バーチャル美少女ねむさんは14日、VRChat有志が製作するTSF(性転換ファンタジー)をテーマにしたドラマ「あさおんV」の第1話を自身のYouTubeチャンネルに投稿したと発表した。「あさおん」は、TSFの定番シチュエーションである「朝起きたら女の子になっていた」の略。同作品は全3話を予定しており、2021年中に全話を公開予定とのことだ。
「VRChat」では、VRアバターやボイスチェンジャーで現実とは異なる性別で生活する人が多い。性別が変化してしまった戸惑いを描くファンタジー「TSF」は、同人誌など創作の人気ジャンルだが、VRSNSの中ではこれが現実のものとなってきている。VRでのそうした現状を伝えるために同作品は製作された。
企画・原作・監督は、VRタレント事務所「蕎麦プロ」やVRChat演劇団「ぱんだ歌劇団」に所属し、自身でもTSFをテーマとした同人漫画などをかいていたクリエイターの甘野氷さんが、脚本はTSF文筆家で、VRChatレコード店「たわわレコード」の運営やVRChatラジオ「そのらじ」パーソナリティなどの活動をしている150万画素さんが担当している。
甘野氷さんは、コメントにて現在VRの世界で創作のTSFの出来事が続々と現実化していっている衝撃をなんとか世界に伝えられないかと常々思っていたと伝えた。以前、バーチャル美少女ねむさんが主催した「『ココロコスプレ』歌唱コンテスト」にて、大賞および賞品「ねむがなんでも言うことを聞く」を獲得したことをきっかけに今回のドラマ製作が実現したとのことだ。
また、今作はVR市民団体NPO法人バーチャルライツの後援を受けている。同NPO法人理事長のSUKANEKIさんより、コメントが届いているので以下に紹介する。
●NPO法人バーチャルライツ理事長SUKANEKI氏コメント
ストーリー自体はTSF系の王道と言えるものですが、当作品の特筆すべき点はその制作技法と出演キャストの特性にあります。まず、作品がVR空間で撮影されていること自体が非常に先進的です。VRが普及しつつある現代において、VRの可能性を示している作品であると考えます。
また、「アニメ」ではなく「ドラマ」として制作されていることに対して非常に強い感銘を受けました。通常のアニメのように0から作り出されたものではなく演者が存在し、その演者によってキャラクター(人格)が生み出されているという点で、他の映像作品とは明らかに一線を画すものでしょう。
物理世界の空間・肉体に囚われない新しい形のドラマであり、NPO法人バーチャルライツが掲げる理念の1つである「VR文化の発展」に通ずるものがあるためこの度後援をさせていただいた次第です。
(TEXT by アシュトン)
●関連リンク
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