2019年3月22日にデビューして以降、数多くの人気バーチャルライバー(VTuber)を擁する「にじさんじ」の中でも、常に注目を集めてきた同期ユニット「さんばか」の3人(アンジュ・カトリーナ、戌亥とこ、リゼ・ヘルエスタ)が、ユニットとしては初めてとなるワンマンライブを開催。12月6日(金)に武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで、「さんばか 5th Anniversary LIVE 〜3!参!SUN!〜」を実施した。
当初は、6月15日に品川プリンスホテル ステラボールを予定していたが、直前にアンジュが新型コロナウイルスに感染したことで延期が決定。しかし、会場はキャパシティが約5倍のアリーナへと変更になり、よりスケールアップした形でのリベンジとなった。
「さんばか」が大好きな人々(ケルベロス含む)の愛にあふれ、VTuberのリアル会場ライブでは初の試みとなった驚きの演出でも会場を沸かせた約2時間10分、全16曲のステージを現地で撮影されたオフィシャル写真と、ネット配信(視聴期限は2024年12月22日 23時59分)のスクリーンショットとともにレポートする。
「3倍!Sun Shine!カーニバル!」で1stライブ開幕!
最大収容人数、約1万人の武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ。開演時間の20分前にスタンドの記者席へ着いた時点では、アリーナにズラリと並べられた椅子の多くが空席だった。しかし、10分を切った頃から一気に客席が埋まり始め、開演予定時間の18時には満席。アリーナの正面には、バーチャルライブのステージである横長のメインスクリーンが設置され、その上と左右に1枚ずつサブのスクリーンも並ぶ。アリーナ規模のライブとしては、標準的なステージだ。開演予定時間を少し過ぎた頃、ステージ裏からアンジュの「さんばか。頑張るぞ!」という声が聞こえ、戌亥とリゼの「おー!」という掛け声が応える。会場のテンションも一気に高まり、客席からは、3人の名前を呼ぶ声も響いた。
ライブのキービジュアルや軽快な音楽で構成されたオープニング映像の後、さんばかの1stオリジナル曲「3倍!Sun Shine!カーニバル!」のメロディと歌声が聴こえ、ついにさんばかの5周年ライブが開演。公演の2日前から3人のYouTubeチャンネルで「3倍!Sun Shine!カーニバル!」のコーレス(コール&レスポンス)を練習するショート動画も公開されていたため、セットリストの中に入っていることは確信していたが、1曲目だったことに少し意表を突かれた。
しかし、ステージに3人の姿は見えず、歌詞が飛び跳ねるポップな映像が流れるだけ。すると、「アンジュどこ!」「戌亥ここ!」「リゼひよこ!?」からの「ハイ!」の声に合わせて、3人がステージ下から飛び出て来る。リアルアーティストのライブでは定番の奈落からのポップアップによる登場だが、VTuberのライブでは珍しい。さんばかオリジナルのお揃いのアイドル衣装に身を包んだ3人は、ステージに登場した瞬間から満面の笑顔。4人編成の生バンドによる演奏と共に会場を一気に盛り上げて、カーニバルにしてしまった。
3人のパフォーマンスからは、絶叫を上げる会場のファンにも負けないくらい、この瞬間を楽しんでいることが伝わってくる。コーレス練習動画は、パートによって「初級編」「中級編」「超級編」の3種類あったが、ファンはすべての難易度のコールが完璧。動画で取り上げられていないパートも含めて、絶妙なタイミングのコールがアリーナに響いていた。
後輩ユニットのオリジナル曲をカバー
おそらく観客の多くが予想していた1stオリジナル曲に続く2曲目は、さんばかが歌い踊る姿を観られる日が来るとは、思っていなかった楽曲。同じ3人組の後輩ユニットRanunculus(天ヶ瀬むゆ、先斗寧、海妹四葉)のオリジナル曲「DONBURA KONBURA SPEAKERS」のカバーだ。曲を知っている人ならば、冒頭のフレーズ「めっちゃ」を聴くだけで分かる人気曲。筆者と同じく、まさかの選曲だと感じた人も多かったのか、最初に上がった歓声の中には驚きの声も混じっていた。開幕からすでに最高潮だった会場のテンションは、わちゃわちゃとはしゃぐような楽しく可愛い曲と共に、さらに高まっていく。
同じ3人曲ということで、さんばかの誰がRanunculusの誰のパートを担当したのか気になり、レポート執筆時にRanunculusの初3Dライブ「【#らなきゅら3Dライブ】いったれ!やったれ!らなきゅら初LIVE!!【天ヶ瀬むゆ/海妹四葉/先斗寧/にじさんじ】」での本家のパフォーマンスを確認したのだが、戌亥が天ヶ瀬 アンジュが海妹、リゼが先斗のパートをそれぞれ担当。間奏で披露した名乗りからの戦隊物風な決めポーズもオリジナルの再現だった。ちなみに、なぜか決めポーズの時は、戌亥とアンジュの立ち位置が逆になっている。
曲が終わると、センターに立っていたリゼをステージに残して、戌亥とアンジュは左右の舞台袖に退場。早くもソロコーナーなのかと驚いていると、2人の動きは予定にはなかったようで、1人取り残された形のリゼは、ポカンとしながら「え? 嘘! ユニット単独の初ライブの初MCで取り残されることある?」と困惑。リゼに呼ばれて戻ってきた2人によると、リゼには内緒で退場の仕方も本家の動きをカバーしたらしい。
自己紹介を兼ねた最初のMCでも3人は客席とコーレス。3人が揃ってリアル会場でのライブに出演するのは、2020年の「Inui Toko 1st Solo Live “who i am”」、2021年の「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!東京リベンジ公演」、2022年の「にじさんじフェス2022 さんばかステージ」に続く4回目。過去3回のステージは、新型コロナの感染対策で観客の声出しが禁止だったため、3人も声で直接、ファンと交流できることが嬉しそう。「やっぱり、ライブって楽しいんだから」と笑う戌亥も、いつにも増してテンションが高い。
さんばかライブの3曲目は、3月のパンタジアの「三月がずっと続けばいい」のカバー。先の2曲と同じく曲調は明るいが、卒業による別れの寂しさや切なさを綴った歌詞で、3人の歌声のニュアンスはガラリと変わる。美しい歌声の重なりをじっくりと堪能できる楽曲だった。
曲の終わりと共に、歓声の中、会場が暗転。無人のスクリーンには、「さんばか活動記録 vol.1 1~3周年編」と題した映像が流れ始める。3人の配信の一場面をセレクトした映像は、リレー形式で行われた初配信の映像から始まり、しかし、アンジュの初配信の画面が映った時だけは、なぜか客席から大きな笑い声が聞こえた。
「リゼアン」「ひめべろす」「とこアン」でデュエット
「さんばか」の歴史を振り返る映像が終わった後、ステージに登場したのはアンジュとリゼだけ。お馴染みの通常衣装で、仲良しデュエット曲の定番「チューリングラブ」のカバーを2人で披露した。
アンジュのイケボとリゼのキュートな歌声は、楽曲との相性も抜群。「にじさんじ」に所属する以前からの幼なじみで、「リゼアン」という呼び名と同期の枠に収まらない仲の良さも浸透している2人だが、ここまで親密な距離感のデュエット曲をステージで披露するのは、おそらく初めて。奇麗にシンクロした2人の可愛いダンスも含めて、リゼアンファンの多くが、ライブ序盤での唐突なリゼアン過剰摂取により膝から崩れ落ちたに違いない。
戌亥も加わった3人でのMCを挟んだ5曲目は、戌亥とリゼのデュエット。ステージ上でリゼに可愛い猫耳と尻尾が生えると、会場からは歓喜の声。
そして、戌亥は、「なんか、ィゼ(リゼ)ちゃんが猫になった瞬間、私は高いところに上りたくなった! 待ってて!」と言い残して、舞台袖に駆けていく。再びステージでぼっちになったリゼが寂しそうにしていると、上部のスクリーンに戌亥が登場。サブのスクリーンは、2階のステージも兼ねていたのだ。元からケルベロスの戌亥と猫になったリゼは、上下のステージで「嗚呼、素晴らしきニャン生」を披露。オスの野良猫とメスの飼い猫の掛け合いを歌った楽曲で、2階ステージの背景は屋根の上、1階ステージの背景は部屋の中という演出も面白い。猫の手ポーズの2人の振り付けも可愛いかった。
「リゼアン」「ひめべろす」に続いては、「とこアン」のデュエット。木刀を持ってサングラスをかけた戌亥と、釘バットを持ってサングラスをかけたアンジュは、やんちゃなテンションで「ツッパりHigh School Rock’n Roll(登校編)」を披露する。
1981年に横浜銀蝿がリリースし大ヒットしたコミックソングだが、生バンドの演奏に乗せて、とこアンが歌うと、ふざけた見た目に反してロックでカッコ良い。世代的に、おそらく観客の多くがあまり馴染みのない曲だったはずだが、赤と緑のペンライトは激しく振られ続けていた。
三者三様の魅力を放つソロステージ
「さんばか活動記録 vol.1 4~5周年編」の後は、ソロステージのコーナー。トップバッターを務めたアンジュは、錬金術用のフラスコなどを持ちながら1stオリジナルソング「Alche Miss Katrina」を披露。
カッコ良さと可愛さと面白さのそれぞれが、お互いを打ち消すことなく共存するアンジュの魅力をそのまま表現したような楽曲で、ステージ上で錬成した彼氏に逃げられたかと思うと、巧みでクールなラップも披露。さらに、ステージ上で初披露となるにじさんじ共通衣装にチェンジすると、客席から驚きと感嘆の声が上がった。
続けて、にじさんじのソロシングルCDプロジェクト「FOCUS ON」の収録曲「猪突猛進☆セレナーデ」も披露。可愛いく元気な王道ポップスで、真っ赤に染まった会場をさらに盛り上げていく。ダンスもキュートで、さすがにじさんじの「公式美少女」だ。間奏で舞台袖に消えると、すぐに2階ステージに登場。広い会場のさらに奥まで歌声と輝きを届かせていた。
ソロステージの2人目として登場したリゼが歌うのは、大好きなRPGの主人公と自分を重ね合わせたような1stオリジナルソング「ハッピーエンドをはじめから」。横スクロールする背景に合わせて歩くリゼの前には、ゲームのNPC的役割として、にじさんじの仲間たちが立て看板姿で登場。リゼの「兄」を自称してきた花畑チャイカは、冒険の安全を祈り、尊敬する先輩の月ノ美兎は、宝剣ヘルエスタセイバーを託す。可愛い魔王のヤン・ナリに続いて、魔王のえま★おうがすとにも勝ったリゼが、ヘルエスタセイバーを頭上に掲げると、にじさんじ共通衣装にチェンジした。
勇者リゼの冒険がハッピーエンドで締めくくられた後は、会場が暗転。小さな光が灯ると共に「FOCUS ON」の収録曲「Stardust flow」のイントロが流れ出すと、ステージの上からブランコに座ったリゼがゆっくりと下りて来た。
スポットの照明が星のように瞬き、まるで宇宙へと変わったアリーナの空中で、澄み切った高貴な歌声を響かせるヘルエスタ王国第三皇女。デビュー当初から唯一無二の美声で知られてきたが、高音の伸びや安定感などボーカリストとしての魅力も明らかにスケールアップしており、美しいバラードは、広大な宇宙を神聖な空気で満たしていた。歌い終えた後、客席からの拍手と歓声が一瞬遅れたのも、会場中が聴き入っていたからだろう。
ソロコーナーのトリを務めたのは、言わずと知れたにじさんじの歌姫。お給仕姿の通常衣装で登場した戌亥は、1曲目で1stオリジナルソング「地獄屋八丁荒らし」を熱唱した。
ここまでのパフォーマンスでも、バーチャルアーティスト界有数の歌唱力は、存分に発揮されていたのだが、戌亥とこのために作られた、戌亥とこだから歌いこなせる楽曲でのパフォーマンスは、やはり別格。低音から高音まで広がり、テンポも変則的に変化する超難度の曲で観客を圧倒していく。生バンド、生歌唱での「地獄屋八丁荒らし」を聴くのは、「Inui Toko 1st Solo Live “who i am”」以来だったが、今回も「すごい」という感想しか出てこない。
戌亥の2曲目は、1st mini Album「Telescope」に収録されたシティポップ「テレスコープ」。ステージには、喫茶店のテーブルやコーヒーカップが置かれ、楽曲のイメージとも相まって、お洒落な雰囲気。
途中で2階ステージに上がった戌亥がにじさんじ共通衣装に早変わりすると、客席からは歓喜の声が上がった。圧倒される「地獄屋八丁荒らし」とは異なり、寄り添ってくれるような優しさも感じるパフォーマンスに魅了され、戌亥がお給仕してくれる喫茶店にも行きたくなった。コーヒー一杯5000兆円らしいが。
トロッコに乗ったさんばかがファンのすぐ側に
歌い終えた戌亥が、「ィゼちゃん、ンジュ(アンジュ)さーん」と呼び込むと、テンション高く2人が登場。リゼの提案で少し懐かしい「ブルゾンちえみ with B」の真似もして、初披露となったアンジュの共通衣装をアピールした。さらに、客席に向かって「どうですか? どんなポーズでもしますよ」とノリノリでサービスするアンジュに、戌亥の「こんなこと言うのもなんだけど、一個一個の動作が若干古い(笑)」というツッコミがクリーンヒット。リゼも「どうかなと思ってたよ(笑)」と追撃する。マイナーチェンジにより、三つ編みに飾りが追加されたことをアピールする戌亥も可愛い。
さんばかならではの仲良しなやり取りが堪能できる自由で楽しいMCだったが、にじさんじの名司会者の1人でもあるリゼがしっかり軌道修正。戌亥が「あと2曲で終わり」と告げると、客席からは嘆きの声が上がった。しかし、戌亥はもっと大きな声を要求して、何度かやり直しをさせる。その流れから「寂しいから、みんなの近くに行っちゃおうかな」とリゼが言い始めると、戌亥とアンジュも「近くに行きたい」と同調。3人は、「じゃあ、みんなのところに行くぞー」と舞台袖に消え、会場は暗転した。
照明とスクリーンの映像が復活すると同時に流れ出したのは、「にじさんじフェス2022」のイメージソング「Hurrah!!」のイントロ。そして、会場前方の向かって左側には、3人が並んで映る縦型の両面ディスプレイを載せたトロッコが出現していた。「トロッコ、出発進行!」「みんなのところに会いに行っちゃうよ」「近くに行ったら、手を振ってね」と呼びかけるアンジュ、リゼ、戌亥。おそらく、バーチャルタレントのライブでは初めての試みとなるトロッコに乗ってのパフォーマンスが始まった。
開演前、アリーナエリアに並んだ椅子を見ると、左右に1本ずつ極端に広い通路があったため、「声優かアイドルのライブだったら、ここをトロッコが走るだろうな」とは思ったのだが、VTuberのライブでもまさかの実現。ディスプレイは透明で、3人は自由に向きを変えながら、通路の両側の客席に手を振り声をかけ、ファンサしていく。
にじさんじのライブでは、進化しづけるARカメラやライブ演出に毎回、驚かされているのだが、トロッコ演出は、その中でも最大級の驚き。驚き過ぎて「Hurrah!!」に関してだけは、歌声を聴くことも忘れて、3人の動きを見つめる目に全意識を集中してしまった。もし記者席がアリーナエリアにあったら、思わず手を振っていただろう。アーカイブで観直したところ、ソロパートが多い譜割りで、誰かが歌っているとき、他の2人はファンサに専念。アリーナ席の幸運な観客にとっては、強烈な思い出となったはずだ。
ただでさえ盛り上がる「Hurrah!!」に驚愕の演出も加わって、会場の熱気は最高潮。アリーナを1周してステージに戻った3人は、ステージの階段に並んで座り、さんばかの2ndオリジナルソング「みつぼしパレード」を歌う。
さんばかやファンの絆を歌った温かい歌声は、優しく語りかけるようで心に染みいってくる。2番からは立ち上がって、ダンスも披露。熱狂させた心を、感動的なパフォーマンスでさらに揺さぶり、さんばかの1stライブ本編を締めくくった。
アンコールで「6倍!! Rock ‘n’ Roll!! フェスティバル!!」初披露!
2022年に、さんばか 3rd Anniversary LIVE「みつぼしパレード」が生配信された際、ほとんどのリスナーはアンコールがあるとは思っておらず、アンコールを求めるコメントが投稿されなかったため、さんばかがアンコールを始めるタイミングを見失ったという過去のエピソードにより、アンコールに対してはかなり敏感なさんばかファン。「みつぼしパレード」を歌い終えた3人がステージを去った直後、即座にアンコールを求める客席からのコールが始まった。
スクリーンに「さんばか活動記録 EX」というタイトルが映ると、コールは終了。BGMと共に、さんばかの歴史を追った映像が流れていく。そして、来年3月に迎える6周年を示す「6」の数字に続いて、新曲「6倍!! Rock ‘n’ Roll!! フェスティバル!!」というタイトルが映り歓声が響く。未知のイントロと共にステージに登場した3人は、S席(アリーナ席)の入場特典「3!参!SUNグラス」を装着している。「3」の形をしたパーティーグッズのようなサングラスだ。そして、「アンコール、おおきに!」「ここで、なんと新曲行くぞ!」「6倍!! Rock ‘n’ Roll!! フェスティバル!!」と叫び、アンコールが始まった。
生バンドの激しい演奏がさらに映える熱いロックに、2021年の新衣装リレー配信で産み出された「メタル版ごみBGM」の要素も組み込まれた新曲には、真剣にふざけるさんばからしさが詰まっている。拳を突き上げ、エアギターも奏でながらノリノリで歌い踊る3人と、初めて聴く曲でコーレスを求めらるという無茶振りにも対応し、コールを返していく観客たち。「さんばかって何やねん?」という呼びかけにも、「さんばかって愛やねん!」としっかり答える。5年半以上の時間を一緒に過ごしてきた3人とファンの絆も感じられる新曲お披露目だった。
演奏中から、3人と同じサングラスを掛けていたバンドメンバーの紹介の後は、数時間後に「6倍!! Rock ‘n’ Roll!! フェスティバル!!」の配信が始まることを告知。にじさんじライブのお約束、ARカメラによる記念撮影も行った。さらに、会場のファンに向けての写真撮影タイムも実施。3人の真ん中に並んだリゼがアンジュと戌亥の袖を掴んで自分の側に引き寄せた動きに、ほっこりする。
アンジュとリゼの涙も笑顔に変わって迎えたフィナーレ
最後のMCでは、リゼ、戌亥、アンジュの順番に挨拶。それぞれの言葉でファンやスタッフ、そしてさんばかの仲間への感謝を語り、この5周年ライブに対する思いを語っていく。しかし、最後のアンジュが「改めて、延期した件は申し訳ない……」と謝罪を始めると、リゼと戌亥は「ダメダメ! 止めて!」「謝るのは止めて! 絶対にダメ! 誰も悪いと思ってないんだから」と必死に制止。ポカポカとアンジュを叩くリゼが可愛い。
二人の優しさに応えて、謝罪ではなく感想を話し始めたアンジュだったが、「本当に楽しかったし、全力を出せたと思うから、みんなも楽しいを漫喫してもらえていたら良かったなと……」と言ったところで涙が堪えきれず、座り込んでしまう。自身の体調不良から開催延期が決まって以降の半年間、それだけ大きな思いを抱えてきたのだろう。しかし、戌亥とリゼに励まされて立ち上がり、最後は「ここにいるみんなが大好きです! これからもよろしくお願いします」と笑顔で大きく手を振った。
挨拶を終えて「笑かせなかった、ごめんね」と、さっきとは別の方向で謝るアンジュに、「みんな、笑ってた笑ってた」「笑っていいのか分からないところで笑ったよ(笑)」と微妙なフォローをするリゼと戌亥。しかし、2人の言葉を聞いたアンジュは、「さんばかで良かった~」と再び泣き出す。最初は「それ打ち上げのやつじゃん(笑)。今~?」とツッコんでいたリゼだったが、突然、もらい泣きして一言も話せなくなってしまう。リゼを慰めながら「みんな早いって! 置いてかないでよ。私、あくび4回しないと泣けないんだから(笑)」と慌てる戌亥。
話せない2人をフォローするように、真剣な思いを語りながら小ボケも挟んでくる戌亥に思わず吹き出したリゼは、涙が止まって復活。「私、このままだと、もうどうにもならないと思ってたけど、今のでかなり元気が出て、持ち直した(笑)。さすが、とこちゃん、本当にステージの上で頼りになる!」と笑顔になった。
元気になった3人が最後に歌うのは、さらに楽しくハイテンションにアレンジされた「3倍!Sun Shine!カーニバル! ウルトラバンドエディション」。さっきまでの少し湿っぽい雰囲気は完全に霧散して、アリーナは再びカーニバルの会場へと変わり、さんばかのボーカルもライブ感を増し、よりフリーダムになっている。1曲目でも完璧だったコーレスの声はさらに大きくなり、さんばかのリクエストに応えて何度も連呼。
初挑戦となるバンドメンバーの名前を呼ぶコーレスも大成功した。一方、バンドメンバーに対して「アンジュ、どんどん好きになる」のコーレスを求めたアンジュは完璧にスルーされてしまう。バンドメンバーの対応力の高さも感じた。
永遠に終わらないかと思ったカーニバルもついに終わり、ステージ上からファンへの愛と感謝を叫ぶ3人。バンドメンバーを見送った後もまだまだ名残惜しい雰囲気だったが、ファンと再会を約束してステージから退場。影ナレでも改めてファンへのメッセージを送り、さんばか初めてのライブは終了した。
退場直前のトークで、配信画面に流れた「次は9倍ってこと?」というコメントを拾ったリゼは、「もうちょっと早く会いたいな(笑)」と語っていたが、このライブを観たさんばかファンは、誰もが同じ思いのはず。活動方針はマイペースだけれど、無限に成長していくさんばかが、次はどんなステージで、どのような驚きと楽しさを提供してくれるのか。さらに何倍も楽しみになる5周年ライブだった。
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(取材・文:Daisuke Marumoto)
●「さんばか 5th Anniversary LIVE 〜3!参!SUN!〜」セットリスト
- 3倍!Sun Shine!カーニバル
- DONBURA KONBURA SPEAKERS(カバー)
- 三月がずっと続けばいい(カバー)
- チューリングラブ feat.Sou(リゼアン、カバー)
- 嗚呼、素晴らしきニャン生(ひめべろす、カバー)
- ツッパリ High School Rock’n Roll(登校編)(とこアン、カバー)
- Alche Miss Katrina(アンジュ・カトリーナソロ)
- 猪突猛進☆セレナーデ(アンジュ・カトリーナソロ)
- ハッピーエンドをはじめから(リゼ・ヘルエスタソロ)
- Stardust flow(リゼ・ヘルエスタソロ)
- 地獄屋八丁荒らし(戌亥とこソロ)
- テレスコープ(戌亥とこソロ)
- Hurrah!!
- みつぼしパレード
アンコール
- 6倍!! Rock ‘n’ Roll!! フェスティバル!!
- 3倍!Sun Shine!カーニバル ウルトラバンドエディション
●配信概要
・配信ページ
・ネット配信チケット購入ページ
・販売期間 2024年11月13日(水) 17:00 ~ 2024年12月21日(土) 23:59
・タイムシフト視聴期限 2024年12月22日(日) 23:59
●関連リンク
・「さんばか 5th Anniversary LIVE 〜3!参!SUN!〜」特設サイト
・にじさんじ公式YouTubeチャンネル
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