ミライアカリの別人格・ココロヤミ、1st ワンマンライブ「YAMI:LIVE」レポート コロナのヤミを払うような熱狂を実感

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人気VTuber・ミライアカリさんの別人格として、2020年に誕生したココロヤミさん。いつも元気で明るさ全開のアカリさんとは正反対のダウナーな言動で注目を集めると、今年4月には、アカリさんと同じバンダイナムコミュージックライブのレーベル「GOOM STUDIO」でのアーティスト活動を開始(ニュース記事)。

8月3日の「ヤミの日」には、1stEP「YAMIONE」を配信限定リリースし、9月19日には、ココロヤミ1st ワンマンライブ「YAMI:LIVE」を秋葉原エンタスで開催した。このライブは、VR Chat内にあるイベント会場VRエンタスでも同時開催されたが、ここでは、秋葉原エンタスのリアル会場の模様をレポートしていく。

会場に貼られていたポスター
フラワースタンドも贈られていた

オープニングアクトではDJミライアカリが登場

開演時間になって会場に流れたのはヤミさんではなく、オープニングアクトを担当するDJミライアカリさんの明るい声。超大型の台風が東京にも近付いてきている中でのライブ開催だったため、「台風で来られなかった方もいると思うのですが、その方たちの分まで、みんなで楽しみましょう!」と声をかけると、会場からは大きな拍手が起こった。

続いては、常時マスク着用など、会場での注意事項の案内。「動画、静止画の撮影は、大変、申し訳ないのですが……すべてオッケーとなっております(笑)。他のお客さんの映り込みには注意して、いっぱい拡散してね」という意表をついたアカリさんの言葉に再び大きな拍手の音が響いた。


オープニングアクトは、DJとしてもさまざまなイベントに出演しているアカリさん。「ミライノセカイ」で幕を開けたオープニングアクトのセットリストは、「ミライトミライ」「ILLUMINATE」など「ミライアカリベスト」とも言えるラインナップで、会場は一気に熱くなる。アカリさんのプレイや煽りに応えるタイミングの良い歓声も、会場の空気をさらに盛り上げていた。約30分弱とボリュームたっぷりだったDJミライアカリさんのオープニングアクト。ヤミさんのライブに来たら、アカリさんのライブも楽しめた気持ちになるようなお得すぎる前座だった。

アカリさんがステージを去った後は、約10分の休憩。いよいよ、ヤミさんの初めてのライブが開幕する前に、ヤミさんの音楽プロデューサーでこの日はDJを務めるTaahii(たーひー)さんが観客に挨拶。「みなさんは本当に来てくれてありがとうございます。周りの人の迷惑にならないようにしながら、全力で楽しんでください」という言葉に、「はーい」という素直な返事。ヤミさんの登場前から、熱気がありながらもどこか温かいという最高の会場の空気ができあがっていた。

ダウナーなココロヤミが会場を熱狂させる

ステージ上のスクリーンにカウントダウン映像が流れた後、ヤミさんが登場。「『YAMI:LIVE』、はじめます」という言葉に続いて、初めてのワンマンライブがついに開幕した。1曲目は、1stEPの収録曲「ジラフ」。ヤミさんらしいシニカルな語り口ながら、「伸びてくぜ」というポジティブなフレーズが印象的で、ヤミさんに合わせて会場からも「伸びてくぜ」の声が響く。

最初のMCで、いつものダウナーなトーンながら「みんな、盛り上げてくれてありがとう」とお礼を語るヤミさん。その後に「アカリの前座、盛り上がってたね。ヤミでも盛り上がってね。約束だよ」と可愛く付け加える。


2曲目は「Cry to NEW WORLD」。アカリさんのメジャーデビューシングル「Fly to NEW WORLD」と対を成す曲で、正反対だが共通するところもあるという二つの曲の印象は、そのままヤミさんとアカリさんの印象にも重なる。MCでは、小声でボソボソと語っていたヤミさんだが、ラップは軽快でありながら力強い。続けて披露した3曲目の「雨のせい」では、ヤミさんの「雨」という歌声に合わせて、観客が「ザーザー」とコール。アーティストとファンの声が一緒になって、曲が完全な形になる瞬間を久しぶりに聴くことができた。

2度目のMCでは、4月の「VTuber Fes Japan 2022」のDAY2で「雨のせい」を歌ったときの思い出などを語った後、音楽プロデューサーTaahiiさんを紹介。そして、客席に「お前たちにはまだ『ヤミ』が足りてない。日頃の鬱憤をここで出していけ。そうしたらきっと未来が明るくなるはず」と優しさがにじみ出る言葉をかける。


人気ブランドとのコラボ衣装を着て登場

4曲目は、アニメ「ユーレイデコ」の挿入歌「幽霊」。「初めて、ポエトリーリーディングっていう喋りながらっぽいラップに挑戦させていただいたので、ぜひ足湯にでも浸かったような気持ちで聴いてください」という紹介のとおり、喋っているけれど歌っているという独特なテンポが印象的。それでいて、ヤミさんの言葉は、スッと自然に入ってくるのが不思議だ。一方、5曲目の「Reality」は、これぞヒップホップという印象の曲で、シニカルな歌詞もヤミさんらしさ全開。「幽霊」とは異なる意味で、ストレートに刺さる曲だ。

会場の秋葉原エンタスに入ったとき、物販エリアの壁に、黒いパーカーが展示され、横にはそのパーカーを着たヤミさんの姿が貼られていたのだが、その理由をここで発表。次の曲は、犬のイラストでお馴染み人気ブランドGALFYとのコラボ曲だったのだ。さらに、一度、ステージから去ったヤミさんは、GALFY仕様の衣装に着替えて再登場。その姿こそ、入場時に見たヤミさんの姿。実際に購入できるコラボTシャツとパーカーを着て、アウトローな雰囲気のコラボ曲「Unbobo」を披露した後、可愛く「ありがと」と呟くヤミさん。ファッションもパフォーマンスも、ギャップの魅力が際立っている。

ファンのことを「ヤミカスども」と呼びながら、ライブ中、何度も感謝の気持ちを語っていたヤミさん。「ヤミカス」たちもペンライトを振りながら声援やコールを飛ばし、ヤミさんのファーストライブを温かく見守り続けた。

ところが、「Unbobo」を歌った後のMCで「次が最後の曲です」と言った途端、「え~」「今来たばっかり」というブーイングのような声が響く。その反応に対して、ヤミさんは「カ、カスどもがいきなり礼儀正しくなくなった」とビックリしたように少し笑った後、改めて感謝を語る。1stライブとは思えないくらい、アーティストとファンが良好な距離感の関係を築いていた。


最後にアパレルブランドの立ち上げを発表

最後のMCでは、ファンやスタッフらへの感謝の他に、意味深な言葉をいくつも残したヤミさん。

「ヤミにはやらなきゃいけないことがあるから、ここに来た。このままじゃ未来が駄目になるから。バーチャルを殲滅しようと思う。ヤミカスのみんなには、いつか理由を伝えられたらいいな。待っててくれる?」

「これからも自分の使命を果たせるように頑張っていきたい。特にこのままだと、アカリが危ないから。もしかしたら、どこかでみんなに協力を願うかもしれない」

「これからもアカリを頼んだよ」

これらの言葉は何を示唆しているのか。今後のヤミさんの活動を通して、どんなストーリーが描かれていくのかが、一気に気になり始めた。

謎をほのめかした後の最後の曲は、「VVIP」。YouTubeで公開されているMVの一部は、会場の「秋葉原エンタス」で撮影されており、このライブのフィナーレを飾るのにぴったりの曲だ。一度、聴いただけで覚えて歌えてしまうサビのフレーズの繰り返しが楽しい。

「それじゃあ。また、カスろうね。ばいばーい」

という言葉とともにヤミさんが去った後、スクリーンに謎の映像が流れ、ヤミさんが再登場。そこで発表されたのは、アパレルブランド「TRASHROOM」の立ち上げ。個性豊かな存在が多いVTuberの中でも、ダウナーながらアーティストでもあるという非常に特徴的な存在のヤミさん。その活躍の範囲は、まだまだ広がっていきそうだ。


実は本ライブは、マスク常時着用などの感染対策を守った上での声出しはOKだった。筆者が声出しOKのライブに参加するのは、約2年半ぶりのこと。アーティストのパフォーマンスやMCに観客が声でも反応し、それに対してアーティストもまた反応を返す。コロナ禍の前は当たり前だったことだが、そういったやりとりの大切さを改めて実感できた。

会場の規模や収容人数、その時の新型コロナの発生状況などに大きく左右されるため、すべてのライブでこの状況を実現できるのは、まだ先になるとは思うが、この日に感じた本当のライブの楽しさが早く戻ってくることを祈りたい。


●ココロヤミ1st ワンマンライブ「YAMI:LIVE」セットリスト
1.ジラフ
2.Cry to NEW WORLD
3.雨のせい
4.幽霊
5.Reality
6.Unbobo
7.VVIP


(Text by Daisuke Marumoto

 
 
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