米国時間の7月1〜4日、ロサンゼルスのコンベンションセンターを中心に開催している日本ポップカルチャーの祭典「Anime Expo 2022」(AX)。今年は2019年から3年ぶりとなるリアルでの実施で、内容は大きく新発表などを行うパネルセッションと展示会の2つに大きく分けられる。
今回は、NTTドコモが出展していた「直感×アルゴリズム♪ 3rd Season」のTacitlyブースをレポートしていこう。
3ヵ国後が話せる2人がはたしたアメリカ進出
「直感×アルゴリズム♪」は、VTuberとは出自がちょっと異なり、アニメーションをリアルタイムでやってしまおうという「生アニメ」の文脈を受け継ぐ作品だ。詳しい歴史はこちらの記事でチェックいただきたいが、最初のシーズンは2014年で、Tacitlyは2021年にスタートしたシーズン3に出演するLilia(リリア)さんとCiel(シエル)さんからなる2人組になる。
2人とも日中英の3ヵ国語(!)を話せた上で、歌も上手いという稀有な才能の持ち主で、普段は、定期の生配信をおこなったり、オリジナルソングや歌ってみた、ショート動画などを投稿している。
3ヵ国後を話せるということで、例えば、オリジナルソングは日中英と歌詞が異なる3バージョンを投稿していたり、さらにライブで3ヵ国後を織り交ぜて見事に歌い上げるパフォーマンスを見せたこともあった。中国のbilibiliで配信した「歌え!国境なき秋祭り!2021」に出演したこともあった。そうした語学力を生かした活動が目立つ彼女たちだから、今回AXに出展しているというのもうなずけるだろう。
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Tacitlyブースは、ホロライブやVShojoも出展していたExhibit Hallで、ローカルの企業や個人が出展していた物販ブースが立ち並ぶ中にあった。
展示は彼女たちの等身大ポップを立てて動画を壁に投影し、クリアファイルやシールを配布するというもので、今回は物販は行っていなかった。
目玉は2日と3日の17時から彼女たちが生出演して、集まってきたファン1人1人と会話したりジャンケンゲームを楽しむというパートだ。2日に取材した際は15〜20人ほどが集まり、通路に人溜りができて、通りがかりの人が「何?」とのぞいていく感じだった。じゃんけん大会も、勝てばTシャツなどのグッズが手に入るということもあり、みんな真剣に臨んで勝ち残った参加者は嬉しそうにグッズをもらっていた。
実はこの生出演の実現について、結構な苦労があったようだ。ブースの担当者にお話を聞くと、まず設営の時点でどうしてもインターネットにつながらず、確認しに行くとカーペットの下のハブからイーサネットケーブルが抜けていたということが判明(!)。
つながった後も、時間帯によって通信速度が大きく異なり、遅い時は3Mbpsという動画を通すのにはちょっと心細い通信速度になってしまっていたという。そんな中、さすが通信のプロのNTTドコモの方ということもあって、パケットを送る方法を変えたりと最大限にパフォーマンスを出せるように調整したそうだ。
生配信の時間についても、スタッフが稼働する時差を考えて、日本が朝9時になるように夕方17時設定したとのこと。PANORAでも「おしゃべりフェス」というVTuberさんと1対1で話せるイベントを開催しているため、インターネットを通じてバーチャルのタレントさんを現実に召喚する苦労はとてもわかる話だった。
古くはキズナアイさんが「BILIBILI WORLD 2018」にブース出展した際、中国の方との1対1トークを行なっていたこともあった。国境を関係なく人気を博して大きくなっているVTuber業界だからこそ、今回のTacitlyの挑戦は今後、多くのVTuberさんの参考になる企画だったのかもしれない。
(TEXT by Minoru Hirota)
●関連リンク
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