年に一度の「にじさんじ」の文化祭「にじさんじフェス2023」が12月23日(土)~24日(日)に東京ビッグサイトで開催。23日(土)には、東棟4ホールのスペシャルステージで「にじさんじ 5th Anniversary LIVE 『SYMPHONIA』Day1」が行われました。出演者は、剣持刀也さん、伏見ガクさん、緑仙さん、魔界ノりりむさん、葉加瀬冬雪さん、フレン・E・ルスタリオさん、レイン・パターソンさん、レオス・ヴィンセントさん。8人の個性豊かな人気ライバーが生バンドの演奏とともに全23曲を披露した、「にじさんじ」5周年ライブの模様をダイジェストでレポートします。
全員の「Hurrah!!」でライブがスタート
客席での声出しが解禁された今年の「にじさんじフェス」。開演時間が迫り、レインさんの「こんパター! キミたちー」という可愛い影ナレが聞こえた瞬間、客席が一気にざわめきます。注意事項の説明後、「キミたち、声を出す準備はできてますか?」と問いかけると、大ボリュームの良い返事が聞こえました。
会場の前方にはステージであるメインスクリーンの他、左右にサブのスクリーンが1枚ずつ設置。まずは、サブスクリーンに「5TH ANNIVERSARY」の文字が映し出された後、メインスクリーンに各ライバーを紹介するオープニング映像が流れます。カウントダウンの後、一度、真っ暗になったステージが明るくなると同時に、3、3、7拍子のリズムが響き、8人のライバーも思い思いのポーズで手拍子しながら登場。イントロから軽快でキャッチーな1曲目は、「にじさんじフェス2022」のイメージソング「Hurrah!!」。長めのイントロに合わせて、「みんなー!会いたかったよー」(フレンさん)、「声出して、いきましょう!」(葉加瀬さん)などと客席に呼びかけている間にも、すでに会場のテンションは最高潮。冒頭からクライマックスのような盛り上がりで、ライブは開幕しました。発表からまだ1年の「Hurrah!!」ですが、鉄板に盛り上がる「にじさんじ」全体曲というポジションを完全に確立。今後も長く歌われていくことでしょう。
ステージに現れた8人が身にまとっているのは、昨年の「4th Anniversary LIVE『FANTASIA』」から誕生した「にじさんじ ライブ共通衣装」。全員統一感がありながらも、随所のデザインや装飾品の違いなどに一人一人の個性が反映されています。最初のMCでは、一人ずつ衣装の推しポイントを紹介していきました。
オープニングとアンコールを除き、5~6曲ごとにMCを挟む形でブロック分けされていたこの日のライブ。ブロックごとに特に印象深かったパフォーマンスをいくつかピックアップして紹介していきます。
天使のように可愛い悪魔のりりむに会場が熱狂
全員での「Hurrah!!」とMCの後、ライブ本編のトップバッターを務めたのは、出演メンバーの中でも、ひときわ小柄なりりむさん。他のメンバーはステージ袖に退場するとき「頑張れ~」とエールを送っていましたが、剣持さんだけは、「りりむ! お前、輝いてるから! 輝いてるぞ!」と一際、熱い言葉を連呼。その必死さに会場からも笑い声が起きる中、葉加瀬さんは「誰か、連れて帰って(笑)」とツッコミ。剣持さんの親友である伏見さんは、「剣持さんが言うんなら、間違いないんで」と謎の信頼を感じるフォローをしながら退場しました。
広いステージに一人立つ、りりむさん。両手を少しパタパタしながら、「さっそく、歌っちゃおうかなと思います」と話すと、客席からは「可愛い」という黄色い声が上がります。恥ずかしそうに照れながら「もう!」と叱る様子もさらに可愛くて、歓声は止まりません。歌ったのは、「にじさんじ」ライバーたちの実況でも大人気だったゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」の主題歌「INTERNET OVERDOSE」。天使のように可愛い悪魔の女の子が二面性を持った「インターネットエンジェル」の曲を歌う姿に客席は熱狂。会場がピンク色の光に染まります。歌い始める前は、少し緊張している気配も感じたりりむさんでしたが、可愛い歌声がブレることもなく、パラパラを取り入れたダンスはリズムも完璧。何もかもが可愛いステージでした。
三人組ユニット「▽▲TRiNITY▲▽」のメンバーでもある葉加瀬さんとフレンさんの「可愛くてごめん」、緑仙さん、りりむさん、フレンさん、レオスさんというこのライブならではの顔ぶれによる「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver-」の後の5曲目は、伏見さんがソロで登場。披露したのは、アニメ「とんでもスキルで異世界放浪メシ」の主題歌「贅沢な匙」で、リスナーと一緒に朝食を食べる定期配信「おはガク」を長年続けている伏見さんらしい選曲。軽快でノリは良いけれど、メロディが変則気味のフレーズもあり、意外に難易度は高そうな楽曲をしっかりと歌い上げ、真っ黄色に染まった会場を沸かせました。
メジャーアーティスト・緑仙のステージングにも感動
第1ブロックと第2ブロックの間のMCは、剣持さんと伏見さんの「咎人」コンビ。伏見さんの「どっちが歌うんだ~?」というバレバレの煽りの後、剣持さんが歌ったのは、8月にカバー動画も発表したボカロ曲「セカイ再信仰特区」。2018年3月にライバーデビューした剣持さんが、ソロでのカバー動画を投稿したのはこの曲が初めて。全体ライブのソロステージでも選ぶほど、思い入れの強い曲なのでしょう。全体ライブの常連でもある剣持さんのライブパフォーマンスは、毎回、歌とダンスの成長ぶりに驚かされます。「セカイ再信仰特区」のパフォーマンスも、緩急の大きさや曲中の煽りを含めて最高でした。
楽曲もパフォーマンスも世界観が濃く、まるで宗教のミサのようでもあった剣持さんのソロの後の8曲目は、あらゆる仕草が可愛いりりむさん&フレンさんと、カッコいいはずなのに常にどこかコミカルなレオスさんの組み合わせが絶妙な「にっこり^^調査隊のテーマ」。りりむさん&レインさんによる「ねぇねぇねぇ。」は、二人のビジュアルのコントラストも映えます。
10曲目で、フジファブリックの「徒然モノクローム」を披露したレオスさんは、さすがの音圧で会場を揺らしていました。間奏中に語った被験者(ファンの愛称)への感謝の思いも熱かったです。そして、肩に乗っているマスコットのまめねこが可愛い。
「緑仙さんがしばらく出てこないな」と思ったタイミングで、緑仙さんが登場。活動開始当初から積極的な音楽活動をおこない、10月にはメジャーデビューも果たした「にじさんじ」屈指のボーカリストは、Reolさんの「第六感」を披露。さすがの歌唱力で観客の心をいきなりグッとつかんだ後、間奏では無邪気な子供のように笑顔で「みんなー! 会えたねー。この時間だけは僕のために手を伸ばしてください」と絶叫。歌はもちろん、ステージの盛り上げ方もズルいくらいに巧みでした。
レインが水樹奈々の楽曲を2曲続けて熱唱!
緑仙さんと葉加瀬さんが「次のブロックは、さらに声を出してもらいたい」とMCで煽った後の第3ブロック1曲目は、音楽ライブは初出演という葉加瀬さんの「天才ロック」。正確かつ綺麗に響く高音は、アッパーなロックでも健在。2番の冒頭、一瞬だけ客席に背を向けた後、振り向くと黒縁眼鏡を付けているというバーチャルライブならではの演出も天才でした。2番のラストの爆発音は、「実験大好き系女子高生」の実験ミスという演出なのでしょう。
14曲目、剣持さん、伏見さん、緑仙さん、レオスさんが「MONSTER DANCE」で、「踊れ」「騒げ」と客席を煽りまくった後は、ネット上の幼稚な喧嘩を歌った緑仙さん、レオスさんの「Fight on the Web」。パソコンなどの小道具も使った二人の迫真のパフォーマンスに思わず声を出して笑ってしまいました。声の大きさや勢いはレオスさんの方が優勢でしたが、レスバは絶対に緑仙さんの方が強そうでした。
第3ブロックの個人的なクライマックスは、レインさんの水樹奈々さん楽曲2連発。伏見さんと二人で水樹奈々さんとT.M.Revolutionのデュエット曲「革命デュアリズム」を歌い、相性抜群のハモリで会場をさらに熱くした後、レインさんが水樹さんの代表曲「ETERNAL BLAZE」を歌い始めると、客席からはさらに大きな歓声が上がります。カッコ良さと可愛さに、ほのかなセクシーさも兼ね備えたレインさんのパフォーマンスは、客席を熱狂させ、まるでソロライブのような光景。歌声は、水樹さんの楽曲との相性もバッチリでした。
アンコールは全体曲「Wonder NeverLand」
りりむさん、フレンさん、レインさん、レオスさんのハイテンションなMCの後、第4ブロック1曲目は、フレンさんのソロ。他の3人が退場しようとしたとき、「一人にしないで」と言ったフレンさんに対して、レオスさんは客席を指差しながら「一人じゃないよ。見て! みんないる」と励まします。感動したような反応をしたフレンさんでしたが、「良いこと言うじゃん。たまには」と鋭く突っ込んでいました。そんな楽しいやり取りの後、フレンさんが歌ったのは、AliAの「かくれんぼ」。出だしの「いっせーのー」からパンチのある力強い歌声を披露しますが、途中、涙をこらえているような雰囲気も。それでも、間奏でのファンへのメッセージもしっかりと伝えきり、思いのこもった歌声で最後まで歌いきりました。
20曲目は、剣持さんと伏見さんによる「DAY×DAY」。二人の綺麗なユニゾンに歓喜した「咎人」ファンも大勢いたことでしょう。21曲目は、剣持さん、緑仙さん、葉加瀬さん、フレンさん、レオスさんによる「悪魔の踊り方」。階段になったステージには5つの椅子が並び、5人は座ったまま登場。座り方からも個性がにじみ出ていて、歌詞割りもソロパートが多め。歌声の個性の違いがさらに引き立っていました。
22曲目は、りりむさん、葉加瀬さん、フレンさん、レインさんの女子4人組による「Iなんです」。アイドルライブのような可愛さと楽しさ全開のステージで、ライブの本編は終了。客席からはすぐにアンコールの声と拍手が自然発生します。
コールが4分前後、続いた後、出演者全員が再登場。オープニングと同じくMC役の葉加瀬さんの「みなさん、本当に長い間、アンコールありがとうございました-」という声に合わせて、全員、大きく手を振りながら、感謝の言葉を叫びます。ライブグッズの告知と、バンドメンバー紹介の後は、全員が順番に最後の挨拶。時々、笑いを挟みながらも、熱い思いが語られました。
ARカメラによるライバーと観客が一緒に写る記念撮影の後、披露した「day1」最後の曲は、2021年に3周年を記念して作られた「にじさんじ」の全体曲「Wonder NeverLand」。ソロ、2~3人のグループ、8人全員とさまざまな形で歌声を響かせていきます。虹のようにカラフルに光る客席のペンライトは後方の席から見ていても綺麗でしたが、きっとライバーの立つステージからの光景は、さらに綺麗だったことでしょう。最後まで名残惜しそうな8人は、ステージを去るギリギリまで客席に手を振っていました。
規制退場であることを告げる最後の影ナレは、りりむさんが担当。「アナウンスに従って、退場しないでください。嘘です。退場してください」という可愛い冗談で、最後まで和ませてくれました。こうして「にじさんじ」の5周年を記念したライブの「day1」は終了。1曲ごとに異なるバーチャルライブならではのステージ演出は効果的な上に安定しており、着実な技術の進化も感じます。そして、何よりも、高度な技術によって的確に可視化されているライバーの個性を大いに堪能できるライブでした。
(Text by Daisuke Marumoto)
●配信概要
・配信ページ
・ネットチケット購入ページ
●販売券種
・本編視聴チケット
価格:5500円(税込)
※サービス手数料 242円(税込)
●関連リンク
・「にじさんじフェス2023」公式サイト