VESPERBELLワンマンライブ「BEYOND」直前インタビュー「今までのライブをゆうに超えちゃうだろうなと正直確信しています」

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2025年6月2日にLIQUIDROOMにて、RK Musicに所属するバーチャルガールズデュオ・VESPERBELL(ヴェスパーベル)が3rdワンマンライブ「BEYOND」を開催する。

VESPERBELLは2020年6月7日にYouTubeにて活動をスタートし、3~4年ほどの活動でオリジナルアルバムやEPとして楽曲をリリースしてきた。2024年7月24日にワーナーミュージック・ジャパンよりメジャーデビューを発表すると、11月22日にメジャーファーストEP「RUMBLING」をリリースし、2025年1月16日に渋谷Spotify O-EASTで2ndワンマンライブ「RUMBLING」を開催した

満員御礼となった一夜から約5か月後に迎える3rdワンマンライブ直前に、VEPSPERBELLの2人にインタビューを敢行した。時に臆面もなく大きな声で笑う2人、さまざまな話題を聞き、いまの心境を答えてもらった。

今は「もう私が守ってあげないと!」みたいな感じで思ってます

― VESPERBELLがデビューするまで、結成した理由やキッカケはどういったものでしたか?

カスカ ある時スカウトいただいて、そこで最終的にヨミちゃんと出会った形でしたね。

ヨミ そうですね。お互いに他に誰がスカウトされているのかどうかも知らない状態でしたし、当時カスカちゃんとは面識もありませんでした。

― デビューする以前にお互いに面識が無かったんですね。

ヨミ そうです。当時は仕事になると思っていなかったし、「マジ?」というのが正直大きいですね。

― 出会った時のお互いの印象から、いまはどういうふうに感じているかを教えてください。

ヨミ これはもう何度目かの話になるんですけど、VESPERBELLを組むとなったとき、KMNZさんのライブを見に行くことになったんです。あたし、カスカちゃん、マネージャーさんの3人で観に行ったんですけど、現地集合でその日初めて会うことになったんです。

で、実際あってみたんですけど、カスカちゃんがめっちゃくちゃ人見知りしてて。挨拶した時は「明るい子やな」と感じてたんですけど、ライブ会場ということで人も多いし音もデカいし始で、結構声が通らなかったんですよ。

結構ちゃんとおっきめな声で喋ってたつもりなんですけど、全然声が届いてなかったんでしょうね。ちょうど真ん中にマネージャーさんがいたので、間に立ってアレコレと話していたんですけど、マネージャーさんつてに「明日休みなの?」と聞いてもらったら、めちゃくちゃ明るく「そうですね!」としゃべりだして、「あたしいきなり嫌われたんかな?」と思っちゃいましたね(笑)。「あたしはあのギャルとは組めないのかもしれないな」と。

― 初対面の時にそんなことが(笑)いまはどういう風にみていますか?

ヨミ たぶんですけど、自分たちのキャラや見た目的に、パッと見カスカちゃんがハツラツとしてて元気でちょっと抜けててみたいに思われていて、ヨミちゃんが頭脳系・データキャラみたいに見えると思うんです。

実際はカスカちゃん、頼れる部分は大いにあるし、元気だけど繊細な子やなとも思っています。世の中に対しての考え方とかでハッと気付かされることも多いし、尊敬できる部分がいっぱいありますね。もう4年も5年も一緒にやっているので、見えてきた部分もあります。

― カスカさんから見て、ヨミさんのファーストインプレッションからいま現在まで、段階的にどう変わっていきましたか?

カスカ。なんか「カスカちゃんがあたしをフルシカトしてた」みたいな話してましたけど、あれは本当に聞こえてなかったんですよ!(笑)。

ヨミ 本当に?(笑)

カスカ 本当だから!(笑)知らず知らずのうちにシカトしてしまったんですけど、わたしはヨミちゃんを「めっちゃ明るくていい子だなぁ」と思ってましたよ。

今の印象は、面白くて歌がうまい、結構強い女お姉さんみたいな感じに皆さんから見えると思うんですけど、意外と気を使いすぎて疲れちゃったりするタイプで、繊細な部分がすごくある。あとヨミちゃんをみていると、人を拒むのが苦手なんだなって……

ヨミ ははは!!!(大笑い)

カスカ 今は「もう私が守ってあげないと!」みたいな感じで思ってますね(笑)。こういいましたけど、歌がうまいという印象はやっぱずっと変わらないです。いろんな楽曲やライブを経験してきましたけど、「うちの相方が一番歌うめえな」ってずっと思ってますよ。

― 「私が守ってあげないと!」となったのは、なにか大きな出来事があったとか?

カスカ 5年ほど活動してきて徐々にそうなった感じですね、大きな出来事があったからそういうモードになったわけではないです。ヨミちゃんのことを知れば知るほど、心が優しすぎて人の悪意に鈍いなって感じちゃうところがあって。

ヨミ カモってことやな?(笑)

カスカ そう。カモなんですよ(笑)

― 自分はいろんな方のインタビューで接してきましたけど、ここまで相方に言う人、みたこと無いですよ(笑)

カスカ でも実際そうなんですよ。

ヨミ 自分が人と一回関わってみないとわかんないよなっていうスタンスで生きてきた人間なので、カスカちゃんが「それはダメだよ」と伝えてきて、あたしが「あ、そうなんや」ってなるみたいなことはあります。

カスカ 誰にも彼にも優しくしなくていいんだよ!って伝えたりすることもあったりします。

― ある意味では、アクティブなヨミさんと保守的で守り気味なカスカさんだからこそのバランスなのかなと

カスカ うん。ほっとけないですね。

ヨミ あたしにとってのセキュリティブロックですよ、完全に。

左:ヨミ 右;カスカ

― 活動をスタートする前やいま現在にかけて、自分がその憧れているシンガーさんやミュージシャンはいらっしゃいますか?

ヨミ 自分は昔からアーティストが好きで聞くみたいなことってあんまりなくて、曲から入って好きになることが多いんです。これといって意識して目標にしてきた人もあんまりいなく……結構歌も自己流でずっとやってきたので。

― そうなんですね。

ヨミ 最近はVESPERBELLの活動を通して、やっぱりロックな表現をする方をよく意識するようになりました。例えば多くカバーさせてもらってるONE OK ROCKさんとか野田洋次郎さんとかは、すごい好きですね。もともと好きでしたけど、最近より強く意識するようになりました。

― なるほど。デビューする前からロックバンドを聞いたりとかはしていたんですか。

ヨミ 人並みくらいといえばいいのかな。世代的にもわたしはボカロをよく聞いている世代ですし、文化的にみてもそういうのが染み付いていない側だったのかなと思います。音楽はネットで聞けるものという認識が強い世代だし、全然CDとかも買ってなかったタイプですね。

― こういっちゃなんですけど、YouTubeやニコニコ動画で聴いてる世代ですもんね。

ヨミ そうですね。ライブに行くようになったのも、マジで最近です。

― じゃあちょっと質問を変えますが、一番好きな楽曲や最近ハマった楽曲をあげるとすると?

ヨミ えっと……ちゃんみなさんの「SAD SONG」ですね。ちゃんみなさんがプロデュースしていたオーディション番組の「No No Girls」っていう番組の最後に歌ってた曲なんですけど、めっちゃクセになって移動中とか……

カスカ あたしそれ次にその曲話そうとしてた!(笑)

ヨミ あ、そうだったん?(笑)

カスカ あたしもヨミちゃんと一緒で、人生で特定のアーティストを好きになったことないんですけど、この曲めっちゃ好きです。

― なんというめぐり合わせ(笑)お2人とも歌を歌おう!と思っていまシンガーとして活動されているわけじゃないですか?どこからスタートしたんでしょう?

ヨミ 歌い手文化みたいなのを知って、歌のミックスをしてくれる人もインターネットを探せばいるということを知ったところが大きかったですね。

カスカ わたしはいわゆる「音楽に目覚めた瞬間」というのはあまり無かったなと思っていて、カラオケ大好き人間として歌は好きでした。VESPERBELLとしての活動をする以前の話なんですが、海外に留学してたことがあって、その期間友達がいなくてめっちゃヒマだったんですよ。ちょうどそのころツイキャスとかが流行っていて芸能人の方が色々と配信をしていたのを見ていて、歌い手という文化や存在を知ったんです。

そこで歌い手さんの配信を見ていると、お歌を歌われてて「いい曲だな」と思って聴いてたんです。ただそれを調べてみると、全部カバー曲だったということを知って、そこでかなり衝撃をもらったんです。ネットのカルチャーには一切触れてこなかったので。その留学してた時期に歌い手さんを知り、「あたしもやってみよう」と思ったんです。

― そこから今につながっていると。差し支えなければですけど、どの歌い手さんを知ったか、入口を教えていただけないですか?

ヨミ 96猫さんですね。

カスカ あたしはSouさんですね。

― ヨミさんの声を知ったうえでそう言われると説得力がすごい。今後コラボしてみたいミュージシャンやシンガーさんなどはいますか?

カスカ 難しいですね。いまめっちゃ憧れてるちゃんみなさんとかSouさんとか、すごくかけ離れた存在ですけど、ベストを尽くして一緒の仕事ができるタイミングがあったら嬉しいですね。

ヨミ これって夢ベースでいいんだよね?

カスカ いいんじゃない?

― もちろん大丈夫です。

ヨミ ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデとか……

― そういえばたまに配信でおっしゃっていたような?ビヨンセとかもそうですよね

ヨミ そう(笑)歌の王様みたいな人たちに見てもらいたいですね。あとはONE OK ROCKとか野田洋次郎さん、RADWIMPSとやれれば嬉しいです。野田洋次郎さんに歌詞を書いてもらいたいですね。

― 最近心に残ったハマった作品はありますか?先ほどカスカさんが盛り上がってましたがいかがでしょう?

カスカ ちゃんみなさんがプロデューサーとしてユニットを作るオーディション番組の『No No Girls』という番組があって、本当に心動かされましたね。最近終わったばかりなんですけども。

― 自分の周りの人も話してましたね。ちゃんみなさんがあんなにプロデュースできるタイプなんて!と驚いてて

カスカ もともとセルフプロデュースの力や才能は見てて思ってたんですけど、自分ではなく、他の人達もプロデュースできるなんて。その子自身の核みたいな部分を掘り起こす才能とかもあったりして、本当にすごい人だなと思いました。

ヨミ あたしはアニメなんですけど、『メダリスト』ですね。オープニング曲を歌った米津玄師さんが前から好きで、聞いててめっちゃ楽しい曲なんですよね。歌えるかどうかといわれると、難しくて歌いたくはないなっていう曲なんですけど(笑)サブスクで見てるとオープニングやエンディングが飛ばせるようになってますけど、『メダリスト』は飛ばすことなくしっかり見てます。

今までスポーツ系のアニメやマンガって見たことがなくて、初めて見てみたんですよ。アニメって1話2話でその後見続けられるかどうかって言われてるし、自分もすごくそうだなと思っていたんですけど、もう最初からずっと面白かったですね。ゆるいところと真面目なところの緩急がとても良かったですね。

― これまでVESPERBELLとして活動してきて、一番笑った出来事・一番怒った出来事か・一番悲しかった出来事、どれか一つでもいいので教えていただけますか。

カスカ めっちゃ難しい。笑った出来事はこれ!みたいのはなくて、もういつも常にマックスで笑ってるんで、”その日のMVP”みたいなのはあるんですけど、ここまでの期間で「これ!」みたいなのは無理だよね?。

ヨミ 正直ありすぎですね。

カスカ そう。ありすぎてムリですね。

ヨミ あと、いろいろ思い出してみても怒ったこともないですね。インタビューの場だから取り繕ってるとかじゃなく、ガチで喧嘩したことがなくて。

カスカ ホントに喧嘩したことない。少なくともヨミちゃんとあたしの2人が対立することは、絶対にないよね。むしろどっかに対してなんか不満があるとしたら、ここ2人は絶対一緒の気持ちになってる。対立したことはマジで1回も1mmもない。

ヨミ 悲しい出来事は、以前まで一緒にやっていたスタッフさんが辞められたことですね。もともと2人体制でプロデューサーとマネージャーという形でいたんですけど、プロデューサーやってる方が先に会社を退社されて、その後も私たちのプロジェクトは残ったまま続いたんです。

元々マネージャーやられてた方がそのままプロデュースも担うことになったんですけど、メジャーデビューの話が来たタイミングでプロジェクトを離れるという形になって、いまは別の方がマネージャーについていただけてますが、やっぱりそのタイミングがマジで悲しかったですね。

カスカ やっぱりチームとして一緒に活動してきた人がいなくなるというのは、やっぱり悲しいですね。

― 笑った出来事はほぼ毎日あり、怒った出来事は本当に一切なく、悲しい出来事はプロデューサーやマネージャーさんが去ったということで、2人とも感覚が一緒なんだなというのが伝わってきました。逆にプライベートのなかではどうでしょう?例えば……足の小指をぶつけてキレそうになったとか、友達から連絡が遅くてキレそうになったとか。

カスカ 日常生活でですか?どうだろう……それでもそんなに怒んないかな

ヨミ 言われてみると、マジで怒ることはないですね。なんか忘れるんだよな(笑)

カスカ そう!マイナスなことやネガティブなことは忘れちゃう。

ヨミ きっとなんかはあったんだと思う。

カスカ そう、なんかはあっただろうけど、思いつかないですね。

自分なりの歌い方を探したり作ったりするのがすごく得意で参考にしてる

― いまの配信活動のなかで、歌動画の投稿がメインとなりつつ、歌配信や雑談配信も折を見てやっているという感じですが、もしもお2人でゲーム配信やることになったら、どんなゲームを選んでプレイしますか?

ヨミ 自分は何でもいいんですけど、カスカちゃんはマリオカート逆走しちゃうタイプなので、ちょっと限られてきちゃうね。

カスカ 確かに。

ヨミ もしもやるなら、『どうぶつの森』でリスナーの島を周ってみていくとか、自分がプレイしてカッコよく魅せるというよりかは、そっちのほうが長く続けられそうだなと。

― カスカさんはゲームはほとんどプレイしたことがないタイプなんでしょうか?

カスカ そうなんです。『nintendogs』『どうぶつの森』『牧場物語』とかを幼少期にやってたくらいで、ほとんど触ったことないです。

― すごくほのぼのとしたチョイスですね。ヨミさんは『VALORANT』をやられてると伺ったことがあります。

ヨミ デスクトップPCにしてから始めたんです、1年半くらい前からかな。あとはSteamにあるゲームとかをプレイすることがありますね。交流のきっかけにもなりますし。最近は『R.E.P.O.』をよくやってます。

― お2人でやるなら『どうぶつの森』などでリスナーの島を周る、楽曲からはイメージがつかない配信になりそうです

ヨミ もしも対戦ゲームをやるなら、もう完全接待型カスタムにします。

カスカ 大丈夫かな?

ヨミ 大丈夫、まかせて(笑)

― こちらも配信の話題からですが、もしも歌配信に誰でも良いからゲストを呼べるとしたら誰を呼びますか?

ヨミ KMNZさんですね。

カスカ ね!絶対KMNZさんです。

ヨミ 久しぶりに会いたいですし、5人で唄いたいですね。

― ジャスティン・ビーバーもお呼びできますといわれたら?

ヨミ あぁー夢系もオッケーなら……いやでも楽しさ重視でKMNZさんかなぁ。

カスカ 夢で良いなら、あたしはレインボーさんをお呼びしたいですね。呼んでもらってネタをやってほしい。

ヨミ え?待って、歌枠でレインボーさん呼ぶ?芸人さんよね?(笑)

カスカ あ!そうか歌枠か……じゃあレインボーさんに歌ってもらって…(笑)

ヨミ ははは!(笑)

― 大枠として配信のゲストとしてお呼びしたいと

カスカ そうですね。

ヨミ 現実的にいえばKMNZさんですけど、それなら米津玄師さんと野田洋次郎さんを呼んで2人で配信してもらいたいな、わたしの配信で(笑)でもこう考えてみると、コラボしたいという人もあまりいないかもです。

― これは各々個人的でいいですが、VESPERBELLでお気に入りの1曲をあげるとするとどの曲になるでしょう?オリジナル曲のみでお考えいただければ

カスカ 日によって変わっちゃうんですけど、ずっと好きなのは「或いは虚空に夢を視る」ですね。岸田教団の岸田さんに書き下ろしていただいた曲なんですけど、アニソンのオープニング感があって好きですね。

ヨミ いっぱい好きなのはあるんですけど、個人的にいちばん”VESPERBELLっぽくなくて”好きなのは「Revelation」なんです。ライブでめっちゃ盛り上がるというわけではないんですけど、聞いてめっちゃ気持ちいいんですよね。構成的な部分もあるし、メロもめっちゃ好きですね。思い出したらすぐ聞きたくなる曲ですね。

― あの曲はゲスの極みのちゃんまりさんが作曲された曲ですよね。ポストロックっぽい感じがイントロにあって、リズムのはめ方が気持ちいい曲ですね。

ヨミ そうですね。アルバムのなかでデモを頂いたときからずっと好きな曲で、いちばん聞いている曲かもしれないです。

― すこし角度を変えますが、歌っていて気持ちいい曲は?

ヨミ 「To The World」かな。個人的にめちゃくちゃ出しやすい音域なのと、ハモリがめちゃくちゃいい。ツボな曲です。

カスカ 唄ってて楽しい曲は「Imperfect」かな。この曲はリリースされてからまだ新しい曲なんですけど、リズムもメロディーも全部いい。ライブでは2人で交互に歌っていくんですけど、それもめっちゃ楽しくて好きです。

― 被ることなく全部バラバラになるとは。これまで色々な提供楽曲を唄ってきましたが、どの曲もお2人のキーがかなりバラバラになってるなと感じます。お2人はボーカルを収録する際に気を付けていることや、ルーティーンにしていることなどはあるんでしょうか?

カスカ ボーカルの収録は別々にするんですが、いちど一緒にブースに入って、声出しもかねて何回か一緒に歌ってみるんです。その曲に対するボーカルのテンション感を合わせたりとか、重なったときにどういう風になるかをイメージしてから、それぞれにレコーディングするというのがルーティーンになっていますね。

ヨミちゃんは自分なりの歌い方を探したり作ったりするのがすごく得意で、「これを唄って下さい」と言われたらヨミちゃんのなかでの正解がなんとなくでもすぐに見つかるタイプなんです。

でもわたしの場合、見本がないとどういう風に歌えばいいか分からなくて困るタイプで、ヨミちゃんと一緒に歌をあわせることで、曲のイメージがよりよく掴んで、こういう風に歌えばいいんだとわかる。いつも見本役として参考にしてもらってます。なので、収録する際はいつもわたしが後に収録する流れになってます。

― ヨミさん的には、ボーカル収録のなかでとはいえ、見られている・聞かれているというのはどうなんでしょう?

ヨミ あたしからすると、それも一つの才能だなと思うんです。自分も合わせることはできるにはできますが、曲のイメージを伝えたり、こういうニュアンスだよと言ったらその通りに唄ってもらえるのはデュエットの強みだし、カスカちゃんの強みでもある。自分としても助かっている部分もあります。

― ヨミさんの唄い方次第でカスカさんの唄い方も変わるという意味では、ヨミさんの歌がこのボーカルデュオにとっての大切な部分であり、VESPERBELLという音楽にとっての主軸になると思います。

デモなどを通じて歌を唄おうとなった時、自然と出てくるものを中心にしているのか、それとも「こうか?こっちか?」と考えながら唄い方を作っていくのは、楽曲によって違うとは思うんですがどういったスタンスで望んでいますか。

ヨミ あまり考えすぎずに歌うようにしていますね。最近の収録ではディレクションしていただける機会もあるので、こうしてみるといいよというアドバイスやアイディアを言っていただける部分もありますが、基本的にはいちど何も考えず、自分が歌いたいように歌ってみるという形が多いですね。

― 今のところ、そのまま唄ったものでいくことが多いですか?それとも「もう少しこういうニュアンスで……」と伝えられて唄ったものがいくことが多いですか?

ヨミ そのまま唄わせてもらったものを使っていただけることが、ありがたいことに多いですね。嬉しい限りです。

お客さんは常に百点満点 「演出の一部か?」ってぐらい声を出してくれる

― これまでの活動でさまざまなライブイベントにご出演されてきたとおもいますが、思い出深いライブがあれば教えていただきたいです。

カスカ わたしはやっぱり初めてのワンマンライブになった『RAMPAGE』ですね。私たちのデビューがコロナ禍の真っ只中だったんで、ライブで声を出すのが禁止されていた時期にデビューしてたんです。ワンマンライブを現地でやるという話しが上がった時、「ヴェスパのライブは絶対に声を出さなきゃいけない」と思ったんで、待つことを選んだんです。

なので大分遅いタイミングでファーストワンマンライブを開催することになったんですが、それは”声が出せるようになるまで待った”上でのファーストライブだった。念願のファーストワンマンライブを現地で開けたのは、本当に思い出深いですね。

ヨミ わたしもファーストワンマンライブはすごく思い出深いんですけど、先日開催したセカンドワンマンライブ『RUMBLING』もめちゃくちゃよかったなと思ってて。お客さんの数もめちゃくちゃ増えたし、KMNZさんとの2DAYSライブ開催というのもあって、KMNZから入ってきてくれた人もいたみたいで。

あと印象的だったのは、ペンライトの数が減ってたんですよね。ペンライトを持って楽しんでくれるということは決して悪いことではないんですが、ファーストワンマンライブのころは、いわゆる”VTuber”として見られていたのかなと思うし、それによってペンライトが多かったイメージなんですけど、1年半ほど時を経て、ペンライトを持たないでその身一つで楽しめるでもらったり、盛り上がりに来てくれたんだなと感じて、ちょっとうれしく思ったりしましたね。

― ペンライトを持っているお客さんが少なくなったというのは、お客さんの需要が変わったという風に言い換えられると思うし、それを良い傾向という風にヨミさんは捉えていると。今のお2人にとって、「自分たちがライブをしているときの風景はこういうものだよな」というような理想みたいなものが、なんとなく生まれていると思うんです。それをうまく言葉にしてもらえるとうれしいです。

ヨミ なんだろうな。とにかく楽しんでほしいっていう気持ちが一番あって、 一人でも「なんかつまらないな」って思わせちゃったら、「こっちの負け」みたいなものだと思ってます。やっぱり後ろのひとまで、みんなが手挙げて盛り上がれるようなライブ作りは意識してますね。

― カスカさんはどうでしょう

カスカ わたしたちのワンマンライブに見に来てくださったアーティストさんや裏方のスタッフさん、フェスやイベントに出させてもらった時にもすごい言われるのが、「ベスパのライブ、盛り上がりがめちゃくちゃすごいし、やばいね」みたいな言葉なんですよね。

有難いことにそういうことを言っていただけることが本当に多くて、実際に曲の感じや雰囲気から”力強い盛り上がり”というのがベスパの強みだと思う。なので誰がどう見ても「ベスパのライブは盛り上がりがとにかくすごい」と、頭ひとつふたつ抜きんでた盛りあがりを生み出せる2人なんだな!という印象を全員に抱いて帰ってもらいたい。

そのためにも一致団結して、もうとにかくもう熱量がすごかったと思ってもらえるようなライブにしたいといつも思ってます。

セカンドワンマンライブ『RUMBLING』 の様子
セカンドワンマンライブ『RUMBLING』 の様子

― なるほど。そのフィーリングで次の質問をしたいのですが、セカンドワンマンライブ『RUMBLING』は、その理想から考えるとどのくらいの手ごたえでしたか?

ヨミ お客さんは常に百点満点、いつも声出して、「え?演出の一部か?」ってぐらい声出してくれるんで(笑)。

カスカ 本当にそう!(笑)頼もしいしありがたいです

― 当日のライブを拝見してレポートも書かせてもらったんですが、出るライブによってはヘタするとモッシュやダイバーがでてもおかしくないなってくらいに熱量の高いライブをされてたし、観客の盛り上がりも本当に凄かった。パフォーマンスも観客もパワフルだなと感じていたんですが、次のライブではバンド編成で望まれるわけじゃないですか?意気込みなどはありますか?

カスカ 『RUMBLING』も含めて、いままでのライブは常にその時の100%やベストをもちろん尽くしてきたんですけど、半年ほど前の『RUMBLING』もゆうに超えちゃうだろうなと正直確信しています。バンドさんも増えますしね。

今回はカバーもさせていただくんですけど、”盛り上がり”という点だけで集めた楽曲をやるつもりで、これまでにない過去最高の盛り上がりを見せちゃうなと思ってます。

ヨミ ライブタイトル『BEYOND』は、「超える」「その先に」という意味があって、わたしたちは次元が違うアーティストであり、そこに生バンドが加わって次元を超えて繋げてもらえる初の試みになります。なので、ちょっと難しい部分もあるので、ほんと失敗しないことだけを……

― ここまでめちゃくちゃ勢いのある話やコメントがつづいてて、急に後ろ向きに(笑)

ヨミ うちらが生バンドをやるというのは結構挑戦的で初の試みですし、不安はありますよ(笑)あとは生音でわたしたちの曲が演奏されるわけで、リスナーさんはもしかしたらそこに感動しちゃうんじゃないかなと思います。

― 生音になったことによって、それまで出せていたパフォーマンスの最高値が結構ドーンとハネあがるというイメージが容易にできるんですけど、生音になったからこそ、自分たちの歌がより全面に出る、パワフルになって響くような感覚はありますか?

ヨミ めっちゃ思いますね。一体感がより生まれやすくなると思います。

カスカ ヴェスパは絶対バンドサウンドと100%相性がいいので、本番でもうどうなっちゃうか心配ですね。

ヨミ もうね、みんな着てるTシャツとか破いて捨てちゃうんじゃない?

カスカ ほんとね。どこまで脱いだり破ったりするか……

― ライブ中に急に「北斗の拳」みたいな世紀末にならないでくださいね、特に読んでるなかで行かれる方は(笑)最後に、今のお2人にとって音楽や歌はどういった存在になっているでしょう?

カスカ 天使と悪魔、どちらも担っている存在ですね。ストレス発散や癒しにもなるし、ストレスの根源にもなる。

ヨミ ははは!(笑)それはそう。

カスカ 音楽が仕事になってるので、音楽によってストレスが発生する時もあるし、音楽でしか発散できないストレスもあったりするので。本当に表裏一体、でもやっぱなくてはならないですね。

― めちゃめちゃ現実味あるし、実際その通りですよね。音楽でお金を稼いで生活をされているわけで、間違いないです。ヨミさんは?

ヨミ いやぁ、全く一緒です。なんかこうしてデュオになる前までは完全に趣味だったものが、ありがたいことにお金をいただける仕事っていう形になった。これを仕事としてこなすのは大変だなと思う時もありますし、”プロのシンガー”という意味ではまだまだ足りないと思っています。

ただ今の環境は本当にありがたいことだと思っているので、メリハリや緩急をつけて、一生続けていきたいと思います。

(TEXT by 草野虹

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