約1年の歴史に幕、「MAZARIA」8/31閉場レポート 「リアルの場所がなくなっても、きっとどこかにあり続ける」

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バンダイナムコアミューズメントは8月31日、かねてからの予告通り、東京池袋にあるアミューズメント施設「MAZARIA」(マザリア)を閉場した。

新宿にあった基幹店「VR ZONE SHINJUKU」の閉場を受け継いで、「アニメやゲームの世界に入れる」というコンセプトで2019年7月にオープンしたものの、今年に入ってから新型コロナウィルスの影響を受けて客足の回復が難しく、今回のクローズにつながった。

6月にはセガの「JOYPOLIS VR SHIBUYA」、8月30日にはアドアーズの「VR PARK TOKYO」と渋谷でもVRアミューズメント施設が2店舗閉店となっており、都内のロケーションVR施設自体に逆風が吹いている。

PANORAでは2016年、お台場にVR ZONEが生まれた時代から追いかけてきたこともあり、最終日も現地で取材した。一般のお客さんに混じって、VR関係者や元スタッフと思しき方々も集まってきており、笑顔で思い思いに最後の一時を過ごしていたのが印象的だった。店内のアクティビティをすべて撮影してきたので、思い出と共に振り返ろう。


エントランス

MAZARIAといえば、まず入口左右の壁に掲げられた巨大LEDが印象的だった。「ウォールマザリア」と呼ばれており、施設内のアクティビティに出てくる作品をわかりやすく楽しく説明してくれていた。

エントランスをくぐると……

壁一面に広がる研究施設の映像。キャストによるMAZARIAの解説があり、ここで遊ぶ前のワクワク感を高めてくれていた。

施設マップ。4年かけて積み上げてきた19タイトルが所狭しと並んでいる。これ以外にMAZARIAでは提供していなかったタイトルも数多くあるのが驚きだ。


FESTIVAL ZONE

●マリオカートアーケードグランプリVR

会話しながら4人でワイワイレースを楽しめた。空を飛んだときの浮遊感やアイテムをライバルにぶつけたときの爽快さなど、随所に「これをやりたかった」という要素が盛り込まれているのが印象的だった。あまりに多くの人が叫ぶため、VR ZONE SHINJUKU時代は2階にあってもエントランスまで絶叫がよく届いていたという伝説がある。

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●太鼓の達人VRだドン!

MAZARIA時代からの新アクティビティで、バチコンを両手に持ってこちらに飛んでくる音符をタイミングよく叩くという内容になる。やぐらの上で「俺が主役だ!」とばかりに太鼓を叩くのだが、なかなかの運動量でヘトヘトになった覚えが……。担当スタッフさんがどんちゃん風に「〜だどん」と案内してくれるのが素敵だった。

・MAZARIA「太鼓の達人VR」を汗だくで体験 迫り来る譜面を叩きまくってテンション爆上げだドン!

 
●アスレチックVR パックマンチャレンジ

迷路を歩いてクッキーを集めるというパックマンを再現したコンテンツ。今までHTC VIVEシリーズを起用してきた中、施設初Oculus Questを利用した点でも話題になった。

 
●巨大風船爆発ルーム パニックキューブ

仲間と一緒に謎を解いて牢屋からの脱出を目指すコンテンツ。本物の風船がどんどん膨らんでいって、施設内に大爆発の音を轟かせていたのが思い出深い。風船も最終日仕様になっていた。

 
●PAC-MAN GO-ROUND

名前そのままのパックマンのメリーゴーラウンド。エントランスのすぐそばに置かれており、目立っていたので覚えている方も多いはず。


その他、階下のナンジャタウンとつながっている吹き抜けでは、巨大スクリーンでパックマンバトルロイヤルが遊べる要素も用意していた。

終了を告げた後に8月1日から始まったフィールドVRアクティビティ「スピード錯覚アトラクション PAC-MAN RACER」のロケテストもこの日で終了となった。


ADVENTURE ZONE

●急滑降体感機 スキーロデオ

お台場時代からある古株コンテンツ。普通なら超上級者が訪れるような雪山の急斜面を猛スピードで滑降するというスリルを味わえる。滑降時の風やスキー板の接地面など、触感でのリアルさも見事に再現していた。

 
●釣りVR GIJIESTA

大自然の中でのルアー釣りを体験できる。コヤ所長が師匠指導の下、2年間釣り修行した上で生まれたアクティビティというエピソードがある。魚の動きだけでなく、リールの手応えや網の揺れなどのリアルさにも常軌を逸するこだわりを感じられた。

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●冒険川下りVR ラピッドリバー

オールで激流を漕いで、高速で駆け抜けながら障害物を避けてゴールを目指すというアクティビティ。最大4人のプレーに対応していて、「あっちあっち!」「こっち!」と臨機応変にアドバイスしながらみんなでわいわい遊べるのが楽しい。

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●極限度胸試し ハネチャリ

人力飛行機を漕いでゴールとなる天空の城を目指すアクティビティ。冒頭のいきなり落ちるシーンは、あまりの高さから絶叫を上げた方も多いはず。優雅に空を舞ったり、建物の中を通ったりと、運転しているだけでもめちゃくちゃ楽しいコンテンツだった。

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●VR-ATシミュレーター 装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎

お台場時代に初の大型IPコラボとして登場した対戦アクティビティ。「シミュレーター」と銘打っており、あたりどころが悪ければ一発で倒されてしまうというシビアな仕様に「むせる」ファンが続出していた。

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●ドラゴンクエストVR

戦士・戦士・僧侶・魔法使いというパーティー構成でドラクエの世界を冒険して、ゾーマの撃破を目指すというフィールドVRアクティビティ。筐体に乗るのではなく、VR機器や武器を装着して広いホールを実際に歩いて遊べるというのがアツいポイントだ。スタッフが説明してくれる部屋も凝っており、これから冒険が始まるというワクワク感を煽ってくれる。

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PANIC ZONE

●極限度胸試し 高所恐怖SHOW

VR ZONE・MAZARIAの原点にして頂点ともいうべき傑作。地上200mにエレベーターで上がって、板の先にいる猫を救出して戻ってくるというシンプルな内容ながら、板が微妙に揺れたり、風が吹いたりと高所の怖さを非常にうまく再現。ロングランでの稼働となった。

 
●ゾンビサバイバルゲーム ハード・コール

MAZARIAからの新コンテンツ。車に乗り込み、手に持った拳銃で襲いかかってくるゾンビを倒しながら、ゾンビウイルスに感染した街からの脱出を試みるアクティビティ。引っかき攻撃で自分がゾンビ化しないよう、素早く倒さなければいけないのだが、そうは簡単にいかない量の敵がわらわらと出てくる。一番の見どころは衝撃の結末だ。

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●ホラー実体験室 脱出病棟Ω

こちらもお台場組で、VR×ホラーの逃げられない恐ろしさを知らしめた名作。最大4人で参加し、車椅子を操って暗い病院を進んで脱出を目指すという内容なのだが、あまりの恐怖に先に進めないプレイヤーが続出。協力要素もあり、多人数でVRホラーを遊ぶという楽しさを確立した。

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●恐竜サバイバル体験 絶望ジャングル

スタンディングスクーターに乗って、巨大な肉食爬虫類がいる島を駆け抜けて脱出を目指すというサバイバルアクティビティ。電気をつけないと前が見えないが、つけると恐竜に見つかる可能性が……というドキドキ感、仲間がどんどんやられていくという絶望感、見つかったときの恐怖など、まさに「サバイバル体験」なコンテンツだった。

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SF ZONE

●エヴァンゲリオンVR The 魂の座:暴走

新宿から追加された人気コンテンツ。エヴァに搭乗し、迫りくる使徒をみんなで殲滅するのが目的になる。まずエントリープラグにLCLが満たされてからハンガーを上がって地上に射出されるという出撃シーケンスだけでもテンション爆上がりな出来だった。当初は3人だったが、のちに「エヴァMark.06」を追加して4人で遊べるようになった。

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●ガンダムVR ダイバ強襲

こちらはガンダムを操縦するのではなく、強襲をかけてきたザクからガンダムの掌に乗って守ってもらうという体験になる。揺れる地面やガンダムの手、ヒートロッドの熱さを再現するヒーターなど筐体の仕掛けが見事にVR内の体験とマッチしていたのが印象的だ。のちに登場した「ガンダムユニコーンVR 激突・ダイバ上空」も遊べた。

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●ゴジラVR

2018年9月にオープンしたVR ZONE OSAKAで稼働開始。進行を続けるゴジラに攻撃ヘリで向かい、血液凝固剤を打ち込んで活動を停止させるというミッションになる。ゴジラの迫力がとにかく怖いの一言。背びれから放たれるビームを間近にして震えたプレイヤーも多かったはずだ。

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●大量破壊VRシューティング ギャラガフィーバー

銃を手に持って地上150mに上がり、わらわらと迫りくるギャラガをひたすら倒していくというガンシューティング。倒した時の輝くキューブがまるで夜の街のネオンのようできれいだったた。

 
その他、VR ZONE SHINJUKUから引き続きアリーナではCG STAR LIVEも開催していた(編註:写真はアリーナ02だが、CG STAR LIVEはアリーナ01で実施)。

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グッズショップも惜しまれながらの最終日。

 
フードコートも人気スポット。「ゴジラ 熱線黒ゴマ担々麺」や「回収せよ! ゴジラサンプル」など、凝りに凝りまくったコラボメニューでファンを驚かせていた。

 
 
こうした施設が閉まる場合、一般的にはセレモニーが執り行われるわけだが、コロナ禍という状況を鑑みて、MAZARIAでは、おなじみのタミヤ室長による簡単な挨拶が行われただけだった。以下、全文を書き起こしていこう。

「最終日、平日にもかかわらずお越しいただきましてありがとうございました。残念ながらMAZARIAは、コロナの影響もありこのような形で閉まることになります。MAZARIAという空間の設計自体が、人の夢の世界をつなぐ場所、2次元、2.5次元であるというところから始まっている施設ですので、リアルの場所がなくなっても、きっとどこかにあり続ける体で、われわれのほうはみなさんにどうやってお届けできるかを一生懸命考えて行きますので、引き続きご期待いただけたらと思います。ワンピースの黒ひげが『人の夢は!!!! 終わらねぇ!!!!』と力強く宣言していた通りです。

この場に来たかった小山は、本当ににやんごとなき理由で来られなくて、一言『コロナ嫌い』と言ってたのをみなさまにお伝えしておきます。そして『本当にみなさまありがとうございました』とも言っていたので感謝をお伝えしたいです。特にバンダイナムコで変なことをする人たちというポジションでこれからも我々は続けて行きますので、これからもご期待いただければと思います。今日は本当にありがとうございました。」(タミヤ室長)

 
最後にゆっくりとシャッターを閉じて、1年と1ヵ月という非常に短い歴史に幕を閉じていた。なお、タミヤ室長にインタビューできたため、別記事でお届けしよう。

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(TEXT & Photos by Minoru Hirota

 
 
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