【データで見る、ツイ伸び新人VTuber】2022年1月第5週はDraki Kona、恵比寿とうか、稲荷いろは

企業・個人を問わず、毎日何十人もの新人がデビューしていくVTuberの世界。一方、すでに業界内には多くの才能が存在しているため、今の「推し」の動画・配信を追うだけで精一杯、新人まで気が回らないというVTuberファンも多いはず。そんな方に向けて送るのが本連載「データで見る、ツイ伸び新人VTuber」です。

分析・執筆は、Twitterのリストから随時4万人以上のVTuberのデータを収集して分析しているmyrmecoleonさんが担当。直近の7日間でTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを数名紹介します。

こんにちは。myrmecoleonと申します。今回も最近勢いのあるVTuberを紹介していきます。以下は直近にTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを並べたグラフです。過去に連載で取り上げたNimuさん、肆ノ島來世さん、Vox Akumaさん、Ike Evelandさん、Mysta Riasさん、Luca Kaneshiroさん、Shu Yaminoさん、Shotoさん、Nina Kosakaさん、Shylilyさん、紫宮るなさん、宝珠るらさんも引き続き伸びており掲載されています。今回はここからDraki Kona（ドラキ・コナ）さん、恵比寿（えびす）とうかさん、稲荷（いなり）いろはさんの3名をピックアップ。伸びた原因も推測しつつ、プロフィールをまとめました。

VTuberリスト登録のTwitterアカウントから、2022年1月24日13時から31日13時にフォロワー数が5%以上増加したうちの増加数上位
データはTwitter APIより取得（以下同じ）。記事で取り上げたアカウントの棒グラフはオレンジ色に変えている
下3名はピックアップのため追加

Draki Kona

Twitter：https://twitter.com/DrakiKonaV2
YouTube：https://www.youtube.com/channel/UCg53fzp6UNYvsyAg8UoNXCA

Draki KonaさんはタイのVTuberグループ「Pixela Project」の新グループ「Pixela-Isekai」のメンバー。神のドラゴンの種族の末裔でしたが家出して「Pixela-Isekai」の仲間に参加しました。職業は火の魔法使い。かわいらしいビジュアルそのままのキュートな声が特徴です。

「Pixela Project」はタイを拠点とするバーチャルアイドルグループで、2021年3月にメンバーがデビューしスタート。Draki Konaさんはその2期生となる「Pixela-Isekai」の6名のひとりとして1月23日に発表され、26日に初配信してデビューしました。「Pixela-Isekai」の6人は元は異世界で魔王を倒すためにパーティーを組んでいましたが、なぜかトラックに轢かれてこちらの世界に転移して「Pixela Project」に参加してVTuberを始めています。それぞれ日本の人気イラストレーターが担当していることが特徴で、Draki KonaさんはホロライブEnglishのGawr Guraさんも手がける甘城なつきさんが担当です。

あまり知られていませんが、タイは東南アジアでも企業・個人ともVTuberの活動が活発な地域のひとつです。過去にはHANAさんを紹介したことがありますし、久檻夜くぅさんやシノライラさんなど日本のグループに参加していてタイ語を話すVTuberもいます。先月1月21日から23日にかけてバンコクではタイ初のVTuberの総合イベントとして「V-Festa」が開催され、タイで活動するVTuberを中心に東南アジアの著名VTuberも参加し、ファンとの交流を深めました。もちろん「Pixela Project」もこれに参加し、「Pixela-Isekai」もデビュー前ながら等身大パネルで紹介されていたようです。

V-Festaさんの投稿 2022年1月25日火曜日

Draki Konaさんはやはりタイ語中心で活動してますが、配信では簡単な日本語や英語も使い、あいさつも「コナばんは」と日本風。歌がお好きなようで、初配信でも歌声を披露、本日2月7日に歌枠を配信予定です。配信はいまのところ雑談が中心ですが「MinecraftでPixela帝国を築く」を目標に掲げており、早速マイクラ配信を始めています。タイ語なので言葉の意味はほぼわかりません（今回も音声入力や機械翻訳を参考に執筆しています）が、声が大変かわいいためつい見てしまいます。このあたり、日本のVTuberが海外で人気なのと同じ図式で面白いです。

活動開始を含む今回の7日間では3600人以上が彼女をTwitterでフォロー、YouTubeのチャンネルも現在1万3000人以上が登録しています。「Pixela-Isekai」のメンバーはいずれも良いペースで伸びていますが、中でもDraki Konaさんは好調です。またDraki Konaさんら同期複数名がTwitterアカウントが凍結されて初配信前に作り直したのも数字的に影響しています。

フォロワーの傾向（該当アカウント群から300名超を無作為抽出の上フォローしているアカウントを集計。以下同じ）を見るとタイを代表するバーチャルアイドル Aishaさんのフォロワーが最多で3分の2を占めました。以前からのPixela Projectファンの多くもここに含まれます。「ママ」が同じGawr Guraさんのフォロワーも多く、この二人のフォロワーがDraki Konaさんのフォロワーの8割を占めます。Jolly Estaaさんなど「Pixela-Isekai」の同期を経由してのフォロワーも多いようです。

タイのVTuber人気の高さに加え、戦略的なイラストレーターの起用が国外のVTuberファンからの関心も集めてた様子が伺えます。タイのVTuberコミュニティーの今後が期待される動きでした。

恵比寿とうか

Twitter：https://twitter.com/Ebisu_Touka
YouTube：https://youtube.com/channel/UCHyYlV44ZYCXtbzs60Zce1g

恵比寿とうかさんはVTuberグループ「ますかれーど」の4期生。4期生はいずれもカジノのバニーガールをモチーフとしており、3名のデザインはイラストレーター・漫画家の三輪フタバさん。恵比寿とうかさんは商売繁盛を願う「十日戎」にちなみ、男をたてるあげまんメイド、幸せを呼ぶ女神とのこと。

「ますかれーど」は株式会社オクトーバーが運営するバーチャルメイド喫茶。「いやし」と「いやらし」を提供することがコンセプトで、実写映像でのお給仕も含めて「いやらし」な内容もこなすタイプのVTuberグループです。恵比寿とうかさんはその4期生として加持乃うさぎさん、脳汁たぎるさんとともに1月25日にデビューし、2月2日に初お給仕（初配信）しました。

VTuberグループ「ますかれーど」より、4期生3名がデビュー　2/1より順次活動開始

恵比寿とうかさんはメイド喫茶好きでメイド経験もあり、大阪の日本橋オタロードのメイド喫茶ならどこでも案内できるとのとこ。ますかれーど1周年記念配信を見て「なんだこの人たち！？自由で面白いな」とますかれーどのメイドに。推しはインスタグラマーと今風の女子で、初給仕も初々しく大人しい雰囲気でしたが、ますかれーど定番の「健康器具」を早速初体験、「Cooking Simulator」配信はエプロン一枚なのを体を叩いた音で体の部位を当てさせて示すなど意欲的。ASMR配信もしています。

活動開始を含む今回の7日間では2400人以上が彼女をTwitterでフォロー、YouTubeのチャンネルは現在2700人以上が登録。4期生3名ともよく伸びています。7日間の新規フォロワーを見ると天使なのさんを筆頭にますかれーどの先輩のフォロワーが8割を占めました。それ以外ではホロライブの白銀ノエルさんのフォロワーなどが比較的多いです。基本的にはますかれーどの既存のファンが注目した印象です。

4期生を迎えて10名が在籍し、新メンバーもファンに注目され、ますかれーどもひとつのブランドとして定着している印象です。こうした分野のVTuberグループもあまり表に出ないながら着実に成長しているようです。

稲荷いろは

Twitter：https://twitter.com/inariiroha_
YouTube：https://www.youtube.com/channel/UCWIPfdcux1WxuX5yZLPJDww

稲荷いろはさんは「のりプロ」の新グループ「のりプロゲーマーズ」のメンバー。のりプロ2期生の鬼灯わらべさんと同じ鬼の国の山奥出身の九尾の狐。幸せをもたらす瑞獣で神社に住む神様でもあり、新たな参拝者を呼び込むため配信活動を始めました。前回紹介したレグルシュ・ライオンハートさんと同期になります。衣装等のデザインはイラストレーターで複数のVTuberを担当するGuchicoさん。

「のりプロ」は犬山たまきさんで知られる漫画家・佃煮のりおさんがプロデュースするVTuber事務所。「のりプロゲーマーズ」はその新展開として昨年11月末ののりプロ2周年座談会で発表され、鬼灯わらべさんをリーダーに稲荷いろはさんら新人3名がTwitterでの活動を開始、1月28日にリレーで初配信しました。それぞれ犬山たまきさんや鬼灯わらべさんに指導され準備してきたそうです。

鬼灯わらべさんとは昔からの仲で非常に親しく、その縁でのりプロに推薦、最初の面接ではまるでしゃべれず落とされかけたとのことでしたがその後の成長著しく晴れてデビュー。FPS好きで初配信ではAPEXのプレイ映像を紹介して早速APEX配信も。ほかホラーゲームや視聴者参加型のパーティーゲーム、Minecraftなど幅広くゲームのプレイ配信をしています。歌も好きで特に90年代のアニソンが好き。シュールな笑いが好きで、初配信ではチベスナからの応援メッセージ動画や顔ハメの稲荷寿司が流れてくる配信画面を自作して披露しました。

初配信を含む今回の7日間では16%増となる2000人以上が彼女をTwitterでフォロー、 YouTubeのチャンネルは現在2万2000人以上が登録しています。のりプロゲーマーズの3名は1ヵ月以上Twitterで活動後の初配信のため直近の伸び方は比較的小さいですが、すでに多数のファンを獲得しています。

7日間の新規フォロワーを見るとやはり犬山たまきさんのフォロワーが最多で7割、鬼灯わらべさんのフォロワーも目立ちます。それ以外では白上フブキさんを筆頭にホロライブのメンバーのフォロワーも多く、のりプロ以外のVTuberのファンも関心を示している様子がうかがえます。

現状はのりプロファンの箱推し・期待が大きい印象ですが、のりプロゲーマーズの3人は初配信以降も継続して伸びており、今後が期待されます。

今回は既存のVTuberグループの新メンバーのデビューが重なりました。いずれも活動する領域は異なりますが、それぞれで大手のにじさんじ・ホロライブだけでないVTuberブランドが着実に成長している様子がうかがえます。VTuberの今後の拡大が期待される動きでした。

（TEXT by myrmecoleon）