株式会社講談社VRラボ(本社:東京都中央区、代表取締役:石丸健二 以下当社)が企画・制作したVRアニメーション『Thank you for sharing your world』(以下本作)が、ルーマニアの首都ブカレストで2022年10月7日~16日に開催された第17回ブカレスト・アニメーション国際映画祭(Animest Romania 2022)の最優秀VR短編賞を受賞しました。
当社は講談社とポリゴン・ピクチュアズの合弁会社として2017年に設立された制作スタジオで、VRという新しいメディアで最適なストーリーテリングを探求することをミッションにしています。本作で挑んだのは盲目の少年が見ている世界をVRで表現すること。「目の見えない人は実は想像力豊かに色鮮やかな世界に生きている」というインタビューをきっかけにオリジナルストーリーを創作、盲目の少年の想像力によって広がる美しい世界をCGアニメーションとインタラクションで実現しました。
【作道雄監督 受賞コメント】
第17回Animest Romania 2022 VR部門にて、最優秀VR短編賞を受賞することが出来ました。とにかく、嬉しい気持ちでいっぱいです。
本作は、盲目の中学生を主人公としています。製作にあたり、盲目の方に取材をさせていただきました。知らない世界を知ろうとすることは、ともすると、他人の領域に無神経に足を踏み入れてしまう行為にもなるので、躊躇う気持ちもありました。
しかし、私が取材した盲目の方々は、普段から前を向き笑顔で社会と共に生きていらっしゃいました。脚本にも好意的なコメントをくださいました。
タイトルの「Thank you for sharing your world」は劇中に出てくるセリフですが、作り手である私から、盲目の世界を教えてくださった方々への気持ちを表した言葉でもあります。そしてそれは、VR体験を通して、作品を発表する行為そのものを表現したものでもあると思って、タイトルに付けました。
VRという可能性を多く秘めたジャンルに評価をいただけて、心から光栄です。約2年に渡る製作期間。模索と発見の連続を、一緒に楽しんでくださった、アニメーション監督の半崎さん、音響監督の太田さん、プロデューサーの石丸さんに感謝申し上げます。
【石丸健二 プロデューサー受賞コメント】
盲目の方々の取材を重ねていくうちに、個人差はありますが、盲目の世界はただの闇ではなく、世界は想像力によって色鮮やかで、触覚や音による空間把握力も目が見える人のそれとは全然違うことを知りました。同じ世界を別の見方、捉え方をしているという表現が正しいようにおもいます。そんな世界の見方、捉え方があることを知ってもらいたい。これはとてもセンシティブで表現も難しい題材ですが、VRで表現するのに適した意義のある企画だと考えました。遠い異国の地ルーマニアでこの企画、コンセプトが受け入れられ結果としてAnimest Romania 2022で評価され、多くの人に体験していただく機会を得られたことをとてもうれしく思います。この難しい企画を実現してくれたチーム全員に感謝と敬意を表します。そして今後もVRならではの作品を作っていきたいと思います。
【作品概要】
・作品名:Thank you for sharing your world
・製作年:2022年
・作品尺:約33分
・ジャンル:VRアニメーション
・企画・制作:講談社VRラボ
・製作:講談社
・配信について:2023年中旬頃、オンライン配信を開始する予定です。
【ブカレスト・アニメーション国際映画祭について】
ブカレスト・アニメーション国際映画祭の歴史は2006年に始まり、アニメーションに特化したコンペティション形式の国際映画祭であり、毎年9月下旬から10月上旬にかけて、国内外の作品が上映されます。映画芸術科学アカデミー公認の映画祭であり、最優秀短編作品には米国アカデミー賞の応募資格が与えられています。
https://www.animest.ro/
【あらすじ】
小学生の頃に病気で視力を失った主人公、タカシ。目の前の世界を想像し、映像として再現することで、日常生活はほとんど不自由なく過ごしている。しかし気持ちは塞ぎがちで世の中に対する興味も日常の楽しみも失っていた。
ある日タカシは、シンジという軽度の自閉症の幼馴染に誘われて、二人きりで蒸気機関車のセレモニーを見に出かける。途中あることで喧嘩してはぐれてしまったが、周囲の人々のサポートから、セレモニーで再会を果せた。お互いのことを大事に思っていることに気づき、二人は仲直りをする。と、二人の目の前を、蒸気機関車が迫力いっぱいに通過していく。タカシの想像力は刺激され、シンジの声を頼りに、周囲の世界を次々と思い描いていく。世界はどこまでも広がりを見せ、タカシは、世界は自分の気持ち次第で変えられることを知るのだった。
【メインキャスト(英語/日本語)】
タカシ:ZACH AGUILAR/中川翼
シンジ:NICOLA FRICANO/岡山天音
【メインスタッフ】
監督・脚本:作道雄
アニメーション監督:半崎信朗
プロデューサー:石丸健二
CGディレクター:Gee Yeung
音響監督:太田昌孝
音楽 : haruka nakamura
【作道雄監督について】
映画監督・脚本家。1990年 大阪府生まれ、京都大学法学部卒業。2014年に映像制作会社「クリエイティブスタジオゲツクロ」を設立、代表に就任。映画監督として活躍する一方、脚本家としてテレビドラマの脚本などを手掛けている。監督作に、映画「神さまの轍」(2018)。脚本作に映画「光を追いかけて」(2021)「アライブフーン」(2022)、NHKテレビドラマ「ペットにドはまりして、会社辞めました」(2022)など。
【株式会社講談社VRラボについて】
2017 年10 月に総合出版社の講談社と国内最大手のデジタルアニメーションスタジオであるポリゴン・ピクチュアズにより設立されたVRを中心とした新しいエンターテイメントを企画・研究するスタジオです。最新のテクノロジーを最大限生かしたコンテンツとは何か?を探求し、それを形にして世界に向けて発信して参ります。
代表取締役:石丸健二
URL:kodanshavrlab.com