音楽フェス「FUURYUUFES 5.0 2025」突撃レポート  後藤真希&ぶいごまの奇跡のコラボなど、見どころを語り尽くす

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2025年11月22日に、ぴあアリーナMMにてライブイベント「FUURYUUFES 5.0 2025」が開催された(YouTubeのアフター映像)。

リアルとバーチャルの融合をコンセプトに掲げて開催される本イベントは、昨年秋にも同じく開催されており、今回で3回目の開催となる(昨年のレポート記事)。

昨年同様に主演者はVTuberシーンを強く意識したもので、ズラリと参加者を記してみれば、iLiFE!(バーチャル)、茜音カンナ/宗谷いちか/龍ヶ崎リン/涼海ネモ、乾伸一郎/URS-No.1005(とおこ)、KizunaAI、MonsterZ MATE(コーサカ/アンジョー)、後藤真希&ぶいごま(V後藤真希)、SIRO/ばあちゃる、TINA/LITA/NERO [KMNZ]、音ノ乃のの/甘狼このみ、緋月ゆい/渋谷ハル/白雪レイド、JYuno(ユノ)、VXer0号・水ヰ知りりな、VXer1号・代羽つかさ……といった、錚々たる並びになった。

一番驚きなのは、これほど多くのメンバーを集めつつ、昨年と同じく今年も全席無料で開催したこと。まさに”大盤振る舞い”といった様相を呈しており、どのようなライブになるか注目を集めていた。

以下、筆者の注目ポイントやさまざまな経路についてを記させてもらった。

MCを務めた中川安奈・天野ひろゆき


最新と伝説 新旧アイドル2組がバーチャルの空間でライブ

今日のライブ、その出足と終盤を彩ったアクトは、VTuberやバーチャルタレントとして見ると”後輩”であるiLiFE!や後藤真希&ぶいごま(V後藤真希)の2組だった。

iLiFE!は、事務所imaginateに所属する2020年に結成された8人組アイドルグループであり、imaginate所属の女性アイドルグループで構成される「HEROINES」の中核を担う存在である。

2025年8月下旬には自身初の日本武道館ワンマンライブを開催し、”令和発アイドル”として大きな支持を受けている彼女らだが、一世一代のライブを終えて1週ほどしたタイミングで、なんと”バーチャル化”。バーチャルなビジュアルとともにバーチャルアイドルとして活動していくことを発表したのだ。

イベントのトップバッターとして「会いにKiTE!」「キスハグ侵略者!」「アイドルライフエクストラパック」とアッパーな楽曲を披露していった。現在のアイドルシーンのトップランナーとして、歌もダンスもさすがのキレッキレ具合だったわけだが、驚かされたのは8人のバーチャルのビジュアル。

キラキラと輝く彼女らの衣装は、何重にもなったスカートやダンスのたびに揺れる髪の毛含め、ステップを踏んだりジャンプをするたびにふわふわと揺れ動く。左右のスクリーンでは彼女らの表情を捉えると、どれもが少女漫画テイストに表現されていることがわかり、じつに愛らしいビジュアルであった。

iLiFE!のパフォーマンスから数時間後、ライブ終盤に出演したのが後藤真希だった。彼女についてはそもそも紹介する必要があるのか?といったところだが、「モーニング娘。」のメンバーとして1999年にデビューし、その愛らしいビジュアルや飾らない人柄でアイドルシーンのトップランナーとして活動していった。

ハロー!プロジェクトを卒業後はソロタレントとして長らく活動し、結婚・出産も経験されて女性タレントとして復帰していたわけだが、2023年10月にVTuberとしての姿「ぶいごま(V後藤真希)」を公表し、その後ぶいごま(V後藤真希)はバーチャルアイドルとして活動する多くの面々とコラボを果たしてきた。

この日彼女は「Which」「ちょこっとLOVE」「恋愛レボリューション21」と自身の最新楽曲と往年の大名曲を歌ったが、「あの人と初コラボします。誰でしょうね~?」と冗談めかしてからぶいごま(V後藤真希)を呼び込み、「ちょこっとLOVE」「恋愛レボリューション21」を披露してくれた。

実はこの2人のコラボ歌唱、かなりのレアシーンであったことは太く記しておきたい。

壇上で彼女らが話していたように2人が顔を合わせるのは「 ぶいごま(V後藤真希) を初めて公表した共同記者会見以来」であり、この日が通算2回目、当然2人でコラボ歌唱するのは初めてだったわけだ。

「やっと一緒に歌えましたね」と後藤は言葉にしており、すべてのプログラムを終えてステージに登場した後藤は、「正直リハの時、新体験だった! 今まで立ったステージと本当に違った」と明かしていたほどだ。

漫画やアニメといった作品で描かれるであろうアイドルチックなビジュアル・出で立ちへとなり、令和・最新のアイドル楽曲やアイドルシーンどころかJ-POPにおいてのド名曲を、そのままパフォーマンスしてくれる。

アキバカルチャーをある程度原点にしたアイドルカルチャー、日本独自に成熟してきたマンガ・アニメ・ゲームカルチャー、それらを促進していった2010年代以降のネットカルチャー。それぞれの理想・最新・歴史が掛け合わさったある種の到達点・達成がこの日のライブで生まれていたことは記しておくべきだろう。

もちろんそんな光景は、これまでのバーチャルタレント~VTuberシーンにおいてそもそも数少ない、起こり得ない異常な状態……なのだが、この2025年において我々はそれを”なんだか起こって当然”のことのように受け取ってしまっているのもまた事実。それだけ現在のVTuberシーンやファンが成熟し、また知らず知らずの内に背負っているのだとも感じられた。

ぶいごま(V後藤真希)とiLiFE!のバーチャル化を推し進めたVEXZ(旧バーチャルエイベックス)

ゲーム配信で長年活躍する面々がアリーナ会場へ姿をあらわす

そういったアイドル2組による印象的なライブアクトもありつつ、メインとして主に登場したのはバーチャルタレント~VTuberとして長く活動してきた面々だった。

iLiFE!(バーチャル)の次に2組目として登場した、茜音カンナ/宗谷いちか/龍ヶ崎リン/涼海ネモによる「ななしいんく」の面々は、数ヵ月前に投稿したカバー「飛天」を皮切りに、各々のソロ曲である「VEIL」「カタチのないもの」「バタフライエフェクト」「Moonshine」に、最後はななしいんくとしての楽曲「Starring Together!」と、4人で計6曲を披露した。

MCはほとんどなく短めにおさえていたが、その分出演時間も長く感じられたわけで、この日足を運んだななしいんくファンはホクホクの笑顔で楽しめただろう。

その後にはミリプロから音ノ乃ののと甘狼このみの2人が出演し、甘狼がCHiCO with HoneyWorksの「私、アイドル宣言」、音ノ乃がオリジナルソング「HYPE SEEKER」を披露し、最後にはいきものがかりの「気まぐれロマンティック」。愛らしさと爽やかさをともなって観客を魅了してくれた。

後半のトップバッターには.LIVEからばあちゃるとSIRO(電脳少女シロ)が登場。ばあちゃるが「LOVEドッきゅん」「キンタマほいほい」でコール&レスポンスとコミカルさで大いに笑わせ、SIROは自身のオリジナル曲「しゃにむにランナー」「EXとりーむ★労働メタル」、そこから「モエチャッカファイア」を披露した。

「明日も働く人いますか? 元気に働けるような曲を2曲選びました!」と笑顔いっぱいに元気よくMCしてから、「モエチャッカファイア」でクールかつふてぶてしさある声色で締めてくれた。なんともギャップあるパフォーマンスと声色に面食らった観客もいただろう。

その後にステージに姿を表したのは、REJECTに所属する乾伸一郎/URS-No.1005 (とおこ)の2人と、Neo-Porteに所属する緋月ゆい/渋谷ハル/白雪レイドの3人だ。

先に出演していたばあちゃるの「世界初の男性VTuber」というMCを拝借するように、乾が「世界初のイケメン男性VTuberです」と自己紹介すれば、退場後にNeo-Porteの3人からお呼ばれしてふたたび乾がステージに現れたりと、長きに渡って活動してきたからこその繋がりを確かに感じられた。。

アニソンやボカロなど歌ったカバー歌唱に終始したが、YouTube/Twitchで配信しているときとはまた別の顔をみせてくれ、この日集まったファンを楽しませてくれた。


音楽系アクトが充実のパフォーマンスをみせる

こういったアクトの間に挟まるようにしてしっかりと存在感を発揮していたのが、KMNZ、MonsterZ MATE、KizunaAIの3組だ。

前半に出演したKMNZは、「DROP IN」「META FICTION」「VERSE」の3曲をブチかまし、「みなさんここで掛け声いいでしょうか?」と観客をリードしながら「Drop in the world!!」と声を上げさせるなど、アリーナの観客を掌握しようという高いバイタリティをみせてくれた。

後半に登場したMonsterZ MATEは「天才モンスターズの元気が出るルーレット」「Bikidan」「One Room Sky」を披露し、カラフルな照明と衣装でポップなムードを生み出していた。なによりMCでは言葉少なに進め、次へ次へと進行していく2人の姿はクールさにあふれていた。

そしてこの日ラストに登場したKizunaAIは、「かもね」「future base(Homecoming Remix)」「AIAIAI」「Hello, Morning」と新旧楽曲を織り交ぜたセットリストで臨む。以前のEDMライクなサウンドに加えてミニマルなハウスサウンドを放つ中、彼女らしいハイトーンな歌声に繊細なタッチのボーカルで存在感を放っていた。


ラストの「Hello, Morning」では甘狼このみ、宗谷いちか、ぶいごま(V後藤真希)、音ノ乃のの、iLiFE!がステージに現れ、KizunaAIとともにフィナーレを迎えた。

長年活動をしてきたVTuberやバーチャルシンガーたちが一同に集まった今回のイベント。彼ら・彼女らが普段ライブするには、今日のような大会場よりも小さなライブハウスやホールなどで開催することが多い。今回のような1万人規模でのアリーナ会場を使ってのライブ、それも自分がそのステージに立って歌うというのは、長い活動の中でもほとんど経験のないことだ。

「もしも活動を続けていけば、ワンマンライブで埋めることができるのだろうか?」という想像しやすくなっただろうし、なにより集まった決して少なくない観客の温かな歓声と拍手は、出演者の背中を押し、今後の活動を勇気づけることになるだろう。

(TEXT by 草野虹

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