2度の「ふぁんふぁーれ!」に改めて感動 ななしふぇす第1部「あにまーれとどぅーいっと!」レポート

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19日、VTuber事務所・774inc.に所属するすべてのグループ(「有閑喫茶あにまーれ」、「ハニーストラップ」、「ブイアパ」、「シュガーリリック」)が参加して開催したオンライン音楽フェス「ななしふぇす どぅーいっと!」。

20名の出演者が「全員主役」というテーマを掲げた公演は、全4部と「グランドオープニング」「グランドエンディング」で構成。

ここでは、20名の出演者が全員集合した「グランドオープニング」と、「あにまーれ」の因幡はねるさん、宗谷いちかさん、日ノ隈らんさん、風見くくさん、柚原いづみさん、白宮みみさん、羽柴なつみさん、瀬島るいさん、飛良ひかりさんと、シャッフルユニットのメンバーであるハニーストラップの周防パトラさん、シュガーリリックの龍ヶ崎リンさんが出演した第1部「あにまーれとどぅーいっと!」をレポートする。


出演者全員が歌う「ふぁんふぁーれ!」で開幕

カメラがこのフェスのために作られたバーチャル空間の特設会場を映すと、そこには5つの円形ステージが浮かんでいる。大勢の可愛い声でカウントダウンが行われ、ゼロになると「あにまーれ」のオリジナル曲「ふぁんふぁーれ!」のイントロが流れ出し、中央の円形ステージに「あにまーれ」の9人が全員登場。昨年6月のあにまーれのデビュー一周年記念配信で発表された思い出の曲を笑顔で歌っていく。1番が終わったところで、宗谷さんが「774inc.のみんなにも集まってもらっちゃおー」と声をかけると、ステージの外周部に他グループの11人も登場。いきなりグランドオープニングから、四つのグループが一緒に「ふぁんふぁーれ!」を歌うというレアな光景が実現した。

2番から登場した11人はラスサビ前に退場。「ふぁんふぁーれ!」を歌い終えた「あにまーれ」のメンバーもいったんステージから姿を消した。続いて、無人のステージに現れたのは「ハニーストラップ」の周防パトラ。「みんな頑張ってるから、応援いっぱいよろしくお願いしまーす!」と配信を観ているファンを盛り上げると、「まずは、『あにまーれとどぅーいっと!』スタート!」と第1部の開幕を宣言してステージから消えた。

全員お揃いのアイドル風ステージ衣装に着替えて再登場した「あにまーれ」の9人が披露したのは、2曲目のオリジナルソングでフルはこのステージが初披露となる「Cantare!」。「ふぁんふぁーれ!」と同じく明るく前向きな曲で、全員がきれいに揃った振りの中、全員がバラバラな動きを見せる短いフレーズもあるのが個性派が集まる「あにまーれ」らしい。

全員が退場した後、ステージに現れたのは「あにまーれ」結成時からのメンバーである因幡さん、宗谷さん、日ノ隈さんの3人だ。自称「フレッシュな3人」は、約2年半を共に過ごして来た関係性だからこそ可能な即興漫才的なトークを披露。因幡さん、日ノ隈さんの奔放なダブルボケに、宗谷さんがひたすらツッコミを入れていく。脱線しまくりながらもステージ衣装のポイントを紹介し、これまでの歩みを振り帰る。

ようやくいい話になり、次の曲が始まるのかと思いきや、突然、ものまね企画コーナー「774inc.のメンバーをどぅーいっとせよ」に突入。順番に、クジで指定された774inc.メンバーのものまねをして、他の二人が当てるという企画だ。ここでは、さっきまでツッコミに徹していた宗谷さんもボケ側にシフト。全員、かなり誇張した物まねで、全員曲の歌唱とは違う方向にステージを盛り上げていく。3人の物まねが終わった後は、後輩の羽柴さんと風見さんも合流し、同じ企画に挑戦。物まね名人の風見さんは、周りのメンバーが感心するレベルの物まねを披露した。


永遠のライバル「パトねる」が「ダダダダ天使」をデュエット

企画コーナーが終わると因幡さんは退場し、宗谷さん、日ノ隈さん、羽柴さん、風見さんの4人による人気ボカロ曲「劣等上等」からライブが再開した。低音から高音まで振り幅が広く、ラップパートもある難曲で、さっきまで大笑いしながらはしゃいでいたとは思えないほど熱いパフォーマンスを見せる。最後は、風見さんが得意の「ETC音声のものまね」で「フロアが沸き上がりました」とアナウンスし、ステージから退場した。

無人になったステージに宗谷さんが再登場し、ソロ曲コーナーがスタート。抜群の歌唱力を誇り普段から歌配信も多い「あにまーれの歌姫」が選んだのは、「普段はあまり歌わない曲」の「アンノウン・マザーグース」。ボカロ曲らしい超高音や、早口言葉のような高速パートなど難易度の高めな要素が詰まった曲だが、そんなことを微塵も感じさせない堂々としたステージを見せた。

「宗谷~かっこ良かったよ~」と言いながら登場した日ノ隈さんは、小柄で誰にでも愛されるかわいらしさで人気だが、ソロコーナーで選んだのは「鬼滅の刃」の主題歌として大ヒットしているLiSAさんのパワフルな楽曲「紅蓮華」。いつもの「らんちゃん」とは違って力強いが、日ノ隈さんらしい愛らしさもほのかに残る歌声は、作品の強く優しい主人公とも印象が重なる。

熱唱により力尽きた日ノ隈さんがその場に座り込んでいると、因幡さんがハイテンションに登場。「カッコよかったよ~」と同期を労い、自分は歌わずにステージを下りようとするボケもしっかり挟む。

日ノ隈さんが去った後、一人になったステージで、学生時代は目立たない存在だったため「こういう大きなステージに立っている自分がいまだに信じられない」と語る姿は少し心細そう。ついついリスナーからのコメントが読みやすい場所へ移動してしまうところは、リスナーとの強い絆を大事に活動してきた因幡さんらしい。「私には珍しくラブソング」と紹介して歌ったのは、声優であり歌手の牧野由衣さんの「ふわふわ♪」。甘く柔らかい歌声と可愛い振り付けで、アイドル風衣装にぴったりのパフォーマンスを見せる。カメラの位置をしっかり意識した振りからも、この大舞台に向けての練習量を感じさせた。

因幡さんが「リハの中で一番上手くいったかもしれない」と喜びを噛みしめていると、ステージの端に、ピンクのロングヘアーがチラリと見切れる。デビューからの約2年半、切磋琢磨してきたライバルグループ「ハニーストラップ」の周防パトラさんだ。

呼び込まれてステージに登場すると、ソロパートでは少ししんみりムードだった因幡さんに「過去が……とかじゃなくて! あんたと私で紡いできた、この2年半だけを思い出しなさいよ!」と発破をかける。大舞台での「パトねる」の実現にコメント欄のファンも大喜び。因幡さんはお馴染み「あにまーれ」の制服姿に着替えると、パトラさんと一緒にナナヲアカリさんの代表曲「ダダダダ天使」をデュエットした。

因幡さんの一番得意なものまねがパトラさんの声真似で、ほぼ本人レベルに似ていることからも想像できたが、2人の歌声は相性ぴったり。どこか似ているけれど個性は明確な2人の声が、お互いに魅力を打ち消すことなく響いていく。歌い終えた後のMCでは因幡さんが、数々のオリジナルソングを生み出して来たパトラさんに対して、2人でのオリジナル曲をねだる場面もあったが、その実現を本気で期待したくなるステージだった。


イケボな3人がシャッフルユニットを結成

「あにまーれと どぅーいっと!」の後半戦は、シャッフルユニットのステージからスタート。風見さん、羽柴さんに「シュガーリリック」の龍ヶ崎さんを加えた三人で「Monster」をカバーした。三者三様の「イケボ」が心地よく耳に響く中、キレキレな動きで目も惹きつけたのは、774inc.屈指の芸達者ぶりで知られる風見さん。一つ一つの動きが誰よりも大きく、決めポーズのシルエットもきれい。3人揃ってジャンプする場面では、腰くらいの高さまで足首が上がっていた。

シャッフルユニットが2組続いた後は、2度目のソロ曲コーナー。最初に登場したのは、柚原さんだ。歌があまり得意ではないと言いながらも、「そんないづみの可愛い姿を今日はたくさん観ていってください」とアピールし歌ったのはボカロ曲「君色に染まる」。普段の配信では、ベイブレードやプラモデルなど男児のような趣味が注目されることも多いが、このステージでは宣言通りに歌声も振り付けも可愛いさ全開。また、曲が2番に入るとバーチャルステージの周囲がキャンディカラーに変わり、ハートなども舞う可愛い空間に。オンラインライブならではの演出でも柚原さんの初ステージを盛り上げた。

2人目は、シャッフルユニットでも存在感を発揮していた風見さん。テンション高くリスナーを煽ると、炎に包まれたステージで水樹奈々さんの「ETERNAL BLAZE」を熱唱。魔法少女物ながら熱いバトル展開でも人気を集めた「魔法少女リリカルなのはA’s」の主題歌で、ファンの熱をさらに高めていく。綺麗なロングトーンで締めたあとは、SNSで人気の現場猫の「ヨシ!」のポーズを完璧に模写し、後輩の白宮さんにバトンを繋いだ。

自称「あにまーれの天使枠」の白宮さんは、愛犬のポン太を頭に乗せて登場。「いつかステージに立てたらやりたかった」と言うと、「アリーナのみんなー? 盛り上がってるかーい?」「3階席ーこっち観えてるかーい?」などの定番コールアンドレスポンスを行って、コメント欄をさらに盛り上げた。また、個人勢から「あにまーれ」に編入という珍しい経歴の持ち主で、すでにオリジナルソングも持っている白宮さん。「みみと言えばのあの曲をやっていきたいと思います」と宣言すると、「もふもふ攻撃」という歌詞が印象的なオリジナルソング「いっしょに!」を披露。天使枠に偽りなしの可愛い笑顔や歌声とダンスでリスナーを魅了した。

シャッフルユニットのイケボトリオの一角だった羽柴さんは、大ヒット曲である星野源「恋」を披露。中性的な歌声とキレキレの恋ダンスで、先ほどのステージとはまた違う一面を見せていく。このまま完璧なパフォーマンスで終えるのかと思いきや、アウトロで同じフレーズの繰り返しが始まると、「これ、何回あるの? え?」と突然混乱し、「まだあるの?」とパニック状態。ただ、かっこよいだけでは終わないところが、ひとひねりした企画系配信などにも定評のある羽柴さんらしいソロステージだった。


ラストは、あにまーれ全員での「ふぁんふぁーれ!」

続いては、10月にデビューしたばかりで、774inc.全体でも最も新しいメンバーの瀬島さん、飛良さんが登場。3Dのお披露目もこのフェスが初めてということで、お互いに「可愛い可愛い」とほめあいながら大はしゃぎした後、二人で披露したのは筋トレアニメ「ダンベル何キロ持てる?」の主題歌「お願いマッスル」。歌いながら実際に筋トレを行う振り付けも再現していたため、歌い終えた時には、二人とも呼吸が乱れ気味に。特に飛良さんは息も絶え絶えだったが、可愛いさ満点のステージデビューだった。

二人に呼び込まれて筋トレをしながらステージに現れたのは、因幡さん、柚原さん、白宮さん。揃いのステージ衣装を着た5人は、2度目のソロコーナーを楽しく振り返る。羽柴さんが踊った「恋ダンス」を「初めて観た」という因幡さんの発言には、4人の後輩とコメント欄が少しざわめいていた。そして、いよいよ「あにまーれと どぅーいっと!」もラストスパートかという雰囲気の中、再び「774inc.のメンバーをどぅーいっとせよ!」のコーナーがスタートし、白宮さん、柚原さん、因幡さん、飛良さん、瀬島さんの5人が774inc.メンバーの物まねを披露。途中、因幡さんの采配により、因幡さん本人、飛良さん、瀬島さんが3連続で因幡さんの物まねをするなどカオスな展開となった。

そして、今度こそラストスパートに突入。まずは、物まねを競った5人でももいろクローバーZのクリスマスソング「サンタさん」を披露した。クリスマスをイメージさせる空間の中、まさにアイドルらしく可愛く歌い踊る5人。ところが、ももクロの高城れにさんポジションを担った柚原さんが見せ場のソロパートなどで踊ったのは、ベイブレードに必要な「ベイ筋」を鍛える「ベイササイズ」。それ以外のパートが完全にアイドルモードだっただけに逆にインパクト抜群だった。

「あにまーれと どぅーいっと!」も残すは2曲。まずは、9人全員が再び登場して歌ったのは、「アイドルマスター シンデレラガールズ」の全体曲「お願い!シンデレラ」。アイマスの設定に合わせて、因幡さん、白宮さん、飛良さんの「キュート」、宗谷さん、風見さん、羽柴さんの「クール」、日ノ隈さん、柚原さん、瀬島さんの「パッション」と3組に分かれて、それぞれ別の円形ステージで歌唱。オンラインライブだからこそ観られる斬新な光景だった。そして、大サビの前には全員が一つのステージに集合。9人が一つの輪を作り、スターになる夢をかなえるため前に進み続けたいという「あにまーれ」にぴったりの曲を歌った。

ラストの曲を歌う前のMCで、因幡さんの「あにまーれって、アイドルじゃない?」という問いかけに、「アイドルだよー」と大はしゃぎで同意するメンバーたち。さらに「あにまーれもこういうことができるという新たな一面を皆さんにお見せすることができた。またやりたいよね」という言葉にも、全員が同意の声を挙げた。

一人ずつライブの感想を語った後は全員で「ふぁんふぁーれ!」を披露。グランドオープニングでの出演者全員による「ふぁんふぁーれ!」も感動的だったが、ライブのフィナーレに「あにまーれ」メンバーだけで歌う「ふぁんふぁーれ!」は、それ以上の感動をもたらすものだった。

「あにまーれ」らしいにぎやかさや笑いとともに、アイドル的な可愛さと感動も感じられた第1部「あにまーれとどぅーいっと!」はこうして終了。始まったばかりの「ななしふぇす どぅーいっと!」の第2部以降への期待がさらに高まるステージだった。

●セットリスト
M1.ふぁんふぁーれ!
M2.Cantare!
M3.劣等上等
M4.アンノウン・マザーグース
M5.紅蓮華
M6.ふわふわ♪
M7.ダダダダ天使
M8.Monster
M9.君色に染まる
M10.ETERNAL BLASE
M11.いっしょに!
M12.恋
M13.お願いマッスル
M14.サンタさん
M15.お願い!シンデレラ
M16.ふぁんふぁーれ!

●イベント概要
・イベント名:「ななしふぇす どぅーいっと!」
・開催日:2020年12月19日(土)
公式サイト

(TEXT by Daisuke Marumoto)

●関連リンク
「ななしふぇす どぅーいっと」公式サイト
774.inc公式サイト