戌亥とこ1stソロライブ「who i am」レポート 思いの詰まった歌を届け、グループの壁も超えていく

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いちからが手掛けるにじさんじプロジェクト所属の戌亥とこさんは10日、KT Zepp Yokohamaにて、自身の初となるソロライブ「Inui Toko 1st Solo Live “who i am”」を開催した。

日頃の配信はもちろんのこと、YouTube上に投稿したカバー曲が600万回再生を超えるなど、高い歌唱力でも数々の人々を魅了してきた彼女のソロライブ。演奏が生バンドで行われたことも相まって、リスナーたちの期待値は「ストップ高」になっていた。本ライブの模様は、ニコニコ生放送においても生配信された。


世界に響くとこちゃんの歌声が

開始4分前のアナウンスは、サプライズ演出として、デビュー同期であるリゼ・ヘルエスタさんと、アンジュ・カトリーナさんの二人によって行われた。アナウンス中に噛んでしまうなど、戌亥とこさん以上に緊張している様子も見受けられたが、ここは「リゼアンてぇてぇ」。会場はやさしい拍手で包まれた。

ライブは、意味深なオープニングムービーとともに幕開け。どことなく実写のように見えるその動画は、本ライブのゲストでもある樋口楓さんの「KANA-DERO」を意識したもののようにも思われる。映像が終わると、一瞬の暗転と同時にライブがスタート。一曲目は絢香の「Hello」。いつもの衣装から袖を外した姿で登場した戌亥とこさんに一同熱狂した。その後、Mrs. GREEN APPLEの「Love me, Love you」を披露した。

ステージの上にあるモニター

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ここで、「横浜のみんな~まいど~!」のあいさつとともにオープニングトークがスタート。

「何ですか、ひとがライブする前日にくさや(食べる)って」 と、同会場にて前日開催された剣持刀也さんのソロイベント、「虚空集会」について言及。MCの話題についてかれこれ考えていたところにとんでもないネタを提供された彼女に対して、ニコニコ配信やツイッター実況では「うちの刀也が申し訳ございません」との後方ママ面コメントも現れていた。幸いにも、会場は「いい匂い」だったらしい。

「Twitterでも言ってたけど緊張はしてなかったし、リスナーのみんなの暖かい拍手を聴いたら、やっぱり緊張する必要もなかった」とメンタルつよつよな側面も見せた。

ここでバンドメンバー紹介。ドラマーの樋口幸佑さん、ベースの中村圭さん、キーボードの柴﨑洋輔さん、ギターの清水宥人さんと藤本大貴さんが登場。

ギターを弾いている男性

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ギターを弾いている男性

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ギターを弾いている男

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3曲目は西沢さんPの「ハンドメイドミライ」。「いぬいTOKOTOKO」とは言い得て妙、とこちゃんからのI Love Youに満たされた。

ステージの上にあるテレビの画面

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歌唱の「暴力」がステージを襲う

ここで、まばゆい赤のスポットライトとともに最初のゲスト、にじさんじ所属の樋口楓さんが参加。曲はじん(自然の敵P)さんの「夜咄ディセイブ」。

アップテンポなリズムから繰り出されるキレッキレのダンスに加え、サビのハモリの上下を入れ替えるこだわりの詰まった共鳴に、会場は熱狂の渦へと包みこまれた。続けてじん(自然の敵P)さんの「daze」へ。カゲロウプロジェクト楽曲が連続して披露され、世代のオタクには「刺さる」セトリとなった。

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自動的に生成された説明ステージでパフォーマンスをしている人達

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その後二人でMCへ。話題は樋口さんをゲストに招いた理由について。最初は「圧」が一番強い人として「でろーん」(樋口さんの愛称)を呼んだと冗談交じりに言い、お菓子を食べていたと思ったら、休憩していたとこちゃんに「このハッピーターン全然粉かかってないなぁ」と唐突に迫ったという「圧」を感じる楽屋エピソードを暴露する。

ここで、戌亥とこさんは「実のところは、にじさんじを知ったきっかけがKANA-DEROで、これを観ていなければ今の私はなかった」と打ち明ける。たじたじのでろーんは、お返しとばかりにとこちゃんを褒めちぎり、一緒に歌いたいという願いが今日かなってよかったと語る。このご時世で声の出せない中でも、ライブを盛り上げるために来てくれたファンに感謝を述べる二人であったが、ファンを「従順なしもべ」と呼ぶでろーんに、観客は樋口さんの「愛」の強さを感じ取った。


アイドル、アイドルを布教する

ゲストがいなくなると寂しいとのことで、続けてホロライブ所属の星街すいせいさんが参加。「すいちゃんは~」のフリを受け、今日もかわいい~~と叫びながら登場。にじさんじ主催のイベントであるにも関わらず、サイリウムの色も把握してくれる観客にすいちゃんは大感激。

静と動の二人、ある意味で対極的であるようで、コラボも増えるたびに互いの癖が移っていると語る二人。つい先日、すいちゃんは街中で本人も出したことのない勢いの「アハー↑」を出してしまったとのこと。いっそ口癖を交換してみようとの流れになり、互いに「ほしまちどんどんすきになる」「とこちゃんは~、今日もかわいい!」を披露。御年200歳のケルベロスには少々恥ずかしい様子だったが、観客からは照れている姿にも熱い拍手が浴びせられた。

「愛を伝えたい」「壁を壊す」という前振りとともに、あんさんぶるスターズ!からTrickstarの「BREAKTHROUGH!」がスタート。公私ともにあんスタファンを公言する二人。先ほどまでのゆるゆる雰囲気は一転し、完璧な振り付けに観客は惹きつけられた。続けて、あんスタ!からALKALOIDの「翼モラトリアム」へ。推しコンテンツへの愛がふんだんに詰め込まれたステージとなった。

ここで再びMCへ、2曲連続でダンスを披露したとこちゃん、流石にお疲れの模様。息切れしたとこちゃんに代わり、すいちゃんが楽曲の紹介。「BREAKTHROUGH!」について、「踊れたらいいよね~ぐらいの軽いノリで始めたけど、振りの種類や動きの多さにとても苦戦した。でも、今回二人で無事やりきることができて楽しかった」とのこと。MCパートの最後に、「絶対にこのステージを忘れない。これからもよろしくね~」とメッセージを送ったすいちゃんは、観客の拍手に見送られ退場した。

次はバラードパート、阿部真央さんの「Such a beautiful day」、声が出せないこのご時世、サイリウムを振ったり手拍子でゆるっと楽しめる曲がないかなとのことで選んだ楽曲。会場は暖かな赤い光に彩られ優しい手拍子が響いた。ニコニコ動画の配信画面もたくさんの手拍子の絵文字で埋め尽くされた。

夜に光っている花火

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さんばか、横浜に立つ

しっとりした雰囲気に包まれた会場は、戌亥とこさん、アンジュ・カトリーナさん、リゼ・ヘルエスタさんの三人ユニット「さんばか」による「太陽曰く燃えよカオス」で曲名よろしく混沌に襲われることになる。先ほどまでの余韻を吹き飛ばすパッションがステージを支配し、配信画面に至っては平成のニコニコ動画を彷彿とさせるコメントに埋め尽くされた。

そのまま続けて「ヒャダインのじょーじょーゆーじょー」を披露。世代に刺さる選曲と、楽曲にフィットした、さんばかの日常を思い起こさせるわちゃわちゃ感から生まれる「てぇてぇ」の過剰摂取で、ライブの盛り上がりは一気に最高潮へと達した。

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自動的に生成された説明ステージの上にあるテレビゲームの画面

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ここでさんばかの3人でMCパートへ。さんばかといえば「あの曲」をまだ披露してないよね~と、にじさんじオリジナルフルアルバムに収録の楽曲「3倍!Sun Shine!カーニバル!」に触れた瞬間、舞台のスクリーンが大発表を映し出す。なんと、一連の情勢を受け、惜しまれながらも中止となった「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow! 東京公演」が「東京リベンジ公演」として2021年2月27日に再演されると告知された。

会場には、サプライズで笹木咲さんとベルモンド・バンデラスさんの二人からビデオレターが送られ、ベルモンドさんは「みんなでいろいろ考えて作り上げた公演を観客のみんなにぶつけていきたい」と意気込みをコメント。咲ちゃんは「みんなに楽しんでもらえるよう一緒に頑張っていこう!」とメッセージを送った。

さんばかの3人は、みんなの声援で復活した公演、前回できなかった悔しさもバネにして素敵なライブを披露したいと語った。リベンジ公演では「あの曲」もやるかもしれないね~とうれしい“匂わせ”を残してリゼアンの二人はステージを後にした。二人を見送った後に「同期が大好きなんですよ」と独り言ちるとこちゃんに、会場からは暖かい拍手が送られた。

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優しい歌声が「明日」を連れてくる

再び一人でステージに立ったところで、ゆったりとした楽曲を披露するパートへ。最初はbuzzGの「星の唄」、n-buna(ヨルシカ)の「夜明けと蛍」、ヘブンズPの「それがあなたの幸せとしても」の三曲を連続で披露。心に響く切ない詩を、どことなく憂いを帯びた表情で、しかし観客の心を確かに震えさせる、力強くそれでいて優しい声とともに歌い上げる。

歌詞を反映して緩やかに移り変わる幻想的な舞台演出もまた、彼女の唄う世界を作り出す。暗い話題ばかりが街に溢れどんどん荒んでしまう私たちの心に、彼女の真っ直ぐな声が、暖かさと安らぎを感じさせる。観客一同、感慨無量のあまり「いぬいどんどんすきになる」以上の言葉を出すことができない、彼女の“好き”が詰まったステージとなった。

ステージの上でコンピューターの画面

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その後のMCでは、おなじみのメイド衣装の袖をカットしたことに触れ、店長に「あの袖付けたままじゃキツイので一着だけ袖切っていいですか?」と申告したところ、あっさりOKをもらったと語った。

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残り二曲となったここで、観客お待ちかねの「地獄屋八丁荒らし」を初披露。バックのモニターに映されるMVは、自身のチャンネルにアップロードされたものとは異なるライブ仕様というこだわりのこもった演出。戌亥とこの「らしさ」が詰まった詩を、魅惑的なボイスに乗せて響かせた。バーチャルの世界から観客を惹きつけてやまない彼女は、言葉通り「八丁荒らし」っぷりを見せつけた。

ここで最後のMCへ。「ここに来られなかった人も沢山いるだろうし、だからこそ、『次』もあるといいな」と思いの丈を語った。ここまで来られたのは、一緒に歩んできたにじさんじのライバーみんなとそのリスナーさんたちがいてくれたお陰だと感謝を述べ、その想いを、Official髭男dismの「宿命」に込め、歌唱した。

夜のステージに立つ人

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幕は閉じられたと思われたが、観客からの鳴り止まない拍手を受けアンコールがスタート。とこちゃんはじん(自然の敵P)の「オツキミリサイタル」と共に再登場、観客にエールを届けた。会場のみんなと記念写真を撮ったあとは、VTuberコンピレーションアルバム「IMAGINATION vol.2」にも収録された、いきものがかりの「気まぐれロマンティック」を披露。「また会おうね」の言葉と共にライブを締めくくった。

ステージで演奏するバンドと観客

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配信後、ニコニコで行われたアンケートでは、99%を超える観客が、「とてもよかった」と評価。多くの観客を満足させて1stソロライブは幕を閉じた。

●セットリスト
M1.Hello
M2.Love me, Love you
M3.ハンドメイドミライ
M4.夜咄ディセイブ
M5.daze
M6.BREAKTHROUGH!
M7.翼モラトリアム
M8.Such a beautiful day
M9.太陽曰く燃えよカオス
M10.ヒャダインのじょーじょーゆーじょー
M11.星の唄
M12.夜明けと蛍
M13.それがあなたの幸せとしても
M14.地獄屋八丁荒らし
M15.宿命

*アンコール
M16.オツキミリサイタル
M17.気まぐれロマンティック

(TEXT by ONO SOICHIRO)

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