VTuber/作家のバーチャル美少女ねむさんと、マルタ大学 文化研究者のリュドミラ・ブレディキナさんからなる研究ユニット「Nem x Mila」は6日、メタバース住人に向けたアンケート調査「ソーシャルVRライフスタイル調査2023」の結果を発表した(レポート配布ページ、日本語、英語)。
ソーシャルVRとは、VRゴーグルを装着してアバターの姿となり、オンラインでコミュニケーションができるサービスの総称。今年8〜9月にアンケートを受け付けていたもので、今回は2007件の回答があったという。地域としては日本/北米/ヨーロッパ/アジアで、VRChat、Neos VR、cluster、バーチャルキャストなどのユーザーが参加した。
81ページにわたるレポートでは、「ライフスタイルとコミュニティ」「アイデンティティ」「コミュニケーション」「経済」「ファントムセンス」という5つに分けて調査結果をまとめている。
例えば「ライフスタイルとコミュニティ」では、よく利用するサービス(複数回答可)としてすべての地域でVRChatがトップだったが、日本では2021年と比べてclusterが15%と大きく数値を伸ばし、38%のユーザーが使っていることが明らかになっている。年代ではVRChatでは20代以下が53%、性別では82%が男性ということもわかった。
そうした若者男性が中心層な一方で、「アイデンティティ」では物理の性別が男性の75%が女性アバターを使っていることが見えてくる。理由としては61%が「外見が好みだから」、27%が「自分を表現しやすい、コミュニケーションしやすい」と回答している。
「コミュニケーション」においては、41%がソーシャルVRで恋をしたことがあると回答。この数値は2021年のものとほとんど変わっていない。相手に惹かれたきっかけについて、73%が「相手の性格」と挙げており、さらに物理的な性格が重要かどうかについて67%が「重要でない」と答えた。
さらに恋愛パートナーになったことがあるかという質問には32%が「はい」と回答。このうち41%は現実世界でもパートナーになっているという。なお、バーチャルセックスについては、2年前とほぼ同数の34%が経験済みと答えた。
「経済」においては、年額で10万円以上ソーシャルVRに使ったという割合が18%、うち1%は100万円以上費やしていることがわかった。支出の内容(複数回答可)については、VRChatでは91%がアバターやワールドなどの3Dモデルと答えている。ソーシャルVRでの観光や商品体験をきっかけに、現実の商品を買ったことがあるかという回答に関しては4割ほどが「はい」と回答した。
一方の収入については、VRChatユーザーが24%しか収入を得ていないのに対して、バーチャルキャストユーザーが44%と多いことがわかる。全世界の男女比では、収入を得ている男性が24%に対して、女性が36%と、女性の方が稼ぎやすい状況にある点も興味深い。なお、すでに「VR主軸で生活している」と回答した人は、VRChatでは2%、バーチャルキャストでは1%とごく少数なこともわかった。
本調査結果を踏まえて、11月13日21時よりMyDearestによるVRユーザーコミュニティ「VRアジト」にて、11月18日の22時からはNem x Milaとしても、それぞれYouTubeで配信を実施予定だ。
*リリース元の訂正に合わせて、「ソーシャルVR国勢調査2023」の名称を「ソーシャルVRライフスタイル調査2023」に変更しました(2023年11月9日21時58分)
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