公正取引委員会は25日、VTuber事務所「ホロライブ プロダクション」を運営するカバーに対し、下請法に違反しているとして勧告と指導を行ったことを発表した。
勧告については、VTuberの動画などに利用するイラストや2D/3Dモデルを発注し、成果物を受け取った後に事前の発注書などからはわからないやり直し作業を無償で行わせていたことに対して、やり直しの費用を払い、下請法を遵守する体制を構築することを求めた。回数としては、下請事業者23名に対し、合計243回としている。
指導については、成果物を受け取っているにも関わらず、支払期限までに代金を支払っていなかったことについて、改善処置を行うことを求めた。金額としては下請事業者29名で、総額115万2642円。カバーは9月17日までに遅延利息の額を支払っているとのこと。
事例としては以下が挙げられている(報道資料より転載)。
●事例1
カバーは、令和4年4月8日、下請事業者1名に対し、動画用2Dモデルの作成を発注し、同月18日に給付を受領した後、同年9月15日までの間に、発注書等で示された仕様等からは作業が必要であることが分からないやり直しを無償で7回させていた。
当該7回のやり直しのうちの3回は、検査期間を納入後7営業日以内としていたにもかかわらず、当該期間を経過した後にさせたものであった。
当該3回のやり直しのうちの2回は、本発注により作成された動画用2Dモデルを利用するVTuberが修正を希望していることを理由として、カバーが当該事業者に「制作完了」したとの通知を行った令和4年7月11日よりも後にやり直しをさせたものであった。
カバーは、その後も経理処理を失念するなどし、本発注の下請代金が支払われたのは、給付の受領日である令和4年4月18日から619日経過した令和5年12月27日であった。
●事例2
カバーは、令和4年10月27日、下請事業者1名に対し、動画用2Dモデルの作成を発注し、同年11月21日に給付を受領した後、令和5年5月23日までの間に、発注書等で示された仕様等からは作業が必要であることが分からないやり直しを無償で5回させていた。
当該5回のやり直しは、いずれも検査期間を納入後5日以内としていたにもかかわらず、当該期間を経過した後にさせたものであり、本発注において、カバーが当該事業者に「社内、タレント共に全ての確認が完了」したとの通知を行ったのは、本発注の給付の受領日である令和4年11月21日から277日経過した令和5年8月25日であった。
本発注の下請代金が支払われたのは、給付の受領日である令和4年11月21日から312日経過した令和5年9月28日であった。
●事例3
カバーは、令和5年1月24日、下請事業者1名に対し、動画用2Dモデルの作成を発注し、同年2月8日に給付を受領した後、同年3月22日までの間に、発注書等で示された仕様等からは作業が必要であることが分からないやり直しを無償で3回させていた。
当該3回のやり直しのうちの2回は、検査期間を納入後5日以内としていたにもかかわらず、当該期間を経過した後にさせたものであり、本発注において、カバーが当該事業者に「納品」が完了したとの通知を行ったのは、本発注の給付の受領日である令和5年2月8日から230日経過した同年9月26日であった。
カバーは、令和5年4月頃には、本発注により作成された動画用2Dモデルを用いて動画配信を行っていたが、本発注の下請代金が支払われたのは、給付の受領日である同年2月8日から266日経過した同年10月31日であった。