
今月24日、ソニー・ミュージックエンタテインメントによるバーチャルタレント育成&マネジメントプロジェクト「VEE」による「VEE 2nd CONCEPT LIVE『Conflict』」がZepp DiverCity(TOKYO)にて開催されます(イベント概要)。このライブは、昨年2月にZepp Shinjuku(TOKYO)にて開催された、VEE初の大型リアル音楽ライブ「VEE CONCEPT LIVE『Merge』」の第二弾として位置づけられているものです。
同グループの魅力的なタレントたちが同じステージに集結するという稀有なイベントですが、一方でVEEのメンバーは執筆時点で25名にも達しており、全員の魅力や個性を見通すのは意外と大変な作業です。
そこで本記事では、駆け足にはなりますが25名を一人ずつ全員紹介していきたいと思います。読後に「推し以外にも魅力的な人がいる」と感じたならば、ぜひ「Conflict」へのご参加もご検討いただけたら幸いです。
秋雪こはく(しゅせつ こはく)
異世界の森から突然人間の世界に飛ばされた「ひきこもり狐」。
彼女の配信の特徴は、なんといってもその卓抜した「FPS」の腕前にあります。「Apex Legends」ではシーズン3およびシーズン10にて「プレデター」に到達。凄腕が揃う「FPS」界隈の中でも注目されているVTuberの一人です。また、「VCR」シリーズの常連でもあり、他事務所と緊密なコネクションを築いている点にも特色があります。彼女が「ファーマー」として活躍する姿はあまりにも有名です。
音門るき(おとかど るき)
悪魔たちが集う学校を退学になってしまい、人間界にやってきた「悪魔」。オタクカルチャーが好きなので、人間のことを知るためにバーチャルタレントになったという経緯があります。
「VEE」の中でもトップクラスに歌が上手いタレントの一人であり、彼女の歌枠を覗くと安定感の高い歌唱をいつでも聴くことができます。そんな彼女の趣味・特技の一つが「韓国語」です。彼女は韓国語のコメントも難なく読むことができるため、韓国の方からのコメントもしばしば見られます。
雛星あいる(ひなほし あいる)
地球侵略の下調べを依頼されたので、遠い星からやってきた異星人のはかせ。ただし、初配信の時点で地球侵略の目的はだいぶ二の次になってしまったようです。「VEE」のタレントたちやリスナーたちからは「いるち」の愛称で親しまれています。
英語禁止で「青鬼」をプレイしたり、「リングフィットアドベンチャー」で汗を流したりと、様々な彼女の姿を配信で覗くことができます。最近では、「声マネキング」や「ドーナッツの穴」、「呪われたデジカメ」など、話題作の配信も。同じVEEのタレントである日和ちひよさんと共に「ポッピンキャンディ☆フィーバー!」のカバーを先月出しました。
トゥルシー・ナイトメア
(本名:トゥルシー・ナイトメア・マッドネス・4世)
インターネットのオタクたちから魔力を集め、全盛期の力を取り戻すために配信活動を始めた魔王。デビュー時の年齢が「10万17歳」で、現在の年齢が「10万20歳」という特徴的な「年齢加算式」が採用されています。
自由な振る舞いや発言が目立つ彼女ですが、歌の実力は本物。普段の雰囲気とのギャップから「歌担当の魔王」とコメントされることも。歌枠の他にも、さまざまな種類のゲーム実況に挑戦されていますが、コラボも盛んに行う方なので、彼女のアーカイブでは常に楽しげな姿を視聴することができます。
日和ちひよ(ひより ちひよ)
ひよこの国から家出中の女の子。「理想のアイドルになる」という夢を叶えるために配信活動を始めた方です。初配信では(謎の映像と共に)冒頭から「スイートマジック」を歌い、リスナーの心を掴んでいました。
あどけない声質の持ち主であり、定期的に歌枠を行っているほか、「Fall Guys」配信では喜怒哀楽のはっきりした彼女の姿を、そして「Minecraft」配信ではゆったりとした彼女の姿を観ることができます。また、同じVEEのタレントである雛星あいるさんと共に「ポッピンキャンディ☆フィーバー!」のカバーを先月出されました。
桜鳥ミーナ(おうどり みぃな)
ゾンビともつ煮とビールをこよなく愛するお姉さん。「氷魔法」を巧みに操る聖魔法使いでもあります。個性的なタレントたちが集まる「VEE」ですが、その中でも群を抜いて最強クラスの「耐久」系VTuberが桜鳥ミーナさんです。
「2000人に挨拶するまで終われません」(*アーカイブ時間:10時間19分50秒)という「朝活」(?)をしたり、「バイオハザード全作品クリア耐久」の二周目を2025年の1月2日から行ったり(*一周目は2024年1月1日から敢行)と、「耐久配信系VTuber」の中でも最強ランクに位置するVTuberの一人であると言えるでしょう。
亞生うぱる(あにゅう うぱる)
数年前まで普通に暮らしていたが、ある日を境に突然バーチャル世界に入れるようになったVTuber。出身は宮城県。イラストとLive2Dをダブルで自分で制作できてしまう方です。初配信ではリコーダーを吹くときの指のモーションキャプチャーを自分で実現させていました。
そんな彼女の配信活動の中でも最大の特徴になっているのが「実写配信」です。海に釣りに行ったり、野草を食べに行ったり、河原でイモを掘ったりと、非常に活動的な企画を実施されています。
るみなす・すいーと
人々を幸せにするために人間界のことを学んでいる電脳世界の妖精。人間のことをより知るためにVEEでの配信活動を始めたという経緯があります。「好きなこと」として「食べること」を挙げられていますが、キノコ類(特にしいたけ)は苦手なようです。
「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」配信や「ペーパーマリオRPG」配信、「Detroit: Become Human」、VEEのメンバーを描く配信など、その活動は多岐にわたっています。また、「VEE」のタレントの中でも最も精力的に「朝活」をしている方の一人です。早朝に明るく元気な彼女の声を聴くことで、一日を元気に始められるでしょう。
言のハ(ことのは)
或る谷に落ちてきた、今にも消えそうな星が人間の姿を得ることによって生まれた少女。おっとりとした喋り方と儚い雰囲気が相まって、非常に独特な世界観を配信で感じられます。
定期的に行われる雑談配信が活動の主軸ではありますが、彼女の配信には「籠ト乃八(ことのは)」というお姫様も登場し、麻雀配信を披露してくれます。なお、「League of Legends」や「VALORANT」の配信をTwitchで行っており、多彩なタレントたちが集まる「VEE」という箱をある意味で象徴するようなタレントでもあります。
彼女の初配信。最初の7分だけでもどうか観てみてほしい。
偉雷アマエ(えらい あまえ)
生まれた時からオッドアイで、「雷」系の不思議な力を持っている……と信じている普通の女の子。「Minecraft」、「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」、「Getting Over It」、「いもむし」、「Apex Legends」、「VALORANT」、「雀魂」など、非常に多彩なゲーム配信を行っています。
自分のトレードマークである「Thunder(雷)」を「ちゅんだー」と読んだり、「Among Us」配信にて「Weapon Room」を「ウェブポンルーム」と読んでしまったりと、英語に関しては大きな伸びしろがあるようです。
北白川かかぽ(きたしらかわ かかぽ)
科学と人を繋ぐことを目標にしている、バーチャルサイエンスコミュニケーター。そんな彼女は、なんと「京の都の大学」で物理学の博士号を取得しています。さらにプログラム言語「Python」を使いこなすこともできます。
サイエンスコミュニケーターらしく、専門家を招いてトークを繰り広げるという配信を主軸の一つとしています。「ノーベル物理学賞2024」の発表を同時視聴するという配信も、彼女ならではの企画であると言えるでしょう。また、AITuberの「紡ネン」さんと「倫理」について対談し合うという興味深い企画もされています。
雨庭やえ(あめにわ やえ)
都市伝説「雨庭神社」の狛犬。愛称は「やえにわ」。「雨庭神社」は人々に忘れられてしまうと存在が消滅してしまう神社であるため、神社の存在を広めるために配信活動を始めたという経緯があります。チャームポイントの「八重歯」が印象的です。
お酒が大変好きな方であり、かなりの割合で「晩酌配信」を実施しています。 また、「VEE」屈指の「企画屋」でもあり、代表的なもので言えば、「24時間テレVEE」という形で24時間配信リレー企画も主催しています。最近では「ヤンデレ選手権」も主催されていました。「VEEの箱感」という観点で言えば、間違いなく彼女はキーパーソンの一人であると言えるでしょう。
黒燿リラ(こくよう りら)
とあるサラマンダーの一族の長女。「セグレタリア」というドラゴンの谷でバーテンダーをされています。
サッカー観戦が趣味であり、サッカーの試合の同時視聴をしばしば行っているのは彼女の配信の大きな特徴であると言えます。他にも、朝活をしたり、晩酌配信をしたり、絵を描いたり、「ARK」や「モンスターハンター」の配信を行ったりと、多様な配信を視聴することができます。低く落ち着いた声質&話し方も魅力の一つです。彼女の雑談配信の居心地の良さは、まさに「リスナー」を「リピーター」へと変えるでしょう。
月白累(げっぱく るい)
“デジタルツールを通さなければ他者から認識されない”「失われた子供たち(Lost children)」という病と友に生きる少女。
「VEE」には多様なタレントたちが在籍していますが、「VEE」という箱の〈奥深さ〉を根本的に深めている存在の一人が月白累さんです。特に「歌」に関する活動には自らの存在意義をかけて取り組んでいる様子を見て取ることができ、数多くのカバー動画や様々な歌枠リレーにて彼女の高い歌唱力を観ることができます。また、彼女の「箱庭定点観測」配信では彼女の内面をうかがい知ることができます(彼女のゲーム配信などは「再生リスト」に収納されているので、彼女のアーカイブを観るときには「再生リスト」をチェックすることが必須です)。
天籠りのん(あまこも りのん)
ヤンキーのような身なりをした「エセ不良少女」。自室で歌の活動ができる「バーチャルタレント」に憧れて「VEE」に応募をしたという経緯があります。
「VEE」を代表する歌姫の一人であり、特にロックなハイトーン系の歌を得意としています。各種歌枠リレーへの参加率も高く、彼女の歌から「VEE」を知ったという方も少なくないかもしれません。また、麻雀も彼女の配信活動における主軸の一つとなっていて、交友関係が広い(様々なコラボがある)のも彼女の魅力の一つと言えるでしょう。
甘楽デイティー(かんら でいてぃー)
一度は闇の中に落ちたが、小さな光を見つけて再び立ち上がることを決意した歌の女神。力強く歌い上げる彼女の歌声には、多くの人に活力を与える力強さが込められています。
実は彼女の母国語はフランス語であり、その他にも日本語、英語、スペイン語を話すことができるというVTuberの中でも最強クラスのマルチリンガルです。これだけ日本語がペラペラな彼女にとっても、日本語は「第三外国語」だというのだから驚きです。約半年にわたる休止から復帰を果たし、「歌枠」を中心に精力的活動を再開されたデイティーさん。今後の活躍に注目が集まります。
安心院みさ(あんしんいん みさ)
人々に安心を届ける「安心教」を創設した「ド田舎」出身の教祖。多彩な「VEE」のタレントたちの中でもトップクラスのトーク力を駆使し、日頃「安心教集会」(雑談)配信や様々なゲーム配信を行っています。また、時折短い劇場のような「物語」に沿って配信が行われるというユニークな仕掛けを行うVTuberでもあります。さらに特筆すべきは、「VEE」史上初めてのソロイベント(「安心教礼拝集会」)開催&オンラインチケット導入という不動の実績を有している点でしょう。
今月24日の「Conflict」は、そんな彼女が「VEE」のタレントたちと共に同じ舞台に立てる最期の機会となります。「VEE」のタレントとしての最後の彼女の姿を見届けたいと思います。
緋墨(ひすみ)
現時点で、「VEE」で唯一の男性タレントとして活躍しているVTuber。かつて「Rihito」という芸名でアイドルをしていたが、所属していたアイドルユニットが解散し、金銭的にも厳しくなったため配信活動を始めたという経緯があります。
活発に歌枠配信や「FPS」系の配信をしていることもあり、交友関係が広いのも魅力の一つです。特に、若々しく力強い歌声は聴く者の心を震わせます。クールな見た目とは裏腹に、意外とイタズラっぽい性格をしているのも良いギャップです。「VEEの黒一点」として活躍を続ける緋墨さんの今後に注目が集まります。
羽澄さひろ(はすみ さひろ)
森の中で暮らしている女の子。インターネットを通して世界中の人に歌声を聴いてもらいたいと思い、VTuberとしての活動を始めたという経緯があります。
基本的には歌枠をメインに活動されている方で、その合間に雑談や同時視聴をしたり、話題になっているゲーム作品の配信をしたりしています。「あつまれ どうぶつの森」の住民から「DIYレシピ」を受け取るときの仕様について、そのレシピを知らないときには「受け取る/受け取らない」という選択肢が出るのに、そのレシピをすでに知っているときには逆にその選択肢が出ない(無理やり押し付けられる)という点に疑念を抱くなど、鋭い観察眼を持っている方でもあります。
芽々守あん(めめもり あん)
地球のどこかにある国「ヴァニルス」からやってきた留学生であり、かつて栄華を極めた女王の一族の末裔。「芽々盛」ではありません。
歌枠が活動の主軸ではありますが、時折朝活をやったり、最近話題になっているゲーム作品の配信を行ったりもしています。最近行った「STREET FIGHTER 6」の配信では、目標を決めて着々と成長する芽々守さんの姿を観ることができます。彼女の無邪気な反応を楽しむことができるのも醍醐味の一つです。そうした意味では、「しょぼんのるきみん -しょぼみと雪の宝冠(ティアラ)-」配信も必見であると言えるでしょう。(16分55秒頃に鮮やかな台パンの音声が収録されています。)
浮々ゆにこ(うきうき ゆにこ)
ものづくりと舞台がとても好きなユニコーンの獣人。お気に入りの帽子の下には角が生えているそうですが、メンタルが弱ってしまうと簡単に折れてしまうため、いつも短いそうです。
そんな彼女は、「おやすみASMR」だったり、コラボ配信で「人生ゲーム」や「Minecraft」配信に挑戦したりもしています。最近では雨庭やえさん主催の「24時間」企画で芽々守あんさんと二人で「新解釈二人羽織」という大変ユニークなコラボに挑戦されていました。
カシ・オトハ
弾き語りと安定した歌唱力に定評のあるVSingerの方です。ギターはほぼ毎日触っているそうで、普段使っているピックは「ティアドロップのミディアム1.0mm」とのこと。積極的に行っている歌枠の中で優しい歌声を披露しながらも、その合間に『Apex Legends』や『VALORANT』をプレイするというギャップもあります。最近では歌枠リレーにも積極的に参加しており、「VEE」のタレントの一人として数多くの視聴者の前で歌唱力の高さを発揮されています。
カガセ・ウノ
ストーリー系のゲーム作品を体系的に配信していくスタイルが特徴的な方です。初配信直後から、「クラッシュバンディクー4」、「DARK SOUL III」、「スーパーマリオ64」、「バイオハザード7 レジデント イービル」、「バイオハザード ヴィレッジ」、「ELDEN RING」などの作品を配信されています。また、「バイク」に対してアツい想いを持っている点も彼女の特色の一つと言えるでしょう。
歌の実力も確かなもので、数多くのカバー動画も投稿されています。オリジナルソング「U☆World*Order」は彼女を代表する曲となっています。
アルバ・セラ
高い歌唱力を誇るメンバーが集う「VEE」の中でも特に歌に対する情熱が強い実力派VSingerの一人です。配信活動の主軸は定期的に歌われる歌枠であり、様々な曲のカバーも投稿されています。また、数多くのオリジナルソングを出されているところにも活動者としての実力と特色を見出すことができます。
また、そんな彼女も時折ゲーム実況をすることがあり、普段の雰囲気とはまた違う彼女の一面を観ることができます。さらに、「止められなければ一生その話をする」というくらいに「美容オタク」の一面も持っている方です。
マル・ナナモナ
マイペースでおっとりとした雰囲気が魅力的な方です。彼女の特筆すべき特技の一つが、多言語を学習し、その言語の一定の運用能力を獲得されているという点です。例えば彼女は日本語の他に、英語、フランス語、韓国語を理解することができます。
「(海外の言語を)知ることは、優しくなること」、「(海外の方との)違いを認識して、その違いを抱きしめたりするためには、言語が一番寄り添える」という彼女の言葉から、彼女が海外の言葉を学ぶ理由をうかがい知ることができます。
そんな彼女が配信しているシリーズが「グランド・セフト・オートV」、「Red Dead Redemption II」、「The Last of Us」だったりするので、ギャップというものは本当に面白いなと思います。
「VEE」には総計25名の個性的なタレントが集まっています。その歴史の中で、「VEE」からいなくなってしまったメンバーたちもいます。現在の「VEE」の姿も、来月にはまた変わってしまうでしょう。(安心院みささんが、今月いっぱいでの「VEE」からの卒業&発表を告知されています。)
それでも「VEE」には、存在意義をかけて歌の活動に取り組むタレントや、多種多様なゲーム実況を行うタレント、様々なコラボ企画を考案したり、それに参加したりするタレントなど、非常に数多くの魅力的なメンバーが存在します。
だいぶ駆け足の紹介にはなってしまいましたが、広大な「VTuber業界」の中で「VEE」という箱があること、そしてその箱の中に、これだけ個性あふれるタレントたちが揃っているということを、少しでも知っていただけたなら幸いです。
今月24日に、「VEE 2nd CONCEPT LIVE『Conflict』」がZepp DiverCity(TOKYO)にて開催されます。少しでも「VEE」のタレントたちに興味を持っていたとしたら、その日が最高の一夜になることは間違いないでしょう。
●執筆者プロフィール
山野弘樹
「東京大学大学院博士課程。東京大学「共生のための国際哲学研究センター(UTCP)」リサーチアシスタント。元日本学術振興会特別研究員DC1。主著に、「独学の思考法」(2022年)、「VTuberの哲学」(2024年)、「VTuber学」(共編、2024年)など。