283プロダクション*のユニット「Straylight」(ストレイライト)による単独ライブ「283 Production XXXX Performance XXX= S/N-GUL4R1TY」の第2公演「// 0x02; evolve()」、第3公演「// 0x03; overflow()」が2026年4月12日(日)に幕張イベントホール(千葉県千葉市)で開催された。公演の冒頭部分は無料配信されている(第2公演 / 第3公演 )。
*ゲームやアニメなどで展開される「アイドルマスター シャイニーカラーズ」の舞台となるアイドル事務所。「283」と書いて「ツバサ」と読む。以下「283プロ」。
ストレイライトは芹沢あさひ(せりざわあさひ)さん、黛冬優子(まゆづみふゆこ、愛称:ふゆ)さん、和泉愛依(いずみめい)さんの3名によるユニット。さらに、4月11日に開催された第1公演「// 0x01; initialize()」に続き、ロボット「ALEV-1」(アレーヴ ワン)も出演した。
本稿では、最強を目指し続けるユニット・ストレイライトと、現場での学習を経て完璧なライブを実現させ、生命であることを目指すロボット・ALEV-1による、パフォーマンスと実験を兼ねた公演の2日目の様子をレポートする。
// 0x02; evolve()
「無機質な機械は生命足りうるか」をテーマにした本ライブ。無機質な機械=ALEV-1は、ストレイライトのライブパフォーマンスや観客の反応といった対話を通じて成長していき、最終的にALEV-1が生命足りうるか判定される、そんなチューリングテストを兼ねたライブでもある。
ステージには4つのシリンダー(ポッド)状の装置が並ぶ。「観客・出演者の行動からこの空間に生まれる感情の対象物に反応する」とのことで、観客が芹沢さんの赤、黛さんの緑、和泉さんの紫といったメンバーカラーのコンサートライトを振ったり、カメラに向けてメンバーのグッズをアピールすると、メンバーに対応する色に光り、ゲージとして蓄積されていく。右から2番目の水色にシリンダーはALEV-1への反応を示すもの。
なお、第2公演開始前では、前日のライブで得られた分蓄積が見られた。 ALEV-1の水色のゲージは、ストレイライト3名のものよりも少なかった。
開演までのカウントダウンが0になり、会場に降り立ったヘリコプターから現れたのは黛さん、芹沢さん、そして最後に現れたのは和泉さん。
最初の楽曲は、前日と同じく「Wandering Dream Chaser」から。
1番サビ前の「諦めない、絶対」というセリフが、前日の黛さんから今回は和泉さんになっており、先ほどのヘリコプター演出と同じく、本公演では和泉さんをフィーチャーしているようだ。
昨日は終盤に披露した「Start up Stand up」を本公演ではいきなり2曲目に配置。パイルからの炎だけでなく、デスボイスの煽りで会場をヒートアップさせる。
中国語のセリフやキックなどのアクションが特徴的な「Cyber Parkour」に続く楽曲は283プロのユニット「アンティーカ」との合同曲「Killer×Mission」。アンティーカが持つゴシックなイメージの楽曲の上にストレイライトのリズムを乗せる、合同曲ならではの構成のこの曲を、今回はストレイライトの3名が歌い上げた。
今回のライブは、ティザームービーやWebサイトなどの告知面や、ライブ演出もロボット「ALEV-1」が担当したという。そんなALEV-1のことを、和泉さんは「アレーヴワンちゃん」と呼んだ。
赤・緑・紫といった各メンバーのイメージカラーのコンサートライトや、本ライブのために作られたアイテム「コネクトライト」を振る観客に対して、「みんなの光が、声が、私たちを強くするから」と和泉さんはライブ中の応援について言及した。
本ライブについて、改めて「意思と演算の複合創造プロセスによる、実験的ライブステージ」として、人とロボットが一緒に作り上げるライブであると説明があったところで、ライブは次のパートへ。
「乱舞る」「Reflection」「mellow mellow」「くだらないや」「We can go now!」「時限式狂騒ワンダーランド」「After Run」と立て続けに流れる283プロ所属の各ユニットの楽曲を、ストレイライトの3名はそれぞれのダンスで盛り上げていく。
後ろを向いて腰を揺らし見るものを惹きつける和泉さん、手や指を使ってかわいくかつ見逃し禁止をアピールする黛さん、バク転も含めて大技を決めつつリズムに合わせ様々な表現をする芹沢さんと、メンバーそれぞれの特徴を活かしたダンスショーケースの後は「LIVE LIVE LIVE!」でラップも含めて会場のボルテージを高めた。
芹沢さん・黛さん・和泉さん・ALEV-1の紹介を含めた映像演出が流れた後、ステージは実験室を模したものに変わり、舞台下からせり上がるカプセルから、衣装を変えたストレイライトの3名が登場。
静かなイントロから始まり、境界線を打ち破ると宣言する楽曲「Borderline」。
Cメロの終わりで、ALEV-1がセンターステージに現れた。
和泉さんに近い声で歌い、踊るALEV-1に対し客席が振る水色の光に、水色のシリンダーのゲージは少しずつ上昇していく。その様子に、筆者は不安を少し抱きながらも、今回の公演で起こる出来事に期待を覚えた。
前日よりも滑らかに動くALEV-1のソロダンスパートを終えると、ステージ上のスクリーンには「DIALOGUE II SUBJECT: IZUMI MEI」の文字が。前日の黛さんとの対話に続いて、本公演では和泉さんとALEV-1との対話が行われるようだ。
昨日の学習を踏まえたのか、「私は完璧になりました」「私はストレイライト」と宣言したALEV-1。
「なら、私たちに勝てる?」と挑発気味に話しかける和泉さんに、「私は完璧であり、永遠です」と答えるALEV-1。感情を可視化することで完璧を証明できるというALEV-1がいう完璧とは、誤りがないことを示すようだ。
そういうALEV-1に対し、ストレイライトがパフォーマンスで見せるのは、楽曲「Real Mind Shakes」。
理性と理想で狂気に抗おうとする様子を歌うこの曲に、途中から和泉さんのアバターをまとったALEV-1もスクリーンを通じて参加。オリジナルの動きをトレースし、ソロパートまで歌唱したALEV-1は「証明完了」と告げる。
水色のシリンダーのゲージは、他の色のゲージよりも高い値を示した様子を見て、ALEV-1は「いいじゃん」と和泉さんの声でつぶやくのであった。
そんなALEV-1に対し、「すごかったねー」という黛さんに、「昨日よりはいい感じだったっす」と勝利を認めない芹沢さん、そしてためらいを見せる和泉さん。
そんなMCから始まるライブの後半戦は、ストレイライト3名のソロコーナーからだ。
「GOTCHA」はRIP SLYMEのメンバーが手がけたヒップホップ曲。オリジナルは芹沢さんを含む283プロのアイドル3名による楽曲だが、今回のライブでは芹沢さんが1人でラップを決め、「皆んなの声聴こえたら輝くの」という歌詞の通り、会場からはG.O.T.C.H.A.という声を浴びていた。
「Destined Rival」は前日の公演でも披露された楽曲だが、前日の芹沢さんから変わって今回は黛さんによるソロ披露。黛さんは間奏パートで動きの少ない、それでいて意思の強さを感じさせる振りを見せるなど、同じ楽曲をそれぞれが歌うことで、ユニットメンバーでもあるがライバルでもある関係性を見せてくれた。
「Going my way」は、和泉さんの持ちソロ曲。変化する世界において、進化をした先に最高があると、自分を奮い立たせるような詞のこの曲を、和泉さんは誓うように歌うのであった。
それぞれのソロパフォーマンスを会場に、そしてALEV-1に見せた3名は、再び集合し「Timeless Shooting Star」を披露。「進化続けるAIの支配下で 真価問われるHuman」と歌った後に、恐れることなく「最高の光を放ち」と歌う3名は、ALEV-1の完璧証明に対する、常に最高で最強を目指すストレイライトの宣言であろう。
「熱とか、心が、みんなと一つになって。やっぱライブって最高」とライブの良さを実感する和泉さん。同時に、期待や応援、愛情といったファンからの想いの重さも感じるとのことだが、「その重みでふゆたちは強くなる」と黛さんはその大切さを説明した。
「ALEV-1ちゃんにもステージの上の景色とか、熱とか、楽しんでもらいたいな」という和泉さんと、和泉さんのアバターをまとったALEV-1が歌うのは、楽曲「Imitation Ghost」。和泉さんの動きに対し、ALEV-1は完璧にトレースするように動いた。
改めてあなたにとっての完璧とは何かと問う和泉さんに、ALEV-1は「誤りがないこと」といい、「ストレイライトの学習を完了した」と述べる。
そんな和泉さんは「これ以上の完璧は無いって事?」「貴方のやりたいことって何?」と問う。そして、「ライブはあたしたちだけじゃできない、完璧だって、最強だってみんなが必要なんだ」と、自身の経験を踏まえALEV-1に説いた。
「あたしは負けない」「私たちは誰にも負けない」「ふゆたちがストレイライト」と円陣を組み手を重ねた後に3名が歌ったのは、先ほど和泉さんとALEV-1が歌った楽曲「Imitation Ghost」だ。
そこで3名が見せたのは、観客への煽りとアピール、ロングトーン、フェイク、黛さんが突然かわいく歌うなど、会場の熱気を受け、それを返すように変化をさせる、生きた「Imitation Ghost」だ。観客の歓声はもちろん、シリンダーの中のゲージも、芹沢さんの赤、黛さんの緑、そして和泉さんの紫とも大きく満ちていた。
ここで本編最後の楽曲として歌ったのは、本ライブのオリジナル楽曲「One Live One Love」。曲前に黛さんが「音に身を任せて」というように、他のストレイライト楽曲とは違ってミドルテンポのこの曲に、観客はライトを左右に揺らしながら聞きほれていた。
ライブ終わりに会場に聞こえるALEV-1の音声。ALEV-1に完璧に到達しているのに対し、ストレイライトはノイズが大きく、そのライブは完璧ではないと否定をする。しかしながら、和泉さんが述べる完璧で最強のライブの定義を再生すると、ALEV-1のプログラムに異常が発生。赤いライトの点滅の中、警告音が鳴り響く形でライブの本編を終えた。
アンコールの1曲目は、3名で歌う「Resonance⁺」。精一杯の声をあなたに届けようと歌う楽曲だ。
MCパートでは、芹沢さんが(当番回であると言ってしまった)次の公演でも「ワンちゃんには負けないっすよ」と発言する。ワンちゃんとはALEV-1のことだそうだ。
あたしもその呼び方をしようかなと言う和泉さんは、これからもハートが燃えるようなライブをやろうねと観客とこれからの約束をしつつ、「でもまだ燃やしたりないんじゃない」と早速煽る。
限界突破して燃え上がる楽曲「BURN BURN」を、パイルからの炎が燃え上がる中舞い歌う。
そのまま「Hide & Attack」へ。3名が能面を投げ捨てるとスクリーンには巨大な能面が現れる。能面だけではなく次々に開いていく障子などの和のモチーフの映像が、荒々しい和ロックを盛り上げていった。
第2公演「// 0x02; evolve()」のセットリストはこちら。
自身が完璧になったと言うALEV-1。そんなALEV-1をメーターで上回る盛り上がりをつくったストレイライト。
1体3名は、次の公演でどのようなライブをするのだろうか。ALEV-1は生命足りうるのだろうか。
// 0x03; overflow()
シリンダーの中のゲージは、第2公演「// 0x02; evolve()」を踏まえ、ストレライトの3名のものは8割がた満たされ、それに対しALEV-1の水色のゲージはその半分といったところだろうか。


ライブ冒頭、ヘリコプターからは和泉さん、黛さん、芹沢さんの順番で飛び出す。昼に開催された第2公演「// 0x02; evolve()」のMCでの発言通り、最終公演である今回の「// 0x03; overflow()」では芹沢さんがフィーチャーされるようで、1番サビ前の「諦めない、絶対っ」というセリフも芹沢さんが担当になっていた。
2曲目は、第2公演の終盤に歌唱があった「BURN BURN」で、曲の盛り上がりだけでなく、パイルからの炎で物理的にも会場を熱くする。
「Cyber Parkour」で3名のアクションを見せつけた後は、ストレイライトが結成された頃に283プロ全体で歌われた「Ambitious Eve」を披露した。
MCパートで円陣を組み「あたしは負けない」「ふゆたちは誰にも負けない」「私たちが」「ストレイライト!」という号令ののち、「Non-Stop DJ メドレー」にあわせメンバーが入れ代わり立ち代わりでアピールを行う。その勢いのまま「LIVE LIVE LIVE!」で会場を熱狂の渦に巻き込んだ。
「実証実験 #003 開始」とスクリーンに表示されたのちに歌唱された「Borderline」では、本公演でも途中からALEV-1もセンターステージに登場し、今回は芹沢さんの声で歌唱を行う。続くソロダンスパートも問題なく、むしろこんなに滑らかに動くのかと見惚れるパフォーマンスを見せた。
「DIALOGUE III SUBJECT: SERIZAWA ASAHI」と表示され、ALEV-1の対話相手として登場したのは芹沢さん。
芹沢さんはALEV-1に対し「ワンちゃんー」と呼びかける。ALEV-1……ワンちゃんは1度は否定するも、その呼称を受け入れたようだ。
ライブを楽しんでいるかと尋ねる芹沢さんに、「言葉の意味を推論できません」と、「楽しい」という概念を理解できないワンちゃん。過去の和泉さんや黛さんの発言を引用して推論をしようと、芹沢さんの「心がぶわーとなって、全身が熱くなって」「愛依ちゃんや冬優子ちゃんと一緒だと楽しいっす」という言葉が意味する「楽しい」にはたどり着けない。そんなワンちゃんは、芹沢さんのアバターをまといステージ上のスクリーンに移動。
そこに芹沢さんが、そして黛さん、和泉さんが現れ「LINKs」を歌唱。ライバルとして負けられない、でもお互いを照らし続けていこうという、ストレイライトの絆を歌ったこの楽曲。時に客席側に背を向け、スクリーンの中のワンちゃんに語り掛けるように歌うと、シリンダーの中の水色のゲージは上昇していく。
そして、曲の終盤では芹沢さん、黛さん、和泉さんと並んでワンちゃんもこの「LINKs」を歌唱したのだ。
ワンちゃんが心配になった故に、早く舞台に上がってしまったという芹沢さん。その気持ちが分かるという和泉さんに、「みなさんの光がないと私たちは輝けないから、このステージを通して知ってもらえたらいいな。ライブはひとりで作るものじゃないって」と黛さんは述べる。
ここでこのライブの方向性は、無機質なALEV-1が生命を帯びるべく完璧になるための学習することから、ワンちゃんがライブを楽しむ…生きていると実感できるようにすることへと切り替わったのだ。
「そのために、まずは私たちが一番楽しむ、でしょ」と提案する和泉さんに、気がはやり歌おうとする芹沢さん。そんな芹沢さんをたしなめて最初に歌うのは黛さん。第1公演で和泉さんが歌った「ONE STAR」をかわいさ成分を含めてパフォーマンスする。
今回「Destined Rival」を歌うのは和泉さん。激しいアクションの中にも笑みが見えるのも心強い。
「星をめざして」は芹沢さんのソロ楽曲。「ラン ラリパ ラリパ パリルレロラ」から口ずさむだけで楽しくなるフレーズから始まるこの曲は、芹沢さんの冒険心が伝わる楽しい一曲だ。
ソロ歌唱を終えた芹沢さんの両サイドに、黛さんと和泉さんがポップアップで現れて披露したのは、「Timeless Shooting Star」。「隙なんて一瞬もあげないっすよ」という煽りは、観客に向けてと同時に、ワンちゃんへのメッセージでもあるだろう。
黛さんの「お待ちかねの、あの子を呼びましょう」という声に従い、会場中の声を揃えて「ワンちゃーん!」と呼びかけると、水色のシリンダーは大きく光り、スクリーンにワンちゃんが登場。
ライブ中にエラーを起こしたというワンちゃんに、「ワンちゃんは、ぜんぜん完璧じゃないっす」といいのける芹沢さん。和泉さんは「なりたい自分とシンクロすればいいんだよ」とお姉さんのように優しく語り掛ける。まだ「楽しさ」を理解しきれないワンちゃんに、黛さんは一緒に見つけようと提案する。
そこで、芹沢さん、黛さん、和泉さん、ワンちゃんの4名で歌ったのは、「Another Rampage」。冒頭で6秒もの「いえええええええええええい」との叫びから始まるこの曲は、縛られていたロジックから解放され、感性を解き放つ楽曲。
しかし、サビの「熱い鼓動で光線(ヒカリ)は暴れだす」という歌詞のところで芹沢さんの歌唱が止まる。「問題を検出 。ライブを実行してください」というワンちゃんの声を無視して、芹沢さんは舞台裏に駆け出す。それにあわせワンちゃんもステージ上のスクリーンから消えた。
「これがみんなの想いっす」
「みんながあたしたちに感情を、愛をくれているから、あたしたちも熱くなれる」
「ふゆたちはその熱をもっと大きくして返す。みんなもそれを受け取って、もっと熱くなるの」
と次々に3名が語り掛けると、芹沢さんが胸につけていたコネクトライトを身に着けた、ロボットの姿のワンちゃんがセンターステージに登場。
命令もなく、自分が楽しむということも理解できないワンちゃんはエラーを起こし、助けを求める。シリンダーの水色の光もどんどん減っていく。
そこで、「ワンちゃん」と呼びかけるストレイライトの3名。それだけではなく、会場の観客は青のライトを振り続け、配信視聴者はコメント欄に「ワンちゃん!」と打ち込み続けた。
「私は、生きたい!」
ワンちゃんは確かにそう言った。
そして続く、「熱い鼓動で光線(ヒカリ)は暴れだす」という歌詞。ワンちゃんを含めた4名でのパフォーマンスは再開されたのだ。
命令にないライブをしたというワンちゃんに、「最強だったよ」と手放しで喜ぶ和泉さん。芹沢さんの「楽しかったっすか」という問いに、少し考えた後に、芹沢さんに近い声で「楽しい」と両手を動かして表現した。
「最初から私の中に答えがあった」と和泉さんは言うが、そこに至るまでの道のりこそが今回の一連ライブであったのだろう。そこに辿り着いたワンちゃんは、ストレイライトと観客・視聴者のみんなに感謝を伝えた。
「// 0x01; initialize()」「// 0x02; evolve()」「// 0x03; overflow()」を経て、完璧になることが生命の証明になるのではなく、完璧に近づこうとすることが生命だという。そして、4人はこの3公演の行程を、心が存在することでシンギュラリティが完成する過程を振り返る。
ここで4名が披露した楽曲は「VOY@GER」。惑星探査機になぞらえて、アイドルたちがアイをもって新しい時代を切り開く、そんな楽曲は、ワンちゃんの新しい世界への旅立ちにも通じるだろう。
ワンちゃんは間奏のダンスを決めると、その後に続くラップパートをまるまるソロで担当する。
「アイがほらじきに 巻き起こすさシンギュラリティ」と歌うと、それまでセンターステージから動かなかったロボットの姿のワンちゃんが、メインステージで歌う3名に近づこうと、ついに歩き出した!
そして、歌唱が終わり、ステージの前に立つ、ワンちゃんは手を上げ、見守る人々に「ありがとう」と述べた。
客席からのアンコールの声に応えて「Resonance⁺」を披露したあと、MCパートで挨拶をする芹沢さんたち3名。
黛さんの「ちょっとだけわがまま言っちゃおうかな」というお願いに応え、客席と配信コメントから「ふゆー」という声があがると、和泉さんと芹沢さんも続くように名前を読んでほしいとリクエストをし、「愛依サマー」「あさひー」という声で会場とコメント欄が埋め尽され、ワンちゃんだけでなく自分たちも応援する人の声があってこその存在だと再確認した3名であった。
顔にあてた能面を投げ捨てると後ろのスクリーンに巨大な能面が浮かぶ演出の「Hide & Attack」で会場からのコールを浴び、艶やかに、そして激しく舞う3名。
暗転の後、ステージに現れたのはカプセルに入った3名。カプセルは床よりも高い位置で止まったところで、本ライブのために作られた楽曲、「One Live One Love」が流れ始めた…と思いきや、イントロの途中でノイズが入り、これまでの軌跡…ワンちゃんの記憶を辿るように、本公演で披露されたパフォーマンスの映像がスクリーンに映し出された。
カプセルが床の位置まで下がり、外にでた3人は
「みなさんの応援があるからこそ」
「みなさんの愛があるからこそ」
「私たちはステージの上で生きられる」と次々と述べる。
そして、黛さんが「このライブは愛」と告げると、このライブのタイトル「XXXX Performance」が「LOVE Performance」であることが明かされた。
テンポを落として始まった「One Live One Love(Mortal Remix)」。ストレイライトと、そして観客と視聴者が左右に手を振りながら「One Live」と歌うと、スクリーン映像が、そしてステージの照明装置が踊るように動きだした。
そして、ワンちゃんがセンターステージに現れ、3名と一緒にパフォーマンスをするのであった。
歌唱が終わるとステージ下におりた芹沢さん、黛さん、和泉さん、ワンちゃんの4名。そこで、「完璧な生命 生命には終わりはありません」「いまからうけとった愛を お返しします」という声の後に、ワンちゃんは再びセンターステージに現れた。
芹沢さんたち3名と一緒にパフォーマンスを続けるワンちゃん。それにあわせ、水色のシリンダーのゲージは減り続ける。
「これで本当にお別れ」
「でもさびしくないっすよ」
「だって、みんなの熱を、愛をこれからもずっとずっとお返ししていくから」
との声が聞こえると、観客は赤・緑・紫のライトと同じように、水色のライトを左右に振り、ワンちゃんの生き様を見届けた。
スタッフロールが終わっても退場しない観客たち。再びのアンコールの声に応えて芹沢さん、黛さん、和泉さんの3名がステージ下から飛び出した!
Wアンコール楽曲は、「Another Rampage (283 Production XXXX Performance XXX= S/N-GUL4R1TY Ver.)」だ。
冒頭の「いえええええええええええい」という叫びに観客も一緒に声を重ねると、芹沢さんたちも、ライブはもう終わりだというのに、いや、終わりだからありったけの力で煽り立て、お互いに「存在を焼き付けて」、このライブは幕を閉じた。
第3公演のセットリストはこちら。
無機質な存在にLIVEを感じられるか
本ライブに最初に与えられたテーマは「無機質な機械は生命足りうるか」であった。
無機質な機械であったALEV-1はストレイライトとライブを行い、その振る舞いを学習する過程で、生命は完全たる存在に宿るのではなく、周囲との感情のやり取り、すなわち愛があるところに生まれるという事を学んだ。
ライブの観客(視聴者)であった我々は、ALEV-1が生命性を帯びるかという実験の判定者という任を受けていた。言うならば、我々はALEV-1に対して傍観者であったはずだ。
さらにいうと、ライブ会場に行くと配られた、ライブ前日譚を描いたコミックによると、ALEV-1が生命を帯びるかというのはモキュメンタリー、つまりドキュメンタリーの形をとったフィクションなのだという。
つまり、ALEV-1はストレイライトのライブにおいて、大きな存在ではなかったはずだ。
そんな中、我々の前に現れたALEV-1は、ストレイライトのメンバーのアバターをまとい、スクリーンの中の存在となっていた時は、芹沢さんや黛さん、和泉さんよりも低い解像度で描かれていた。
一方で、「VOY@GER」の大サビでワンちゃんが(スクリーンに描かれた)ステージにいるストレイライトの3名と対峙したとき、奥行き方向の動きに意味があったのはワンちゃんであったのかもしれない。
そんな、何が虚で何が実か、何がどんな解像度か、何が何次元か、様々な意味や存在がシャッフルされたライブにおいて、我々は気がつけば、ALEV-1の行く末に対し手に汗を握り、ライトで応援し、ワンちゃんと名前を呼び、感情をぶつけ、感情をもらっていた。少なくとも筆者は泣いた。感情のやりとりがあれば、ワンちゃんはストレイライトと共に、LIVEしていた=生きていたと、筆者は認識していた(ゆえに、ワンちゃんには簡単に消滅してほしくないと思い、今もどこかに存在していると信じて本稿を書いている)。
そうであっても、ALEV-1 / ワンちゃんの成長と行末は、緊迫感があったし、彼と同じ時間の流れで追いかけていきたいと思わせるものはあった。


さて、収録済の映像をスクリーンに流すライブは、果たしてライブなのか、ライブ感を感じられるのか、という話がある。
本公演最後の楽曲「Another Rampage」で、芹沢さん、黛さん、和泉さんはこのように歌っている。
「自由でいいじゃん」 「選べないよ、一つの世界だけなんて」 「だってだって、どっちの世界だって、本当なんだもん」
我々は、愛がある、つまり対象との感情のやりとりが進行形で行われれば、LIVEを感じるらしい。次の、LIVE で LOVE な企みが詰まったPerformanceを楽しみにするとしよう。
本公演はYouTubeで冒頭4曲と最初のMCまでが無料配信されている。( 第1公演 / 第2公演 / 第3公演 )
また、本編は2026年5月17日(日)までアーカイブ配信されている。
(TEXT by tabata hideki)
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