!? もしかして成歩堂くんの「異議あり!」をプレイヤーが味わえるとか?

今回、メディア向けのお披露目に参加する機会を得たので、気になりながら申し込んだところ、想像の斜め上を行く「カガク捜査」体験ということが判明した。石川県までいきたくても行けない……という逆転裁判ファンにも向けて、早速、レポートしていこう!


目の前に宝月茜や成歩堂龍一、御剣怜侍が現れる楽しさ

本タイトルは、シリーズ内で言えば「逆転裁判6」後の世界になる。すでに裁判が始まってしまったVR20号事件。被疑者は、殺害された音無陽和(おとなしひより)の妹である音無琴葉(おとなしことは)だが、彼女は自分は殺していないと主張している。しかし、無実を証明するための証拠が足らずに、弁護を担当している成歩堂龍一(なるほどうりゅういち)はピンチに陥っていた。

そんな彼らを助けるために、プレイヤーはカガク捜査研究所の宝月班・班長、宝月茜の部下となって被害者の部屋に入り、両手の「カガク捜査ガン」を使って証拠となる指紋を集めていく……というストーリーになる。

 
プレイヤーが遊ぶ際は、顔にVRゴーグル「Oculus Quest 2」(オキュラスクエスト2)、両手にコントローラーを装着する。コントローラーにはボタンが色々あるが、基本的に使うのはスキャンを指示する人差し指のトリガーボタンだけなのでカンタンだ。

装着するとこんな感じ。マスクをつけているとちょっと謎に怪しい感じに見えますね……
バーチャル空間でコントローラーはこんな感じに見えます

まずトリガーを引いて検出光線を出し、部屋を歩き回って壁や家具をスキャンして指紋を発見しよう。その指紋をさらに打つとスキャンモードに自動で切り替わり、一定時間照射してスキャンゲージを貯めればスキャン完了となる。

下側にある中指のグリップボタンはファンサービス的なオマケで、「異議あり」や「待った!」、「いいね!」などのコメントを出せるエモートを出して楽しめる。出すエモートを変更する際は、グリップを握り続けると円形メニューが現れるので、その方向にコントローラーを動かして離せばいい。

 
実際に遊んで感じたのは、逆転裁判の世界に自分が入っているという楽しさだ。

例えるなら、ディズニーランドやUSJでひとつのアトラクションに入ったような感覚で、ファンにとっては今までゲームで画面の向こうに見ていた世界の中に自分が飛び込んで、登場キャラクターと空間を共にできること自体でワクワクできるはず。目の前に宝月茜や成歩堂龍一が現れた際は、ぜひ回り込んだり近づいたりしてその姿をじっくり眺めてほしい。筆者も「成歩堂くんの髪って後ろから見るとこんななのね」と謎の感動を覚えてしまった。

解説パートや部屋をスキャンしている際、バーチャル空間にモニターが現れて、遠隔中継のように裁判の経過が表示されるのも、「今、俺がやっている捜査でピンチの成歩堂くんと被害者を助けるんだ!」と心がアツくなるとてもいい演出だった。

ここでいい味を出してくれるのがエモートで、モニターの成歩堂くんに合わせて「異議あり!」や「待った!」などと一緒に言えるのが楽しい。ニコニコ動画でアニメや映画を見ていて、名台詞を同じタイミングで打ち込む面白さに近い(……といって伝わるだろうか?)。余談だが、エモートでは宝月茜の好物であるかりんとうも銃のように連射できる。この「かりんとう銃」を打つだけでもめちゃくちゃ楽しくて、2人でプレーした際はお互いに撃ち合いになってしまうはずだ。

難易度もちょうどいいと感じた。基本的にスキャンするだけなので一見、簡単そうにも思えるが、光線は照射し続けるとエネルギーゲージが減って空になると打てなくなるので、捜査ガンを振り下ろして回復する必要がある。指紋のスキャンも結構時間がかかり、両手で照射することで速度を早められるのだが、途中でエネルギーが尽きて……となりがちなので、上手いタイミングで回復が求められる。この辺は遊んですぐに慣れる感じだ。

まずは人差し指のトリガーを引いて、部屋をくまなくスキャン。エネルギーが空にならないように注意しよう
立ったり座ったりと意外と運動量が多い
指紋を発見したら……
さらに追い討ちでスキャン!
その際、両手でスキャンした方が速度が早まる
2人プレイなら4つでスキャンすると最速だ

途中からは指紋を消しにくる「お邪魔ドローン」が現れて難易度が上がる。ドローンは光線を当てれば脇に逃げるのだが、当て続けても倒せないため、常に部屋のどこかにいることになる。見つけた指紋は、速度を早めるために両手でスキャンしたいところだが、ドローン登場後は近づいてきたら片手の捜査ガンで追い払う、しかもエネルギーが切れたら回復する……と結構忙しくなる。ぜひ何度か遊んでコツをつかんでほしい。

やり込み要素もあって、プレイの評価によって最後にD〜SSまでランク付けされる。この評価時、検事・御剣怜侍が登場して新規取り下ろしのボイス付きでセリフを言ってくれる。ファンならぜひいろいろなバージョンを聞きたい!と思うところなので、何度も挑戦して欲しい。


珍しいOculus Quest 2での稼働

VRメディアの視点で珍しいと感じたのは、Facebookが2020年にリリースした一体型VRゴーグルのOculus Quest 2を採用しているという点だ。

店舗で遊ぶVRコンテンツは「ロケーションVR」と呼ばれているのだが、この分野ではHTCのPC向けVRゴーグル「VIVE」(バイブ)シリーズの採用がほとんどだった。

一体型VRゴーグルは、単体で動作するため、外部の機器とつなぐケーブルがなくて動きやすい反面、PCよりも描画能力がだいぶ劣ってしまう。元々、昨今のVRムーブメントが起こった2016年頃は、PC向けのOculus RiftやHTC VIVE、PlayStation VRが主流だったため、ロケーションVRでもPC向けを採用していた。そこから目覚ましい速度で技術が進歩し、ここ1、2年ぐらいで使い勝手や性能が大幅に向上した一体型VRが出てきたことで、状況が変わろうとしてきている。

しかし、過去にロケーションVRでOculus Questを採用したタイトルは、例えば、昨年8月に閉店したMAZARIAの「PAC-MAN CHALLENGE」やロケテストしていた「PAC-MAN RACER」などで、そう多くなかった。というのもコロナ禍でロケーションVR自体のニーズが落ち込んで、新作のニーズが減ってしまったからだ。Quest 2での事例はかなり珍しく、VR開発者なら金沢旅行がてらにぜひ体験してほしい。

個人的には、3Dキャラクターたちが登場した際、プレイヤーが動き回っても目線をこちらに合わせてくれると、より実在感が増すのではと感じた。コロナ禍においても、ロケーションVRの開発を継続し続けているカプコンの新作タイトル。MIRAINO イオンモール白山店では、「VR-X」ゾーンにてバイオハザードやロックマンのVRタイトルも遊べるので、ぜひ現地を訪れて満喫してほしい。

●「逆転裁判 VR20号事件」概要
・稼働開始日:2021年7月19日(月)
・設置店舗:MIRAINO イオンモール白山店内「VR-X」
・「VR-X」営業時間:10:00~21:00(最終受付20:00)
・プレイ料金:1200円/人(税込)
・プレイ人数:1~2人 
・所要時間:約25分

【注意事項】
・7歳未満の利用不可
・13歳未満は保護者の方同伴。利用に関するガイドラインへの同意も必要
・保護者同伴でない16歳未満は18:00まで、18歳未満は22:00までの利用となる

©CAPCOM CO., LTD. 2021 ALL RIGHTS RESERVED.
*掲載のゲーム画像は実際のプレイ時に見えているゲーム画面で見え方が異なる場合があります。

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
MIRAINO
逆転裁判シリーズ